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会場:台北世界貿易中心
入場料:大人200台湾ドル(約800円)
■ ショウは15年目にして初の縮小傾向、台湾産タイトルは増加傾向
未出展の理由は各社それぞれだが、共通する部分は、Taipei Game Showの内容が、各国のゲームショウと比べてかけ離れていることが挙げられる。各ブースともに、大規模なステージを構え、分刻みで華麗な装いの女性ダンサーたちが登場し、大音量で派手なダンスステージを繰り広げる。ステージが終わると、ダンサーたちの撮影タイムが始まり、その後に、ようやくMCが登場し、クイズなどを出しながら集まった来場者たちにグッズをばらまく。最初から最後までゲームの紹介がない。「Taipei Showgirl Show」と揶揄する関係者もいるぐらいで、これでは本当のゲームファンに、自社のゲームタイトルが訴求できない、というわけだ。 もうひとつの側面としては、Taipei Game Showが国際規模のトレードショウではないということが挙げられる。台湾メーカーとしては、台湾だけではビジネスとして成立しにくい側面があり、台湾で成功する以上に、海外で成功させたいと考えている。しかし、Taipei Games Showでは、ワールドワイドのライセンサーにリーチできないというわけである。 Taipei Game Showは、パッケージソフトの展示即売会として誕生し、オンラインゲーム登場後は、ユーザーを囲い込むためのファンイベントの場となり現在に至っている。オンラインゲーム登場後はパッケージソフトは下火になり、流行後はファンイベントはオンライン上で事足りるようになってきた。その意味では、Taipei Game Showはその役割を終えつつある。ゲームショウとしてのプレゼンスをかけて、今後どのような進展を遂げるのか、注目されるところだ。 その一方で、明るい話題としては着実に台湾タイトルが増えてきている。初日に行なわれた台北国際電玩展交流酒会の黄TCA理事長の祝辞の中でも、台湾タイトルの成長が強調され、TCAの取り組みの一環としてオーストラリア、マレーシア、シンガポールといった新しいエリアとの交流も始め出したことが報告された。
昨年は「飛天online」、「ホーリービースト」、「ネットdeすごろく す~ぱぁ★リッチ」、「Love Box Online」、「Angel Love Online」といった台湾産のタイトルが日本に紹介されたが、今年はさらにタイトル数を増やしそうだ。新規の台湾タイトルについては、別稿にて詳しくお伝えするつもりだ。
■ 今年の目玉はMicrosoft TaiwanのXbox 360。日本タイトルが人気
台湾では、PS2、PS3、Xbox360の3つのゲームプラットフォームを中心にコンシューマ市場が形成されており、最大シェアはPS2ながら、現在もっとも勢いがいいのがXbox 360だという。その理由は、豊富なゲームラインナップとゲームアクセサリーだという。台湾メーカーのタイトルは未出展だったが、すでにXPECやSoftstarといった台湾メーカーが開発を表明しており、例年になく強気の印象だった。 今回出展されていたタイトルは、1万本以上のヒットを記録したという「Gears of War」を筆頭に、欧米日本のタイトルを中心にした全36タイトル。言語は、完全中文版、字幕のみ中文、日本語版、英語版と実にさまざまで、「カルドセプトサーガ」のようなテキストを含む日本のゲームも難なくプレイしていたのが印象的だった。このローカライズに関するこだわりのなさが勢いに繋がっている印象である。 ちなみにメインステージでは、バンダイナムコの「偶像大師(アイドルマスター)」の東京ゲームショウ用プロモーションムービーが繰り返し流されていたが、発売時期は未定だという。どうしてムービーが出ているゲームが発売日未定なのかというと、発売元との契約がまだだからだという。これとは対照的なのがSCE Asiaで、SCEでは、SCEの現地法人がパブリッシャーとなり、ローカライズやデバッグ、現地でのマーケティング、プロモーション、流通まで面倒を見てくれるという、一種の護送船団方式でアジアビジネスを展開している。
