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会場:秋葉原UDX
事業説明会は、「ラグナロクオンラインII」のサービススケジュールの発表を含むオンラインゲーム事業の今後の展開、ポータル事業等その他事業の今後の展開、そしてコンシューマ事業の発表の順に行なわれた。順番に紹介していきたい。
■ 「ラグナロクオンライン II」は8月16日クローズドβテスト開始、「グランディアオンライン」は2008年以降に延期か!?
森下氏はまず初めに、ガンホーの会社概要や沿革、グループ企業、事業内容についてたっぷり30分掛けて説明した。これは従来の発表会や説明会ではなかったケースであり、コンシューマ事業を開始するにあたって、新しくパートナーとなったメーカー関係者、あるいは将来パートナーとなる可能性のあるメーカー関係者も招待していたことを伺わせる。 既存タイトルについては、「ラグナロクオンライン」が6月22日で登録ID数が250万人を達成し、同社の主力タイトルとして根強い人気を誇っていることを報告。「エミル・クロニクル・オンライン」については、最初の自社オリジナルタイトルとして日本市場で成功を収め、現在は韓国Gravityを通して、韓国やタイでもサービスを行なっていることを報告した。 「タントラ」、「A3」、「ヨーグルティング」、「エクストリームサッカー」、「ポトリス2」に関しては、「すべてを説明していくわけには参りませんので」と実質的に何も語られず、「グランディアオンライン」についても新情報は公開されなかったのが残念だった。サービス開始時期については、森下氏は「2007年中」と発言していたが、カタログは当初の予定である「2007年」から「未定」に後退しており、「北斗の拳」の遅れの影響もあることから、年内のサービスインは厳しそうだ。 6月29日に再度サービス延期が発表された「北斗の拳 ONLINE」については、グラフィックスクオリティの向上と、カードバトルからリアルタイムアクションバトルへの変更を柱に現在再開発を行なっていることを明らかにした。「北斗の拳 ONLINE」は、ゲームアーツが主体となって開発が進められているが、新たにガンホーから人員を投入し、2007年中のサービスインを目指す。 6月29日に公式サイトがオープンした「ラグナロクオンライン II」については、“今夏サービス予定”としていたサービススケジュールを、「8月16日クローズドβテスト開始」と日時と内容を明確化し、7月12日より募集受付を開始することを明らかにした。対応OSは、Windows 2000とXPに加えて、Windows Vistaまでカバーする。気になる正式サービス開始時期やビジネスモデル、要求スペック等は未定のままとなっている。これらについては、韓国Gravityの発表と合わせてという形になりそうだ。 森下氏は、イ・ミョンジン氏のかわいらしい3Dキャラクタや菅野よう子氏の音楽、膨大な量のクエスト、より感情ゆたかになったキャラクタのエモーションなどを紹介し、「ラグナロクオンライン」に並ぶ大型タイトルとしてプッシュしていくことを強調した。 次にポータル事業として「ガンホーゲームズ」を紹介。会員数やアクティブユーザー数、売り上げ等については言及しなかったが、新規タイトルとして「花札」や「テキサスポーカー」、そして「ラグナロクオンライン」のパチンコ等を計画していることを明らかにし、収益モデルとして既存のアバター課金やコンテンツ課金に加え、サードパーティータイトルのディストリビューションサービスと課金代行サービスの準備が整ってきたことを報告した。現時点では「飛天オンライン」、「テトリスオンライン」、「女神転生 IMAGINE」の3タイトルのサービスが提供されているが、ディストリビューションサービスは、ポータルビジネスにおける欠かせない収益源のひとつとして今後大きな成長が期待される分野だ。
モバイル事業とMD(マーチャンダイズ)事業については、現状報告に留まった。現在NTTドコモ向けに展開されている「ラグナロクオンラインGAMES」と「エミル・クロニクル・オンラインモバイル」については、将来的にauやSoftbankにも対応していく方針を明らかにした。
■ DS3タイトルを自社パブリッシュ。まずは「アクアゾーンDS」から
