【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】

「ラグナロクオンライン」クリエイターインタビュー
今後はボリュームの充実とストーリー性の高さで勝負

11月収録

会場:COEX

 今年もGravityは、主力タイトル「ラグナロクオンライン」において、シュバルツバルト共和国の追加をはじめとしたさまざまな新要素を公開した。今回は発表会で司会を担当した「ラグナロクオンライン」企画担当のLee Min Soo氏と、顧客支援チームのLim Hyeok氏の両名に、発表された計画の具体的な内容やその背景について話を伺った。

 今回主にインタビューに答えてくれたLee氏は、企画担当だけあって海外市場の興味も高く、特に「ラグナロクオンライン」が本国以上に成功している日本市場には深い関心を抱いているという。片言だが日本語も使え、弊誌など日本のゲーム誌のチェックも日々欠かかさないという知日家でもある。

 その一方で、「ラグナロクオンライン」正式サービス以前から開発に参画している数少ない古株のひとりでもあるという。ご存じのように、同作のクリエイター キム・ハッキュ氏は、自身だけでなく多くの開発スタッフも引き連れてGravityを去ったことはよく知られる話。Lee氏の話の端々には、「ラグナロクオンライン」正式サービス以前から開発に参画していたという強い自負を感じさせてくれた。

 「ラグナロク 2」との兼ね合いに関しては、現時点では明確な回答は得られなかったが、「ラグナロク 2」とは関わりなく、「ラグナロクオンライン」のサービスは継続していくという明言が得られたのは収穫だった。時折、「ラグナロク 2」に対する競争意識のような部分も覗かせてくれたのが興味深かった。



■ 転生システム延期の顛末、12月28日のアップデートについて

「ラグナロクオンライン」企画担当のLee Min Soo氏
「ラグナロクオンライン」顧客支援チームのLim Hyeok氏
編集部: まず、今回の発表内容について伺う前に、日本市場に関する話を聞かせてください。日本では転生システムの実装が来年以降に延期され、ユーザーの間で大きな話題となりました。現在進められていると思われる、転生システム再開発はどのような状況なのでしょうか?

Gravity: それは現在最優先で進められていることのひとつで、韓国では12月28日に実装を予定しているアップデートがそれに当たります。ですから、日本を含む海外サーバーでは、12月28日公開のアップデートをベースに、改めて転生システムが導入されることになるはずです。

 我々としては12月28日のアップデートは、可能な限り完璧に近い形でユーザーに提供しようと、現在作業を進めておりますので、ご期待ください。

編集部: 日本での実装見送りは、単に職業間のバランスだけでなく、致命的なバグが原因とも言われています。韓国、台湾で予定通り実装され、日本でストップがかかったことに関して、開発側としてはどのような感想をお持ちですか?

Gravity: 難しい質問ですが、ひとつは韓国のユーザーと日本のユーザーとで、アップデート時に求められる完成度に差があるということは感じています。日本においては、常に完璧なものが求められます。そのことが日本市場で実装延期を決めた一番大きな理由です。

編集部: なるほど、12月28日のアップデートで、職業間のスキルバランスが再調整されるという話ですが、どのような内容なのか、具体的に教えてください。

Gravity: 多すぎて、とても紹介しきれません(笑)。大まかな部分だけお話ししますと、既存の職業については、各職業ごとに使用頻度の高いスキルと、ほとんど使用されないスキルが存在していますが、その差を埋める調整を行なうということです。使用されないスキルは、より使い勝手がよくなり、使用頻度の高いスキルは、全体のバランスを考えた調整を行なっています。

編集部: 既存の職業に対して、新たなスキルの導入はないのですか?

Gravity: 今回のアップデートではありません。アルケミストのホムンクルスに関しては、もう少し時間が掛かる見込みです。上位2次職に関しては、新スキルの追加と既存スキルのパワーアップが行なわれます。

編集部: 発表会では、初心者練習場の強化、職業別クエストといった新要素が公開されましたが、これらはどういった内容なのでしょう?

