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★PSPゲームレビュー★
本稿では最大4人での同時プレイが可能な「Multiplayer」モードのレビューをお届けしたい。発売直前の紹介記事とあわせてご覧いただけば、より理解が深まると思うので、こちらも参照していただきたい。
■ 「Multiplayer」モードの特徴
「Multiplayer」モードは、1人がホストとなって、残る3人はホストの作ったゲームに参加するという方法で最大4人での同時プレイが可能となる。ゲームをスタートする際、「Single Player」モードでセーブしたデータを選んでロードすれば、そのデータで入手した武器を、「Multiplayer」モードに持ち込んで使用することができる。 「GAME MODE」では、「DEATHMATCH」、「KEEP THE MARK」、「LAST MAN STANDING」の3種類のゲームモードを選択すると共に、時間制限や持ち込む武器について設定する。3種類のゲームモードの詳細については、こちらを参照して頂ければと思う。 さて、ホスト側のみだがいくつかの設定が可能だ。そのうち代表的なものをチェックしてみよう。 まず、「PRESET ARMS」では、Freeと、4タイプのプリセットの武器を選択できる。「Free」を選択したときのみ、エントリー画面で全員が「PLUGINS」を選択可能となる。「PLUGINS」では、「Multiplayer」モード選択時にロードしたデータで収集した武器が一覧表示され、5種類までバトルフィールドに持ち込む武器を決められる。このとき武器のバージョンは、ロードしたデータのバージョンが適用される。
舞台の設定もホストが行なう。「BATTLEFIELD」では、「RANDOM」、「PRESET」、「MAP CODE」、「MAP LOG」という4種類から、マップの生成方法を選択できる。
このほか「Single Player」モードプレイ中に、乱入対戦を許可するか、不許可にするかを設定できる。「Single Player」モードでは、「CONTROL TYPE」や「FREE LOOK」など4項目に関する設定をオプションで設定できるが、これに加えて「ACCEPT CHALLENGE」という項目があり、マルチ対戦の受付をON、OFFで選択できる。基本はOFFになっていて、「Single Player」モードプレイ中に乱入されることはない。ONにすると、「Single Player]モードプレイ中に他のプレーヤーから対戦要求を受けることができる。 「Multiplayer」モードでは、戦績を蓄積してランクを上げていくのも楽しみのひとつとなる。「Multiplayer」モードのエントリー画面の「BATTLE LOG」では、「KILL COUNT」、「KILLED COUNT」などのほか、誰を相手に戦って何勝何負したか、トータルのゲーム回数などが確認できる。このほか、前述のMAP LOGなども、セーブして残すことができる。 ちなみに、「Single Player」モードで集めていくプラグインファイルだが、バトルフィールドからゲートをくぐってターミナル画面に戻らないと、プラグインファイルを回収した扱いにならずに消えてしまう。しかし、「Single Player」モードでプラグインファイル集めの途中の状態をセーブし、それをロードして「Multiplayer」モードを始めた場合、その時点で持っている武器全てを「Multiplayer」モードに持ち込んで使用できる。 「Multiplayer」モードを終えてセーブした後、同じデータで「Single Player」モードを再開すれば、最後に「Single Player」モードでセーブした状態から再開できる(ターミナルに戻されるといったことはない)ので、安心して途中のセーブデータに上書き保存できる。
■ 遊んでわかった「Single Player」との微妙な違い
「Single Player」と「Multiplayer」モードでは、バトルフィールド上での細かい決まりに、多少違いが見られる。 まず、リフトに関してだが、「Single Player」モードでは降りてくるリフトの下に入り込んで挟まれてもノーダメージだが、「Multiplayer」モードでは若干ダメージを受ける。そもそも、「Single Player」モードではリフトがプレーヤーの水平軸に合わせて移動するのに対して、「Multiplayer」モードでは勝手に上下しているため、うっかり下に入って、上から降りてきたリフトに挟まれるということが起こりがちなので、ちょっと留意しておいたほうがいい。 一定時間防御力や攻撃力をアップしたり、敵から視認できなくする「.utl」系のアイテムは、マップ内の固定の場所に出現し、誰かが取っても時間の経過で何度でも出現するので覚えておくと有利になる。