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会場:コーエー本社
今回は、「真・三國無双BB」テクニカルテストをテーマに、日頃、FPSを中心にPCオンラインゲームをプレイしているコアゲーマーの立場から、コーエー「無双」シリーズに通じるオンラインアクションゲームとしての部分と、MMORPGとしての部分の両面から本作の姿に迫ってみたい。
■ 豊富な武将エディット機能で、ユニークなキャラクタを作成可能 体験会では、コーエー側が用意したアカウントを利用してログインした。初めてプレイするユーザーは、まずキャラクタの作成を行なう。キャラクタのバリエーションは驚くほど豊富だ。性別、体型、武器、顔、顔の特徴、髪型、髪の色、肌の色、瞳の色、声のタイプを選択することができる。このうち、ゲームのプレイに直接影響するのは武器の項目のみで、ビジュアルやボイスはどれを選んでもゲームプレイに影響は与えない。 中でも特徴的なのが「声のタイプ」である。武闘派、知性派といった大分類の下に博学、撫子、控えめ、利発、おっとり、ぶりっこといったおよそ20種類の中から好きなものを選ぶことができる。顔のタイプには依存していないため、お姉さん系だがやけに可愛い声、あるいはその逆など、微妙なギャップが楽しい。この声は拠点に攻め込む際や、敵将を討ち取った際に聞くことができる。 武器の種類は6種類。2本の戟を持って戦う頑双戟、2本の短剣で戦う飛双剣、楽器のマラカスのような芙蓉錘、長槍の鋼直槍、扇を2枚持って戦う紫禁扇、長剣の斬鉄剣の6種類だ。武器の特徴は、攻撃レンジや攻撃モーションのほか、攻撃力、防御力の設定、それから、後述する仙丹による成長システムの傾向が異なる。 それぞれ同じようなバランスに設定したとのことだが、テストプレイでは攻撃力が上がりやすく、攻撃レンジが広い長槍を選択したユーザーが多かったようだ。2週間というテクニカルテスト期間にも武器のトレンドの変化があったようで、後半は芙蓉錘を選択するユーザーが増えたとのことだ。 テクニカルテストでは、シナリオと勢力、所属武将を選択してキャラクタを作成すると、自宅のプライベートスペースからゲームがスタートした。テストプレイでは反薫卓連合のシナリオのみが提供され、背景やストーリー的な武将との絡みなどの演出はほとんど無い。
その後は街の外れにいる門番に話しかけると出撃専用ロビーに移される。出撃地域に無所属の地域を選択するとPvE、勢力所属の地域ならばPvPの戦闘を楽しむことができる。PvPでは各勢力4人まで、最大8人で戦うことができる。戦闘の勝負はマップ内にある拠点の取り合いで決まり、拠点を全部落とすか、20分の制限時間内に決着がつかなければ撃破数などの判定で勝敗が決まる。戦闘終了後は、戦利品を得たり、鍛冶屋で武器を強化し、キャラクタを成長させていくことになる。
■ 「無双」シリーズとは似て非なる斬新なゲームデザイン
戦場で至る所に出現する敵の一般兵をなぎ倒していくと数人に1個の割合でひょうたんを落とす。これが「仙丹」で、キャラクタのステータスをアップグレードさせる際に必要となるアイテムだ。戦場ではどう影響されるかといえば、戦いがスタートする際のプレーヤーの能力はほぼ一緒。一方所持している武器によって、固有の強化順序を持っている。例えば「1:移動力最大」、「2:攻撃力2倍」、「3:防御力2倍」、「4:副将強化」、「5:防御力強化」、「7:攻撃強化」、「8:連撃強化」、といった形で7個の強化や効果項目があり、その順番と同数の仙丹を消費することによって効果を得ることができる。 仙丹を拾うたびに画面下の項目がリボルバーのようにクルクルと順に入れ替わる。好きな項目が表示されている状態でR1ボタンを押すことにより、効果を発揮させることができる。ステータス強化系はそのまま自身の攻撃力や体力上限を上げたり、コンボ数の上限を拡大したりする形で効果を発揮する。一方、移動力最大や攻撃2倍といった効果が著しいものは、制限時間が設定されており、ランダムで数秒~数十秒間効果を発揮する。
