Electronic Entertainment Expo 2002現地レポート

Microsoftブースレポート(PCゲーム編)
「Age of Mythology」をはじめバラエティに富んだ大作が目白押し

会期:5月22日~24日(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 世界中の有力ソフトウェアメーカーがブースを連ねるSouthホールで昨年と同じく最大のスペースを確保したMicrosoft。ブース構成はPCとXboxで半分ずつ使用し、圧倒的な集客ぶりを見せていた。サードパーティー製も含めXboxの新作を固め打ちしていたXboxエリアは別記事でお伝えすることにして、本稿ではPCゲームの新作情報をお届けする。


■ Microsoftが突然の戦略転換 第1弾は「Rally Sports Challenge」

 米Microsoftは、Xboxの発表以来、「PCとXboxは、各ハードウェアの特性に応じて、発売タイトルの棲み分けを行なっていく」とアナウンスしてきた。つまり、各タイトルごとにそのゲーム性をフルに発揮できるハードウェアを選び抜き、ハードウェア特性を最大限に活かしたチューンナップを行なった上で発売していくという戦略である。同一タイトルを複数のゲーム機に提供するマルチプラットフォーム戦略とは対局に位置する同社らしい独自戦略である。

 この戦略は今年2月に同社が主催したプライベートショウInternational Game Festivalでも再確認されたが、Microsoftのゲーム部門“Microsoft Game Studios”はXboxからPCへの初の移植タイトル「RalliSport Challenge(Xbox版は国内で6月13日発売予定)」を出展。初日に行なわれた新作ブリーフィングで「今後はプラットフォームの選択肢を増やしていく」とあっさり戦略転換を認めるコメントを発表した。

 「RalliSport Challenge」は、ここ数年新作がなかったレースゲームジャンルの新作タイトル。ForceFeedback Wheelの発売元としては、何が何でも出さざるを得なかったということだろう。しかし、このブレイクスルーにより、今後同社のゲームタイトルがPCとXboxの両対応で発売される可能性が出てきた。今年のE3のキーワード「ネットワーク対応」という点も絡め、今後の展開が気になるところだ。

 「RalliSport Challenge」は、最新の3Dグラフィックテクノロジを投入して開発されたラリーレースタイトルで、Xbox版との違いは最大4人までのネットワークプレイに対応しているところで、基本的にはXbox版の完全移植。開発は「Rally Masters」、「NASCAR Heat」などの開発元として知られるスウェーデンのゲームデベロッパーDigital Illusionsが担当している。同社は現在Xbox向けに「Midtown Madness 3」の開発を行なっており、今回の動きからすればPC版の発売も充分にあり得る話だ。

【Rally Sports Challenge】
欧米ではすでにXbox版が登場しているためか、海外メディアの反応はいまいちだった。Hill Climbなど4つのゲームモードが用意され、運転できるラリーカーはAudi、Citroenなど29種類。3Dサウンドに対応するほか、GeForce 4クラスのビデオカードならXbox以上のビジュアルでレースが楽しめるようだ。発売時期は今冬を予定


■ Microsoft一押しの「Age of Mythology」含む10本を出展

「Age of Mythology」。この豪壮華麗な世界を自宅で手軽に楽しめる。なんと贅沢なエンターテインメントだろう
 さて、今回Microsoftは10タイトルを出展。IGFでの出展タイトルから「Dungeon Siege」が抜けて、代わりに「Rally Sports Challenge」が加わっただけで、あとのラインナップは同じだ。一番の注目株は特等席を与えられたファンタジーリアルタイムストラテジー「Age of Mythology」、2番手は大作MMORPG「Asheron's Call 2」、3番手は第二次大戦ものの正統派コンバットシム「Combat Flight Simulator 3」といった感じだった。いずれもIGF出展当時より完成度が増して、フリーで自由にプレイすることができた。

 IGFレポートで「いよいよ完成間近」と書いた「Age of Mythology」は、実はまだまだ進化を続けていた。初日の朝に同作のリードデザイナーBluce Shelly氏がブース内で挨拶を行ない、ついに完成したオープニングムービーを公開した。内容は、まず最初に初代「Age of Empires」のそれを彷彿とさせる古代兵同士の奮戦が描かれ、途中からMythological Creature(神話上の生物)が登場し、古代兵をばったばったとなぎ倒していく。「おおっ」と思わせたところで小高い丘の上に巨大な神が出没し、兵士の大軍に向けて火球をぶん投げる。といった具合に神々の代理戦争になっていく。大迫力のムービーだった。

 新要素としては半人半神のDemi Godというユニットが新しく追加されていた。Demi Godはゲームに登場する3つの文明(ギリシャ、エジプト、ノース)とは離れたユニットで、プレーヤーの行く手を阻むNPCとして登場する。これで「Age of Mythology」にはGod Powerを操るGod(姿は見えない)、Demi God、Mythological Creature、Hero、一般兵の5種類が登場することになる。

 神に祈りを捧げることで得られるGod Powerは相変わらず強力で、画面いっぱいの敵ユニットを一撃で吹き飛ばしていた。God PowerやMythological Creatureの強力な一撃を食らった一般兵は、文字どおり空に浮かび上がって遠くまで飛ばされる。ユニットの攻撃アニメーションも実に多彩で、3Dグラフィックのメリットを最大限に活かした演出が魅力的。堂々たる大作に仕上がりそうだ。

