Electronic Entertainment Expo 2002現地レポート

会場：Los Angeles Convention Center

■ 都市育成ゲームの真打「SimCity4」

　「SimCity」シリーズは、何もない土地に一から住宅地や商業地、工業地を設置することで、徐々に建物や人口が増えて都市を形成していく、箱庭作り風の都市育成ゲームである。住宅地と商業地、そして工業地にはそれぞれ需要があり、人口過多になったり、もしくは人口が足りなかったりすると十分に都市は成長しない。道路を敷いて人々が行き来しやすくし、消防署や警察を作って治安を良くし、工業地区の公害が住宅地に及ばないような設置を心がけ、教育に力を入れたりして、健全で住みやすい都市を作るのだ。

　プレーヤーは都市の市長として、都市計画や治安維持などに努めながら、税収を上手に使って赤字にならないよう気を配らなくてはならない。いわば、都市を経営し拡大していくゲームなのである。最新作である「SimCity4」でも、この基本システムは変わっていない。人口、働き先、環境などのバランスをとりながら、税収を使って都市を拡大していく。

　過去のシリーズと比べて一番変わった点は、まずフル3Dになったこと。シームレスにズームイン・ズームアウトが可能な細かく3Dで構築された世界は、空から眺めるとまるで実在する都市のようだ。一年半かけて作ってきただけあって、米粒のような消防士が火事に駆けつけて消化したり、建物を壊すと粉々になったり、とにかくディテールにこだわっている。

　過去作品をプレイした時のことを思い出して、いくつか気になる点を聞いてみた。

　前作「SimCity3000」では、都市にエッフェル塔や東京大仏、ビッグベンなど、実在の観光名所的建物をランドマークとして建てられたのだが、特に効果がなかったのが不満だった。「SimCity4」では、この点が改善されており、今回はランドマークの種類によって商業地区の成長率があがったり、まわりの土地の価値が上がったり、さまざまな特典がつくようになる。

　マップ内にはどんな交通機関が作れるのかと聞いたところ、ハイウェイ、スーパーハイウェイ、エアポート、地下鉄などを作れるという。しかも、交通量は昼と夜とで違ったり（住民達の通勤時間などが関係している）、交通事故が起こったりもするらしい。

　また、今作は「The Sims」のキャラクタをインポートできるとアナウンスされていたため、具体的にどんなメリットがあるか聞いて見たところ、「Just for fun（お楽しみ要素なんだ）」という答えがかえってきた。要は、愛着があるシム（キャラクタ）を自分の都市に住まわせて感想を聞けるということらしい。そのシムをまたシムピープルに戻しても何も変わらないようだ。ただし、インポートしたキャラクタに焦点をあてて、その暮らしぶりを追いかけて見られるという。

　また、これは過去作をプレイした人向けの情報だが、住宅地や工業地などの各種土地をドラッグで設置するとき、エリアには大きさに合わせて自動的に道路も含まれるようになった。いちいち考え抜いて慎重に慎重を重ねた配置でなくとも、アバウトな設置もできるようになっているのだ。

実際のサンフランシスコを模したマップ	市長の指示した場所に消防隊が到着	夜になると建物の窓から明かりがこぼれる

火山などの災害で街がメチャクチャになることも	マップ作成ツールでは土地を好きなように変えられる	本当にアメリカの街並みを見ているかのよう

ズームインするとこのように細かいところまで見られる	住人達の需要を見ながら都市を徐々に拡大していく	細かなところまで表現された建物の数々

隣のエリアとは人口の流入流出などがある	ランドマークのアルカトラズ刑務所	都市の真上に災害の隕石が落ちてきたところ

隕石が当たった後は、建物がすっかり壊れている	災害はほかにも火事や竜巻などがある

郊外の高級住宅地。同じエリアの建物でも見た目はことなる	地区を設置したエリアに徐々に建物が建っていく。足場が組まれ、徐々に建物が高くなる様子が見てとれる

■ ご近所さんは皆プレーヤー「The Sims Online」

　何千人ものプレーヤーがインターネットを通して接続する仮想世界。そこでの生活を楽しむオンラインゲームが「The Sims Online」だ。そこでは剣や魔法やモンスターがない代わりに、食事をし、働いて稼ぎ、トイレに行き、そして近所づきあいをするという、現実社会をデフォルメしたかのような世界が広がっている。

