【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】

ガンホー代表取締役社長森下一喜氏特別インタビュー
ガンホーグループの次世代オンライン戦略を聞く

5月21日収録

会場:ディファ有明

 5月21日にガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社が開催した「ラグナロクオンライン」のファンイベント「RAGNAROK ONLINE Japan Championship 2006」。好天にも恵まれ、「ラグくじ」など来場者向けの物販も充実していたこともあって約3,000人が来場し、相変わらずの人気を見せつけてくれた。

 RJC定例のガンホー代表取締役社長森下一喜氏のインタビューでは、「基本的に何でも聞いていい」とのことだったので、RJC2006の感想や「ラグナロクオンライン」の今後の展開に加えて、次世代機時代におけるガンホーの戦略や「ラグくじ」導入の経緯、RMT問題など、気になる話題について話を伺ってみた。


■ 次世代機時代のガンホーグループの取り組みについて

次世代機に対して感想を述べる森下社長。ガンホーグループは、ゲームアーツを中心に次世代機対応を進めているという印象を受ける。ガンホーからPS3やWiiタイトルが生まれる日は来るのだろうか?
編: まずは5月に行なわれたE3の感想から聞かせてください。今年のE3に行かれていたそうですね?

森下氏: 行っていましたよ。主に商談ですね。

編: メーカーブースは見られましたか? なんかアロハを着て開放感に満たされた顔をしていたという報告を受けましたが。

森下氏: 主に任天堂とSCEAのブースを見ました。今回は商談がメインでしたから。ブースを見て回る時間がほとんど取れなかったんですよね。ビニールで膨らます剣が気になって、ついついもらいにいったりしたぐらいかな(笑)。

編: それではプレイステーション 3とWiiをご覧になったんですね。

森下氏: やっぱりWiiが良かったですね。うちのスタッフが触っているのを見ていましたが、やっぱりコントローラの能力に驚きました。これを使って新しい何か面白いことをできそうだと思いました。

編: 仮にガンホーグループだったら、どういう使い方をしてみたいですか?

森下氏: うーん、やはり弊社が得意としているのはオンラインですから、オンライン上で、Wiiのコントローラを使ってみたいなぁという願望はありますね。

編: ほほう、Wiiのコントローラで、オンラインで何をやるわけですか?

森下氏: なんでそこでそういうツッコミをするかな(笑)

編: 今年ガンホーさんは、プラットフォームに依存せずオンラインビジネスを展開していく方針を発表されました。WiiやPS3、Xbox 360といった次世代ゲームコンソールはすべてオンライン対応ですから、対象プラットフォームになりえますよね?

森下氏: なるほど、そうですね。Wiiの場合は、ネットワークサービスの部分がどうなるのかが見えないとハッキリしたことは言いにくいですよね。

編: 実際に展開するかどうかとなると、サービスのレイヤーが大事なのはわかりますが、Wiiに関してはなんといってもコントローラの部分ですよね。そもそもガンホーグループでWiiのコントローラで何をするんだろうっていう。

森下氏: 単純に言ってしまえば、戦闘でも従来の操作とは違ったライブ感のある戦い方ができるだろうし、デモンストレーションでもあったけど、例えばスポーツとか。そういうのも基本的にオンラインで展開可能でしょうね。

編: 「Wiiのオンラインゲーム」という展開で見えないのは、コミュニケーションの部分です。Wiiではコントローラ主体となることから、キーボードは使いたくても使えませんよね。その場合のオンラインコミュニケーションというのはどうなるのでしょうか

森下氏: キーボードが無いとチャットできませんから、エモーションなど自己表現的なものが中心になってくるのではないかと思います。たとえば手を上にあげると、合図が送れるとかね。ボタンと絡めるとさらに喜んでるとか、多様な表現ができると。キーボードがなくても表現価値というのは出すことができると思うんですよね。Wiiは、単純にゲームをプレイするためのデバイスとしてだけではなく、コミュニケーションデバイスとして色々な可能性はあると思いますね。

編: 基本的にはWiiに対して展開するのは前向きに考えたいという感じですか。

森下氏: そうですね。それはグループとしても検討していかなければならないでしょう。

編: 展開するのはオンラインゲームと考えていいわけでしょうか?

