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会場:サイバックグループ各店舗
■ 全国14カ所にて開催された「リネージュII」PvPイベント
主催者であるNCJはもともとネットカフェへの展開に熱心なメーカーの一社だが、今回のイベントでは、同時参加者数や物理的なスペースなど、あらゆる要素を検討したうえで、サイバックの全面協力を得て、サイバックグループ14店舗にて同時進行するという極めてチャレンジングな試みを行なっている。 これにより、実際の店舗を利用した完全オフラインイベントであるにも関わらず、最強キャラ140人でレイドに挑戦する、あるいは140人でデスマッチをやるといった前代未聞のイベントも実施されるなど、見ていてワクワクさせるようなユニークなイベントが目白押しだった。司会、進行、参加者のサポートと八面六臂の活躍だったサイバックスタッフの協力も大きかったとはいえ、ネットカフェにおけるNCJの存在感の大きさを改めて実感させられた。 メイン会場となったサイバック西通り店は、2階分ほどのスペースを、緩やかなスロープを多用して3階分ほどのスペースを確保した超大型のネットカフェで、イベント会場には、赤地の長いスロープを上がった先にある多目的イベントスペースCARAVAN SARAYが使われた。
20人が同時参加できるだけのマシンを確保するために、隣町の天神店からもマシンを持ち込み、計22台のPCを設置。PCを置く台は実はビリヤード台で、仕切り幕の端からはスロットマシーンやダーツの標的が顔を覗かせるなど急ごしらえの感は否めなかったが、サイバックのスタッフ達は皆イベント運営に手慣れた感じで、NCJが何故わざわざイベントの主会場に福岡を選んだのかわかる気がした。
■ 140人が逃げ回った「無差別PvP」など、各イベントをダイジェストで紹介
メインイベントである「バーリトゥードトーナメント 2005」は、各店舗ごとに5人1組のパーティーを編成し、14店舗でトーナメントを競うというもの。ユニークなことに、各店舗の代表選手は当日抽選で選ばれるというルールになっており、選ばれた参加者たちは土壇場の状況で作戦を練る必要に迫られた。参加者達はFPSの有力クランのように最寄りのネットカフェの常連というわけではなく、ほとんどが初対面。なかなかおもしろい試みである。 西通り店では、メイン会場ということで2チーム、天神店の会場としても使われこちらも2チーム、合わせて4チームが参加。4チームが参加したにも関わらず1回戦ですべて破れてしまったが、西通りAチームが敗者復活戦に勝利し、続けて3位決定戦にも勝ち、賞金10万円を手にした。優勝したのは、前衛中心の編成で、即席とは思えない優れたチームワークで相手を圧倒した栃木のBIG ONE cafe鹿沼店チーム。優勝賞金50万円を手にした。試合の詳しい模様については、別稿にてお伝えするつもりである。 その後も立て続けにイベントが実施された。「レイド祭り」は、全店舗が総力を結集して、次々とポップする強力なレイドボスを倒すというもので、戦力過剰の140人が参加した。参加者の名前を表示するだけで、名前のテキストで前がよく見えなくなってしまうほどうじゃうじゃいるなか、優に身の丈の数倍はある巨大なレイドボスがコロシアムを暴れ回り、みんながそれを追いかけるという、とてもレイド戦には見えないような展開になった。 レイドボスは、リリムナイトガーディアン、デスロードシャックス、ラスレッサーオルクス、バイウムなどが登場。MCが「死んでも何度でも挑戦できますので、どんどん突っ込んでください」とけしかけたため、最強クラスのレイドボスであるバイウム戦では結構な死者が出たが、それでもそれなりに戦えていたのが印象的だった。やはりAグレード装備は強いということだろうか。 「無差別PvP」は、文字通り140人が1人になるまで死闘を繰り広げるバトルロイヤルイベント。優勝賞品は30万円相当のPCということもあって、参加者は真剣で、みんなが漁夫の利を狙って、みんなが逃げ回り、硬直による隙が生まれるのを恐れて誰も戦わないという展開になり、急遽、会場を徐々に狭くするという強攻策を採った末に、まるまる50分走り回ったあげくようやく決着が付いた。この展開にはNCJ関係者も思わず苦笑いで、第1回イベントならではの失敗といえる。 意外な盛り上がりを見せたのが、「バーリトゥードトーナメント 2005」のラストを飾ったイベント「オーバーエンチャント大会」。Aグレードの両手剣「ドラゴンスレイヤー」を武器強化スクロールを用いて、どこまで強化することができるかを競うという、こちらも全員参加型の運試しゲーム。わかりやすくいえばポーカーのダブルアップで20連勝を狙いましょうというゲームだ。 武器強化システムは、「リネージュ」の人気の秘密のひとつといえるほど、ユーザーに支持されているシステムで、韓国産MMORPGのそのほとんどが同様のシステムを採用している。成功すれば既存の武器の性能を向上させられるだけでなく、武器が輝く等のメリットもある。その一方で、失敗すればすべてを失うという非常にわかりやすいシステムだ。 NCJのスタッフに聞いた限りでは、正式サーバーで実在する最高位は+5(8月7日現在)だという。ドラゴンスレイヤーは、Aグレードの中でも入手難易度が高く、現状では各サーバーに数本ずつ程度しか存在していない。ドラゴンスレイヤーを強化できるAグレード用スクロール自体も高価で、ドラゴンスレイヤーを強化するという事自体が稀な状態だという。リネIIファンにとってはまさに夢の企画である。 武器強化のプロセスそのものは、装備した武器の上にスクロールをドロップするだけで完了する。成功すると+の数が増え、剣をまとう青いオーラの輝きが増し、失敗すると武器を消失し、俗に“ゴミ”と呼ぶクリスタルが数千個単位で残る。いかにリスクなしとはいえ、青いオーラをまとう高給装備が一塊のゴミと化すのは見るに忍びないものがある。 メイン会場では4台のPCを使って、参加者が入れ替わり立ち替わりオーバーエンチャントに挑戦した。「リネージュII」では+3以降は失敗リスクが伴うが、ほとんどは+4、+5あたりで壊れ、2桁に到達することすら稀だった。結果は、店舗記録は+14、全店舗の記録で+16のドラゴンスレイヤーが誕生した。ちなみに+16になるとオーラの色が青から赤に変わるという。コアユーザー向けのシステムを、万人向けのミニゲームとしてカジュアルに楽しむ、というシンプルだが良くできたイベントだった。
「バーリトゥードトーナメント 2005」全体の感想としては、参加者の満足度の高い優秀なイベントという印象を持ったが、肝心要のバトルバランスや観戦方法などについては、まだまだ改善の余地があると思った。たとえば、今後も5対5のPvPトーナメントを継続していくつもりなら、観戦に耐え、さらに実況解説しやすくするためにバランスの取れたパーティー編成にしたり、戦術的な動きを可能にするために移動スタックの概念を取り入れるなどのシステム拡張が必要だろう。NCJによれば、今回のイベントは「テストマーケティング」を兼ねているということで、第2回開催も視野に入れているという。引き続き今後のイベント展開に期待したいところだ。
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□エヌ・シー・ジャパンのホームページ (2005年8月8日) [Reported by 中村聖司]
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