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Korea Amuse World Game Expo現地レポート

Gravityブースレポート
フル3Dを採用した「ラグナロク II」は2005年リリース予定
「Requiem」、「ラグナロクバトル」など新作も盛りだくさん

会期:11月25日~28日(現地時間)

会場:韓国総合展示場(COEX)

 KAMEX常連のGravityは、今年も大型のステージをフルに使った怒濤のイベント攻勢を仕掛け、来場者を捕まえて離さない戦略で、大々的に自社タイトルをアピール。ダンス、クイズ、対戦イベントなどなど、催しの多彩さ、巧さは、他社の追随を許さないといった印象だ。

 ただ、今年のGravityは、例年のように「ラグナロクオンライン」一点張りではなく、先日のレポートでも紹介した「ラグナロク II」をはじめ、2005年度に展開を予定している複数タイトルを取り上げるなど、「ラグナロクオンライン」パブリッシャーから、大手MMOパブリッシャーへの成長を感じさせた。まずはさっそく日本でも注目度の高い「ラグナロク II」から紹介していこう。

 なお、現行の主力タイトルである「ラグナロクオンライン」と「ローズオンライン」については、2005年度の大規模なアップデート計画が発表された。こちらについては別途詳しくお伝えすることにしたい。

【ステージイベント】
Gravityのメインステージでは、ゲーム紹介の合間を挟んで、さまざまなステージイベントが行なわれた。ステージイベントで人を集め、間髪入れずに新作ゲームの紹介をやるという感じで、これが丸4日間連続で行なわれる


■ イメージを維持しつつ、フル3Dグラフィックスを取り入れた「ラグナロク II」

「ラグナロク II」のタイトルイメージ。「ラグナロク」の原作者Lee Myoungjin氏が所属するstudio DTDSも開発に名を連ねる歴とした続編だ
リアルタイム処理によるライティングエフェクトが印象的。青空の綺麗なMMORPGだ
最後に映し出されたタイトルイメージ。ちょっと見えにくいがタイトルバックにオオカミと歯車のシルエットがかかっている
 「ラグナロク II」は、2002年末頃からその存在が噂されはじめ、今回ついにその存在と映像が公開された「ラグナロクオンライン」の次期タイトル。Kim会長は、今年に入ってから「ラグナロクオンライン」のことをわざわざ「ラグナロク ワン」という呼び方をするようになったが、やはり実際に開発は進められていたようで、ようやくKAMEX 2004で一般初公開された。ちなみに「ラグナロク II」というのは仮称で、別に「ルミノティ」という仮称も存在する。

 今回の収穫は、公開されたムービーが、プリレンダーCGによるイメージ映像ではなく、全編リアルタイム映像だったことだ。その代わり、ボリュームは1分程度と短かかった。その短い映像を、わずかに2度流しただけが出展内容のすべてで、初の一般公開としては控えめだった。おそらくKim会長は、来年のE3で3年ぶりの再出展を果たし、その上で世界の関係者に向けて大々的に発表するということを考えているのだろう。

 さて、肝心の映像の内容だが、2人のノービス風の女の子キャラクタが、フィールドを駆けるというもの。レンダリングのタッチは、カートゥーン系とも違い、かといってリアル系でもない。強いて言えばアニメ系だろうか。当然メニューもなく、インタラクティブな操作シーンも見られない。プレイシーンを抜き出したものではなく、今回のために作られた映像であることは間違いないようだ。

 最初の茶髪ショートの女の子は、強い日差しが降り注ぐ草原地帯を、草をかき分けるようにして力強く進む。地面から空を見上げるカットでは、画面いっぱいに青空が広がり、木漏れ日にHDRレンダリング風の処理を施し、陽光の眩しさを表現している。一部遠景にはプリレンダーの描き割り的表現も混じっていたように思われるが、アニメ風の3D表現としてはかなりリッチといっていい。