森下氏: オンラインゲームというか、まずはネットワークの機能を活かしたゲームということになるでしょうね。ゲームアーツでは「グランディア」をはじめ、もともとコンシューマを多くリリースしてきていますし、次世代機においてもマルチプラットフォーム展開していきたいと思っています。

編: 一方、PS3ですが、かなりハイスペックな分、ゲーム機としては価格設定も高めですが、どのような感想をお持ちになりましたか。

森下氏: 率直な感想として高いなぁと感じましたが、値段だけでは図れないスペックの価値を感じました。グラフィックスの性能は、Ubisoftの「Assassin's Creed」やコナミの「メタルギアソリッド4」の映像を見ていて純粋に凄いなと思いましたし、ネットワーク機能も私達が期待している方向性で整備されてきそうな印象を持ちました。PlayStation Meetingの時から注目していたPSPでの「e-Distribution」が、PS3と連動するというニュースも聞きましたので、引き続き今後の動向に注目していきたいと思っています。

編: PS3はハードウェア的にはPCですよね。逆にPCとしてみると極めて安価ですよね。

森下氏: でもビジネスアプリケーションが開けるわけでもないでしょう?

編: いえ、構想としてはビジネスソフトもありのようです。そうなるとブラックボックス型の省スペース/リビングPC的な見方もできるわけですけど、ガンホーグループがPS3に対してどういったアプローチをしていくかっていうのは気になるところです。

森下氏: 個人的にはビジネスアプリケーションをリビングではあまり使いたくはないですね(笑)。ですが、リビングPCという観点でのPS3の広がりは期待したいです。PS3に限らず、多くのプラットフォームがネットワークに接続されることはブロードバンド前提のコンテンツを提供する私達としては歓迎すべき事態です。先ほどのWiiでは、デバイスのおもしろさに着目させていただきましたが、PS3ではネットワーク接続されるインフラのひとつという点で強い印象を受けました。

編: 話を伺っているとWiiに対して執心かなという印象を受けましたが、現状のサービスレベルで見ると、ガンホーさんのビジネスからすると若干PS3やXbox 360はオーバースペックかなと?

森下氏: いやいや、そんなことはないですよ。ゲームアーツ等の子会社を含め、ガンホーグループとしては次世代機のそれぞれの機能について注目していますし、アプローチを行なっていきたいと考えています。

編: 最後に、早くも2年目を迎えたXbox 360ですが、こちらはWindows Vistaと繋がってPCと親和性の高いゲームプラットフォームになりますね。

森下氏: 今回Xbox 360で一番強く印象を受けたのはそこですよね。WindowsとXboxがさらに親和性を高める世界が登場してくるということは、PCプラットフォームが中心のガンホーとしては嬉しい発表でした。Live Anywhereの発想はハードウェアの垣根を越えるという点で我々の発想と合致していますし、普及されていってほしいと素直に感じました。堀(開発本部長)も、最近はVista 、Vistaって言ってますよ。「いろんな意味で変わるよVistaで!」って。

編: なるほど。それで、どのように変わるのでしょう?

森下氏: 聞かれると思ったけどね(笑)。申し訳ありませんが、今はまだ具体的な話についてはお話しできません。

編: もう動き出していると考えて良さそうですね。

森下氏: そうですね。グループとしては、オンラインにこだわらず、スタンドアロンのタイトルもどしどし出していきます。ガンホー単独としてみれば、やはりオンラインを絡めたいなというところですね。

編: その中でやっぱりWindows Vistaっていうのは注目になってくるのですが、Vista時代のオンラインゲームというのはどうなるんですか。開発本部長の堀さんがVistaと言っているなら、「グランディアオンライン」からVistaに対応してきそうですよね。

森下氏: Windows Vistaの話は現時点では何も言えません。何を言っても怒られる(笑)。Vistaを意識した今後の展開はもちろん考えていますし、対応していく予定ですが、今何をやるかについては何もいえません。


■ RJC2006の感想と、「ラグくじ」による実質的ハイブリットアイテム課金導入の経緯

森下氏によれば、「ラグくじ」はユーザーニーズに答えたサービスだという。「RO」はレベル上げに膨大なコストがかかるMMORPGとして知られているが、それが「ラグくじ」により今後どう変わるのだろうか
編: RJC2006についてですが、今回は来場者の数に驚きましたね。

森下氏: いや、正直なところこちらがびっくりしましたね。昨年は実験的な要素が強く、初めてということもあって、正直にいって対戦型イベントで人を集められるのかと不安があったのですが、今年は昨年の参加者から比べてあまりにかけ離れていたので、お客さんに対するオペレーションに関して多少の不便があったと思います。これは明確に反省課題として今後検討していきたいです。ただ、人数的には、ようやくオンラインゲームの代表的なイベントと言える規模になってきたのかなと思いましたね。会場も狭く感じられましたよね。

編: 来年はもうちょっと大きな会場でやりたいと?