Gravity: 初心者練習場については、まだサクライサーバーでテストしている段階ですが、簡単に説明しますと、キャラクタ作成直後に行くことになる初心者練習場のチュートリアルクエストの内容を充実させるというものです。すべてのクエストを達成すると、冒険に役立つ赤ポーションを300個プレゼントします。

 今までは、基本操作を学んだらポーンとフィールドに放り出されてしまいますが、これだとその後にどうしていいのかわからないユーザーさんも多いですので、もう少し初心者練習場で訓練を積んで貰うというイメージです。クエストの具体的なアイデアに関しては、実装してからのお楽しみということにさせてください。

 職業別クエストに関しては、これも基本的には初心者練習場の拡充と同じ考え方です。ノービスキャラクタをレベル10まで成長させると、1次職に転職が可能になりますが、転職した後に、どう育てればいいのかわからないというユーザーさんが多いので、じゃあクエストでそれをわかりやすく教えましょうという趣旨です。たとえば剣士とは何なのか、ステータスはどう成長させるべきなのか、何のスキルを上げていくべきなのかといったことをクエストを通して教えていきます。

 それからもうひとつの意義としては、2005年のストーリーの追加と関連して、職業別のストーリーも展開させていくというものがあります。NPCとの会話により、ストーリー全体における各職業の位置づけといったこともこのクエストで明らかになっていくことでしょう。

編集部: なるほど。すでに1次職は通り越して2次職や上位2次職のユーザーも多数存在しますが、これらのユーザーでもクエストは体験できるのですか?

Gravity: もちろん、現在の職業の1次職のクエストを受けることができます。現時点では、自分の職業に対応した職業のクエストしか受けられませんが、要望が多ければ全職業のクエストを受けることも可能になるかもしれません。

編集部: 今回は1次職の職業別クエストということですが、それでは今後、2次職や上位2次職のクエストも追加されるわけですか?

Gravity: そのつもりです。今回は職業別クエスト第1弾として1次職を対象にしました。

編集部: 新しく追加されるアイテムについて教えてください。

Gravity: 今回導入されるアイテムは、正確にいうと新しいアイテムではなくて、もともと存在はしていたのですが、効果が未実装だったものです。

編集部: どのような効果が付与されるのでしょうか?

Gravity: たとえばマヤカードは、魔法を掛けられた場合に、30%の確率で他のプレーヤーに跳ね返すことができます。これは多くのユーザーさんが実装を待ち望んでいたものでした。攻城戦で使用すると非常に高い効果が期待できると思います。

 ほかにも“石の矢”が実装されます。矢を受けた相手を石化させる効果があります。ハンター系の職業の方には大きな変更になるのではないでしょうか。

 ガイアソードは、それを使って敵を倒すと、ドロップするアイテムがすべて鉱石に変わります。石、鉄、宝石などをドロップするようになります。ブラックスミスなどはこれを持つと素材集めが楽になるでしょう。

編集部: 3つの上位2次職に新スキルが追加されますが、他の上位2次職には追加されないのですか?

Gravity: 12月28日時点では3職業に限られますが、今後追加の予定はあります。

編集部: 新スキル選定の基準というのはどのようにして決まっているのですか?

Gravity: それは上位2次職間の性能バランスです。

編集部: 中でもホワイトスミスの武器製錬はユニークな要素ですね

Gravity: これまでブラックスミスで武器の製造が行なえましたが、ホワイトスミスになることにより武器の製錬まで出来るようになります。自分のアイテムや友達のアイテムを自分で強化できるわけです。成長したホワイトスミスは、ショップで製錬するより、成功率が高くなるでしょう。

編集部: クリエイターの新スキルはどのような内容なのでしょう?

Gravity: スリップポーションピッチャーは、範囲内のパーティーメンバー全員に対してヒール効果をもたらすスキルです。VITが高ければ高いほど効果が高くなります。

 フルケミカルプロテクションは、ケミカルプロテクションの上位版です。ローグに相手の武器や防具を外すストリップ系のスキルというものがありますが、既存のアルケミストのケミカルプロテクションは一部にしか聞きませんでしたが、このフルケミカルプロテクションはすべてを守ることができるようになります。



■ 「ラグナロクオンライン」2005年度アップデート計画について

伝えにくい箇所を図示するLee氏。このあたりはいかにも企画屋という感じだ
編集部: それでは次に2005年以降のアップデートについてお伺いします。まず「アルデバランターボトラック(仮)」は、非常におもしろそうですね。

Gravity: 「アルデバランターボトラック」は、アルデバランでのみ楽しめる、一種のミニゲームです。マップ数は、今回公開した7マップ+αになる予定です。

編集部: これは乗り物に乗ってレースするといったゲームなのですか?

