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Taipei Game Show 2008現地レポート

台湾ホビーショップレポート。店舗からあふれ出る日本文化を見た!
台湾の“オタクの聖地”や、台湾のガンダムファンの総本山を訪問

【Taipei Game Show 2008】
1月24日〜28日開催

会場:台北世界貿易中心

入場料:大人200台湾ドル(約700円)
子供100台湾ドル(約350円)

 1月25日にTaipei Game Show 2008で行なわれた「デジタルコンテンツフォーラム」の富野由悠季氏の講演に参加して、改めて台湾ユーザーの中の「ガンダム」そして「アニメ作品」への想いの強さに気がつかされた。それは筆者を含めた“ガンダムファン”の想いは国籍を超え、確かにその場所で共感できた感触を得た。

 台湾のガンダムファン、筆者が共感してしまうような“台湾のオタク達”はどのような環境の中で、日本のコンテンツにここまで強い興味を持つようになったのだろうか。台湾にはバンダイの海外直営店「GUNDAM BASE TAIPEI」があり、それ以外にもおもちゃ屋がひしめく一角があるという。今回はこういった場所を訪れて、特に”おもちゃ”に焦点を当てて台湾のオタク達と日本のコンテンツとの接触を調べてみたい。

 「ガンダム」というムーブメントに“おもちゃ”の要素は欠かすことができない。「ガンダム」は「ガンプラブーム」に代表される爆発的なプラモデルブームをきっかけに、劇中のイメージを忠実に再現するのにとどまらずさらに発展させ、膨らませていった。日本のおもちゃ史において、「ガンダム」は大きなターニングポイントとなった。現在日本のおもちゃはデザイン、耐久性、コレクション性において他国の追随を許さないコンテンツへと成長した。その進化にガンプラが果たした役割は大きい。そんな日本のおもちゃに台湾の子供達、そしてオタク達はどのように触れているのだろうか。


■ フィギュア、プラモデル、カプセルトイ……日本の文化を濃厚に受け継ぐ台湾おもちゃ専門店

地下道の一角におもちゃ屋、ゲームショップ、書店やDVDストアが固まっている台北地下街。何種類もの商品を扱う複合店舗も多い
正規輸入品は必ずシールが貼られている。並行輸入品も多かった
 おもちゃ屋訪問で最初に向かったのは、「台湾ゲームショップ特別レポート 完全保存版 Ver.2」でも紹介している「台北地下街」である。台北地下街はゲームショップがいくつもあり、店舗に設置したモニタに子供達が自宅から持ってきたハードを持ってきてゲームをしたり、携帯ゲームでの対戦を楽しむというような「子供達の社交場」となっている。ショップの周辺にはおもちゃを置いてある店も多かった。

 まず最初に圧倒されたのは、その「数」である。台北地下街の一角にゲームショップ、おもちゃ屋、書店が数メートル間隔であり、ゲームや漫画、おもちゃが好きな人は思わず興奮してしまう場所になっている。

 ここ数年、日本では年齢の高いユーザーを対象にした商品の充実が著しい。かつては限られた技術を持つ人のみを対象に販売されていたが、メーカーの製造技術の向上や海外の生産工場の開拓などにより安価で、大量に、フィギュアやプラモデルに近い質の高い“彩色済み完成品”として販売することが可能になった。これにより以前と比べ小さな玩具製造メーカーが市場参入することが容易になり、アニメや漫画をモチーフとしたフィギュアや完成品のロボット玩具の販売が爆発的に増加した。

 現在ではコンビニですらロボットや様々なジャンルのおもちゃが売られるようになっている。“おもちゃ”にあまり興味のない人も、都市部の大型電気店の玩具コーナーや、大型玩具店などででフィギュアやロボットを見かけることが多くなっているはずだ。

 台湾のおもちゃ屋はこの流れをそのまま取り入れた品揃えが多かった。カプセルトイやコンビニで流通する小さなフィギュアが狭いスペースにいっぱい配置され、棚の上にはアニメやゲームの女の子のキャラクタフィギュアが置かれている。1つの製品の数は少なめだが、その種類はびっくりするほど多い。箱も含めて全てが日本語表記のままで、価格は日本より高い並行輸入品ばかりだ。

 その中で「ガンダム」のプラモデルなど一部の商品は正式にメーカーから販売されていた。これらには正式販売の品はシールが貼ってある。とはいえシール以外の箱の説明書きや中の組み立て説明書などはすべて日本語版そのままだ。価格を抑えるための措置ともとれるが、「ガンダム」のプラモデルなどは劇中の機体の解説など細かく記載されていて、1つのコンテンツとなっているため、日本語に堪能でない台湾ユーザーがそれを楽しめないのは少し残念なところだろう。