またヘルスゲージの回復プログラム「Recovery」の回復量は一律250となっているので、かなり重要だ。 このほか、スタートボタンを押してバトルフィールドのマップの詳細確認ができない。画面の大きな違いとして、「Single Player」モード時には簡易マップが表示されている画面右上にはマップが無く、代わりにタイムの表示と、ランキングが表示される。ちなみにセレクトボタンを押すと、ランキング表示の各プレーヤー名の下に、何回倒して何回倒されたかという詳細な数字を表示できる。出しっぱなしにしておくと邪魔に感じるなら、確認するたびにセレクトボタンを押せばしまっておける。 操作に関しては、シングルとマルチに共通だが、特に「Multiplayer」モードで重要となる操作がいくつかある。まず、武器発射、およびリロードのモーションは、別の武器にチェンジすることでキャンセルできる。武器発射前にキャンセルすると弾が出ないので注意したいが、RPGなど1発ごとにリロードを要し、かつリロードに時間がかかるという武器は、撃ってすぐ別の武器に変え、さらにすぐに元に戻せば隙は減らせる。 また、右を向くボタンと左を向くボタン(コントロールタイプAなら、○ボタンと□ボタン)を同時押しすると、素早く背後に振り向くことができる。上を向くボタンと下を向くボタン(コントロールタイプAなら、△ボタンと×ボタン)を同時押しすると、素早く水平位置に戻せる。マニュアルには記載されていないが、重要な操作といえるだろう。 「同時に入力」というのは、タイミングはバラバラで構わない。片方のボタンを入力したままの状態で、もう片方のボタンに指をかけるようにすれば、振り向いたり、視界の水平位置を基本位置に戻したりできる。これらの操作、使うと使わないとでは、対戦でかなり差が出ることになりそうだ。 プレーヤーキャラクタの当たり判定に関しては、モデルに対してかなり忠実に再現されている。両足の間は当然弾が抜けるし、背景と足のギリギリ背景側を狙ってもヒットしない。ただし足に比べると若干頭部は大きめに作られているようで、頭部をズーム画面で見た状態で、頭部よりも一回り当たり判定が大きい。 ちなみに、「Multiplayer」時もヘッドショットは有効だが、こちらの攻撃の種類と相手の防具の種類の兼ね合いもあるため、一概に一定ということはない。
■ 「Multiplayer」モードは「Single Player」モードの経験が活きる
これは多くのFPSがそうであるように、対人戦は「Single Player」モードとは異なる緊張感が漲っていて、非常に面白い。編集部でプレイした中では、特に序盤、姿を透明化する「.utl」である「Invisible」を取って、こっそり接近してショットガンを撃ったり、スナイパーライフルで狙撃するといった方法が対人戦ならではの狡猾な方法で、めちゃくちゃ有利だった。 ただこの「Invisible」、ほかのプレーヤーから視認できなくなるが、ロックオンサイトが合わさったときにはプレーヤー名が表示されるため、およその方向はバレてしまうほか、ウィルスに侵された状態では完全に消えることはできないので油断できない。 マップはランダム生成なので、入り組んでいて出会い頭に鉢合わせするような箇所がたくさんあるマップもあれば、広くても一望に見渡せるので比較的楽に感じられるマップになることもある。「LARGE」を選んでいるのにさほど広くない印象のマップになることもあれば、逆に「MEDIUM」を選んでも入り組み度合いが高くて意外に広い印象を受けるマップになることもあった。面白いマップが生成されたときには、マップのログを選んだり、コードを控えておくことで何度もプレイできるというのは非常にかゆいところに手が届くいい方法だと思う。 個人的には、マップ内のアイテムの出現率や、一度取ってから次に出るまでの時間なんかも多少選択の幅があれば尚良かったように思わなくもない。また、ヘルスゲージの上限設定が、武器の選択によって決まってしまうところは、独立して選択できても良かったんじゃないかなと思う。 とは言え、現状のルールでかなり盛りあがって対戦できるのもまた事実。セットの武器を使って、ライフ上限100で対戦することになると、威力の強い武器をまともに食らうと2発ほどで倒されてしまうし、透明化ユーティリティファイルの存在があったりと、集まってワイワイ対戦するのにはまさにうってつけ。 プリセットのA~Dの武器セットを使う場合は、全員が同じ武器を持っている分、自分の武器を見れば相手の仕掛けてきそうな攻撃が予測できる。爆発した後に火炎が広がって判定のある「Napalm_LCH」などを持っている場合は、あまり壁際をキープするのはよろしくないだろうといった予想がたつ。また、投擲系武器の「.cbx」は、対戦の混沌とした状況だと、爆風にまぎれて転がすなどすれば意外にひっかかりやすかった。