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【Electronic Entertainment Expo 2004現地レポート】Vivendi Universal Gamesブースレポート前編 |
VUGはユニバーサルスタジオの関連企業であるため、映画タイトルのゲーム化にも力を入れている |
メジャー級スタジオを数多く囲い込むVUGは、注目の取り扱いタイトルが多いために前編、後編に分けて紹介していきたい。
MONOLITH FEAR開発チームの面々。筆者が実際にお話をさせて頂いたのは左端の技術ディレクタのKEVIN STEPHENS氏と右から2番目の開発ディレクターのCHRIS HEWETT氏 |
FEARチームの面々。もちろんリアルタイム3Dグラフィックスだ |
今回のデモでは、導入パートから初期ステージまでをシームレスにプレーヤーが進んでいく様を見せた。映像と音声のクオリティは「Half-Life 2」に勝るリアル指向で、FPSファンならずとも、完成を期待させるほどの迫力が感じられる。また、ストーリーラインも「DOOM III」や「Half-Life 2」に代表される「エイリアン対人類」もの的なテーマではなく「ミリタリーコンバット」に「オカルト・ホラー」のテイストを加えたという先例の少ない要素の調合の仕方にも興味を禁じ得ない。
舞台は極めて現代に近い近未来。年商数十億の航空宇宙産業企業のビルが正体不明の武装集団に占拠され、犯人が人質を取って立てこもる事件が発生する。事件発生後から数時間、沈黙を守り続けるビルへ、政府は特殊部隊を派遣して偵察を試みるが、これも消息を絶ってしまう。
プレーヤー扮する主人公は、F.E.A.R.の隊員。主人公が所属する隊に与えられた任務は2つの単純なものだった。
「1つ、武装集団の排除、2つ、先遣部隊の消息を確認すること」。
・「Halo」を彷彿とさせる、謎が謎を呼ぶシネマティックシューティングアドベンチャー
ゲームは、作戦説明を受ける輸送ヘリの上から始まる。
ゲームスタイルは1人称シューティング。ウリはローディング画面なしでどんどん先へ進んでいくシームレス進行にある。
ヘリ内での作戦説明中もヘリ内を動き回ることができ、ヘリの外には都市部の夜景が広がっている。作戦説明が終了するころには目的のビルが目下に見えてくるが、屋上に潜伏していた武装集団がこちらに銃撃を仕掛けてくる。ヘリからロープを伝い、一気にビルの屋上へと降下、激しい銃撃戦がゲーム開始直後からシームレスに開始される。
序盤のゲームの流れは、屋上の敵を排除して上の階から下の階を目指すこと。同じ隊の味方との共闘の末、屋上の戦いで勝利を得たFEARチームは、階下を目指すことになるが、最上階には、想像を遙かに超えた凄惨たる光景が広がっているのであった。
あたり一面が血の海。民間人、武装テロ集団、先遣部隊の死体が原形を留めずに辺り一面に散らばっているという状況。
暗がりの向こうには、小さな幼女が逆光アングルでこちらの方を見てたたずんでいる。ここで目をこらす演出が入るが、一瞬でその少女は姿を消す。床には彼女のと思われる血の足跡が。
こうした演出の数々は日本が世界に誇る名作「バイオハザード」シリーズを彷彿とさせるが、あちらは細菌兵器の副作用という科学的な裏付けをベースにしたストーリーラインであったが、本作はやや基軸をオカルト・ホラーに振った展開になっているとのことだ。ただし、ある1つの一貫した原則に基づいたオカルト・ホラーであり、ストーリーを最後まで楽しむと全ての謎同士が線を結び、納得できるようになるのだという。
今回のデモはビルの屋内シーンのみであったが、屋外のカーチェイス銃撃戦、昼間のシーンなどもあるそうで、いわゆるアクション映画の要素は一通り盛り込んだものになるという。