■ 「聖闘士 星矢」が大人気、ミリタリーモデルや専用の工具を置く硬派な店も

中央にあるのが「聖闘士聖衣神話」。多くの店舗で見かけた人気シリーズだ
日本マニアの台湾の人に有名な萬年商業大楼。下の階は時計などを売っているが特に4Fはおもちゃ屋が1フロアのほとんどを占めておりフィギュアやプラモデルなど様々なアイテムを購入できる
 次に訪れた台湾の繁華街、西門町にあるビル「萬年商業大楼」の4Fは知る人ぞ知る“台湾でのオタクの聖地”と呼ばれる場所でだ。ビルのフロア全体に日本のキャラクタグッズを扱う店が10店舗ほどひしめいている。台北地下街でのおもちゃ屋の数にも驚かされたが、こちらではさらにそこからおもちゃ屋だけを凝縮させたような場所だ。

 販売しているお店の傾向で面白く感じたのがバンダイから発売されている「聖闘士 星矢」のフィギュアシリーズ「聖闘士聖衣神話」の人気の高さである。このシリーズは原作に登場した戦士のキャラクタほとんどをフィギュア化するという壮大な構想を持っており、2003年のスタートから現在も新作が作り続けられている。このシリーズの中で12星座のそれぞれを象徴する聖衣(クロス)をまとう「黄金聖闘士(ゴールドセイント)」はこのシリーズを象徴する存在だが、日本では黄金聖闘士12人を並べて陳列している店はほとんどない。

 その理由はシリーズの販売スケジュールだ。聖闘士聖衣神話は黄金聖闘士が順番に発売されたわけでなく、1人目が2004年の4月に発売され、12人全員揃ったのが2006年2月だった。これだけの期間と品数を持ったシリーズは、在庫をあまり抱えられず、商品の入れ替えが激しい日本の玩具販売店では全てを店頭に並べるのは不可能に近い。ところが台湾の玩具店ではこの12人をまとめて店頭に展示している店が何軒もあった。必ずしも最新商品を全て店頭に並べる必要がなく、台湾ユーザーの好みを考えて前面に出た商品チョイスといえるだろう。

 おもちゃ屋の中の比較的大きな店はタミヤやハセガワといったメーカーの実在の兵器を扱った「スケールモデル」と呼ばれるジャンルのプラモデルも販売していた。アニメやカプセルトイが展示されている一角とは微妙に違う雰囲気がある。また、スプレーや接着剤、ニッパーなど本格的な工具も置いてあって、「自分で作る」ユーザーのニーズに応えた商品を陳列していた。

 多くの店舗は通りに面した場所にガラス張りのショーケースを設置し、その中に様々なアイテムを展示していたが、その多くは台座に値札を貼ったフィギュアやカプセルトイで、プラモデルはあっても「ガンダム」シリーズで塗装をしていない「素組み」の状態だった。日本の模型専門店ではオリジナルの塗装や1つの場面を切り取った「ジオラマ」を展示し、高い技術を持ったモデラー達の発表の場となっているが今回はそういった「見て圧倒される」ような仕掛けには出会えなかった。商品が店舗からあふれるほどに数が多いため、販売に繋がらないスペースを取る余裕はないのかもしれない。

 台湾や韓国では、「専門店街」というべき店舗形態がある。ビルの1フロアや建物の一角がまるまる1つのジャンルで固められ、小さな店舗が似たようなラインナップで商品を陳列する。今回のおもちゃ屋の集合体もそういったビジネスタイプの1つの形だなのだろう。その雰囲気は秋葉原の「ラジオ会館」に近い。そういえばラジオ会館にはホビーショップが数軒固まっている場所がある。

 台北地下街や萬年商業大楼はおもちゃ好きの年齢層の高いファンにとっては自分の好みの商品ばかりを集めた夢のような空間だと感じた。しかし一方で幼児向けや女児向けの商品がほとんどないのはやはり不自然に感じた。かろうじて周辺にぬいぐるみが置いてある店舗が1〜2軒あるだけ、という感じだった。筆者自身大型玩具店など行ってもそういったコーナーは素通りしてしまうのだが、やはり「バランス」が気になる。もしチャンスがあれば台湾のこういった専門店以外のおもちゃ屋はどういう商品があるのか、見てみたいところだ。

【台北地下街】
いくつもの小規模店舗がフィギュアやプラモデルを販売している。並行輸入品が多いようで日本より割高な値段設定だ

【山洲有限公司】
萬年商業大楼の中でも特に大きな店舗を構える山洲有限公司に取材にご協力いただいた。カプセルトイやフィギュアだけでなく、スケールモデルや工具なども販売している本格的な“模型店”であり、プラモデルの代理組み立ても引き受けているという


■ バンダイの高い技術と豊富なラインナップに圧倒される「GUNDAM BASE TAIPEI」

台湾のガンダムグッズの総本山である「GUNDAM BASE TAIPEI」。最新作のアニメの主役機がお出迎え
ジオン軍の基地をイメージしたジオラマ。台湾のプロモデラーが制作したという。電動ギミックが仕込まれており、ザクはベルトに乗ってジオラマの中で回転している
 今回の取材ではもう1つ、「GUNDAM BASE TAIPEI」にも行ってみた。台北の中心とも言える台北駅からほど近い場所で20メートルくらいの幅のある大型店舗だ。「GUNDAM BASE」とは海外に展開するバンダイの直営ショップで、台湾は韓国、香港に続いて3番目にできたという。

