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「ラグナロクオンライン」運営者インタビュー
2005年は「モアコミュニケーション」の年に

1月25日収録

会場:青山ダイヤモンドホール

 1月25日、ガンホーは、主力タイトルである「ラグナロクオンライン」に関して、2005年の計画を発表した。発表内容そのものは、過去に弊誌でKAMEXレポートやGravity訪問レポートを通じてお伝えしてきた内容とほぼ同一で、実質的に「2005年はGravityの戦略通りに展開していく」ということの再確認の場となった。しかし、ボリューム的には過去最大級で、「ラグナロクオンライン」はまだまだ進化していくということを実感させられる発表会にもなった。

「ラグナロクオンライン」事業戦略を発表するガンホー代表取締役社長森下一喜氏
 今回の発表会でひとつ意外だったのは、代表取締役社長の森下一喜氏が最初から最後まで発表を行なったことだ。森下氏が直接「ラグナロクオンライン」のコンテンツ内容に関わる発表を行なったのは2002年12月の有料サービス以来、実に2年ぶりのこととなる。自身のコメントによれば「私が発表すべきだと思ったから」ということだが、内容的には、たとえば「ラグナロクオンライン2」を日本展開するとか、BOTを壊滅させる具体的な目処がついたといったクリティカルなネタはなかった。

 ひとつの見方としては、今年、同社が事業をいよいよ多角化するにあたり、あくまでビジネスの屋台骨は「ラグナロクオンライン」であることを改めて内外に示した、森下氏ならではのパフォーマンスではないだろうか。今回森下氏が実装時期等を直に告知したことは、ガンホー社内において良いプレッシャーとなり、その結果、エンドユーザーにいい結果をもたらすことが期待される。いずれにしても昨年とはまた違った展開になりそうである。

 さて、今回は、発表を行なった森下氏に加え、数日前に韓国でのミーティングを終えて帰国したという「ラグナロクオンライン」制作プロデューサーの廣瀬高志氏の2名にインタビューをお願いした。例によってタイトなスケジュールだったため、思い切ってゲーム限定で話を伺った。質問については、発表会の内容を前提にしているので、先の発表会レポートと合わせて読み進めて頂きたい。



■ 2月15日実装予定「転生システム」について

ご存じ「ラグナロクオンライン」制作担当プロデューサーの廣瀬高志氏
編集部: さっそくですが、実装が延期となっていた「転生システム」の実装日が2月15日に決定しました。まず、内容については、昨年の東京ゲームショウで発表されたものと同じと考えていいわけですか?

廣瀬高志氏: 転生までのプロセスやその条件などといった大まかな部分は同じです。ただ、延期の理由のひとつであるスキル部分の調整については、12月28日の韓国のアップデートまで含んだ状態で実装します。具体的には、発表会で社長のほうから話のあった3職業のスキルが追加されます。ですから、ホワイトスミスの武器精錬なども2月15日に実装されることになりますね。

編: 2-2次職のグラフィックスは間に合わないようですが、これはグラフィックスが実装されるまではどうなるのですか?

廣瀬: 韓国と同じように、2次職の色違いになります。

編: グラフィックスが揃うまで待つのかなとも思いましたが、やはりこれはやむを得ないと?

廣瀬: これは韓国でも未実装ですので、日本だけ先に実装するというわけにもいきませんので。

編: なるほど。ユーザーとして一番知りたいのは、延期の理由であるバグは完全にフィックスしたのかどうかという部分だと思いますが、この点いかがですか?

廣瀬: それに関しては先だって韓国を訪問した際に、バグの解決、システムの調整について聞いてきましたが、「すべて完了している」という回答を得られました。韓国でも12月28日に正式に実装されました。

編集部: 反応はいかがですか?