3人称視点は残念ながらなし。映画「マトリックス」や3Dゲーム「MAX PAYNE」などの作品で注目を集めた、バレットタイムアクションの要素が「FEAR」にも取り込まれているが、これは自動演出システムによるもので、自発的に行なえるものではないそうだ。
戦闘は主に狙いを定めて撃つというオーソドックスなFPSスタイルで進んでいくが、近接時にはキックとパンチが飛び出す格闘戦もある。この辺りのシステムも「FEAR」の独特な要素だといえる。
ヘリ上の作戦説明シーンもリアルタイム。バレットタイムアクション風の演出のある戦闘シーンまでを紹介したムービー(4.8MB LHA形式) | 凄惨たる光景が広がるビル内部 | 敵の正体がつかめないまま激しい銃撃戦に突入する |
開発はLithtechエンジンで著名なMONOLITHだか、「FEAR」は2年前から開発をはじめたフル・スクラッチビルドのプログラマブルシェーダ2.0ベースのグラフィックスエンジンベースで作り込まれいるという。ゲームエンジンは「あえて呼んでもらえるならばFEARエンジンとしておいてくれ」(KEVIN STEPHENS氏) 。
シーン内の至る所に法線マップによるバンプマッピングが見られ、3Dキャラクタのディテールも法線マップで表現されており、衣服や顔のしわの細かさに至るまでが表現されており、明らかにこれまでのPC用3Dゲームとは異質なビジュアルとなっている。
また、こうしたホラー系のコントラストのはっきりした映像では絶対に手を抜けない影表現についてもこだわりを見せており、影生成にはセルフシャドウ表現までがサポートされるステンシルシャドウボリューム技法を採用している。法線マップベースのディテール表現になっているとはいえ、膨大なジオメトリ量を感じさせ、さらに影生成がステンシルシャドウボリューム技法となれば、GPUにはかなりのジオメトリパワーが要求されると思っていいだろう。
衝突物理、車両物理にはHAVOK2エンジンを採用。敵がゲーム内の小道具・大道具オブジェクトをぶちまけながら吹っ飛んでいく表現は、非常にリアルであった。グラフィックのリアリティについてはムービーと画面ショットから手応えを確認して欲しい。
「プログラマブルシェーダ3.0への対応は視野に入れている。ただし、現状ではGeForce 6しかないので、どの程度積極的な対応をするかは未定。2.0で我々がやりたい表現はほぼできているのも事実」(KEVIN STEPHENS氏)
現在シングルププレイモードの作り込みを行なっており、マルチプレーヤーモードの搭載については未定だという。
発売は2005年中。日本での取り扱いはほぼ確定。注目度を考えれば高確率で日本語版の登場が期待できそうだ。
PC用3Dゲームグラフィックスの進化スピードは恐ろしく早い。「Half-Life 2」で驚いていた頃が懐かしく思えるほどだ |
格闘は「手加減無しの本気の殴り合い」にこだわった表現がなされており、肌から汗が、傷口から血しぶきがリアルにほとばしる。クリティカルな技が炸裂したときには、レントゲンビジュアルになって骨の折れる様がシームレスにクローズアップされ、派手な効果音が鳴り響く。以降はその部位は使えなくなり、戦いは不利になるが、負けが確定するわけではないので、逆転も可能。
プラットフォームはPS2とXbox。Xbox版はXbox Liveに対応で、オンラインリアルタイム対戦が可能。
北米では2004年第4四半期の発売予定。日本での取り扱いの可能性は低いそうだ。
殴られてできたアザはテクスチャで表現され、コブや殴られた瞬間の顔モデルの変形は実際に形状アニメーションで表現される |
Hugh Jackman(X-MENウルヴァリン役)主演の、吸血鬼ハンターを題材にした同名の映画をゲーム化した作品。映画は北米では5月7日より封切りとなった。3人称視点のアクションゲームで、プレーヤーは主人公Van Helsingを操って、全13ミッションを駆け抜ける。
モンスターは全22種、ボスは8種類。武器は刀、2丁拳銃などで、ゲームの雰囲気やアクションの感じは「デビルメイクライ」や「鬼武者」を連想させる。