 あと、今回特に進化の跡が見られたのが来春発売予定のヒストリカルRTS「Rise of Nation」。ゲームの概要についてはIGFレポートで詳しくお伝えしたとおりだが、E3バージョンはそれらゲーム要素が実際に組み込まれ、そこそこ進化したCPUを相手にスカミッシュを楽しむことができた。「Rise of Nation」は、「Age of Empires」、「Age of Empires II」の2作が確立させたスポーツ性の高いマルチプレイ重視のRTSのメインストリームを受け継ぐ意識が濃厚に感じられるRTS。その雰囲気から、Microsoftが実は同作を「Age of Empires III」までの繋ぎと考えているのではないかと思われるほどだ。

 ちなみにAoMは、その点ではシングルプレイ、マルチプレイをバランス良く配合し、RTSの楽しさを再確認させてくれる作品に仕上がっている。シングルプレイキャンペーンは、シナリオ、イベントムービーなどがしっかり作り込まれ、前2作に比べ格段に充実した一方で、戦闘部分にランダム要素が多いうえに、ユニットの性能差がありすぎて、常に完勝を求めるマルチプレイユーザーにとってはややとまどいのあるゲームデザインとなっている。

 この点、「Rise of Nation」は戦士ひとり、市民ひとりをしっかり戦力に換算しうる、オーソドックスなRTSをベースにしており、その上でユニークな要素をたっぷり加味している。このため、非常にとっつきやすく、スピーディーなゲーム展開とも相まってさくさくプレイできる。基本はAoEシリーズと同じで、堅実な内政作業を重ね、徐々に軍備を整えていくスタイル。資源は食料、木、金から集め始め、時代の進化を重ねていくと、その時代の兵装に即した金属、石油といった資源が採取可能になる。

 同作の大きな特徴のひとつが「Knowledge(知識/見聞)」の要素で、中世以降の時代の進化やテクノロジーの研究に必要となる無形の資源だ。Knowledgeの獲得は大学で学者を雇用し、研究させるか、フィールド上に点在する遺跡のたぐいを発見することで獲得することができる。Knowledgeの獲得は手段こそ手軽だが、貯めるには時間がかかり、Knowledgeの獲得速度が時代の進化スピードに直接結びついている感じだ。

 このほか、フィールドにはレア資源が点在しており、商人を派遣することで自国にさまざまな利益をもたらすことができる。また、本作に国境があるのは前回のレポートでも触れたとおりだが、これは街の中心を建てることで広げることができ、中心間を交易ユニットに行き来させることで金を獲得できる。敵の中心を陥落させるとオセロのように国境を一気に広げることができるなど、システムの綿密な連携と戦略性の高い国境紛争が醍醐味だ。確実に2003年の台風の目となる大作RTSだ。

【Age of Mythology】
プレイするたびにまったく違ったドラマが味わえるファンタジーRTS「Age of Mythology」。そろそろ登場ユニットの一覧が知りたいところだ。発売時期は2002年10月

【Rise of Nation】
凄まじいポテンシャルを感じさせる「Rise of Nation」。古代から現代までという幅広い時代設定を扱う本作だが、かなりテンポ良く進化させることができる。発売時期は来春を予定

【Combat Flight Simulator 3】
第二次世界大戦を舞台に空中戦を思う存分堪能できる次世代コンバットシム「Combat Flight Simulator 3」。ゲームの詳細は別記事にてお伝えしたい。発売は今秋だ

【Asheron's Call 2】
グラフィックは今回のE3出展タイトルのなかでもピカイチの「Asheron's Call 2」。ファンタジーMMORPGとしては珍しくリアルタイムバトルを採用し、攻撃や防御のタイミングをプレーヤーが決めることができる。発売時期は今冬を予定

【Freelancer】
いまだ完成の見えないスペースアクションアドベンチャー「Freelancer」。エピックスケールで再現された壮大な宇宙空間で劇的なドラマが堪能できるというが……。発売時期は来春を予定

【Impossible Creature】
研究室で生み出した合成生物で部隊を編成し、戦闘を行なっていくユニークなリアルタイムストラテジー「Impossible Creature」。システムのシンプルさが受けたのか、来場者の反応も上々だった。発売時期は2003年初頭を予定

【Links 2003】
Microsoftの定番ゴルフシミュレータシリーズ最新作「Links 2003」。ゴルフゲームとしては珍しく3Dサウンドに対応し、GPSデータを使いリアルなコースを再現するなど、細かいリアリティの追求に力が注がれている。発売時期は今冬を予定

□E3のホームページ
http://www.e3expo.com/
□E3のホームページ
http://www.microsoft.com/games/home/default.asp
□関連情報
【2002年3月1日】いよいよ完成間近!! 鮮やかな神の力がプレーヤーを虜にする ファンタジーRTS「Age of Mythology」、ほか2本
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020301/igfaom.htm
【2002年2月28日】RISE OF NATIONS~ポストAGE OF EMPIRES!  18文明が繰り広げる軍事、経済、技術戦争
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020228/migf02.htm
【2002年2月28日】Microsoft International Games Festival  初公開タイトルを含めて、10作品を展示・デモ
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020228/migf1.htm

(2002年5月22日)

[Reported by 中村聖司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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