廣瀬: 当然のことですが、転生システム実装当初よりも良いという印象を受けています。日本のテストサーバーにも入っていますが、上位2次職が実装されるだけでなく、既存の職業のスキルも大幅に修正が入ってますので、ユーザーの方も親しんだキャラクタの新しい姿にGvG等で出会えることと思います。

編: なるほど。韓国では実装当初、その内容の悪さのために、ユーザー数が大幅に減ったと聞いています。12月末にバグをフィックスしたアップデートが実施され、現在、プレーヤーの復帰を促すキャンペーンが張られていると聞いています。韓国は、いわゆる“転生ショック”からもう立ち直っているのでしょうか?

森下一喜氏: 韓国では、「ラグナロクオンライン」に限らず、常にユーザーは流動的で、そうした流動層を自社タイトルに呼び戻そうという試みは至極一般的に行なわれていることです。ですから、今回のキャンペーンについても、(転生システムと)まったく無関係とは言いませんが、直接は関係ないというふうに聞いています。

編: 日本で2月15日に実装される転生システムのゲームバランスについては、どのように見ていますか?

廣瀬: 現在テストサーバーでさまざまな検証を行なっている段階ですが、やはりゲームバランスというのは、大勢のユーザーにプレイして頂いて初めて見えてくるものなので、現時点でどうかというのは難しいのですが、ただ、個人的にテストプレイした限りでは、上位2次職になるために、もう一度レベル上げを再開しようと思うだけのモチベーションにはなるのではないかと見ています。



■ 2nd、3rdアップデートについて

愛着のある「ラグナロクオンライン」について語る森下氏
編: 2ndアップデートでは、久しぶりにエピソード、要するに新たなストーリーが展開されるということですが、具体的には?

森下: それはまだこれからです。現時点ではまだ新しいエピソードを実装するということだけで、正式名称すら決まっていない段階です。

廣瀬: 4.5になるのか、5になるのか、これから実際に実装される内容を見てから決めていくという感じです。

編: お話としては、やはりグローバルマップの追加ですから、外伝的な位置づけになると考えていいのでしょうか?

廣瀬: 2ndアップデートについては、まずシステム的には大きな変更はありません。たとえばフェイヨンのリニューアルですとか、初心者修練場の機能強化ですとか、再構築される部分が多いですので、どちらかというとマイナーアップデートの部類に入るかと思います。

 もっとも、実装時期は4月ですから、方向性としては新入生にも始めやすい、初心者に優しい「ラグナロクオンライン」という感じになると思います。

編: なるほど。4月というタイミングは、新学期を意識している部分もあるわけですか?

森下: 全体的な話をしますと、やはり1月から3月にかけてはユーザー数が一番伸び悩む時期ではあります。そして春から夏休みにかけてが一番延びる時期ですね。そして9月に東京ゲームショウで伸びを維持しつつ一気に年末へとなだれ込む、これが大まかな人の動きです。なので、4月に何かをやるというのは、タイミングとして丁度いいわけです。内容的に新学期を狙ったというわけではありません(笑)

編: 気になるのは、初心者向けのコンテンツですね。

廣瀬: 初心者修練場そのものは現在もあるわけですが、実際には体験しないでそのまま冒険に出てしまったりするケースも多いです。そこで、そういうユーザーのために、冒険に出てわからないことが出てきても困らないように、クエストや案内板でサポートしていこうというのが基本的なスタンスです。全「ラグナロクオンライン」ユーザーにとっての修練場というべきものを作っていきたいですね。

編: 韓国では初心者修練場のリニューアルはすでに実装済みということですが、何がどうかわるんでしょう?

廣瀬: これまでは人に聞かざるを得なかった基本的だけども重要な情報をサポートするといった感じです。ただ、基本的には初心者向けなので、やることそのものは従来から変えていません。複雑にしてしまうと、初心者にかえって悪影響を及ぼすこともありますから。

編: 続いて3rdアップデートについてですが、これらは基本的に2004年12月に韓国で開催されたKAMEXで発表された内容とほぼ同じと見て良さそうですね。

廣瀬: そうですね。

編: 中でも、養子縁組というのは非常に大きなインパクトがありますが(笑)、これは?