武器の強さによって、同一ステータスをアップグレードできる回数(スロット)が増えたり、鍛冶屋で精錬を行なうことによって、一回のアップグレードによるステータスアップ量が強化される。また、強い武器ほどステータスアップ系が順序の前のほうに来て、少ない仙丹でアップグレードが可能だ。この辺りが本作のMMORPG的な成長要素といえる。 戦闘画面の右側には現在戦場にいる敵プレーヤーと味方プレーヤーが表示され、各勢力のプレーヤーたちの状態が一覧できるようになっている。仙丹による強化の回数もわかるので、気をつけなければならない敵というのも自ずとわかる。右上には小マップが表示される。マップに位置情報が表示されるのは味方だけだが、拠点の陥落状況は色分けされているのでどこを攻めるべきかは、この小マップを見て決めていく。 ここで重要になるのがいかに素早く強化していくかになる。プレーヤーは一度倒されてしまうと、自軍拠点からの再出撃となり、今までアップグレードしたステータスはすべて0に戻されてしまう。随時ハイライト表示される、誰が、どこの拠点を攻め取った、どの味方武将が討ち取られたといった情報を頼りに、敵将の位置とアップグレードされた強さを考えながら的確に行動しなければならない。 今回のテクニカルテストに限って言えば、敵プレーヤーを効率よく拠点に追い詰めていけば、最後に残った相手の1拠点で敵を倒すことで、確実に相手を追い詰めることができる。NPCの武将や、プレーヤーを撃破すると一度にいくつも仙丹を落とすので、一回撃破されると進化の度合いで大きく差が付く。倒された側は敵から遠ざかって雑魚兵を倒しにかかるか、成長した味方に合流するといった行動を取らない限りリカバーが難しい。 仙丹よりは頻度は少ないが、回復アイテムの肉まんも敵兵が落とすので、HPを満タンにキープするのはそれほど難しくない。一般兵を「ひょうたん袋」、「肉まん袋」と見て、積極的に倒すのがお勧めだ。 つまりゲームの本質としては敵より早い進化を考えながら雑魚兵をなぎ倒していき、ステータス完成後、敵プレーヤーと対峙する際は瞬間最大の攻撃力や防御力を高めていく。そして、一度敵を倒したら、再起する前に追い討ちをかけ、倒された方はその瞬間から直ちに再進化への最短距離を探すというRTSやFPSのトップレベルの戦いのようなシビアなゲームシステムが根底に流れている。 うまいプレーヤーほどこうしたシステムを良く理解して、効率よくプレイしていた。具体的には、プレーヤーとの接近時に仙丹を1つ拾っては発動、2つ拾って発動といった形で、効果が前のほうにある時間制の攻撃力2倍や防御力2倍といった効果をどんどん発動させる。さらに、ピンチになると移動力最大を発動したりしながら、雑魚兵の群れに逃げ込んでいくなど、なかなか考えた立ち回りだと思わせる場面も見られた。 そうした点で、「無双」シリーズだけを遊んできたユーザーよりは、RTSでは「Age of Empires」シリーズ、FPSでは「Quake」シリーズの1on1のような、オンラインでのストラテジックな戦いを好むユーザーにも親和性の高いゲームデザインだ。遊ばれ方としては、「無双」の世界観で、成長要素があり、緻密な戦略性といった部分で、日本的にアレンジされたRTS+FPSタイトルというイメージを持った。
■ PINGやプレーヤー同士の同期はかなりシビアな印象。今後に期待