森下氏: そうですね。ただ、ファンイベントといっても、実際に人が移動して集まってもらうというのは大変なことなので、そういうところも含めて、企画内容も含めていろいろと考えていかないといけないなと思いますね。

編: 今年は「ラグくじ」を求めて長い行列できました。

森下氏: あくまで有料のくじですから、絶対欲しいモノがもらえるという性質のものではないのですが、ユーザーさんのアイテムに対するモチベーションの強さを感じました。

編: 今回可哀想だったのは、「ラグくじ」目当てで列を作るのはいいのですが、並ばされたところが炎天下だったのは痛々しい光景でした。

森下氏: そうですね。今回は暑くなってお昼くらいまで掛かってしまって申し訳なかったですね。もう少し会場が広ければ会場内でということができたんですが、それができなかったのが反省点ですね。

編: 「ラグくじ」に関して、大枠の部分で話をお伺いしたいのですが、「ラグくじ」というのは元々「ガンホーオンラインショップ」のコンテンツのひとつです。3月から見ていて、「RO」、「ECO」、「TANTRA」といった形で広がっていて、残る「A3」も6月には今度アイテム課金に移行します。これは、実質的な意味で、全面的なアイテム課金モデルへの移行と私は見ています。一部で月額課金モデルは維持していますけれども、メーカーがアイテムを直接売れば、それは「アイテム課金」です。この辺のビジネスモデルの変化についてはどのような感想をお持ちですか?

森下氏: いや、アイテム課金化という方向性で考えているわけではないですよ。ただ、最近のところでいうと、「TANTRA」、「ヨーグルティング」、あとは「ECO」で、アイテムチケットを使ったアイテム課金でやっていく中で、ユーザーさんのアイテムに対するニーズの高さを認識した上で、ユーザーに対する新しいサービスとしてそういった形の販売形態を取り込んだというだけですね。

 ただ、我々は別に月額課金をやめたわけではないし、「A3」でも大規模PvPという楽しさを無料でもっといろんな人に楽しんで貰いたいということでのアイテム課金化への移行です。つまり、タイトルひとつひとつに考え方があって行なっていることであって、会社の方針として全体的にシフトしているというわけではないです。

編: それにしても、オンラインショップは、事前アナウンスもなく唐突に始まった感があります。

森下氏: 発想としては、「ECO」のアイテムチケットが始まりです。「ECO」は月額販売なんだけど、別にアイテムチケットもある。しかし、チケットを買える店舗やインターネットカフェはどうしても限りがあります。物流に限りが出てしまうと、ユーザー間で不公平さが出てきてしまうので、それならばオンラインで全てのユーザーさんに平等な環境を提供しようと。もともとオンラインに繋がっているわけですからね。

編: 一方で、「RO」に関しては、「月額課金を維持する」という方針のまま、いきなりどんと始まったわけですが、「RO」“にも”取り入れたタイトル個別の理由とは何なんでしょう?

森下氏: 「RO」の場合は、ROモバイルでの「ガンガチャ」や明治製菓さんとのタイアップなどこれまでの企画がきっかけとなっています。予想外の好評を得たので、ユーザーの皆さんのニーズがあると考えました。

編: これはGravityが運営している韓国ではやっていないですよね。日本だけの独自サービスということになるのでしょうか?

森下氏: 韓国ではやってないですね。日本だけということになります。

編: この「ラグくじ」は、開発側が予期しないレベルでゲーム内経済に対して大きな影響を及ぼしそうですが、何か特別な対策というのは取られているんですか?

森下氏: 基本的な考え方としては、販売期間を限定したり、アイテムの選び方に気をつけたりして、経済に与える影響をコントロールしながら、新たな企画を行なっていくという感じです。

編: 制限というのは程度の問題で、出たことそのものが影響を与えるのは避けられないと思います。基本的にゲーム経済のバランスは関知しないという方針でしょうか?

