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開催場所:スペイン、バルセロナ
これまでにも発表会、ピーター・モリニュー氏の「Fable2」、年末の目玉シューティングソフト (日本での発売時期は未定)「Gears of War」についてお伝えしてきた。最後の記事として、「GTA」の作者として知られるデビッド・ジョーンズ氏の新作「ライオットアクト」、カーレースシミュレータ「フォルツァ モータースポーツ 2」の2作品の開発者プレビューをお伝えする。 その前に、28日のオープニングに行なわれた、ピーター・ジャクソン氏とピーター・モリニュー氏、Microsoftの担当者によるゲーム作りに関するトークセッションが行なわれたので、そのカンファレンスについてお伝えする。 ピーター・ジャクソン氏がMicrosoftと共同でゲームの制作に乗り出すことはすでにお伝えしたとおりだが、今回のカンファレンスでは主にピーター・モリニュー氏が「映画制作の経験がどのようにゲーム制作に活かされるのか」といった点を質問するといった形式で行なわれた。 ピーター・ジャクソン氏は映画監督だが、ゲームを手がける動機として今回ショッキングな発言を残している。ジャクソン氏は「映画の制作プロセスにおいて色々なアイディアがあるが、自分にとって興味があるのは、映画を作る上で100年前と同じ手法でいいのだろうかという点。そういった点で最近では自分にとって映画がつまらなくなってきた。これまでは映画の公開初日に観に行っていたし情報も収集してきた。しかし、最近になってゲームのほうが楽しみになってきた。自分の心の中で、エンタテインメントの興味において、映画からゲームへとシフトしてきた」と発言。インタラクティブメディアへの興味が大きくなってきたことを明らかにした。 ピーター・ジャクソン氏はこれまでにヒットタイトルをいくつも手がけてきたことから、ストーリーを生み出すという点においては圧倒的な自信を持っている。ストーリーを生み出す手順についてピーター・ジャクソン氏は「ストーリーをどう作るかと言えば、ディレクターとしてストーリーを紙と鉛筆で作り上げていく。ストーリーの概略を作成し、6つから7つのストーリーラインを作成。そこからキャラクタを作り出し、ストーリーラインをブレンドして考えていく。スタジオ (大手映画制作会社) に話を持って行く前にこれらの作業を行なう。最終的には50から100のキャラクタを制作し、ビジュアルに落とし込んでいく。僕たちはニュージーランドに恵まれたチームがいるから、ここで作り上げていく。ゲームでもこれらの制作手順は変わらない」と自身の経験則を語り、ゲームの制作でも同様の制作手順で行なうつもりでいるようだ。 ここでピーター・モリニュー氏が「作り出したキャラクタや演出的な仕掛けは全て使用するのか?」と聞いたところ、「ストーリーのリアリティを持たせるという点で使用するかどうかを決める」と答えた。このリアリティを出すと言うことについてスタッフとは常に議論が行なわれるのだという。そういった中では、体験して初めて必要な点がハッキリする場合もある。基本的には映画制作者側には監督のことを信用してもらい監督側の意向を尊重するようにするが、制作にGOを出すかどうかは、ピーター・ジャクソン氏によれば予算によるのだという。予算がかかれば「当然議論となる」としている。 ピーター・モリニュー氏は演出を学びたいとして、「ユーザーにゲームにのめり込んでもらうべく、カメラや照明を学びたい」と発言したところピーター・ジャクソン氏は「完璧なものは無理です。ストーリーテリングの巨匠で映像的にも様々なアイディアを盛り込んできたヒッチコックにしてもそうだった。様々なアイディアで演出の仕掛けを作っていくが、ゲームだからここはできないといったことはない。ディレクターは想像力に任せて (どんどん) やっていくべきだ」と語った。 映画に比べてゲームは通常のプレイ時間で考えると長時間となる。この点について質問が飛ぶと、「テレビシリーズと映画では違ってくる」と前置きし「分厚い本の内容というものをサマライズし、映画で受ける感情の本質を同じにしてその部分を伝えるようにする。受ける印象を受け継がなければならない」としている。 ピーター・モリニュー氏はこの質問の後、ゲームの特殊性をピーター・ジャクソン氏に説明した。それは「ゲームが最後までプレイされるのか」という点だ。誰もがエンディングまでたどりついてないゲームがあるはずだ。ピーター・モリニュー氏は「ゲームは映画と違い、最後までどれくらいプレイすればたどりつけるか判らない。最近ではむかしに比べてエンディングにたどり着いてくれるようになった。個人的には最後までプレイして欲しいと思って作っている」と自身の考えを述べた。 最後にピーター・ジャクソン氏は「私はゲーム制作のスキルはないが、映画の制作スキルをうまく利用してゲームの制作を行ないたいと思う。映画ではストーリーを表現してきた。Xbox 360ではインタラクティブな機能が加わることが気に入っている。そこで色々なアイディアを出してやっていかなければならないと思っている」とコメントして締めくくった。