　徹底的に日常性にこだわったユニークな世界の中、自分とは全く別の、もしくは自分そのものといったキャラクタを操作して、他のプレーヤーと交流したり、自分の家をカスタマイズしたり、商売を始めたりしながら自分の好きな人生を送るのが目的だ。仮想人生を楽しむネットワークゲームなのである。

　「The Sims Online」の世界では自分の土地を所有でき、家、カジノ、プールバー、ブティックなどありとあらゆるものを作ることができる。大きくて豪華な建物ほど所有する際の維持費がかかるのだが、それを賄うために、他のプレーヤーがお金を使うようなオブジェクト（スロットとか屋台とか）を置くなどして稼げばいいし、ルームメイトと部屋をシェアしてお金を節約したりもできる。自由度が高く、プレーヤー同士の行動が相互に作用するもポイントだ。

　ゲーム内には、「The Sims Online」の世界の中で知らない人と交流を持ちやすいように、さまざまな工夫がなされている。例えばフレンドリスト系のゲーム内ツールは単に仲間を登録したりメールを出したりするだけでなく、キャラクタ同士の関係も人目でわかるようになっている。「The Sims Online」では、知り合いを増やすことで、社会の中の自分の位置が徐々に形成されていきし、そういったメリットを自ら拒絶して孤独に暮らす自由も与えられている。

　また、踊ったり挨拶したりといったキャラクタ自身のアクションのほかに、対プレーヤーキャラクタへのアクションも豊富で、例えばキスしようとすると、相手側に自分の顔アイコンとともにスマイルマークとお断りマークが表示され、それでキスへのYES or NOを表現できるようになっている。

　今回のE3では、クローズドブース内で、この類まれな仮想世界を体験することができた。メニュー構成やインタフェースまわりなどもかなり固まってきていて、後は、単なるチャットソフトで終わらないゲーム性がどれくらい出てくるかといった感じだ。サービス開始時期は2002年第2四半期予定とされている。

キャラクタのボディーパーツも豊富に用意	千夜一夜風のダンスクラブを経営	プレーヤーが不動産屋を経営できるのか!?

ダンスアクションだけでもこれだけの数	一度行ったことのある場所などもすぐわかる	エリア内でのお金持ちや熱い恋人達のランキング

ゲーム内でメールのやりとりが可能。これはルームメイトへのお誘い	ほかのキャラからのアクションに左上のアイコンで答える	同じマップ内にいるプレーヤーキャラは画面右下に表示される

■ フル3Dに生まれ変わったPS2「The Sims」

　「The Sims」は現実社会を模した世界の中で、ゲーム内キャラクタの“シム”達を操作して、食事し、眠り、働かせ、近所づきあいやパートナーとの愛憎などに気をつけながら健康的で楽しい生活を送れるようにする、人生シミュレーションゲームだ。

　その人気シミュレーションがプレイステーション 2で装いも新たに登場する。基本的な考え方―シム達に快適な生活を送らせる―は変わらないが、PCの「The Sims」とはPS2への移植ということで、キャラクタはレベルベースで成長していき、操作方法もコントローラーで遊びやすいように変えられている。

　また、PCのグラフィックが擬似3D風だったのに対し、PS2は完全3Dグラフィックに生まれ変わっており、ズームイン・アウト、回転などが自由自在だ。さらに、PS2ならではフィーチャーとして、2人同時プレイやメモリカードにデータを記録して、他のプレーヤーの環境で遊べることなどが盛り込まれている。

　単なるベタ移植にとどまらないPS2用のアレンジは、初めて「The Sims」を経験する人には遊びやすく、すでにPC版でプレイしている人にも新鮮に映るはずだ。2002年の秋に発売を予定している。

フル3Dになり、キャラクタの顔もカスタマイズ可能に	家の中を歩くシム。ルームメイトはパソコンで遊んでいる	キッチン風景。料理をしようと冷蔵庫の中を覗くシム

鉄板焼きを他のシムにふるまうオブジェクト	コントローラー表。アナログスティックと□ボタンでシムが移動する

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□E³のホームページ
http://www.e3expo.com/
□「SimCity4」公式ホームページ
http://simcity.ea.com/simcity4/
□「The Sims Online」の公式ホームページ
http://thesimsonline.ea.com/home/
□「The Sims」PS2版公式ホームページ
http://www.ea.com/eagames/main/ps2/sims/
□関連情報
【5月22日】世界最大規模のゲームショウ「E3」いよいよ明日開幕
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020522/e3pre.htm

(2002年5月24日)

[Reported by 西尾ゆき]