森下氏: 大前提としてユーザーにご好評いただいている以上、販売は継続していきたいと考えています。今はまだ実験段階ですので、ゲーム経済に深刻な影響が及ぶ状況が想定された場合は、運営側として何らかの対応は取らなければならないと考えています。今は具体的にというより、影響を計測しながら進めています。

編: 「ラグくじ」はサービスを開始して2カ月ほどたちますがユーザーの反応はいかがでしょうか?

森下氏: 売り上げとして見ると好評ですが、ご意見としてはやはりアイテム課金的な側面から賛否両論をいただいています。

編: 賛否でいくと賛成のほうが多いと。

森下氏: どうですかね。正直な話、実数で測れるわけではないですからね。実際に売れてる反応だけを見てるだけではいけないし、両方ともそういう意見は捉えなくちゃいけないとは思いますね。

編: 今後はどのような計画なのでしょうか?

森下氏: 今後は未定ですね。状況を見つつ。

編: 特に具体的な計画というのは無いと?

森下氏: 基本的に継続したいというのはあります。その辺は慎重に検討しながら決めていくことになります。オンラインゲームのトレンド的にはアイテム課金的な流れがありますけど、全部が全部アイテム課金じゃなくてもいいとは今でも思っています。ただ、今後は月額課金プラスアイテム課金のようなハイブリッド型のモデルが望ましいのではないでしょうか。


■ RMT問題について 「全面禁止。最終的には司法の判断を仰ぐ」

RMTについては、既存タイトルについては全面的に禁止としたものの、「現時点では」と含みを残した。RMTは司法判断を含め、今後も注目していきたい問題である
編: 話は変わりますが、もうひとつのオンラインゲームの流れとしてRMTがあります。ガンホーさんの取り組みというのを今一度お聞かせ下さい。

森下氏: RMTへの取り組みというところでいうと、基本的に他のオンラインゲームメーカーと共同で動いていくしかないですね。一社だけの取り組みというだけではなくて、共同で足並みを揃えて対応していくしかないですね。

編: ガンホーの基本スタンスはどうなのでしょう?

森下氏: RMTは全面的に禁止。それは変わっていないです。

編: ただ、実際には全面的に禁止であってもやってるユーザーは後を絶たないわけですが、メーカーとしてはどのような取り組みを行なっているのでしょうか?

森下氏: まず、RMT業者に対するアプローチというのは絶えずしています。ですが、書面で注意するというレベルでは限界があるのも事実です。RMTの問題はゲームソフトの中古問題と構造が似通っている部分もありますが、最終的には司法に判断を仰がなければならないでしょうね。

編: 中古問題でいうと、最近はコーエーネットさんが「レンタネット」というレンタルビジネスを始めましたよね。これはMMORPG市場に置き換えると、Sony Online Entertainmentの「Station Exchange」のようなコロンブスの卵的サービスですが、たとえば、今後ガンホーさんがRMTをオフィシャルで取り扱うようなことは無いのでしょうか?

森下氏: 現時点ではありません。やはり他のオンラインゲームメーカーと協力して考察していきたい課題です。

編: 逆に言うと、既存のオンラインゲームに関しては、ゲームの中にRMTを公式に採用することはないと考えていいわけですか?

森下氏: そうですね。それはないです。


■ ガンホーゲームズでは「RO」や「ECO」のカジュアルゲームを提供

今夏サービス開始予定のゲームポータル「ガンホーゲームズ」については、別途発表会を行なうことから、具体的な情報は出てこなかった
「ガンホーゲームズ」イメージ。アバターが大きく映し出されているが、これはゲームからそのままデータを引っ張ってくるわけではなく、ゲームとはあくまで別個のサービスということのようだ
編: 本日「RO」に関して次期アップデート計画が発表されましたが、もう少し大きな枠組みで今後「RO」はどう展開していくのか教えてください。

森下氏: それは「ガンホー・モード」で展開する「RO」の横の広がりがひとつの答えになると思います。

編: それは以前おっしゃっていた自社で開発しているモバイルコンテンツですか?

森下氏: いえ、モバイルではないです。PCで遊ぶカジュアルゲーム。「RO」を題材にしたカジュアルゲームを「ガンホーゲームズ」のコンテンツとしてリリースします。もちろん、今後もサントラやグッズなどマーチャンダイズを展開していきますが、それだけではなくて、「RO」そのものを違った形態でゲームを表現することを今後やっていきたいですね。

編: 「RO」のカジュアルゲームというのをもう少し詳しくお伺いしたいのですが、「ポトリス」のようなカジュアルオンラインゲームを想像すればいいのでしょうか?