映画制作者がゲーム制作を行なうことはあっても、ここまで本質的にゲームの制作に乗り出すということはなかなか無いことだ。それも世界的な巨匠と言うことであれば、注目度も高い。カンファレンスが終わっても3名は会場担当者から中断されるまで、真剣な面持ちで話し込んでいた。ピーター・ジャクソン氏が手がけるゲームの全貌が明らかになるのが非常に楽しみだ。 ■ 「ライオットアクト (原題:Crackdown)」 「ライオットアクト (原題:Crackdown)」は、GTAを作り上げたデビッド・ジョーンズ氏がおこしたスコットランドの制作スタジオ「Real Time Worlds」にて制作が進められている。基本的なゲームデザインについては昨年の「Real Time Worlds」の取材でお伝えしたとおりだが、今回のイベントでは2人協力プレイなどについて語られた。 「ライオットアクト」は巨大なシティを丸ごと作り上げ、そのなかはシームレスに移動することができる。このギャングに支配された街を救うべく活躍するというのが基本ストーリーだが、自由度は高く正義の使者として振る舞うことから、逆に破壊することまで可能。全てプレーヤー次第となっている。 「X06」ではデビッド・ジョーンズ氏自らデモプレイをしてみせた。街中のトップに立ち見おろすと遙か眼下に米粒ほどの車が見て取れる。「0.5mailの高さの所もあります。ビルを登ることもでき、上まで5分ぐらいかかるような所もある」と説明。つまり、それだけの広さの所を自由にいけるということがアピールポイントと言うことである。 街中ではあちこちでギャングとピースメーカーが戦闘を繰り広げており、その知らせを受け取ったプレーヤーがエージェントカーなどに乗り込み現場に駆けつける。現場ではピースメーカーが窮地に立たされている。そこで活動を繰り広げることとなる。 プレーヤーはギャングの下っ端から倒していき徐々にスキルを上げ、情報を掴み、ギャングの上層部を倒すべくストーリーを進めていく。スキルを上げていくと、速く走ることができたりより高くジャンプしたりすることができるようになるだけでなく、エージェントカーがより高性能にパワーアップしたりする。これらのスキルアップについてデビッド・ジョーンズ氏は「RPGのシステムを取り入れたかった」と語っている。しかし欧米では日本のような数値によるRPGシステムは受け入れられないとしてグラフィカルなスタイルに変更したという。それがこの「ライオットアクト」のシステムなのだという。 以前の取材後に加えられた要素としては、60秒間で何人倒せるかといった人数が記録される「リーダーボード」というものが明らかになっている。これはLiveなどでもアップデートすることができ、ひとつのやり込み要素として用意されている。 このほかでは2人同時の協力プレイが可能となっている。共にエージェントカーに乗り込み基地から出発。現場で敵を倒していく。これら一連のデモプレイで見ていると、味方の攻撃に巻き込まれることもあった。つまり協力プレイだが、ダメージについては各人別に判定されているため、対戦プレイとすることもできるわけだ。デビッド・ジョーンズ氏によれば「プレーヤーがルールを個別に決めてプレイすればそれも自由」としている。
デビッド・ジョーンズ氏は「90%以上完成している。現在は調整を行なっている」としており、完成もまもなくといった感じだ。
【2005年10月5日】Microsoft、広大な街を丸ごと再現した自由度の高いアクションADV