 場面が変わり、今度は赤毛の女の子の疾走シーンになる。服装は白の長袖に赤地のスカート、背中には真っ赤なバックパックを抱え、赤黄緑のストライプが入ったスカートの端の緩やかなウェーブがひときわ目を引く。スカートのウェーブは、バンプマッピングではなく、きちんと3D処理されており、ハイポリゴンで描かれていることがわかる。その一方で、背中に抱えているリュックは、ワザとローポリゴンで処理して「ラグナロクオンライン」の特徴であるデフォルメ感を出すなど、シリーズイメージの維持と最新技術の導入のバランスに相当苦慮した形跡が伺える。

 場所はどこかの街のようで、石造りの立体的な構造の街並みが遠くまで続いているのがわかる。街路には花壇もあり、花が可愛らしく咲いている。陽光は柔らかく、それでいてまぶしい。街路を一直線に駆け抜けた女の子は、最終的に街を見下ろせる高台に到達し、カメラが女の子を中心に周囲をぐるっと見渡して終わりとなる。そして「Ragnarok II」のタイトルが表示されて終了となる。タイトルにかかるオオカミと大きな歯車のような図柄が印象的。何を意味するかは「内緒」とのことだ。

 これ以外の情報は現時点では伏せられている。関係者は口をつぐみ、開発担当者の姿も見られなかったことからも、相当の箝口令が敷かれているのだろう。わずかに知り得たのは“II”の世界観についてで、神を失った世界を舞台に、残された生き物(人間たち)たちの葛藤を描くという。案外、タイトルバックのオオカミと歯車が大きなヒントになっているのかもしれない。続報を大いに期待したいところだ。

 最後に気になる日本展開については、開発元のGravity、そして前作を日本展開しているガンホーの双方に反応を伺ってみたが、いずれも「ノーコメント」ということだった。これは決まっているがまだ話す段階ではない、というのではなく、まだコンテンツとしてライセンスビジネスの話をする段階ではないというニュアンスが強い印象だった。

【Ragnarok II(ルミノティ)】
女の子ふたりが代わる代わる別のフィールドを駆けるという内容だが、片方はショートパンツ姿で、片方はスカート姿。「ラグナロクオンライン」のキャラクタのグラフィックスは、基本的に装備をかえても反映されることはないが、今回は装備品に応じて見た目がかわるということだろうか


■ 成人限定MMORPG「Requiem」は、ポスト「A3」を狙ったダークファンタジーMMORPG

「Requiem」は開発者による発表会が行なわれた。日本では普通の光景だが、韓国では珍しい
 「Requiem」は、昨年のKAMEXで初公開されたダークファンタジーMMORPG。「ラグナロクオンライン」とはまったく毛色の異なるMMOをということで最初から「成人指定」ということで自社開発されている。

 今回は、リアルタイム映像の公開と、開発者によるゲーム概要の紹介が行なわれた。サービスインは「ラグナロク II」と同じ2005年としているが、こちらのほうが先になるようだ。

 開発者は、「大人のための本格的なMMORPGは、『Requiem』が初です」と、最初から「A3」に対する強烈な対抗意識を示すコメントを行なった。同作における成人向けの意味合いは、ラグジュアリーでセクシーな演出、徹底した荘厳さと恐怖感を煽るハードコアな味付けなどによる、大人向けの世界観であることを示している。

 基本的なゲームデザインは、アクション性を豊富にした3DアクションMMORPGで、「ハードコアゲージ」と呼ばれるシステムを使って、3パターンの戦闘システムでモンスターとの戦いが行なえるという。政治、社会、経済的な要素は、ある程度ユーザーに委ねられるなど、基本的な路線は、「A3」に近い。  ただ、「A3」が国盗りにおける壮絶な権力争いをひとつの大きなテーマにしているのに対し、「Requiem」は死者の世界をモチーフにし、ユーザーに対してダイレクトな恐怖感を煽る演出が数多く見られるのが大きな違いといえる。ダンジョンについても、とにかく恐怖感、緊張感を煽るホラー仕立てにしたいということで、成人向けというよりは、史上初のホラーMMORPGと言ったほうがいいのかもしれない。