Gravity: 参加者が一斉にスタートラインに経って、途中の障害を乗り越えながら1着を競うというゲームです。乗り物には乗らず、徒歩でスタスタ歩いていく形になります。

編集部: 騎乗動物に乗れるキャラクタが有利なのではないですか?

Gravity: ペコペコに乗った人は、レース前に降りてもらうことになると思います(笑)。

編集部: これは同時に何人で楽しめるものなのでしょう? またレース中にスキルは使用できるのですか?

Gravity: まだ企画段階の要素ですので、そのあたりはまだ確定していません。

編集部: レース中にミニゲームがあるということですが?

Gravity: レースの途中で遭遇するトラップのようなものです。双六ゲームやクイズなどの簡単なゲームをクリアしていくことになります。

編集部: 1着になるとどのような報酬があるのでしょう?

Gravity: ポイントが貰えます。そのポイントはアイテムに交換することもできますし、特別な場所で記念撮影が行なえるといったプランも現在検討しています。さまざまな特典を準備する予定です。

編集部: 日本でも期待の声が高いホムンクルスについてですが、現在の開発状況について教えてください。

Gravity: ホムンクルスは来年の後半の実装を予定なのですが、現段階では具体的なお話しはできません。非常に充実した内容になるということだけは間違いありません。

編集部: このホムンクルスに関しては、言葉だけが一人歩きして、実際どのようなものなのか掴んでいる人は少ないと思います。最終的な仕様はどのようになるのでしょうか?

Gravity: 一言で言うと一緒に戦ってくれる同僚です(笑)

編集部: そこまではわかるのですが、ゲームにおけるホムンクルスとは、ペットの延長なのか、それともいわゆる人工生命体なのですか?

Gravity: モンスターでもなく、機械でもありません、アルケミストが生み出した生き物がホムンクルスであり、それを可能にするのがアルケミストのホムンクルススキルです。

編集部: 発表会でホムンクルスと一緒に紹介された「傭兵システム」はどのようなものなのでしょう?

Gravity: ホムンクルス実装に合わせて導入が予定されているシステムです。ホムンクルスの開発は非常に難しく、ホムンクルスだけに利用するのはもったいないということで、ホムンクルスのシステムをベースにして開発が予定されています。傭兵システムはアルケミストだけでなく、すべての職業が利用することができます。

今回公開された世界図。今後、北方の空白地帯が埋められていくことになる
編集部: 新しく追加されるシュバルツバルト共和国は、現在の世界とどのような関わりを持ってくるのでしょうか?

Gravity: シュバルツバルト共和国は、既存のミッドガッツ王国とは、まったく異なる独立国です。両国の間は中立という関係にあり、行き来は自由です。

編集部: シュバルツバルト共和国導入に伴う新マップの追加はいくつになるのでしょうか? 国家規模ですからやはり一気に10や20のマップの追加ということになるのですか?

Gravity: そのぐらいになると思います。

編集部: シュバルツバルト共和国の首都ジュノーの扱いに変化はない?

Gravity: 特に変化することはないと思います。ジュノー周辺のマップが導入されるというイメージです。

編集部: 今回の発表会では全体マップが公開され、シュバルツバルト共和国実装で北方の空白地帯が埋まるということですが、まだまだ未開の地がありますね。シュバルツバルト共和国の先のシナリオもあると考えていいのでしょうか?

Gravity: 私は企画担当なので、この件についてコメントする立場にないのですが、私としてもそうなってほしいなあと願っています。

編集部: 広大なエリアが一気に公開されるということですが、どのようなストーリーが展開されるのでしょうか?

Gravity: ストーリーについてはネタバレになってしまうので、何もお話しできません。ごめんなさい。



■ 「ラグナロクオンライン」今後の展望について

遂に発表された次回作「ラグナロク II」。仲良く併存させていく方針のようだ
ポーズを取ってくれた両氏。奥に見えるのはGravityブースだ
編集部: 話は変わりますが、日本でも11月に「ラグナロクオンライン」のクリエイターであるキム・ハッキュ氏の次回作「Granado Espada」が発表されたのですが、このタイトルについてはどのように評価していますか?

