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会場:コーエー本社会議室
テクニカルテスト開始直後は、第1次クローズドβテストらしい接続周りのプリミティブなトラブルに悩まされていたようだが、初週の週末には安定的な運営に移行。我々取材班がコーエー本社でテクニカルテストに触れた6月8日には、非常に安定したゲームプレイを実現していた。 今回は体験取材に同席していただいた「真・三國無双BB」プロデューサーの松原健二氏とディレクターの藤重和博氏に、テクニカルテストの感想と同作の今後の展開について話を伺ってみた。同作についてはE3でも一度取りあげているので、ベーシックな質問については繰り返していない。E3レポートも合わせて参照いただければ幸いである。 例によってロングインタビューになっているため前後編に分けている。前編はテクニカルテストの感想、改善点、今後の開発構想、展開スケジュールなど大枠の話を伺っている。後編では、オンラインゲームユーザーとして気になる未実装、不明瞭な部分、たとえば、コミュニティー機能やアイテムトレード機能、RMT対策、全国制覇システム、サーバー別シナリオシステムなど、ディテールの部分を突っ込んで聞いてみた。
■ テクニカルテストの感想、ユーザーからの意見について
松原氏: 今回のテクニカルテストで、確認したいところは十分チェックできたかなと思っています。一番気にしていたのはラグの部分と、それがプレイに与える影響の部分だったのですが、今のところはラグで酷くてプレイできないという報告は無いので、予想以上に順調です。思ったよりトラブってしまったのはロビー機能ですね。うまく繋がらないとか、落ちるとか、そこは純粋に我々のシステム側の問題でした。戦闘に関しては十分良好な結果を出せましたが、ロビーのところでは不十分なところがありましたね。 編: ロビーというのは街のことを指しているんですか? 松原氏: そうです。市場に入れないとか。戦利品取ったのに取ってないことになってるとか。色々と調べたら、きっかけは誰かひとり回線落ちが発生してるんですけど、そうなると全員に波及することになってしまって、そういう状況での動作検証が不十分でした。 編: 以前、技術的なチャレンジのひとつとして掲げていた、レイテンシーの部分ですが、見込通りだったんでしょうか。 松原氏: ほぼいいんじゃないんでしょうか。ラグに対してのクレームをおっしゃる方は確かにいらっしゃいましたが、全体としてはまずまずのところで、安定してプレイできる状態を提供できたのではないかと思います。 編: たとえば、FPSだと、あらかじめある程度のラグの発生を見越して、表示に余裕を持たせてますよね。そういったノウハウは何か導入されてるんでしょうか? 松原氏: バッファーを取り入れています。しかし、当たり判定は60分の1フレームできっちりやっているので、ゲーム性そのものはシビアだと思います。その辺のはこれからもっともっとチューニングですね。 編: 現時点だと、他のPCキャラクタが滑っているように見えますが、こういう不自然な表現、表示は改善されると考えていいのでしょうか? 藤重氏: それは改善します。その辺はすでに見込みが立っています。 編: 今回のテクニカルテストで実装された内容というのは、正式版の何割くらいと考えてよいのでしょう? 藤重氏: コマンドの実装率だけでいったら4割くらいでしょうか。 松原氏: ロビーのところではまだまだですね。バトルの部分はまずまず。バトルはゲームバランスをチューニングしていなければなりません。 藤重氏: ロビーはコマンドが数個しかありませんからね(笑)。バトルについてはNPCのアルゴリズムがほとんど動いていない段階ですから、その部分は大きく引かなければいけないと思います。 編: 確かに現在の街はまさにロビーという感じですが、将来的に街はどういった風景になるのでしょう? 藤重氏: 今日(編注:6月8日のテクニカルテスト)は9月くらいの設定にしてるんですが、今回は運営期間が短いので1日置きに季節をずらしています。街の風景も季節ごとにオブジェクトを変えたり、見た目も変えたりしています。正式サービス時には、一年通しての生活観のようなものを出して行きたいと思っています。あとは、NPC用の音声を収録したり、雰囲気づくりの部分を強化する準備を進めています。ここは「真・三國無双BB」の世界だなってところはしっかり作って行きたいと思っています。 編: 正式サービス時には、NPCに話しかけるとフルボイスでリアクションが返ってくるということですか? 