廣瀬: 日本でもマリッジ(結婚)システムが2004年に実装されました。このシステムで生まれたカップルに対して、システム的に養子関係を結べるのが養子縁組システムです。

編: ゲーム内で、子ひとりの3人家族が誕生するわけですか。

廣瀬: そうです。ファミリーシステムと言っていいでしょう。養子として入ったキャラクタは、サイズが少し小さくなると聞いています(笑)。そうすることで3人並んだときに絵になると。

森下: 廣瀬、ちょっと質問していい? 3人家族のカップルが離婚システムで離婚したとする。養子はどうなるの?

廣瀬: えー、そこはさらりと流させてください(笑)。

編: 先ほど重要な発言がありましたが、養子縁組すると、子供のキャラクタサイズが小さくなると? キャラクタは3Dではなく、2Dで描画されてますが、システム的に可能なことなのですか?

廣瀬: 技術的な部分は私もよく理解しているわけではありませんが、グラフィックスを別に用意するのか、あるいは内部的な計算処理で小さく見せるのか、そのどちらかになると思います。

編: なるほど。それでは養子になると字義通り子供扱いされるわけですけども(笑)、何か具体的なメリットというのはあるのですか?

廣瀬: 両親を呼び出したりする機能が付きます。そのほかの細かい話についても耳にしてますが、まだ先の話なので内緒にさせてください。

編: もうひとつ神器アイテム。これはどういったアイテムでしょう?

廣瀬: ギルド攻城戦で、獲得した砦に存在するギルド宝箱で得られる高級素材を使って作成するアイテムです。これはクエストになっています。ステータス上昇値がこれまでのアイテムよりも圧倒的に高かったりします。

編: 韓国のMMOだと、ハイレベルの武具は見た目が光っていたりしますが、グラフィックスに変化はないのですか?

廣瀬: たしか変化はなかったと思いますが、戦闘時にどうなるかはまだ見ていないのでわかりません。また、神器アイテムは、盾や武器だけじゃなくて、見た目に変化のない足などもありますので。いまのところ4種類だけです。



■ 2005年下半期のアップデート計画

手元のシートを見ながら言葉を選びつつ質問に答える廣瀬氏。森下氏によると「門外不出の極秘資料です」とのこと
編: 2005年下半期の話を聞かせて頂きたいんですが、ようやくシュバルツバルトを舞台としたメインストーリーが再スタートします。ガンホーとしては、このことについてどのように捉えていますか?

廣瀬: 2004年はグローバルプロジェクトということで各国のオリジナルマップを追加していきましたが、その一方でメインストーリーに関わる要素の追加は少なかったと感じています。今後は、世界の広がりを重視していきます。冒険の舞台ももっと広がることでしょう。

 特徴的なのは新しいマップが追加されるだけでなく、それら新地帯がストーリーに絡んでくるという展開になることです。これは日本でも歓迎すべきことなので、積極的にサポートしていきたいと考えております。

編: アインブロックという都市名も公開されましたね。どういう都市なのでしょう?

廣瀬: 韓国出張でそれと同じ質問をしてきましたが、すべて「まだ公開するな」ということでした。すいません。バックストーリー的な部分もできていますが、まだ公開できません。

編: 新ストーリーは、シュバルツバルトが舞台であり、アインブロックという都市もある。その先の情報、どういう敵が出るのか、エリアの数はいくつなのか。もう少し詳しい話を聞かせてください。

廣瀬: そうですね。シュバルツバルト共和国の大拡張というのは、現在のマップミッドガッツ王国とシュバルツバルト共和国との関係も含めて、展開していくという風に聞いています。

森下: 2002年の12月に「ラグナロクオンライン」の世界観の構想を説明させて頂いたことがありますが、シュバルツバルトが大きく名前がでてくるのはそれ以来になるので、ちょっと懐かしい感じですね(笑)

編: そうした中で首都のジュノーはどうなるわけですか?

廣瀬: ジュノーはもう完成している都市ですので、リニューアルするといったことはないと思います。そのままですね。

編: アルデバランターボトラックについてはいかがですか?

廣瀬: これについてはユーザーと一緒にコースに入ってレースが楽しめるという情報しかもらってません。観客は入れるのか、謎な部分は多いです。

編: 下半期の内容では、職業別クエストだけちょっと独立しているような印象がありますが?

