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「Real Time Worlds」は、デビッド・ジョーンズ氏の率いる制作会社。ジョーンズ氏の功績は素晴らしく、たとえばこれまでに制作したゲームタイトルとしては、役割を持ったレミングをリアルタイムに配置、アクションさせることで一定数のレミングを救うアクションパズル「レミングス」や、人気シリーズに成長した「グランド・セフト・オート」シリーズの1、2作目など世界的なヒット作が目白押しだ。 「グランド・セフト・オートIII」の制作に途中まで携わった後に独立。究極のフリーフォームのゲームを目指して「ライオットアクト」の制作をスタート。「Real Time Worlds」を設立し、85人のスタッフが集い、現在複数の制作ラインが走っているという。
今回は同社にてゲームの開発状況について直接伺うことができた。開発途中であることから、これからシステム的な変更があるかもしれないが、現状わかっていることについてお伝えする。 ■ 圧倒的パワーを身につけ広大な街を舞台にド派手なアクションを繰り広げる
たとえばジャンプすれば、高いビルの屋上にひとっ飛びで飛び乗ることも可能となる。このほかにも高速で走ることができたり、車を持ち上げることができるほどのパワーを手に入れることもできる。時速400km程度で走る車を運転できるドライビングテクも訓練次第で向上させることができる。 これらの特殊能力はプレイすることで成長するが、たとえば何度も走っていれば高速移動のパラメータが上がり、早く成長する。車に乗って移動していけばドライビングテクニックのパラメータが強化される。つまり、どういったキャラクタに育てるかはプレーヤーのプレイにかかっており、プレーヤーのアクション、ゲーム進行に合わせて進化するため、他のプレーヤーと同じようにキャラクタが進化することはないと言える。 もちろんキャラクタの成長はグラフィックスにも反映される。格闘を繰り返し力がパワーアップすれば、筋肉もりもりのキャラクタに変貌していく。ちなみに敵との戦いも、ただの格闘だけではなく武器による狙撃などなど多岐にわたる。前述の人並みはずれたジャンプ力や高速移動の力を使って敵を攻撃することもできる。たとえば速いスピードで走って敵にぶつかれば敵は吹っ飛んでしまうだろう。ジャンプ力を利用して高い位置から飛びおればその真下にいた人間は踏みつぶされてしまうだろう。戦いのアイディアはこれまで以上に多彩に用意されており、こちらもプレーヤーのアイディア次第といえる。
変わるのはプレーヤーキャラクタだけではない。たとえばビークル類(乗り物)。車を乗りこなしていき、ドライビングテクを上げていくと、車が性能的にパワーアップするだけではなくグラフィックス自体も変化していくという。性能的には最終的に400kmで走ることができるようになるほか、たとえば4WD車であれば、壁を上っていけるようになるという。あるレベルに達すると、エージェントのところでパワーアップしてくれる。 エージェントはそれぞれのDNAのバックアップを持っているという設定になっている。このことから、やられてもその能力を早急に回復させることが可能。さらに、この特殊能力が記録されたDNAはプレーヤー間でやりとりすることができる。たとえば、スピード重視で育ててきたキャラクタだったが、どうしてもパワーが必要な局面に出会ってしまったとする。その場合、他のパワー重視系のキャラクタを育成しているプレーヤーからDNAをもらうことで、パワーアップさせてその局面に挑むことができるわけだ。
では、「強力なプレーヤーからそれぞれDNAをどんどんもらい、パワーアップさせればすぐにでも最強のキャラクタが育成可能なのでは……?」と考える人もいるだろう。しかし、このDNAも万能ではない。DNAによるパワーアップは時間が非常に短く限られているだけでなく、同時にパワーアップ可能なDNAも数が限られているようだ。あくまでも一時的なお助けアイテムと考えた方が良さそうだが、友人が「ライオットアクト」をプレイしており、それぞれ違ったタイプのキャラクタを育てているのであれば、それだけチャンスが広がると言えるだろう。
■ 街に巣くうシンジケートは巨大な組織
この街に巣くうシンジケートは“La Muerta”、“VOLK”、“THE CAI-SHEN CORPORATION”の3つ。グループはそれぞれ特徴を持っている。“VOLK”はロシア語でオオカミを意味する。Lowレベルを仕切っており油田のようなところを根城にし、銃火器など武器類を取り仕切っている。“La Muerta”はスペイン語で“死”を意味し、性能のよい車などを持つ。“THE CAI-SHEN CORPORATION”は中国の死神を意味し、より高度な作戦を立てる頭脳派のシンジケートで、高層ビル群(アッパーレベル)を支配する。 プレーヤーは各種情報を元に、シンジケートの人物リストを捜し出し、幹部連中を倒していく。各シンジケートはそれぞれヒエラルヒーが確立しており、下部組織に属するチンピラから倒していき情報を得て、7人いるキーとなる人物 (幹部) に近づいていく。それら幹部を倒していくことでさらに情報を入手し、より上位のトップ幹部に近づいていく。