藤重氏: 全部が全部ではないですけれども、最初のきっかけの挨拶くらいは話してくれるとようにしたいなと。 編: NPCとの交流によって何が起こるのでしょう? 藤重氏: 単純にクエストを提供してくれたり、後は普通にRPGであるようなどの武将が何もっているというようなヒント的な情報を提供してくれたりとか、あるいは下世話な話題であったりとか、いろいろ用意しますよ。 編: クエストというのは以前から構想として挙げられていますが、このゲームにおけるクエストの遂行過程が見えてきません。どのような展開を想定されているんでしょうか? 藤重氏: 最終的には戦場での戦闘になるのですが、その中にある程度シナリオ的といいますか、クエストを受けたキャラクタだけが遭遇できるようなスタンドアロン的な遊び方ができるようにしていきたいなと。たとえば誰を倒しましょうとか、どこを通りましょうとかそういったミッションを小さく用意して、それを戦場で達成しておくと、街でご褒美がもらえると。 編: 何人かで同じクエストをこなしていると、キーオブジェクトの争奪戦になったり? 藤重氏: いえ、そうならないように、そこは独立させて考えようかと。1人でやるクエストと2人でやるクエスト、4人でやるクエストといったものを考えているんですけど、対戦というよりは協力して何か成果を得るようなものにしていきたいと思っています。 編: テクニカルテストが始まって1週間が経過しましたが、ユーザーさんからどのような意見がありましたか? 藤重氏: 最初の日に一番多かったのは「入れない」ということでしょうか(笑)。ほんと多くて。申し訳なかったです。 松原氏: 正直、がっかりしましたね。水曜と木曜は大変でした。木曜に一端止めて、それでやっと原因がわかって、金曜午前からようやくいけるという段階までいくことができました。クライアントのほうにバグがありまして、PvPの際に落ちるということがあったのですが、これは週明けのパッチで対策しました。 後は、回線によるもの、我々がバランス不足だとかチューニング不足だと思っていることに関してまだまだ不足してるな厳しい意見もあれば、まぁテクニカルテストだからこういうものかという暖かい見方とまぜこぜですね。 藤重氏: 倒された後ハマってしまうというご意見をいただいていたので、今日のパッチでとりあえず復活時点での無双ゲージをMAXにしました。それなら、一瞬は緊急回避はできるでしょうと。 松原氏: テクニカルテストとはいえ、入れたい要素はもっと色々あったんです。 開発側としては残念なことですが、あれもこれもやりたいという状況でテスト日程が来てしまったので、たとえば、BBIDは毎回入力しなければいけませんし、パスワードも変えられません。わかってたんですけど手が回らなかったことが多いです。 編: ポジティブな意見ではどういった意見がありましたか? 藤重氏: 遊んでいる方だと、かなり長時間遊んでいるので、ここはこういうバランスにしたほうがいいんじゃないかとか、この武器は強すぎるからこういう風にして、逆にこの武器は弱いから、こういう特性のこういうところを上げたほうがいいとか。そういう意見が何件もありましたね。 松原氏: 戦闘システムに関してのご意見が多かったです。今も面白いという評価の上で、「もっとこう変えてくれ」というようなものが多かったですね。たとえば「スロットが7つでいいのか」とか。 藤重氏: パワーアップのところでもありましたね。これまでの「無双」とは違う爽快感が味わえるとか。そういう好意的に捉えてくれるユーザーさんもいました。 編: 想定外の意見というのはありましたかね。 藤重氏: それほどはなかったですね。強いていえば各種バグですけど、そもそもバグなんてあっちゃいけないものですからね。私たちのほうでこれはわかりにくいなというシステムに関しては、お客さんも素直にわからなかったという反応でしたし。
■ 「三國志」的な世界観はこれからどしどし拡充