一方攻撃レンジの広さでは群を抜く槍だが、気持ちよく雑魚兵は狩れてもやはり最終的にはプレーヤーとの1on1になるので、このあたりのバランスをプレーヤーがどうとっていくかが肝心だ。味方同士の連携がまだプレーヤーの中でできる人が少なく、現在の状況だと出会い頭の戦闘というケースが多いため、攻撃間隔が短くて、スタン攻撃を備えている芙蓉錘が後半は人気が出たようだ。 プレイ中、他のプレーヤーが画面内にいると、本来は走っているはずのプレーヤーが滑って見えることがたびたびあった。ネットワークを介する故のこうした現象は他のタイトルでも間々あることだ。MMORPGではあまり問題にはならないが、あくまでここはアクション部分。こうした部分はぜひ改善してほしいところ。 また、敵の無双乱舞に合わせて、こちらも無双乱舞で応戦しようとしても間に合わなかったり、仙丹での攻撃2倍効果とコンボのタイミングが微妙に合わなかったりと、少ないプレイ時間でも気になった事はたびたびあった。FPSのPingの感覚でいうと、70~80台くらいでプレイしている感覚に近いだろうか。どこがPingに悪影響を及ぼしているのは定かではないが、もっといい数字が出せるはずである。今後の開発に期待したいところだ 本作の特徴のもう1点に、MMORPG的な意味での成長システムが挙げられる。戦場で仙丹によりアップグレードされたステータスは、戦闘が終了すればすべて元通りになる。戦場から戻ると戦利品として、「武器」、「服」、「貴石」の3種類のアイテムを取得できる。プレーヤーは貴石を使って手持ちの武器を強化することによって、戦場での能力向上を有利にしていく。 街にある鍛冶屋で、貴石とお金を使って持っている武器を強化する。ここでの強化は、戦場での能力アップグレードの上昇値に反映される。戦場で貴石をいくら獲得してもお金がないと強化できない。サービス開始後は自勢力の支配地域の大小が、所属武将に支払われる「給金」の多寡に影響する。「真・三國無双BB」におけるお金は武器強化のために主に使われる予定とのこと。そのため、プレーヤーは自身の成長のためにも自勢力の拡大に努めなくてはならない。 アイテムという考え方では、テストプレイではどのアイテムもトレードすることはできない仕様になっている。RMTの温床となるようなシステムは極力避ける方針とのことで、プレイの面白さとバランスを取りながら、トレード可能なアイテムを決めていくとのことだ。 キャラクタの衣装にはそれぞれ固定した防御力が付与されている。しかしながら、成長はしない上に、設定防御力も1桁(武器のアップグレードでは1回で10以上)でゲームバランスにはほとんど影響を及ぼさない。どちらかといえばアバター的な要素が強い。美しい街の光景と合わせて衣装の素敵な組み合わせを探したい。 それから、テストプレイとはいえ最低限盛り込んで欲しかったのが敵勢力とのやりとりだ。戦闘を振り返りながらプレーヤー同士で談笑したり、世間話ができたりというのはオンラインゲームならではの醍醐味である。作戦などが伝わっては面白くないかもしれないが、ゲーム側でそうした仕組みを用意しなければ、かえってボイスチャットや、メッセンジャーのような他のコミュニケーションツールに逃げてしまう。クローズドコミュニティ内に提供されるコンテンツだけに、ゲーム内で他勢力とも中立的にコミュニケーションを取れる環境が欲しいと思った。また、隣接する敵勢力の反対側の勢力とも駆け引きして集中攻撃するといった戦略的な面白さを味わうことができるかもしれない。 キャラ作成からロビー移動、1回20分間の戦闘、武器の強化といった一連のゲームプレイで感じたことは、やりこんだ結果ばかりが戦闘の決め手になるわけでもなく、かといってプレーヤースキルだけでも追いつかない部分もあるという絶妙なゲームバランスだ。戦闘では拠点が少なくなった際の再出撃の仕方や、強さや経験に応じたマッチング機能といった要素が重要になってくるので、オープンβテスト時にはそうした部分の作りこみにも期待したい。また、テストプレイでは体験できなかった勢力武将の登場や領土争いといったMMO的なストーリー部分の作りこみも楽しみにしている。
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□コーエーのホームページ (2006年6月20日) [Reported by 三浦尋一]
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