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会場:トッププレーヤー秋葉原店
各ブロックを勝ち抜いたチームが決勝戦を行なうことで、モードの勝者となる。そしてふたつのモードの勝者は「クエストモード」というルールでぶつかり合い、これに勝ったチームが優勝となり、100万円の賞金が贈呈される。この大会は東京に先がけて、8月14日に福岡で、8月21日に大阪で同様のイベントが開催され、多くの来場者を集めた。 筆者は8月7日福岡で開催された、「リネージュII バーリトゥードトーナメント 2005」を取材したのだが、その時に集まったファンに比べると、特にギャラリーの年齢層が低く、女性の姿も多かった。話を聞いてみると、ゲーム大会に出場するクランメンバーの応援に来たという。高校生の時からもう3年以上もプレイをしているという、“若い”古参のプレーヤーもいた。 試合会場では、出場メンバーが真剣な表情で打ち合わせを行なっており、その熱気に驚かされた。抽選で選ばれたプレーヤーが即席のチームを組むというのは「バーリトゥードトーナメント 2005」と同じだが、福岡のイベントではチームメンバー同士がうち解けるのに少し時間がかかっていたが、今回のイベントでは運営側から与えられた資料を手に、皆が勝つための作戦を積極的に議論していた。 「リネージュトーナメント BattleGP」は大会専用の特別キャラクタ、特別ルールで行なわれる。使用キャラクタはレベル52、プレーヤーは決められた所持金内で買い物をして戦いに挑む。こういったキャラクタ選択システムや、ゲームモードは「リネージュ」で対戦をするために作成された「Lito(リト)」というシステムを使って行なわれる。 韓国ではこのLitoシステムは一般に開放され、オンラインイベントに積極的に活用されているという。日本では2004年の1月にイベントとして公開されたのみで、多くのプレーヤーが初体験となる。NCJは今後もこういったイベントでこのシステムを使い、対戦の楽しさをアピールすると共に、ブラッシュアップして全国で対戦イベントを開催する予定とのことだ。 「リネージュ」はMMORPGの中ではかなりシンプルな作品である。プレーヤーの職業は、君主、ナイト、エルフ、ウィザード、ダークエルフの5つ。プリーストという存在がなく、ウィザードが回復と攻撃の両方を受け持つ。転職といった要素はなく、スキルや取得魔法でキャラクタは個性的な存在になっていく。君主は血盟を作るリーダーキャラクタのため、今回の大会では使用するプレーヤーはいなかった。 今回のルールで鍵を握るのは「変身スクロール」というアイテムであった。このアイテムは使用することでキャラクタがモンスターに変身できるというもので、ほとんどすべての局面で使用されていた。ほとんどの場合、プレーヤーは「アークナイト」という剣士型モンスターに姿を変えていた。このモンスターは攻撃を喰らってもヒットバックせず、なおかつ移動と攻撃のスピードが速いため、特に接近戦に有利なのだ。 ほぼすべてのキャラクタがこのモンスターに変身してひたすら剣を振り合っているように見えた。この変身の重要なところは、たとえ外見や特性がモンスターと同じになっても、各キャラクタのHPなどは変わらない。姿を変えるのは打たれ弱いウィザード達を他のメンバーと同じ外見にして敵の目をくらます、という効果もあるという。 このアークナイトの存在も大きいが、全体的に「リネージュ」というゲームは接近戦が有利なゲームに感じた。本作ではMPを回復するアイテムというものが存在しないため、攻撃魔法は強力だが連発ができない。
さらに回復役もウィザードが兼ねるというところから、防御力の高いナイトが戦いの主役で、他のキャラクタは彼らのサポート、といった戦い方が多かった。試合そのものは
シンプルな展開の印象あるが、だからこそ敵との距離や連携などプレーヤースキルがより明確な結果を生んでいた。シンプルだからこそ、各チームの個性がはっきり出て、特に各モードの決勝戦に向かって盛り上がる展開などは非常に見応えがあった。各モードの戦いの風景を紹介していこう。
■ どれだけ攻撃を集中するかが鍵となった「デスマッチモード」 「デスマッチモード」では各チーム10人、合計20人のキャラクタが非常に狭い闘技場でぶつかり合う。シンプルな、だからこそ熱い戦いであった。各チームは即席ながらチームワークはばっちりで、どのチームもリーダーを任じるプレーヤーが出て、彼を中心に綿密な作戦会議を行なっていた。
アルタイルチームのユニークなところはこれだけ綿密な事前の打ち合わせをしながら、戦う時にはほとんどリーダーの命令がないところ。各キャラクタが一見無造作に動きながら、味方プレーヤーが攻撃している目標に素早く反応し、多くのメンバーで集中攻撃を行なう。無言でそれを実行するプレーヤースキルは正直かなり驚かされた。今回の抽選で強いプレーヤーが集まったため、「今回はみんながリーダー」なのだという。実際彼らは強く、ブロックのリーグ戦で圧倒的な勝利を収めた。 彼らと決勝を戦ったのがリゲルチーム。アルタイルチームと対照的に、リーダーが積極的にゲーム内で指示を出すことで対象を確実に撃破していく。リーダーはゲームが始まる前の短い時間でも席を立って各メンバーに声をかけたり、他のチームが戦っているときには鋭く観戦し最初の攻撃対象をメンバーと話し合うなど、活発に動き回っていた。 こうしてぶつかったふたつのチーム。最初はアルタイルチームが押しに押し、リゲルチームのメンバーを倒した。ここでアルタイルチームはメンバー達がチャットをするような余裕も出てきた。しかし、リゲルチームは諦めなかった。その粘りに徐々に形勢が逆転、そこから一気に試合をひっくり返した。リゲルチームのリーダーに話を聞くと、「戦況がどう変わったかわからなかった、とにかく仲間のメンバーを守ることに必死だった」とのこと。