藤重氏: そこはもちろんちゃんと考えています。これが「真・三國無双BB」の世界ですということを教えられる形にします。やはり、とっかかりの部分は重要だと思いますので、色々と仕掛けは考えています。ゲームの遊び方も今とは変わると思います。 編: 現在だとキャラクタを作ったあとに、無双武将の左慈が語りかけてきますよね。ああいったテキストベースの雰囲気作りですか? 藤重氏: それだけじゃなくて、気がつくと自然にそっちにいっているみたいな形にできたら理想かなと思っていますね。指示に従って行動していたら、自然と「真・三國無双BB」の世界に入っているというような形にしたいですね。 編: 「信長の野望Online」では、勢力ごとに階級があって、いわば三角形型のコミュニティが構築されていますが、「真・三國無双BB」には勢力に所属しているという感覚がいまひとつ伝わってきません。そのあたりは今後どういう演出を考えているのでしょうか? 藤重氏: 今回は無双武将は登場させませんでした。実際には特定の街には無双武将がいて、その人の執務室があったりとか、時には武将が街を歩いているとかそういう風にしたいんですね。 編: ほうほう。劉備が平原の街を歩いていたりとか? 藤重氏: はい。あと劉備の部屋があって、そこに行くことができたりとか、そこで話すことで何か特命みたいなものをもらえるとか。たとえば、「街にいる盗賊を倒して欲しい」とか、「どこどこにいって何か手に入れてきてくれ」とか、それを遂行した結果、国の国力が上がるとか、そういった流れに持って行きたいです。 編: つまり、そういったクエストを受けることによって特殊なセッションを立ち上げられたりするわけですか? 藤重氏: そういう形になると思います。今ごらんいただいたところは本当にフリーで対戦するだけのセッションなんですが、クエスト用のセッションも用意されることになります。比率としては他勢力との戦闘とクエスト戦闘を半々くらいの割合で街の中にはちりばめたいなとおもいます。 先ほどお話しましたが、テストをやってみて驚いたのが、1人でプレイする比率がもの凄く高かったことです。4分の1くらいの人しか対戦プレイをされていない。これは、今までに無いタイプのお客さん(非オンラインゲームファン)が興味を持っていただいてるなということですから、だったら1人でやってもそれなりに遊べますというシステムを用意してあげようかと。その上で、ゲームに慣れてきたら対戦やったほうが面白いと思いますので、友達ができたたから、強い武器手に入れたから誰かと一緒に戦ってみようかなとか、そういう風に持っていけたらなと。 編: なるほど。現状だと、どうすれば他の人が作成したセッションに参加できるのか、階層があってわかりにくいですよね。たとえば、ロビーの段階で人を集めて、リーダーがセッションを立ち上げれば、まとめて同じセッションの中に入れるという風にすれば、初心者でも気軽にマルチプレイが楽しめるのかなと思いました。 藤重氏: 実はすでにその機能は入っているんですが、説明が足りなくてあまり使われてませんね。パーティーは4人まで組めるんですが、ロビーでパーティーを組んでおけば、まとめてセッションに入ることができます。3人でも、セッションを作成した後に4人目を受け付けるか否かを決めることができます。確かに現状では説明が足りないというのは、私も含め認識していますので、次のステップではちゃんと対応していきます。 松原氏: 皆さん、戦場で仙丹を拾っても、R1(強化ボタン)を押さないんですよね。仙丹は拾うんだけど、強化0っていう人が多い。今までの「無双」シリーズに慣れてる人は、拾えばパワーアップすると思ってしまうんです。新しい戦闘システムですから、一応ログインメッセージで出すようにしたんですけど、多分マニュアルを読まないで遊ばれていて、肉まんと一緒だと思っているんですよね。 「無双」シリーズは大勢の皆さんに遊んでもらっていて、プレイが定着しているので、そこから変えた部分というのは改めてきちんと説明してあげないと伝わらないなというのは今回のテクニカルテストで痛感しました。 藤重氏: いや、私がこういうことをいうのはあれですけど、私自身を振り返っても、読まないでプレイしちゃうだろうなとは思いますね(笑)
■ 今後の開発の方向性と今後の展開スケジュールにつて
松原氏: オープンβテストを夏にやろうかと。テクニカルテストはもう今回の第一次で終了です。次はオープンテストになります。 編: 次はもうオープンですか。それでは今回のテクニカルテストで、開発側で欲しいデータは全部取れたと? 藤重氏: あと1、2個試したいことがあって、今日もストレステストみたいなことをしているんですけれども、だいたい取れましたね。 編: 今回たとえばどういったテストをしていたんでしょう? 松原氏: 今回はデータも戦闘のところでロボットを使って、結構やってましたね。クライアントをロボットに見立てて、それは「信長の野望Online」でも「大航海時代」でもやっていたのですが、一種の負荷テストですね。 編: コミュニティの意見を聞くと、レベル差があると勝負にならなかったり、一回倒されると連続して倒されるみたいなシビアな感想も聞かれます。