廣瀬: 先ほどストーリーに絡むクエストを追加するという話をしましたが、NPCがバックストーリーを喋るというのだけではつまらないので、そこから発展させて、職業別クエストも用意しようという試みです。クリアすることで経験値も獲得できます。ブラックスミスとかはレベル上げのスタイルが大きくかわるかもしれませんね。一部の職業のフォローになるようなクエストにしていくつもりです。

編: これは2次職が対象と?

廣瀬: いえ、2次職だけでなく、1次職も含まれますが、とりあえず現段階では職業別とだけお伝えしておきます。

編: というと、すべての職業ではないのですか?

廣瀬: いや、私が聞いている限りでは「順次」ということのようです。

編: なるほど、それではそろそろ今回渡韓した際の情報を教えて頂きたいんですが。

廣瀬: いろいろ聞いてきましたが、「全部言うな」ということなんですよ(笑)。

編: 言える部分で何かありませんか?

廣瀬: そうですね、これは2005年下半期実装予定の話になりますが、未実装の部分がいくつか残っています。たとえばアイテム、スキルの効果ですね。こうした未実装の要素を少しずつゼロに近づけていこうという計画が上がっています。こうした部分も年内に動きが見られるでしょう。



■ 「ラグナロクオンライン」関連事業について

韓国と日本での携帯コンテンツビジネスの違いを説明する森下氏
編: 今回発表された「ラグナロクモバイル」ですが、東京ゲームショウに出展され、その際に話を伺ったときは、どちらかというと否定的だったような気がしたんですが、軌道修正があったというわけですか。

森下: 現在弊社ではバンダイさんと提携して「ラグナロクオンラインモバイル」というサービスを展開しています。これは壁紙ですとか、情報ですとか、2次的な情報を取り扱っているサービスです。

 そのユーザーさんに話を聞くと、やはりゲームと関連した要素が欲しいという意見が多数を占めている。ユーザー数も3万人ぐらいで、伸びも芳しくない。我々としては、常に新規開拓というのは続けていかなければならないので、ゼニーの連動がある「ラグナロクモバイル」はとても魅力的なコンテンツだったのです。

 技術的な部分、たとえばローカライズとか、ソースコードからの作り直しといった部分ですが、そうしたコスト的、労力的な部分で検討を重ね、なんとか調整できそうという目処がはっきりしたので今回発表に踏み切ったわけです。東京ゲームショウの時点では、まだ何もわかっていませんでしたから(笑)。

編: なるほど、当時から実は話は進んでいたと?

森下: そうです。一番調整に時間がかかったのが、携帯コンテンツのビジネスモデルが日本と韓国ではまったく異なるという部分です。韓国の場合は、ダウンロードさせて1コンテンツいくらという売り切りをする。じゃあサーバーのランニングコストは誰が負担するのかというと、使っただけのパケット通信料をキャリアが負担するシステムなんですね。

 日本の場合は、なんといってもキャリアあっての携帯コンテンツですから、いずれにしても同じやり方はできません。ビジネスとしての妥当性と、提携先のバンダイさんと技術的な検証も行ないました。

編: なるほど。個人的に気になっているのは、日本と韓国ではアーキテクチャから全然違いますよね。どうやって移植するのですか?

森下: そのとおりですね。実質的にはいちから作り直しになると思います。

編: それは外注に頼むのですか?

森下: 基本的に当初のほうで行ないます。最終的には当社だけでなくパートナー関係にある様々なメーカーに協力を依頼することになるでしょう。最終的にどういう形で開発していくかはこれから決めていきます。リリース予定時期は2005年内ですから、これからじっくり決めていきます。サービス形態も含めてですね。いずれにしてもゼニーの連動は、必ずサポートします。これがメインですから。

編: 日本でのサービス形態はやはり月額いくらになるわけでしょうか?

森下: 現在さまざまな可能性を考慮して、シミュレーションを行なっているところです。

編: 「ラグナロクオンライン」のプロデューサーとしてはどんな印象を持っていますか?