その意欲は昨年から森下氏や取締役開発本部長堀誠一氏の発言から伺うことができたが、今年に入って具体的な動きが表面化してきた。まず2月に任天堂とのニンテンドーDSのライセンス締結、次いで5月の元元気取締役会長の浜垣博志氏のガンホー・モード代表取締役社長の就任、また同月行なわれた個人投資家向けの説明会で配布された資料にはニンテンドーDSタイトルを自社開発していることが明記された。 今回のコンシューマ事業の発表では、そうした2006年から同社が構想を練っていたコンシューマ展開戦略が初めてまとまった形で公開されたものとなる。参入プラットフォームにDSを選択した理由はやはり普及台数を上げ、かなり早いタイミングでニンテンドーDSへの参入を決め、DSありきでゲームの企画を立てていったという。 コンシューマ事業の基本戦略としては、従来のゲームアーツによるコンシューマゲームの受託開発に加え、新たにガンホー本体の自社パブリッシング事業並びに自社開発事業をスタートさせる。開発を担当するのは、子会社ゲームアーツに加え、ガンホー本体と浜垣氏率いるガンホー・モードをメインに、アウトソースも使っていく。基本的な分け方としては、ガンホーは「ラグナロクオンライン」等のオンラインゲームからの派生タイトル、あるいはヘビーなRPGタイトルを担当し、ガンホー・モードは、ガンホーゲームズの繋がりからカジュアルゲームを担当する。 森下氏によれば、コンシューマ事業においてグループ資産を有効活用していく方針としており、ジー・モードやブロッコリーといったグループ企業のコンシューマゲームがガンホーからリリースされる可能性もあるようだ。なお、開発元がいずれの場合でも発売元はガンホーとするが、流通まで自社で持つかどうかについては未定としている。 会場にはゲストとして開発パートナーとなるガンホー・モード代表取締役社長の浜垣氏が登壇し、「生活に豊かさや潤いを与えるようなタイトルを2、3本仕掛けていく。それ以外にもDSやPSPで様々なタイトルを準備している。PCやケータイへの水平展開も視野に入れて幅広いタイトルをグローバルに展開していきたい」と抱負を述べた。ガンホーゲームズの運営元とは思えない、ゲームデベロッパーとしてのコメントが印象的だった。 さて、今回発表された3タイトルは、いずれもニンテンドーDSタイトル。第1弾タイトルは「さかなと遊ぼう! アクアゾーンDS ~海水魚~」。開発はガンホーが担当し、発売時期は2007年12月を予定。価格は未定。 基本的なゲーム内容は、15年もの歴史を持つ熱帯魚育成シミュレーションゲーム「アクアゾーン」をベースに、DSらしい遊びと癒し、そしてWiFiを使ったオンライン要素を備えたゲームになる見込み。会場には、「アクアゾーン」シリーズの発売元であるイーフロンティアの代表取締役社長が駆けつけ、「ここ2年で北米市場で100万本近いセールスを記録している」と激励した。 第2弾となる「假屋崎省吾監修 フラワーアレジメントDS(仮称)」は、華道家假屋崎省吾氏監修による“いけばな”ソフト。開発元はガンホー・モードが担当し、2008年発売予定で、価格は未定。ゲストは同作の監修を務める假屋崎氏。假屋崎氏は、開発スタッフ3名が假屋崎氏の教室に入会し、楽しみながら学んでいることを披露し、「遊びながら学ぶことで、花のパワーをひとりでも多くの人に伝えたい」と抱負を述べた。 最後に紹介されたタイトルが「ラグナロクオンラインDS(仮称)」。開発はガンホーが担当し、2008年発売を見込む。森下氏自身が解説を行ない、基本的なゲームデザインはリアルタイムアクションを駆使したアクションRPGを想定し、アクションRPGとは別に、WiFiを使ったコミュニケーションツールとしても機能するようなゲームを想定しているという。 森下氏は具体例としてRJC 2007の写真を見せながら、待ち時間に知らないユーザー同士でコミュニケーションしたり、ステージイベントで活用できるような形を考えているという。オフラインイベントを多数手がけてきたガンホーらしい発想であり、もっとも期待されるタイトルだ。見込み本数については、「250万IDのコンテンツということから想定すると最低でも10万本」と、オンラインゲーム市場のメジャータイトルとしては比較的控えめな数字を挙げた。 ガンホーでは上記3タイトルのほか、大型教育タイトル、学習ソフト、カジュアルスポーツ、パーティーエンターテインメントなど、継続的なリリースを計画しているという。今後の発表が期待されるところだ。
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□ガンホー・オンライン・エンターテイメントのホームページ (2007年7月4日) [Reported by 中村聖司]
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