これに対し、Microsoftでは、ファーストパーティータイトルとElectronic Artsやテクモといったセカンドパーティー扱い以外のサードパーティータイトルは、台湾からその都度、その国のパブリッシャーと契約を交わす必要があるという。このためイリーガルな輸入販売が多く、ハードを売るMicrosoft Taiwanとしては困らないものの、ソフトウェアメーカーや正規のゲームショップがビジネスとして成立しにくくなる。SCE Asiaは、10年掛けて、この負のスパイラルを断ち切ってきたが、MSはこの問題にどう取り組んでいくのか。コンシューマ市場第2ラウンドの行く末にも注目が集まるところだ。
■ オンラインゲーム「Hellgate: London」と「World of Warcraft」一騎打ち。市場を牽引するのはやはりBlizzard系
さて、「World of Warcraft」のパブリッシャーは、昨年お伝えしたように台湾大手のSoftworldとBlizzardの合弁会社Game First。「World of Warcraft」は、日本を除く全世界で圧倒的なシェアを確保している他の追随を許さないモンスタータイトルだ。台湾では会員数100万人超、同時接続12万人を誇る。 今回Softworldグループは、ブースの大部分を「World of Warcraft」に割き、北米で1月に発売されたばかりの拡張ディスク「The Burning Crusade」を全面に押し出していた。ビジネスモデルは月額課金を採用し、月額450台湾ドル(約1,800円)、「The Burning Crusade」は無償で提供される。アップデート時期は、第2四半期を予定している。 一方、「Hellgate: London」のパブリッシャーは、これまではどちらかというと麻雀やトランプゲームといったオンライン賭博ゲームを展開するゲームポータルメーカーという印象が強かったFunTown。今夏の正式サービスに向けて世界中が熱い視線を送る「Hellgate: London」を獲得したことにより、一躍注目が高まったメーカーだ。 FunTownは、今回84コマという最大規模のブースを確保し、その全面を「Hellgate: London」のクローズドブースという形で出展していた。ブースの内部には60台もの試遊台がおかれ、そのうち40台はマルチプレイ、20台はシングルプレイという構成。ゲームクライアントはすべて繁体字版で、FunTownは繁体字を使う台湾と香港のパブリッシャーということになるようだ。サービス開始時期は不明確だが、今夏以降にクローズドβテストを開始する見込み。ビジネスモデルは未定だという。 この両社は、幸か不幸か通路を挟んで隣り合わせとなり、両社とも通路に行列を作らせ、頻繁にステージイベントを行なったため、通路は絶えず大混雑となった。この混雑を整理するスタッフもおらず、ショウとしては活況ではあるものの、ユーザー本意のショウではないと思った次第である。 もうひとつ、台湾で見えてきた傾向としては、日本では明らかに賭博法に抵触する賭博系のカジュアルゲームが急造しつつある。ビジネスモデルは、10元程度で一定のゲーム内ポイントを購入し、そのポイントを消費して麻雀やポーカーといったテーブルゲームをプレイする。負ければそのポイントはなくなり、勝てば総取りとなる。このポイントは、ゲームに使用するだけでなく、アバターアイテムの購入にも利用でき、ゲームの差別化はアバターキャラクタの部分で計るといった感じだ。
アバターキャラクタでの差別化は、リアル系がトレンドで、美男美女をベースに、高級な服装や、高価な服飾品、ナースや学生服、メイド服といったコスプレ、果ては下着姿まである。台湾のレギュレーションでは、下着姿までは全年齢対象ということで、さくっと脱いでしまうところがある。こうしたゲームを野放しにしつつ、アーケードゲームには厳しい規制を敷くなど、台湾のゲームに関するレギュレーションは一種不可解な部分がある。いずれにしても台湾のカジュアルゲーム市場は、部分的に危険な方向に向かっており、韓国でも昨年、賭博ゲームの大規模な摘発があったばかりだが、台湾でも今後一波乱ありそうな予感である。
□Taipei Game Showのホームページ (2007年2月9日) [Reported by 中村聖司]
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