廣瀬: 外で「ラグナロクオンライン」のゼニーが稼げるのはおもしろいなと思っています。

編: いちヘビーユーザーとしてはいかがですか? また廣瀬さんは利用したいですか?

廣瀬: これは携帯をよく利用するかしないかの問題になってしまうと思うのですが、確かにゲームはよくやる方ですが、携帯はほとんど利用しません。ので、たぶんゼニーを稼ぐならそのままゲームで、ということになるでしょうね。

編: 私もゲームプラットフォームとしての携帯電話は、あらゆる点で発展途上だと思ってますが、その一方で女子高生などは、ゲームは携帯でしかしないという人もいます。潜在需要、あるいは新規需要の掘り起こしには意外と有効かもしれませんね。

森下: 「ラグナロクオンライン」をプレイしていない層に対する一定のプロモーションになるのは確実だと思っています。ただ、携帯で遊んで、その後にPCで遊ぶというのはほとんどないと思います。メインターゲットはあくまで既存ユーザーですね。日常生活の中に「ラグナロクオンライン」がある、という戦略です。

 将来的には、ゲームにいる人と、携帯で遊んでいる人とが相互にコミュニケーションを取れるようなシステムも考えていきたい。コミュニケーションツールとして、ブロードバンドとモバイルの融合というのは常に考えていかなければいけないだろうと。

編: RJC(Ragnarok Japan Championship)についてですが、これはやはりユーザーの期待に応えるというのが一番の開催理由でしょうか?

森下: そうですね。やはり「ラグナロクオンライン」の楽しみ方はひとつじゃないですから、競技としての「ラグナロク」にも注目してもらいたいということですね。昨年はRWCとして韓国で本戦が行なわれましたが、年齢制限がありましたので、今年は全年齢を対象にして日本だけでやろうということになりました。

編: 全年齢層を対象でなおかつ、ネットカフェ網を活かしてバラでも参加可ということになると参加者の数はもの凄いことになりそうな気がしますね。

森下: もちろん、オンライン上での予選はありますよ。

編: 全国のネットカフェを舞台に予選大会を行なうということもありうる?

森下: あるかもしれません。現段階では、具体的なスキームに関しては未定です。

編: RWCとの兼ね合いはどうなるのですか? たとえば第2回RWCが開催されたらどうなるのでしょう?

森下: そうなったらRJCとは別にやることになるかもしれません。RJCの開催はGravityも知っていますし、あくまで日本限定の大会ということで開催します。RWCが終わった後、金会長に、「日本はもっとやるかと思ってたけど想像していたほどではなかった」と言われてしまって(笑)、これはイカンというのがひとつ。

 それから優勝国の台湾などは、長期にわたって準備しただけでなく、合宿まで行なっていた。メーカーの取り組み方からして雲泥の差がありました。今回RJCを実施することで、GvGの啓蒙活動にもなるでしょうし、仮に第2回RWCが開催された暁には、ゲーム大国日本の面目が回復できるかもしれない。我々としてもやれることはやっていこうと。



■ 不正ユーザーに対する取り組みについて

不正対策についてはさすがに口が重くなった。森下氏の論は裏を返せば、全面解決するためにはソースコードを手に入れるしかないということになるが!?
編: 不正ユーザーに対する抜本的な取り組みのひとつとして、不正ツールに対してアカウント停止、さらにその数を公式サイトに公表するという取り組みをなされています。これは非常に素晴らしいことだと思いますが、その一方で、今回RMT(リアルマネートレード)に対する言及はありませんでしたね?

