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スギヤマ工房、新春ドラゴンクエストコンサートを開催
「“I”から“VIII”まで都響でCDを揃えたい」

1月9日 開催

会場:東京文化会館 大ホール

コンサート直前にも関わらず、いつもと変わらない笑顔で取材に応じてくれたすぎやまこういち氏
 スギヤマ工房は、「すぎやまこういち 新春ドラゴンクエストコンサートスペシャル」を1月9日に東京文化会館 大ホールにて開催した。

 今回のコンサートは、すぎやまこういち氏指揮、東京都交響楽団(都響)演奏によるオーケストラコンサート。演奏曲目は、「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」の全曲と、「ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君」の一部。2004年3月にプレイステーション 2用の「V」が発売されてから、東京では初めての「V」のコンサートとなった。

 コンサートの開演前に設けられた取材の席では、いつもどおりの多弁振りを見せたすぎやま氏。まず今回のコンサートについて、「東京文化会館は都響の本拠地。ホールの音を知っているし、またこのホール自体もとても響きがいい。ホールもひとつの楽器ですから。ぜひ『生の音色の醍醐味』を感じ取ってほしい」とコンサートへの自信を覗かせた。

 2004年11月に発売されたPS2用「VIII」については、すぎやま氏もかなりのお気に入りの様子。特にカジノがお好きなようで、「すぎやま流カジノ攻略法、なんてのもやりたいね。今ここでやってもいいけれど、紙に描いたりして説明しないと」と笑いながら話していた。ちなみにすぎやま氏の攻略法ではルーレットを使うそうで、「100万枚行くまでが早い」のだそうだ。詳しい方法はまだ秘密だそうだが、興味がある人はちょっと試してみてはいかがだろうか。

 すぎやま氏に「VIII」の楽曲への反響について尋ねたところ、2004年12月にアニプレックスから発売されたサントラCDのアンケートハガキが、既に約1,000通も送られてきているという。すぎやま氏自身はまだ目を通していないそうだが、コンサートが終わって落ち着いてからじっくり読みたいと話していた。ちなみに担当者によると、一番多かった回答は「オーケストラ版を出して欲しい」という内容だそうで、すぎやま氏も「これは私への叱咤激励ということですね」と苦笑いを浮かべていた。

 その「VIII」の楽曲については、「思ったことはほぼ全部できた」というすぎやま氏。初めてサントラCD単体で発売したことからも、かなりの自信作であることは伺えるが、それでもまだ「限られたメモリの中で、『どこをどう削ろう……』という点で苦労しました。サウンドエフェクトでメモリが取られると、音楽で取れるメモリも減りますから」と苦労話を聞かせてくれた。しかしこれも不満ではなく、「逆にパズルのようなもので、楽しんでやっています。それがなければ、ファミコン時代の3トラックで音楽を作るなんてやっていられないですから。それに挑戦するという楽しみを持っています」とポジティブに受け止めているそうだ。

 話は変わって、新春コンサートということで今年の抱負について伺ったところ、「まずは今年の目標を達成したい」と今後の予定を明らかにした。まずは今年中に「VIII」のオーケストラをレコーディング、できれば「VI」も録りたいという。さらに「来年までかかるかもしれないが……」としながらも、「I」から「VIII」までを都響の演奏でCDにしたいと話した。「ドラゴンクエスト」シリーズの楽曲は、これまでにもNHK交響楽団などの演奏によるCDが発売されているが、すぎやま氏がお気に入りという都響で改めて作ってみたいということのようだ。現在はそのCDや全曲コンサートの準備のため、譜面を書いている最中だという。

 このほかにも、レベルアップの音などのMEをオーケストラで録音したい、といった話も飛び出した。これはCDに収録されるのか、あるいは今後のシリーズ作品で使うためなのかといった詳しい話は出なかったが、なかなか面白い試みになりそうだ。最後にすぎやま氏は「このほかにも色々やりたいことはあります。まずはそのための健康管理をしっかりしたい」と、今年といわずさらに先を見据えた言葉で締めくくった。



広いコンサートホールで「V」と「VIII」の楽曲が演奏された
 今回のコンサートの会場となった東京文化会館 大ホールは、定員が2,300人とかなり広いホールだが、チケットは早々に完売。問い合わせも普段以上に多かったようだ。