 公開された映像では、無人の街、モンスターとの戦闘シーン、大型モンスターとの多人数での戦闘シーンなどが公開された。キャラクタ以外の要素は、すべてが禍々しいといった感じで、この世界観とプレーヤーたちがどのような関わり合いを持って行くのかが注目される。具体的なゲーム内容については2005年初頭に韓国で公開するということだ。

【Requiem】
「ラグナロク II」とはまさに対照的に暗い雰囲気に包まれたダークファンタジーMMORPG「Requiem」。グラフィックスはプログラマブルシェーダー2.0世代のオリジナルエンジンを採用し、韓国レベルでいうと最高水準に近い


■ 「ラグナロクバトル」、「ラグナロクモバイル」などラグナロク関連製品も出展

上位2次職が体験できる試遊台。転職の条件が難しいためか、多くの来場者が集まった
「ラグナロクバトル」コーナー。韓国ではアクションゲームが少ないため、かなり注目を集めた
 「ラグナロクオンライン」関連では、「ラグナロクオンライン」の一般試遊台と、上位2次職専用の試遊台、オリジナルグッズを販売する「RO Shop」、東京ゲームショウでも公開された「ラグナロクモバイル」新製品、そしてKAMEX 2002以来の公開となる「ラグナロクバトル」といった内容だった。

 「ラグナロクバトル」は、日本の同人サークル「フランスパン」において、数名で開発されている同人ソフト。Gravityはこの同人ソフトの優秀さに目を付け、著作物使用の許可と、全面的な開発協力を与え、その上で韓国での販売権を獲得し、Gravityとしては「アークトゥルス」以来となるパッケージソフトとして販売が予定されている。日本では12月30日のコミックマーケットでの販売が予定されている。

 ゲームの内容は、「ラグナロクオンライン」のキャラクタが登場する横スクロール型のアクションゲーム。オンラインゲームではないが、スタンドアローン環境で最大3人同時プレイが楽しめる。可愛らしいキャラクタと愉快なアニメーション、アコライトは正座したまま攻撃するといった同人ソフトならではのユニークな演出により、日本のコミュニティのみならず、韓国でも絶大な支持を集めている。

 実際、試遊台コーナーでは物珍しさも手伝ってか、待ち行列ができるほどの人気ぶりで、後は韓国特有のコピー問題をどう対処してパッケージ販売にこぎ着けるかが課題ということだ。現在、Gravityのオリジナルグッズやその他特典等を同梱し、パッケージそのものにプレミアムを付ける形で発売を検討しているという。価格、発売日ともに未定としている。

 「ラグナロクモバイル」シリーズは、東京ゲームショウよりさらにコンテンツを3つ増やし、全6ラインナップになっていた。新規タイトルは「ソードマン」、「シーフ」、そして「モンスターファーム」。「モンスターファーム」は、ノービスの女の子が、「ラグナロクオンライン」に登場する可愛いモンスターたちを集め、そして育てていくという趣旨のRPG。現在はまだ開発途上の段階で、最終的には8種類前後のモンスターを登場させ、「たまごっち」のような感覚で、気軽にモンスターを育成できるゲームになるという。

【ラグナロクバトル】
「ラグナロクバトル」のスクリーンショット。デフォルメキャラが所狭しと画面を動き回り、派手なアクションを繰り広げる。ゲームとしては比較的シンプルな横スクロールアクションゲームだが、韓国では新感覚のゲームだという

【モンスターファーム】
「ラグナロクモバイル」期待の新作「モンスターファーム」。任天堂の「ポケットモンスター」とバンダイ「たまごっち」を意識して作られた内容だ

□KAMEXのホームページ
http://www.kamex.or.kr/
□Gravityのホームページ
http://www.gravity.co.kr/
□関連情報
【2004年11月25日】Korea Amuse World Game Expo 2004開催
「ラグナロク II」、「World of Warcraft」など大作MMO続々
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041125/ka04_1.htm

(2004年11日26日)

[Reported by 中村聖司]


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