森下: RMTについては、昨年、公式サイト上で禁止であるという表明はしております。我々としても何もしていないというわけではなく、ユーザー様の指摘や我々の調査に則って動いていますが、実際に潰し切れていないというのが現状です。

 また、RMTは何も「ラグナロクオンライン」だけの問題ではなく、すべてのMMORPGが抱える問題として、ブロードバンド推進協議会やCESA、経済産業省といったところでも活発な会議が行なわれている現在進行形の問題です。

 私もそうした場に出席し、意見を述べることもありますが、各社によって反応や温度差がまるで異なるんですね。いずれにしても業界全体で動きべきことだと考えておりますので、問題解決にはもう少し時間がかかるかもしれません。

編: メーカーレベルでのRMT対策というのは大別して2つのやり方があります。はっきり申し上げますが、公式サイトで「禁止です」というのは対策ではありませんよね。

森下: そうですね。本格対策前の啓蒙的な活動だと捉えてください。

編: ひとつは、実際に人が動いて業者をつぶすという外的な対策。もうひとつはゲーム内に変化を起こして、RMT市場を内部崩壊させるというやり方です。後者の取り組みというのはガンホーさんでは見られないように思いますが。

森下: 後者の取り組みというのは具体的にどのような内容ですか?

編: 例としては24時間占領状態にあるようなレアアイテムをゴミアイテムに替えたり、既存の法則性に手を加えたりといった対策です。これはゲーム性には関係がなく、純粋にRMT市場を意識したアップデートですが、この結果、実際に業者が撤退したり、独占状態がなくなって相場が戻るといった実効が確認されています。

廣瀬: でもそれはRMT対策になっても、ゲーム内のアイテムの価値が変わっているわけですよね。つまり、RMT対策をすることで、ゲームをダメになる可能性もあるのではないかという点で、慎重に考えていくべき問題だと思います。

森下: RMTにしても不正ツール対策にしてもそうですが、1パブリッシャーとしては非常に解決するのが難しい問題ではあります。我々としても対策の必要性を感じたことに関しては、テレビ会議システムや渡韓といった手段を使って開発元に直接訴えるようにしていますが、実はここまで厳しい見方をしているのは日本だけだ、というケースが多い。しかも、他国でも同じバージョンのゲームなのに、そこから声は上がってきてないと、「言ってるのは日本だけだよ」ということでなかなか動いて貰えない。

 我々としても「じゃあしょうがないね」というわけにもいかないので、じゃあ負担の一部はこちらが持ちましょうということまで言っているのですが、なかなかうまくいかない。だったら日本で出来ることをやりましょうということで、虚偽申告のアカウント停止ですとか、日本独自の不正対策ツールの開発といったことを行なっています。とはいえ、やはり自分たちですべて思うように出来ないというのは大変歯がゆいです。

編: 最後になりますが、「ラグナロクオンライン」に関して今後に期待してほしい部分を教えてください

森下: 定期アップデートというのはMMOパブリッシャーとして当たり前のことで、それそのものは自慢できることでもなんでもありません。今年は、「モアコミュニケーション」ということで、ユーザー様とのコミュニケーションをもっと広めていきたいと考えています。たとえば、オフラインミーティングは、大阪開催後も四半期に1度やっていこうと計画を進めていますし、サービスに対する理解を深めていきたいですね。

廣瀬: 正式サービスから3年目に突入した「ラグナロクオンライン」ですが、今年はアップデートを重ねることでまだまだ進化するゲームであるということをアピールしていきたいと考えております。個人的な抱負としては、新しい企画などを開発側にどんどんアピールして、実現に向けて努力を重ねていきたいと考えております。

編: ありがとうございました。

□ガンホー・オンライン・エンターテインメントのホームページ
http://www.gungho.jp/
□「ラグナロクオンライン」のホームページ
http://www.ragnarokonline.jp/
□関連情報
【2005年1月20日】ガンホー代表取締役社長森下一喜氏特別インタビュー
2005年以降の新しい事業戦略を語る
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050120/gungho.htm
【2004年9月29日】「ラグナロクオンライン」プロデューサー廣瀬高志氏ロングインタビュー
「来年は対人戦やパーティープレイの促進に努める」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040929/ragna.htm
【2004年9月27日】ガンホー代表取締役社長森下一喜氏ロングインタビュー
自社開発タイトル「GO」、「Rondo」の開発構想を聞く
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040927/gungho.htm

(2005年1月31日)

[Reported by 中村聖司]


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ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

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