 その会場では、「I」からのファンと思しき30代前後の来場者が意外に少なく、10代から20代前半の比較的若い年齢層の来場者が多く見受けられた。2004年に発売されたPS2用ソフトの楽曲というだけあって、若年層のファンからの注目度も高かったようだ。チケットの売れ行きも、この辺りが関係していたのかもしれない。

 コンサートでは、おなじみの「序曲のマーチ」から始まり、第2部の半ばまでかけて「V」の全曲が披露された。その後、「VIII」の楽曲がアンコールを含めて4曲、さらに「II」のエンディング曲という構成となった。「VIII」の楽曲に関しては、まだゲームがそれほど進行していない人に配慮し、比較的序盤から流れる楽曲が選ばれたという。

 筆者は「V」のオーケストラ版CDを所有して何度も聞いているが、すぎやま氏が話していたとおり、生の音はまるで違うとはっきり感じられた。楽曲自体は確かに同じで、曲の続きも頭の中で流れてくるほどだが、そのイメージをはるかに上回る美しい音が響いてくる。CDにしても、さほど上等なオーディオ環境で聴いていたわけではないので、CDに申し訳ないような気持ちになってしまった。

 「VIII」の楽曲についても、やはりゲームで流れる音とは全くの別物。「V」とは違う力強さが感じられる曲が多く、同じすぎやま氏による曲ながら、ややイメージが異なるところが面白い。現在制作中というオーケストラ版CDが楽しみになる内容だった。

曲の合間にはすぎやま氏の軽快なトークも聴ける。「ドラゴンクエスト」のファンならば2倍楽しめること間違いなし
 また「ドラゴンクエストコンサート」で演奏と同じくらいに楽しみなのが、すぎやま氏によるトーク。今回は冬場のコンサートということで、寒さによるハプニングが多発。足がつってしまい、途中でイスを引っ張り出してきたすぎやま氏だったが、「次は『広い世界へ』だから元気に歩かなきゃいけないんですが」と言って会場を沸かせた。また珍しく出だしから指揮を間違えて仕切りなおしとなった時には、会場からの拍手を受け、「テンションをためた!」といって笑いをとり、見事にフォローをしてみせた。

 今後のコンサートは、8月から9月にかけて東京、名古屋、札幌の3会場で、「VIII」のコンサートが予定されている。チケットは4月頃から順次発売予定。

【演奏プログラム】
■第1部
・序曲のマーチ(V)
・王宮のトランペット(V)
・街角のメロディ~地平の彼方へ~カジノ都市~街は生きている~街角のメロディ(V)
・愛の旋律(V)
・空飛ぶ絨毯~大海原へ(V)
・淋しい村~はめつの予感~さびれた村(V)
・哀愁物語(V)
・戦火を交えて~不死身の敵に挑む(V)

■第2部
・洞窟に魔物の影が~死の塔~暗黒の世界~洞窟に魔物の影が(V)
・高貴なるレクイエム~聖(ひじり)(V)
・大魔王(V)
・天空城(V)
・結婚ワルツ(V)

・雄叫びをあげて~難関を突破せよ(VIII)
・神秘なる塔(VIII)
・広い世界へ(VIII)

■アンコール曲
・城の威容~王宮のガヴォット(VIII)
・この道わが旅(II)


□すぎやまこういち氏オフィシャルページ「すぎやまこういちの世界」のページ
http://sugimania.com/
□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.co.jp/
□「ドラゴンクエスト」のページ
http://www.square-enix.co.jp/dragonquest/
□関連情報
【2004年10月19日】「弦楽四重奏によるドラゴンクエストコンサート」開催
すぎやま氏が「ドラゴンクエストVIII」について語る
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041019/sugi.htm
【2004年5月26日】すぎやまこういち氏、「SUGIレーベル」発足
リリース第1弾は「交響組曲ドラゴンクエストV 天空の花嫁」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040526/sugi.htm
「ドラゴンクエストVIII」記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/backno/news/dqlink.htm

(2005年1月11日)

[Reported by 石田賀津男]


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