開発側が目標としているゲームバランスというのはどういったものなのでしょう? 藤重氏: 最終的には、ある程度シビアでもいいと思うんですが、最初からシビアだと思われないように見せることが重要かなとは思うんですよね。やっぱり、時間をかけてやりこんだ人がそれなりに勝てないと面白くないと思うので、継続的な努力が実を結ぶようなシステムはしっかり作りたい。ただ、入り口の見せ方として、強くなっていくと面白くて爽快なんだよというところをうまく見せていきたいですね。簡単に見せる努力をしようとする一方で、作るところはある程度シビアなバランスにしていければ面白くなるかなと。 松原氏: たとえば、一度倒されたら倒され続けというのは、復活する場所が同じだから発生しているわけですが、単純な問題なので、そこは容易に解決できます。現在では、復活時は無双乱舞をフルにした状態になるように調整しました。 最初にプレイしたときには爽快さを手っ取り早く味わってもらって、さらにうまくなればもっと強くなるのを実感させるためにも、それなりにアクションのテクニックと経験を持った人が凄いプレーヤーなんだなと思わせたいですよね。 それとある程度最初から爽快感さを味わえるバランス。普通のMMOみたいに長いレベルアップの道を辿って行かないと爽快感を味わえないというのではなくて、初心者でも無双乱舞の爽快感が最初から味わえますよと。さらに武器には空きスロットが用意してあって武器強化していくともっと面白いですよと。最初は副将と武器のところだけだけど、武器を強化することによってパーマネントな力が出てくるという部分をしっかりとチュートリアルで説明できればと思います。 編: 「真・三國無双BB」は、MMOプラスMOのゲームデザインなので、一番大事になるのは相互を繋ぐマッチングの部分だと思います。「Warcraft III」以降のRTSでは、ワンクリックで、最適な対戦相手を探してくれるオートマッチング機能が常識になっています。ああいったマッチングを促進させる機能のようなものはないのでしょうか。 藤重氏: 現状では、確かに基本的なマッチングするだけの機能しかないのですが、最終的には3種類のマッチング機能を考えています。ひとつは今ある手動でのマッチング、それからランクによる振り分けと、オートマッチングのような機能ですね。 編: 今回のテクニカルテストでは、戦闘が終わった後が、驚くほどあっさりというか余韻に浸る時間もなくセッション終了となってしまいますよね。たとえば負け戦でも、敵のユーザーに対しても「強いですねえ」とか、味方に対してもここがよくなかったねえとかコミュニケーションを取りたいのですけど。 松原氏: ブリーフィングはあるんですが、仰るとおり反省の場が無いんですよね。それは作っていきます。 藤重氏: それはもう「絶対やりたい」って開発メンバーも言っていて、今回に間に合わせるように作っていたんですけど、一週間足りなかったなあと(笑) 編: どういったものが実装されるんでしょう。 藤重氏: まだ完全に固まっていませんが、基本的には戦いの流れを振り返りながら、このときこうだったよね、あのときこうだったよねというような本当に反省会的な形でRTSであるような話が、終わった後10分でも15分でもできるような場を作りたいと。それに必要な材料というか情報をお客さんにもご提供して、語り合っていただきたいなと。ちょっとどこまでできるかわからないんですが、戦闘シーンもチャレンジングな構成にしているので、最低限これくらい用意すれば語れるよねというデータは用意したいと思います。 編: それから初心者、上級者を問わず、フィーリングにあったゲームというのは負けても勝っても凄く楽しい。今回負けたけどもっかいやらしてくれ、やっぱり3本勝負だろ、みたいな連続プレイ機能はどうなんでしょう? 藤重氏: コンティニューしたいですとか、そういった意見はユーザーからも頂いていて、負けたからもう一回やらせてくれよというのを相手に対して言えるような要素を何らかの形で考えていきたいと思いますね。 松原氏: 正直なところ、その辺の仕様は、ビジネスモデルと密接に絡んでくる部分ですので、聞きたいことはよくわかるんですが、現時点で明確な回答は出せませんね。 (以下、後編へ続く)
□コーエーのホームページ (2006年6月19日) [Reported by 中村聖司]
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