森下氏: そうですね。

編: 「ラグナロクバトルオンライン」といった同人ゲームソフトがありますが、ああいったノリなんでしょうか?

森下氏: もっとカジュアルです。誰でも参加できるゲームって、いまはこれぐらい(笑)。具体的な内容についてはガンホー・モードの発表会で発表しますので、もう少し時間をください。「ECO」のカジュアルゲームとかいろいろありますよ。

編: それでは「ヨーグルティング」のカジュアルも出るんですか?

森下氏: 「ヨーグルティング」は今のところ用意してないですが、ガンホーのゲームタイトルのシナジーを求めていくという意味では、ありえない話ではないですよね。

編: 開発はどこが担当しているのでしょうか?

森下氏: 開発はジー・モードがやっています。ご存じのように、ガンホー・モードは、ジー・モードとの合弁会社ですから、実際はガンホー・モードがやっているということになります。

編: ターゲットはどの当たりになるのでしょう?

森下氏: 基本的には「RO」や「ECO」を遊んでいる人には限定されないような形になると思います。基本的には誰でも参加できるという形にはなります。

編: 「RO」本体との連携性はどうなるんでしょう?

森下氏: 間接的な連携性は持たせていきたいと思います。直接的にオンラインで連携するのではなく、間接的にということです。

編: 「ラグナロクモバイル」ではZenyを直接移管することができましたよね。そういう間接的ということですか。

森下氏: もうちょっと間接的になりますけど、何らかの繋がりは用意したいと思っています。

編: カジュアル以外の部分で「RO」に関連したサービスというのがあるんでしょうか。

森下氏: あります。後はアバターですよね。アバター向けに「RO」関連アイテムを用意します。

編: ゲーム内のデータをそのまま利用できるわけですか?

森下氏: いえ、そうではなく、ゲームに登場する装備などをアバターアイテムとして用意して、それを利用してアバターをコーディネートできるという感じですね。

編: なるほど。まずはベーシックな装いからはじまって、「RO」の装備とか「ECO」の装備が着れますよと?

森下氏: そう、「RO」に限らずね。「ECO」だとか、「グランディア」だとかそういったものも当然含まれています。

編: ガンホーさんは、グループとしていわゆるライセンスものをアバターアイテムとして使えるのは強みですが、アプローチそのものは非常にベーシックであり、それ自体新鮮味があるものではありませんよね。アバターに関して、ガンホーゲームズならではの新しい取り組みはあるのでしょうか?

森下氏: 言わせようとしてもダメです(笑)。その部分はプレスカンファレンスを楽しみにしててください。新しいユーザー層へのアプローチを検討しています。

編: 業界的には「えいご漬け」や「脳トレ」ですとか、エデュテイメント寄りのゲームソフトが数多く発売され、そして多くのユーザーに支持されています。そういった新しい分野のエンターテインメント化ということでしょうか。

森下氏: エデュテイメントは別に新しいものとは捉えていませんが、可能性のあるコンテンツだと思います。ガンホーゲームズでは、スタート時点で新作ゲームを数10タイトル用意します。その中にはいろんなバリエーションのゲームが入っていますよ。

【「ガンホーゲームズ」のカジュアルゲーム】
「ガンホーゲームズ」で提供されるカジュアルゲーム。上段から順に「パニックシューター」、「フルーツフルーツ」、「回転飲茶」。開発はジー・モードが担当しており、画面構成や色遣い、アイコンデザインなどを見ても手慣れた印象を受ける。「ガンホーゲームズ」では、正式サービスのタイミングで、こうしたカジュアルゲームを数十タイトル用意するという


■ ガンホーゲームズのコミュニティ機能はどうなるのか?

編: ガンホーゲームズで気になっているのはコミュニティ機能です。

森下氏: コミュニティ機能は、カスタマイズして楽しめるというところを重視しています。ブログやSNS的な機能も備えつつ、ユーザーが遊んだ記録を残すことができる。他にもいろいろな機能を用意しています。

編: ガンホーさんはコミュニティを重視するというのは昨年から言われていることで、ガンホーゲームズのサービスによってようやく実現されるわけですが、他のコミュニティサービス、特にXbox 360やPS3などプラットフォームレベルでのコミュニティサービスとの競合についてはどのような対応を考えていますか?