豪快に火炎をまき散らす「Salamander」など、「Single Player」モードをわりと先に進めないと手に入らない強力な武器を使用できることも、ちょっと嬉しい。 Freeの場合は、持ち込む武器は好みによるところ。ただ、「Single Player」モードとはちょっと違った使い方を考えると対戦での使い道を見出せる武器がある。例えば「Virus_PSTL」などは、ヒットした相手を感染させると、体力を徐々に減らしていくわけだが、フィールド上にはウイルス状態を治癒するプログラムが無いので、これは食らうとかなりイヤな感じだ。ちなみにウイルスによって体力を削って倒した場合、ウイルス弾を撃ったプレーヤーのKILL数には計上されないが、倒されたプレーヤーにはKILLEDとして計上される。DEATHMATCHでは、成績のいいプレーヤーの足をひっぱるのに意味があると言えるほか、前述のとおり「Invisible」の効果を無にするエフェクトがつく。ただし、ウィルス状態にさせるには、ある程度近距離で攻撃しないと確率がかなり落ちる。 「Single Player」モードでやり込んで重ねた経験は、「Multiplayer」モードでの戦いを有利にする。例えば32発装填のアサルトライフルは、武器を発射するボタンを押しっぱなしで連射するのが特徴だが、長い間押しっぱなしにしていると集弾率が落ちる。少し撃ってはボタンを放すようにすると、使い勝手が格段に良くなる。 また、「.cbx」は他のFPSをプレイしている人はわかると思うが、ボタンを押しっぱなしにすることで投擲距離を伸ばすことができる。こういった点に「Single Player」モードを遊んでいるときに気付いて練習していたかどうかが、「Multiplayer」モードではより大きな差になって現れそうだ。さらにいうと、PSPを持ち寄って対戦することで、声をかけながらプレイすることができるのも大きな魅力。戦略的にも当然タイミングを合わせて攻撃することでぐっと勝率が上がる(いじめにもなるかもしれない)し、喋りまくっていた人が突然押し黙っていると「こいつ、どこかに隠れてスナイピング狙ってる?」といった憶測もできたりと楽しい。 アドホックモードでの通信環境さえ整えればラグなども気にすることなく、ハード的にも公平な環境でプレイできるのも大きい。ド派手な攻撃が重なると多少処理が重くなることはあるが、非常に快適にプレイできるだろう。
筆者の場合、「Single Player」モードの進行具合が「SECTOR:02」のRUINSで、プラグインファイルの集まり具合は6割程度といったところ。対戦をやってみて、ますます残りのファイルを集めたくなったと同時に、コレと思う武器を早くグレードアップさせたいという思いも強まった。「Single Player」モードのボス対策のため、威力が高い武器をグレードアップさせたいのだけれど、その手の武器は持って歩くと大抵速度が遅くなるので、個人的には対戦で使いこなせる自信があまりなかったりする。そのため、ショットガンなど軽めの武器の威力を高めたいところだが……といったところが、なかなか悩ましい。何にせよ、「Single Player」モードをもっとやり込みたいという熱意がさらにアップした。 最後に、本作についてまとめておきたい。遊んでいて思うことは、“PSPのFPSとして必要十分な作りこみはされている”ということだ。他のハードとは異なり、携帯機という制約の中で「自動生成」という楽しみを取り入れているだけでなく、細かな設定変更に対応した操作系、ちらつきがなく引き込まれる魅力を持った映像、迫力と緊張感を演出するサウンドを十二分に堪能できる。 自動生成ゆえにリフトそばにドアが2つできてしまったり、「Multiplayer」で出現先が敵の目の前になってしまうこともあったり、粗が見えないわけではない。ただ、関連記事からずっと取り上げてきた本作ならではの魅力が、手軽にどこでも(おおげさだが)遊べるという携帯機ならではのチャームポイントに立脚することで開花していると感じられるわけで、あまたあるFPSを遊びたい向きには、およそあわないタイトルだろうことは対応ハードやパッケージングから当然予想できることだ。 繰り返すが、「CODED ARMS」はFPSにあまり興味がなかった人にこそ遊んでほしいタイトルだ。繰り返して遊べる、RPGなどにあった要素をうまく取り込んでいるうえ、ちょっと起動してすぐに遊んでやめられる、といった手軽さが最大の魅力。今までの携帯ゲーム機になかった迫力と、据え置きハードにはない機動性と気軽さを楽しみたい方には、ぜひ店頭などで試遊をオススメする。 (C) 2005 KONAMI ※画面は開発中のものです。
□コナミのホームページ (2005年7月1日) [Reported by 河本茉澄]
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