トップに近づくためには何百人もの下っ端を倒していかなければ近づくことはできないだろう。各トップは要塞と呼ばれるような、堅く守り固められたところで息を潜めている。正面突破か、それとも綿密な計画を遂行するのか……プレーヤーの手腕にかかっている。 こういったシンジケートの働きや人間関係はきちんとゲーム内に反映されており、たとえば武器調達に長けているシンジケートの“VOLK”を倒すと、シンジケートは武器の入手経路を絶たれたことになり、敵の武器関係が弱体化する。こういった因果関係がきちんと成り立っていることにより、作品世界を理解しやすくなると言えるだろう。 ちなみに「ブロークンウィンドウ理論 (街中の窓ガラスが割れていると、そこから風紀が乱れ治安が悪化するという理論)」というのがあるが、「ライオットアクト」でも最初は、街が汚れた状態でスタートする。プレーヤーが街の悪人を倒し、浄化していくと、街も目に見えてきれいになっていくのだという。最初はラクガキと黒いすすに覆われていた街も、ビルのタイルなどがきれいになっていく様を見ていると、プレーヤーも張り合いがあるだろう。
■ 物理エンジン“HAVOK”を採用し、リアルなゲーム展開を演出 3Dゲームでは物理演算エンジンを導入することで、よりリアルなゲームを演出する方向性に向かっている。このゲームではプレーヤーキャラクタがパワーアップすると超人的な力を発揮するなど、荒唐無稽な側面も持つが、その演出をリアルに迫力あるものに仕立て上げているのが物理エンジン“HAVOK”だ。 たとえば車を投げると、きちんと物理法則に従って弾み壊れていく。そこからタイヤがはずれてコロコロと転がっていったとする。すると今度はそのタイヤを抱え上げ、武器として敵に投げつけることもできる。車を抱えてジャンプし、投げつけるといった荒技も可能。
銃を使った攻撃にしても、ターゲットシステムにより細かく狙うことができるようになっている。車ならばタイヤを狙えばバーストし運転の自由がききにくくなるだろうし、給油口を狙えば爆発させることもできる。 次世代家庭用ゲーム機を見据えて制作されているだけあって、そこに導入されている技術は「HAVOK」だけではない。たとえばビルのテクスチャなどはいくつにも分割され、それぞれを自動生成で作成し、細かく調整している。こういった手法を用いることで、同じビルが全くないという。 グラフィックス的なことを言えば、セルフシャドウ技術はもちろん、Radiosity Lighting Simulation、Shadow Mappingなどでリアリティを増す工夫がされている。ゲーム内には時間の経過により朝から昼、夜へとその街の装いが変化する。夜になれば光源数は100を超え、それらの光量や光源位置などがリアルタイムに計算され、ダイレクトに反映される。 音声などについても開発が進んでいる。それぞれシンジケートが支配するエリアというものがあるわけだが、音楽もその場ごとで変化させていくという。スパニッシュ系、ロシア系、チャイニーズ系の楽曲を用意し、その土地に降り立ち、かかっている音楽を聴くだけで、その土地がどのシンジケートの支配下にあるか、プレーヤーが直感することができるというわけだ。
このほかにも車の中で音楽をかけている車があったとすると、ドアを開けると急に音量が上がるといった、現実に則した状況となる。エンジン音は本物の乗用車、30車種から録音し採用。また、車が通りすぎるとき耳を澄まして聞いていると、車がプレーヤーの前に通りかかるまではエンジン音が響き、通り過ぎると今度は排気ガス音が聞こえるなど細かいこだわりが施されている。制作担当者によれば、「そこにいるかのような音響効果を目指した」という。 ネットワークについてはいくつかのモードが用意されているようだが、現在公開されているのはひとつだけ。それは友人との協力プレイである。友人と協力し合ってボスを倒すといったことが可能だという。たとえば片方のプレーヤーがボスを倒すと、街中の看板などにそのことが知らされるといったことがシステムとして用意されているようだ。
ネットワークを使用しているという点では、Microsoft Game Studio (制作:Bizarre Creations) の「PGR 3 -プロジェクト ゴッサム レーシング 3-」でレースで好タイムを記録すると、そのタイムが全世界のプレーヤーにネットワークを通じて配信されるといったシステムが搭載される予定だが、「ライオットアクト」においてもゲーム内のカーレースといったミニゲームで好記録を記録すれば、タイムを全世界のプレーヤーに配信するといったことを考えているようだ。
現地では「ライオットアクト」の説明を受けた後、デビッド・ジョーンズ氏へのミニ共同インタビューが行なわれたので、近々別稿でお届けする予定だ。これまで数多くのゲームを開発してきたジョーンズ氏による興味深い発言もあるので、楽しみにして欲しい。
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□Xboxのホームページ (2005年10月5日) [Reported by 船津稔]
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