 圧巻なのが店舗の半分を占める展示スペース。プラモデルをはじめとしてアクションフィギュア、コンビニなどで購入できるミニフィギュアなど多くのアイテムが展示されている。商品の横には日本での発売日が書かれていて、全てがこのショップで手にはいるわけではないのだが、「日本ではどんなガンダムグッズが販売されているのか」がすぐわかる仕組みだ。

 展示スペースの中央には2メートルを超える「ガンダム」のフィギュアが3体飾ってある。感心させられるのが昨年取材した時と中央に展示されている「ガンダム」が違うところだ。中央の「ガンダム」は「ガンダムエクシア」、現在日本で放映中の「機動戦士ガンダムOO(ダブルオー)」の主役機である。現在台湾ではまだ「ガンダムOO」は放映されていないが、日本のスケジュールに合わせて変更されたようだ。

 ちなみに「ガンダムOO」のプラモデルはすでにこのショップでも販売している。プラモデルは日本から大体1カ月遅れで台湾に入荷されるとのこと。アニメに関しては「ガンダムOO」の前に放映された「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」は台湾でも人気を博したという。アニメは1年くらい遅れた形で放映されるようだ。

 「GUNDAM BASE TAIPEI」は年齢の高い人も来るが、小学生くらいのお客さんも多いとのことだ。最新作の「ガンダムSEED DESTINY」関係のプラモデルの人気が高い一方でコアなファンは「シリーズ第一作である機動戦士ガンダムが最高!」と、日本のコアファンと似たようなことを主張する人も多いという。「ガンダムの台湾での総本山」を一目見ようと全国から熱心なファンが訪れるという。

 「GUNDAM BASE TAIPEI」で販売されている商品の中心はガンダムのプラモデルだ。ガンダムは様々な作品が作られているが、そのプラモデルのラインナップは充実していて日本でもなかなかここまで広く網羅している店舗はないだろう。この他にも少ないながらも完成品アクションフィギュアの「MS IN ACTION」や「可動戦士」、「ハイコンプリートモデルプログレッシブ」シリーズなども販売されている。

 プラモデルに関しては「エヴァンゲリオン」や「ケロロ軍曹」なども販売されている。バンダイは「ガンダム」以外にも様々なキャラクタのプラモデルを置いているが、台湾で“ファン層がかぶる”ということでこのチョイスなのかもしれない。特に「ケロロ軍曹」は原作やアニメの中に「ガンダム」のパロディが多く、ガンダムファンならばニヤリとさせられることが多い作品だ。ケロロ軍曹達が乗るメカがバンダイのプラモデルになっている所などは「パロディが現実になった」ような奇妙な感触だ。

 「GUNDAM BASE TAIPEI」はバンダイというメーカーが、「ガンダム」という商品ブランドでどのようなおもちゃ文化を日本で展開しているかを“目”で確認できる場所だ。少し力を入れて語らせてもらえれば、接着剤がいらず、塗装をしなくても劇中のイメージを再現でき、かつ“耐久性”も併せ持つバンダイのプラモデルの高い技術は、他国の追随を許さないレベルである。

 特に昨今のモデルではこれまで以上に関節部分などの構造が強化されていたり、パーツの分解もより考えられ作る上での労力がずいぶん減少されている。「もうガンダムのプラモデルは卒業したよ」という人も試しに最新モデルを手にとって欲しい。「ガンダム」、そして「ロボット」をどうリアルに見せるかと、質が高く簡単に作るかを求め続ける制作者の熱い思いに感心させられるはずだ。ノスタルジーを求める人は古いモデルに挑戦するのも良いだろう。子供の時にわからなかったうまい組み立て方ができるかもしれない。

 「ガンダム」のグッズの強みは“現在”だけでなく、“過去”のモビルスーツもユーザーの心をつかめる点にある。初代のガンダムやザクは何度最新の技術でリメイクされ、新しい商品展開の第一弾になったかわからない。“現在の解釈”で作られる過去のモビルスーツをファンは受け入れていく。ここまでユニークな展開をしていくコンテンツは他にはない。この文化が台湾をはじめアジアで今後どのように浸透していくか、見ていきたいと思う。

店舗の半分を占める展示ブース。バンダイの商品展開の質と量に改めて驚かされる。登場するモビルスーツの年表なども貼ってあり、「ガンダム」の作品世界を学ぶことも可能だ
プラモデルを中心に様々なグッズが販売されている。台湾中から訪れるファンを満足させる豊富なラインナップだ

□Taipei Game Showのホームページ
http://www.gamania.co.jp/
□関連情報
【2007年2月12日】台湾ゲームショップ特別レポート 完全保存版
驚きの連続だった台湾コンシューマゲーム最新事情
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070212/tgs_shop.htm
【2007年2月9日】Taipei Game Show 2007が台湾台北市にて開幕
台湾タイトル豊作の年、ゲーム機はXbox 360が盛況
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070209/tgs_01.htm
【2004年2月7日】一般ユーザーとはちょっと違ったゲーマーが集う台湾「光華商場」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040207/tgs_s.htm

(2008年1月29日)

[Reported by 勝田哲也]



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