ステージ構成、ストーリー進行は映画ほぼそのままとなるが、一部のモンスターの種類、一部のステージロケーションは映画+αとなる。
プラットフォームはPS2、Xbox、GBAで北米では発売中。日本では映画が9月7日に公開予定で、このタイミングで字幕日本語化してPS2版のみを発売する予定。
キャラクタの造型はHugh Jackmanをベースにしてデザインしたものになっている |
舞台は'30年代と2030年代とのデュアル構成で、今作のストーリー自体は公開予定の映画「AVP」や過去2作品のプレデター映画とは関連しない。人間ハンティングに訪れたプレデターが、プレデターテクノロジーを我がものにしようとするハイテク企業や犯罪組織と対決する。
過去のプレデターものゲームとは異なり、3人称視点を採用。サブタイトルにもあるようにコンクリートのジャングル、すなわち摩天楼を忍者のように飛び渡っていくジャンプアクション表現にも力が入っている。
プラットフォームはPS2とXbox。北米での発売時期は2004年第4四半期。日本での取り扱いの予定は今のところ低いという。
ブーメランディスク、エネルギーキャノン、光学迷彩といったお馴染みのハイテク武装を駆使し、小ずる賢い人間共を狩りまくる |
3Dシューティングゲームの名作「TRIBES」シリーズの最新作。シングルプレイは銀河帝国のお家騒動をシネマティックかつスペースオペラ的なアドベンチャーゲームスタイルで構成。対するマルチプレーヤーでは最大32人の大規模なオンラインバトルが楽しめる。
「TRIBES」といえば滑空(Ski)アクションと乗り物。今作でもこのフィーチャーは健在。マウスの右クリックでバックパックからジェットを噴射、スペースキーで重力の落下スピードを前方移動エネルギーに変える地上滑空操作は独特な浮遊感があり気持ちがよい。これを駆使したスピーディかつ立体的な銃撃戦はマルチプレイを盛り立てることだろう。また今作では、滑空中に、ワイヤーフックショットを壁や木々にからめてのターザン風スイングアクションも追加されていることが明らかとなった。
3Dシューティングに乗り物の要素を持ち込んだ元祖ともいえる「TRIBES」だが、今作も乗り物の新しい使い方を提案する。それは基地として機能する乗り物だ。大型の乗り物は複数の兵で利用することができ、その重火器を使って拠点防衛ができるようになるのだそうだ。また弾薬の補充などもここで行なえるようになり、ある意味前線基地として機能できる。この大型乗り物の進退が戦局に影響を与えることに間違いはない。
ゲームエンジンはUnrealエンジンの独自強化版を採用。キャラクタディテールの表現に法線マップを駆使し、水面のさざ波表現にはプログラマブルピクセルシェーダを活用する。担当者によれば「GeForce 4 Tiクラスがあれば、グラフィックス表現のほぼ全てが楽しめるはず」という。
発売は2004年内を予定。プラットフォームはPC版のみ。日本での取り扱いの予定はあるが、英語版日本語マニュアル付きの形態になる見通しだ。
1人称視点、3人称視点をシームレスに切り替え可能 |
プラットフォームはPC、Xbox、PS2。北米での発売は2004年第4四半期。日本での発売予定は未定。
ミニゲームはモグラたたき系、射的系など単純なものばかりで、カジュアルに楽しめる |
プラットフォームはPS2、Xbox、GC。北米での発売は2004年第4四半期を予定。日本ではPS2とGC版の日本語版の発売が予定されている。
開発はNIHILISTIC SOFTWARE。物理エンジンにHavok2.0を採用 |
日本語マニュアル付き英語版を出した後、日本語版を出すことを検討中 |
(2004年5月16日)
[Reported by トライゼット西川善司]
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