■ 「フォルツァ モータースポーツ 2」 日本での発売も決定している「フォルツァ モータースポーツ 2」。300台の車のデータが全てDiskに収録されており、レースカー、チューンドカー、クラシックカー等々多数のデータが収められているのが楽しいところ。高級車も自由に操ることができる点がファンの心をくすぐる。 Microsoft Game Studiosで同作のディレクターを担当しているDAN GREENAWALT氏は「フォルツァ モータースポーツ 2」の魅力について、車のカスタマイズを挙げた。「どんな車でも……ランボルギーニのような高級車でも……カスタマイズできるという点が魅力だ。どんな車でもユーザーのアーティスティックな欲求のままにカスタマイズできる。4,000のレイヤーに重ねることができる」とDAN GREENAWALT氏は説明。グラフィックスを配置する位置はどこでも自由で、回転縮小も可能。デモでは会場となったバルセロナにあるサッカーチーム「FCバルセロナ」のロゴを使って描いてみせた。ちなみにグラフィックスを外部から取り込むことはできないという。 こうして作り上げた車は友達とやりとりすることもできるほか、新たに加わった「フォトモード」で写真を撮影することもできる。 とはいえ、同氏によれば「フォルツァ モータースポーツ 2」で最も重要なのは、シミュレーターとしての精度にあるという。1秒間60コマで描かれる世界では1秒間に360コマで物理演算をおこない、パフォーマンスダメージなどを計算しているという。壁に激突すればもちろんの事、車と接触するなどすれば外観などにリアルタイムに反映されていく。しかしそれでも完璧ではないという。サスペンションとシートの動きなどシミュレートがまだまだな部分はあるとか。DAN GREENAWALT氏は「感情をキャプチャできていない」としており、ゲームをプレイして受ける感情面をよりドライバーに近づける努力を今後も続けていきたいようだ。 Xbox Liveでは「PGR3」準拠で、観客となってレースを観戦すること等も可能となっている。収録コースは70コース。今回のデモでは筑波サーキットを使って行なわれたが、収録コースの基準については認知度の高さだという。ちなみに同氏によれば筑波サーキットは「ツインリンクもてぎより高い」という。 グラフィックスは言うに及ばず最新のもので、HDRレンダリング、ブルーム処理、ハイディテール処理が施され、陰が自車にかかる処理はもちろんの事ながら、コース中の芝まで3Dで描かれ処理されている。
シリーズものとしての2作目、そして同シリーズとしてはXbox 360初のソフトとなるため、レースシミュレーターファンとしては気になるところだろう。圧倒的なデータ量は確保されているので、後は発売日だろう。現状日本では2006年の発売ということで総統区内頃に発売されることだろう。
【9月22日】Xbox 360特別インタビュー:Chris Lee氏
「X06」では2日目にカンファレンス会場において試遊台が多数設置されていた。専用線が引かれ、対戦プレイが可能なものも多く、「Xbox Live」、「Xbox Live Arcade」などのコーナーも設置。また、Windows Vistaと関連して「Halo 2」を6人対戦で体験できたほか、「Flight Simulator X」、「Hellgate: London」なども出展されていた。 出展タイトルの中で特に人気を集めていたのが先日お伝えした「Gears of War」。とにかく試遊台に空きが出ることはなく、いつも誰かがプレイしている状態。試遊台のディスプレイも大きなものが多く、見ていて迫力が伝わるようなっていた。 このほか、ファーストパーティのタイトルでは「フォルツァ モータースポーツ 2」、「あつまれ! ピニャータ」あたりの試遊台に人気が集まっていた。それぞれまったく違うユーザー層となるタイトルであるため、そういった意味では幅広くタイトルが揃えられている印象だ。
日本メーカーのタイトルとしてはカプコンの「LOST PLANET EXTREME CONDITION」、KONAMIの「Pro Evolution Soccer 6」、テクモの「DEAD OR ALIVE Xtreme 2」、セガからは「Phantasy Star Universe」や「ソニック ライダーズ」、「Virtua Tennis 3」などが出展されていた。当然の如くスペインではサッカーの人気が凄いわけだが、「Pro Evolution Soccer 6」は人気で、対戦プレイを楽しむ人たちの姿が多数見受けられた。 (C)2006 Microsoft Corporation. All rights reserved.
□Xboxのホームページ (2006年10月2日) [Reported by 船津稔]
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