Gravity: MMORPGとしては斬新なアイデアや概念がいくつも見られて、個人的にも注目しています。韓国でも、「World of Warcraft」、「Guild War」に並ぶタイトルとして注目を集めていますよ。

編集部: そのような強力なタイトルがひしめく中で、「ラグナロクオンライン」は生き残りを賭けて、今後どのような対策を行なっていくのでしょうか?

Gravity: それはなんといってもストーリーです。「ラグナロクオンライン」にはまだまだ語られていないストーリーが数多く残されています。新しいストーリーの展開を待っているユーザーさんも多いです。我々はそうした声に答えていくことで、より完成度の高いMMORPGを目指していく考えです。

編集部: そうなると是非ともそのストーリーをお伺いしたいのですが、さわりの部分だけでも教えて頂けませんか?

Gravity: 今お話ししてしまうと、後で楽しめなくなってしまうユーザーの方もいらっしゃると思うので、やっぱりごめんなさい(笑)

編集部: やはり内緒ですか(笑) それでは矛先をかえますが、今回「ラグナロク 2」が発表されましたが、両タイトルの棲み分けというのはどのように行なっていくつもりなのでしょうか?

Gravity: 「ラグナロク 2」の発表がまだムービーだけという状態ですので、関連性に関しては現時点ではお話しできません。「ラグナロク 2」の内容が具体的に公開されたら、お話しする機会もあるかと思います。

 いずれにしても「ラグナロク 2」が発表されたからといって、「ラグナロクオンライン」はもうおしまいということはありません。同時並行してサービスを続けていきます。

編集部: ちょっとシビアな質問ですが、いちゲームファンとして、「ラグナロク 2」をどのように評価していますか?

Gravity: 1と2は社内でも完全に別のプロジェクトとして動いていますので、評価するほどの情報を持っていないというのが正直なところです。とはいえ、「ラグナロク 2」の開発は、「ラグナロクオンライン」と同じように社内で行なっていますので、目にする機会は当然あります。私としても大きな期待を寄せていますが、同時に私は「ラグナロクオンライン」の開発者でもありますので、絶対に負けたくないという気持ちで仕事をしています。

編集部: 2005年度の「ラグナロクオンライン」はどのようなゲームになるでしょうか?

Gravity: より完成度の高いMMORPGになります。ゲームのボリューム、ストーリー性の高さ、ジョブバランスなどさまざまな要素を充実させていきます。私の中にはぼんやり理想の「ラグナロクオンライン」というものがあるのですが、その理想にまだまだ遠いのが現実です。それに近づけていく努力を今後も続けていきます。

編集部: 最後に日本の「ラグナロク」ファンに対してコメントをお願いします。

Gravity: 日本のユーザーから「ラグナロクオンライン」に対して深い支持と理解をいただいているということを身にしみて感じています。大変感謝すると同時に、私は幼い頃から日本のゲームを数多く遊んできましたので、そういう国に対して、自分が企画したゲームを提供できるということに喜びを感じています。

 2005年は現在の「ラグナロクオンライン」で不足している部分を補っていきます。日本のユーザーからの支持に答えるためにも、常に日本の動向には常に気を配り、支持される企画を立てられるように努力していきますので、今後とも応援よろしくお願い致します。

編集部: ありがとうございました。

□KAMEXのホームページ
http://www.kamex.or.kr/
□Gravityのホームページ
http://www.gravity.co.kr/
□「ラグナロクオンライン」のホームページ
http://www.ragnarok.co.kr/
□関連情報
【2004年11月26日】「ラグナロクオンライン」2005年度アップデート計画を発表
シュバルツバルト共和国実装、アルデバランに一大娯楽施設も
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041126/ka04_gr2.htm
【2004年11月26日】Gravityブースレポート
フル3Dを採用した「ラグナロク II」は2005年リリース予定
「Requiem」、「ラグナロクバトル」など新作も盛りだくさん
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041126/ka04_gr.htm
【2004年7月20日】RO開発マネージャーアン・ジェファン氏特別インタビュー
2005年はメインストーリーの充実に注力、新1次職「忍者」、「ガンマン」なども明らかに
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040720/gravity.htm

(2004年11月27日)

[Reported by 中村聖司]


Q&A、ゲームの攻略などに関する質問はお受けしておりません
また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします

ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

(C) 2004 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.