|
会場:東京芸術劇場大ホール
8月12日に東京、そして、8月20日に愛知県芸術劇場コンサートホール、さらに、今年は札幌でも9月25日、札幌コンサートホールKitara大ホールにて行なわれる。東京と札幌は東京都交響楽団、そして名古屋はセントラル愛知交響楽団による演奏で行なわれる。 交響組曲「ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君」は15分の休憩を挟んで2時間以上に及ぶ、おそらくこの「ファミリークラシックコンサート」史上最大の曲数となった。以下に演奏曲目を列挙しておくが、「交響組曲ドラゴンクエストVIII」をまさに、全曲演奏しきっている。 ■ リハーサルもみっちり! テンションも高まった演奏が味わえる
これは「『DQ』のコンサート19年の歴史の中でも、発売日初日完売は初めてのこと」だという。「それだけみなさんの期待が大きいということで、気合が入りまして、リハーサルもみっちりとやりました。今日の演奏はかなり自信を持ってオススメできます」と充実したリハーサルが行なわれていたようす。準備は1年半前ぐらいから仕込んでいたという。 「もうね、リハーサルその他相当な肉体労働でぐったりしているけど、本番が終わるまではがんばろう、と。ゲームでいえばテンションを溜めている状態。本番では50%のテンションでいこうと思っています。100%になっちゃうと、逆に飛ばしすぎちゃったりするからね。本番10分前にテンションが溜めきってなかったら、だれかに“ふしぎなタンバリン”を叩いてもらうかな」と取材陣の笑いをさそっていた。 加えて、「オーケストラのメンバーで、『DQ』を遊ぶ人も多いんですが、その「DQ」ファンのメンバーが、“『VIII』の内蔵音源が良くできている。われわれもそれがプレッシャーを感じる”と言っていました。オーケストラのほうも“これはうかうかできないぞ”とさらに気合が入っている。内蔵音源も良くできたけれども、やっぱりオーケストラもまた、違った魅力がいっぱいあると思います」と、生演奏の魅力もアピール。 「メンバーも好きな人がいてね、ドイツのオーケストラに入って演奏しているメンバーが、『DQ』の曲をどうしても演奏したいということで、今日のコンサートのためにドイツから帰ってきて、演奏が終わったらドイツに戻るという人がいたり、志願して他のオーケストラのメンバーがエキストラで来ていたりします。お客さんにいい印象を与えているのは、メンバーが楽しんで演奏していることが客席に伝わっているからだと思うんですね。それがお客さんの共感を生んでいる。演奏して楽しい、というところをお客さんにも楽しんで欲しいと思います」と意気込みを語ってくれた。 ほかにも、「『VII』までやって、もう曲は出尽くしたかな~と思っていたんですが、やっぱりがんばって曲を作ってみると、できちゃいましたね。今振り返ってみて納得のいく曲がずらっとできたと思います。『VIII』の大きな特徴は、映像が3Dに変わったところ。その映像を見て、映像から触発されて思い浮かんだ極が結構あるんですよ。たとえば、“広い世界へ”なんて、実際に絵を動かしてみて360度フィールドを見渡して、感じたものから発想できましたし、“海の記憶”も古代船が浮かび上がる瞬間にポイントを合わせて尺をそろえてうまくできたと思うし。オーケストラ演奏を聴いて、ゲームを遊んだ方はそのシーンが浮かんだり、その記憶と結びついて楽しんでいただけることもたくさんあると思います」と、「VIII」の作曲エピソードを語ってくれた。 ■ 筆舌に尽くしがたい「生演奏」の魅力! ぜひ会場に足を運んでもらいたい
このコンサートでゲームの記憶を呼び起こされる人だけでなく、ゲームをプレイしていなくとも、曲を聴きにくる観客も多いとすぎやま氏は語っていたが、たしかに、会場に実際に足を運び、その目で、耳で、身体で感じる音の素晴らしさを、ファンならずとも体験して欲しい、という思いが生まれたことは確かだ。 そして、会場に足を運ばないとわからない、というお楽しみはほかにもある。配布されたプログラムには、CDのインナージャケットにも収録されていない、すぎやま氏直々の曲目解説が掲載されていたりするし、なにより楽しみなのが、曲間のすぎやま氏の軽妙な語り口で繰り広げられるMCだ。 先ほど取材陣とのインタビューでも言っていた「テンション」の話はもちろん、次に演奏する曲目の聴きどころをピンポイントでレクチャーし、さらに、重要なパートの演者にはきちんと演奏後にリスペクトしてあげること。そして観客の間をつかんだユニークな会話。これだけでもわくわく楽しくなってくるから不思議だ。これからコンサートに訪れる人のためにネタバレは避けるが、すぎやま氏の温かい人柄が伝わる楽しい時間だ。 今回のアンコールでは、「VIII」にも使われていながらも第1部、2部で演奏していなかった「おおぞらをとぶ」、そして、「序曲」の再演が行なわれた。ファンファーレからトランペットの音色が会場に響き渡るとき、戦慄にも似た興奮を呼び起こすあのメロディでコンサートが引き締まって終わった気がする。 10月11日には、金管五重奏による「ドラゴンクエスト」コンサートが東京・第一生命ホールで行なわれる。「I」から「VIII」まで、歴代のシリーズ曲が、東京メトロポリタン・ブラスクインテットのトランペット、ホルン、トロンボーン、チューバによる、管楽器ならではのアレンジが施されているようで、これも楽しみ。チケットはすでに発売中。
以前、新春ドラゴンクエストコンサートの際にも語っていた、「『I』から『VIII』までを都響の演奏でCDに」という展望は、すでに「II」~「V」、そして「VIII」が発売されているが、残りも来年にはレコーディングを行なってCD化したいと語っていた。さらに、その後「ドラゴンクエスト・モンスターズ」や「スライムもりもり~」シリーズなどの「DQ」関連の作品をはじめ、「不思議のダンジョン」シリーズも手がけたい、とますます意気あがるすぎやま氏の姿が印象的だった。
□すぎやまこういち氏オフィシャルページ「すぎやまこういちの世界」のページ (2005年8月13日) [Reported by 佐伯憲司]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c)2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|