森下氏: Xbox 360は競合するプラットフォームだとは思ってなくて、我々は1つのプラットフォームとして対応していければと考えています。我々が模索しているのは、ゲームコミュニティの枠を越えた部分での非ゲームコミュニティのサポートです。他コミュニティサービスとの競合部分をどうするかについては、まだ答えは見いだせていません。おそらくその答えを出してるところは無いと思いますね。なぜならまだそれだけの数のコミュニティを擁しているメーカーはないですから。

編: しかし、ユーザーとしては、実際問題、どちらのコミュニティに属せばいいか選択を迫られるわけです。つまり、メーカーがどう捉えているかはこの場合、問題ではないと思いますが?

森下氏: 我々は基本的にはテーマパークという言い方をしています。このテーマパークの中では、ゲームも遊べる、映像も見られる、音楽も聴ける。Eコマースで商品も買える。そしてコミュニティもある。いわゆるテーマパーク的なもののなかで、いろんな遊び方を提供できるような仕組みを用意していこうと。ゲーム単体だったら、ゲームに飽きられてしまう時もありますが、こんなものもありますよという提案ができるような形にしていきたいです。

編: ユーザー同士のコミュニケーション手段はどうなるんでしょう?

森下氏: テキストチャットになります。リアルタイムチャットもありますが、いずれもWebブラウザべースですね。

編: 掲示板みたいなものもあるのでしょうか。

森下氏: あります。カテゴリ分けされたサークル的なものもあります。

編: 掲示板を管理運営するモデレータ的な存在はいるんでしょうか。

森下氏: 今のところは考えていないですね。基本的には総合掲示板的なものにするつもりはなくて、ユーザー同士が仲間内でコミュニティサークルを組んだりとか、いろんな趣味ごとにコミュニティの場を提供したいと考えています。たとえば、カジュアルゲームのイベント専用サークルとかあってもいいわけです。

編: モデレータはあくまで運営側ではなく、ユーザー側に任せると?

森下氏: そういうことになります。内部で別にモデレータという形を考えていくつもりは無いです。そうなると荒れる心配がありますが、そこで初めて管理の問題が出てくると思います。昔でいくとニフティサーブのシスオペみたいな形になるかもしれませんけど、現時点ではユーザーの皆さんの自治にお任せしたいです。

編: というと、どういうことでしょう?

森下氏: あくまでスタッフはコミュニティトラブルの管理だけ行なうという考え方です。トラブル対応を中心におさめたいと考えています。

編: なるほど。モデレータを置かず、荒れたら削除する。そのレベルのベーシックな運営方針で200万規模のコミュニティの運営ができるのでしょうか?

森下氏: 荒れるか荒れないかというのはそれは人間だからわからないですよね。コミュニティが荒れない仕組みというところでいうと、システム的に禁止用語を設定するなどは行ないますが、それ以外の部分はユーザーの常識的行動を期待しています。

編: 最後にユーザーに一言お願いします。

森下氏: RJCの話に戻りますが、「RO」4年目ということで本当に人が集まってくれるかどうか不安でした。しかしながら予想を大きく超えてこれだけ人が多く集まってもらって本当にありがたいと思っています。今後は「RO」をもっと日本の中でメジャーなタイトルになれるように、いろんな角度からコンテンツとして広がりを見せていき、総合的に盛り上げて行きたいと思っています。今後とも一緒に盛り上げていってもらえればと思います。

編: RJCは今後も続くと期待していいのでしょうか?

森下氏: 続けて行きます。今回の反省点など踏まてしっかり考えてやっていきたいなと思っています。どうぞ次回のRJCにもご期待ください。

編: ありがとうございました。

□ガンホー・オンライン・エンターテイメントのホームページ
http://www.gungho.jp/
□「ラグナロクオンライン」のページ
http://www.ragnarokonline.jp/
□「RJC2006」のページ
http://www.ragnarokonline.jp/news/event/rjc2006/
□関連情報
【5月22日】ガンホー、「RAGNAROK ONLINE Japan Championship 2006」を開催
「ラグくじ」発売で大行列、次期アップデートは7月実装
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060522/rjc2006.htm
【5月22日】「RAGNAROK ONLINE Japan Championship 2006」レポート
昨年優勝のCafeteriaが2連覇を達成!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060522/rjc_02.htm

(2006年5月25日)

[Reported by 中村聖司]


Q&A、ゲームの攻略などに関する質問はお受けしておりません
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします

ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.