この戦いに限っては中盤、アルタイルチームが指示を出し、リゲルチームはリーダーからの声が出ず、2つのチームがその特徴を交換したような状況が生まれていたのが印象的だった。リゲルチームの粘り勝ち、という結果だ。
■ 参加者達が模索しながら戦法を確立していった「オナーマッチモード」 「オナーマッチモード」は相手の拠点にあるシンボルをどちらが早く破壊できるかを競う。この戦いの面白いところは、すべてのプレーヤーがこのルールで戦うことが初体験だということだろう。デスマッチルールならばプレーヤーイベントでも近い戦いを再現できるが、こちらはそうはいかない。
面白かったのは、回を重ねるごとにどんどんプレーヤー達の戦いがうまくなっていくところだ。初めてのゲームルールなだけに、プレーヤー達は事前に頭を絞っても、うまく行かない場合もあった。競技者達は前の戦いを通じてその戦法をより改良し、より洗練された戦いを展開していったのである。 この戦いでも変身スクロールが重要な意味を持った。アークナイトに変身する定番はもちろん、コカトリスに変身してその足のスピードを活用しようとしたり、巨大な悪魔の姿をしたモンスター「バルログ」となって道をふさぐといった作戦が見られた。バルログは通常のキャラクタの倍の大きさがあり、道をふさぐのにばっちりなのだ。 ウィザードの「アブソルート バリア」も非常に強力だった。この魔法はウィザードを10秒間無敵にする。10秒間の魔法で足止めされるのは、この展開の早いゲームルールでは大きな影響を及ぼす。ウィザードがこの魔法をかけて壁になると、戦士達はこれを突破できず、仲間の悲鳴に戻ろうか迷っているうちに勝敗が決した、という状況も多く見られた。 オナーマッチモードで奮戦したのがシリウスチームだ。シリウスは福岡、大阪ともに最下位で仲間の敵をとろうと頑張ったのだが、デスマッチでは結果を残せなかった。だからこそ、このルールでは絶対勝とうと闘志を燃やしていたという。バルログの戦法も彼らが生み出したものだ。
決勝戦ではこのシリウスチームとアークトゥルスチームが戦った。アークトゥルスチームは、攻撃と防御のバランスを考え、そこを突き詰めるという基本戦略を重視したチーム。なかなか白熱した戦いが展開していたのだが、シリウス側のウィザードがマシントラブルで落ちてしまい、守りの要を失ったシリウスは敗れてしまった。白熱した戦いだっただけに、トラブルで勝敗が決まってしまったのはかなり残念だった。
■ モンスターとの戦いが中心となった決勝戦、優勝はリゲルチーム 決勝戦は「クエストバトル」というルールで行なわれた。リゲルチーム、アークトゥルスチームがそれぞれのルートから最奥部のガーディアンタワーを目指し、これを早く破壊した者が勝者となる。ルートには多くのモンスターがPOPし、チームの行く手を阻む。たどり着くにはこれを倒さなくてはならない。
優勝が決まったリゲルチームは大騒ぎ。このチームは今大会に参加したチームの中で一番テンションが高いチームで、そのはしゃぎっぷりは見ていて非常に気持ちよく、会場の皆から温かい拍手をもらっていた。カメラの前でポーズを取るなどノリノリの彼らだったのだが、「優勝の感想は?」と聞かれると、一転してまじめな声で、「団結力を発揮できて良かったです」と少し緊張してコメント。会場はより大きな拍手で彼らを祝福した。 今回印象に残ったのは、アルタイルチームや、シリウスチームたちが見せた他の会場との想いだ。福岡、大阪の結果を受けて、サーバーの代表者として戦い、また会場での出会いを楽しんでいる。「サーバー戦」というユーザーのわけかたは、面白い連帯感を生むんだな、と思った。 「リネージュ」と「リネージュII」、そして地方と東京のイベントということで、条件はまったく違うのだが、比べてみると、ユニークなポイントが見えてくる。「リネージュII」の地方で開催されたイベントには、プレーヤーが地元に集まるというどこか和やかな雰囲気があり、東京で開催されたクラン員の応援とオフ会を含めた楽しげな様子があった、サーバーの代表者としての責任と緊張感を感じながらプレイをするというユーザーも多かった。さまざまな状況を持ったプレーヤーが、色々なケースで集まる。2つの大会を比較することで、ユーザーの事情が垣間見えて、興味深かった。
NCJはこの夏休みに開催されたイベントで、さまざまなデータをユーザーから得たと思う。こういった経験を活かして今後どんなイベントを開催してくれるのか、注目したい。
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□エヌ・シー・ジャパンのホームページ (2005年8月29日) [Reported by 勝田哲也]
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