|
スクウェア・エニックス、「FF XI」10~12月分のアップデートを実施 |
株式会社スクウェア・エニックスは、12月9日、MMORPG「ファイナルファンタジー XI」(FF XI)のアップデートを実施した。同作のアップデートは今年9月以来、約3カ月ぶりとなる。これらの中から、要点をピックアップしていくつか紹介していこう。
なお、今回のアップデートにおける最大の焦点とされていたリアルマネートレード(RMT)への対応策については、公式サイト上でアップデート情報とは別に改めて方針を表明している。とりあえずは以下のリンクを参照してほしい。
■ゲームデータを現実世界の金品によって売買する行為について
http://www.playonline.com/ff11/polnews/news3375.shtml
アーチャーリングを稀にドロップするこのモンスターは、従来より下の階層でも数匹確認できた。NMの出現条件は総ざらいする必要がありそうだ |
試しにカウンターストップの状態で出品しようとしたら、このような大金を請求されてしまった。高額商品の取引はサーチコメントを活用するなどの工夫が求められそうだ |
「やる」と表明しておきながら何ら実効をあげていないオンラインゲームパブリッシャーが目立つ中、「できる」ことと「できない」ことを公式な見解としてはっきり明示したのは最大限に評価できる。また、ゲームの内部でRMT活動を抑制するための修正がいくつか加えられている点にも注目したい。
それらの中でもっとも大きいのは、RMT業者にとっての収入源の一つである、高額なレアアイテム入手の独占防止である。筆者はアップデート後に、レアアイテム「アーチャーリング」をドロップするモンスターを確認しに行ってみたが、その出現範囲が以前よりもかなり広くなっていた。これでは、仮にRMT業者が1パーティで独占しようと思っても実行は不可能だろう。他にも同程度のランクのレアアイテムについては、大半がモンスターの出現条件等が変更されていると思われる。
そしてこれらの高額レアアイテムそのものや代替、またはアップグレード品が、新たに追加されたバーニングサークル(BC)戦にて入手可能となった。追加BCは合計すると17種類もあり、その内訳としては獣人印章50~60個を用いる3人用のタイプが8種類。そして獣神印章30個を用いる、6人用のタイプが9種類となっている。もちろんこれに応じる形で、新しいアイテムも多数追加されているはずである。
その他のRMT対策としては、外部マクロ等を用いた無人状態による釣りや伐採・採掘といった行為に制限が設けられた。とはいっても釣りに関しては、「ブブリム半島」と「クフィム島」の2エリアでモンスターも釣れるようになっただけで、RMT対策としてはまだまだ甘い。例えば町中のエリアにおいては、アップデート情報を見る限りでは従来からの変更点がないため、寝釣り目的のキャラクターは場所を移動するだけになるはずだ。今回のアップデートにおけるRMT対策は、その第一歩としては全体的に高く評価できるが、寝釣り問題に限っては実質的に先送りとなっている。
さてRMT以外では、対人戦コンテンツの「バリスタ」に関して、基本仕様が大幅に変更された。まず、試合中に消耗品アイテムが使用不可というルールが新たに導入された(遠隔武器と獣使い用の触媒を除く)。その代わり、バリスタ中の各行動に応じて「バリスタポイント」を得られ、これを蓄積して「テンポラリアイテム」と交換ができる。テンポラリアイテムは、バリスタ中でしか使うことができないものの「一定時間中遠隔ダメージを無効」を始めとした、様々な種類があるようだ。
またテンポラリアイテムについては、「ペトラ堀り」でも同様に入手できる。これらの変更により、消耗品に頼ることができなくなったため、テンポラリアイテムを軸にした形で基本戦術面を再度見直す必要があるだろう。
これはバリスタだけでなく、ガリスンや遠征軍といったコンテンツにも言えることだが、イベント中の楽しさという面においては、BCにまったく引けを取らない。しかし実際には、BCとそれ以外の戦闘コンテンツは人気度がかなり違っており、これはつまり報酬品が魅力的であるかどうか、という部分が大きい。例えばバリスタに関しては、勝者チームに対し戦績ポイントをボーナスで与えても、世界観も含めなんら問題がないように思える。プレーヤーが思わず参加したくなるような報酬面さえ整備すれば、バリスタ等は一気に盛り上がるのではないだろうか。
仮にログインしていなくてもプレーヤー同士で取引ができる「オークション」に関しては、出品時の手数料計算式が累進制に変更された。例えばジュノでアイテムを単品で出品すると、その手数料は「出品額の2%+100ギル」となっている。具体例を挙げると、50万のアイテムを出品して、これが仮に売れずに返却されたらその時点で1万ギルの赤字となってしまう。これは競売の利用スタイルに大きな影響を与えそうだ。少なくとも、手数料の安い3国での競売や、バザーの利用が活性化されることは間違いない。
いちプレーヤーの視点で考えれば、この変更は全ユーザーの負担額が一律増えてしまうため改悪だが、これには、ゲームシステム側からプレーヤー側へ流れるギルの総額が、その逆の流れよりも断然大きいという背景がある。「FF XI」プレーヤーであれば、アイテムの相場が全体的に上昇していることに気付いているとは思うが、プレーヤーの総資産が増えることで、このような面にも悪影響が表れてきているのだ。ヴァナ・ディールの経済を大局的に見ると、競売出品額の変更も致し方がない。なお再度繰り返すが、経済面において先述した寝釣り関連は極めて優先順位の高い問題であり、一刻も早い対策が望まれるところだ。
以下、その他の変更点を駆け足で紹介していくと、食事システムの全面見直し、プロマシア用ミッションのキーアイテムを中心とした難易度緩和、タブナジア群島へのテレポサービスが解禁、そしてジョブバランスの細かい修正等、いつもながら実に幅広い内容となっている。次回のアップデートが2ヶ月後なのか3ヶ月なのかは気に掛かる所だが、RMT対策を始めとした「FF XI」の展開には、今後も注目していきたい。
(C)2002, 2004 SQUARE ENIX CO.,LTD All Rights Reserved.
□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.co.jp
□「ファイナルファンタジーXI」の公式ページ
http://www.playonline.com/ff11/home/index.html
□関連情報
【9月14日】スクウェア・エニックス、「FF XI」開発便り10~12月号を公開
業界大手が遂にリアルマネートレード対策へ乗り出す
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041201/ffup12.htm
【9月14日】スクウェア・エニックス、「FF XI」8~9月分のアップデートを実施
「空蝉の術」の効果が細分化、エンチャントシステムなど新要素も登場
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040914/ffup8_9.htm
【6月30日】スクウェア・エニックス、「FF XI」5~6月分のアップデートを実施
Lv75向けの成長要素「メリットポイント」や装備品を飾れる「マネキン」など新要素盛りだくさん
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040630/ffup5_6.htm
【4月22日】スクウェア・エニックス、「FF XI」4月分のアップデートを実施
PvPシステム「コンフリクト」を試験的に導入
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040422/ffup04.htm
【2月26日】スクウェア・エニックス、「FF XI」1~2月分のアップデートを実施
64人参戦可能な新エリア「裏世界デュナミス」を実装
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040226/ffup1_2.htm
(2004年12月9日)
[Reported by 川崎政一郎]
GAME Watchホームページ |