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価格:5,229円
コナミ株式会社がPSP用に開発した、FPS(First Person Shooter:1人称シューティングゲーム)、「CORDED ARMS(コーデッド アームズ)」。 第1回目のインタビューで、本作のプロデューサーである大海氏、プログラムディレクターを担当された中川氏、チーフプログラマである永山氏にPSPでFPSを制作するにあたっての苦労話を聞いた。 そこから更に今回は、デザイン面と世界観、音楽、自動生成マップのデザインに関して4名のスタッフにお話を伺うことができた。話を聞いてみたところ、プログラマとの連携を密に行なってこのプロジェクトを完遂させた事実が見えてきた。未見の方はぜひ、前回のインタビューとあわせてご覧いただきたい。また、プロデューサーの大海氏にもご同席いただいた(文章中敬称略)。
■ PSPをデバイスに見立てて構築した新しい世界観
松岡氏 もともと、PSPというハードウェアがあって、同時にマップが自動生成という案があって、それをうまく絡められないかと考えていたんですよ。PSPが最初に発売されると知ったとき、今までにないハイクオリティな携帯機で、感動したんです。そこからPSPが“バーチャル世界とのデバイス”みたいなイメージが浮かんできて、自動生成ダンジョンもうまく説得力を持たせながらミックスできるんじゃないかと思いつきました。それを膨らませて、いわゆるサイバーパンク系の今に落ち着いたという感じです。 ――FPSで世界観的にオリジナリティを出すのは大変だったのではないですか? 松岡氏 FPSでSFというテーマでは、いわゆる“バーチャルリアリティ”といったところまで踏み込んでいるタイトルはたぶん他にはあまりないと思うので、その土俵ではまだ差別化ができるだろうと考えました。それと、あまり突っ走ってマニアックなものになってしまわないように、程々のところでバランスを取りましたね。
大海氏 FPSはどうしても見た目が似てしまうので、デジタル世界という設定にして、敵を倒したときなどもデジタルなイメージのエフェクトを使い差別化を狙いました。倒れた敵が0と1になって散っていったり、ビットの破片になって飛び散ったり、という表現ができるので、他とは違う映像が出せるんじゃないかということで、その辺が絡み合っての設定です。
――FPSというとマッチョ系のキャラや、軍隊をイメージした世界観が多いと思うのですが、バーチャル世界っていうのはちょっと違うテイストですよね。 松岡氏 マッチョ系のキャラが格好いいというのは、欧米での描き方だと思うんです。せっかく日本人が0から作ってるんで、日本ならではのかっこよさを入れたいし、たぶん我々が欧米タイプのキャラクタを作ったとしても、ちょっとズレちゃって逆にカッコ悪いかなと。日本人としてカッコいいと思うものを、「こういうカッコよさはどうだ?」という感じで世界に向けて発信できたら、と思って制作しました。 プレーヤーが身につけているのは、自分で書いたプログラムという設定なので、ちょっといびつな感じもあってボコボコしたデザインになっています。新品の装備で「俺がヒーロー」という感じだと、遊ぶ人にしてみれば、ちょっとひいちゃうところもあるのかな、と考えました。 大海氏 メインキャラクタは非常に悩みましたね。イラストを描いてくれるスタッフに何枚も描き続けてもらいました。軍隊みたいなイメージと、さすらってるイメージと、「武装ハッカー」というキーワードを出したんです。でも「武装ハッカーて、どんな人?」となって延々決まらなくて(笑)。 松岡氏 ストーリー的に、データをサルベージする要素もあって、「宝探しをするような感じも」と、あっちからこっちから文句を言いつつ(笑)。 でも、主人公を一生懸命考えて作っても、ゲームを遊んでいる時は、その姿が自分の姿としては見られないので、「これが自分だ」と、パッと見てスッと受け入れてもらえるものにしたかったんです。だからヘルメットにして、この中には自分がいるという感じを出せたらなと。マッチョなひげ面のお兄さんだと、「どう考えても俺じゃない!」ってなるじゃないですか。
――ズーム視点画面のときに赤くなるのは、ゴーグルが赤いからですか? 松岡氏 ズーム視点はFPSでは貴重な画面の印象を変えられる場面なんです。そこで、“通常の画面とは違うぞ”という感じで色も変えてみました。赤いのは、緊張感を持たせる意味もありますね。
――前回のインタビューで、画面内の銃の位置を結構調整されたとお聞きしたんですが? 松岡氏 「東京ゲームショウ2004」の時は、銃の位置がもう少し画面の端に寄っていたんですが、その後で「どうしても手が体から離れているように見える」というご指摘を頂いたんです。それで、手を画面の中央によせて、体に近づけた位置にすると、自分から銃を持って進んでいる臨場感がより実感できるようになりました。手が画面の隅のほうにあると、通常のFPSの上下が切れたような画面に見える。それを中央に寄せると、確かに視界の左右が広がったように見えるんです。幅の広い視界を実現できるのはPSPの強みだと、やってみて初めて実感しました。 それと、その武器が画面の中にどれくらいの面積を占めるのかに関してもかなり調整しました。小さい武器から、バズーカみたいな大きいものまで、1つ1つ全部実際に画面に表示させながら調整しました。 ゲーム画面のレイアウトでは、必要な情報が的確に伝わって、なおかつゲーム性を邪魔しないように気をつけて……。あれも結構最後の方まで調整しましたね。 ――多数出てくる敵や武器のデザインも大変でしたか? 松岡氏 銃も、敵もなるべくバリエーションを出すようにと。それで、敵キャラなら敵キャラで、まず見た目でかえて、形や色、動きをなるべく突出して個性的にするように気を付けました。 大海氏 武器も敵も結構苦労しました。武器に関しては、日本国内で武器デザインをできる人があまりいなくて、探し回っていたところ、社内に武器に詳しいデザイナーがいまして、その人を無理矢理ひっぱってきたんです。その人間にデザインしてもらって、構造上おかしくないデザインになるよう気を遣って作りました。リロードに関する動きも、本物に近い動きになっていると思います。 敵に関しては、人型の異星人、メカタイプ、昆虫など、SF映画なんかによく出てきそうなのをひと通りそろえてます。なぜかというと、今回はマップ攻略というよりは、敵それぞれに特徴をたくさん持たせることで駆け引きの中で攻略が生まれて、自動生成マップが生きるようにしたかったんです。その分、AIの種類が非常に多くて、プログラマは大変でした。
■ プリセットに負けない自動生成マップをデザイン
――自動生成マップを採用する、ということになって、デザイナーの立場として最初はいかがでしたか? 大植氏 最初、自動生成をやると言われたとき、すごく嫌だったんですよ。 一同 (笑) 大植氏 “自動生成”って誰しもそういうイメージがあると思うんですけど、「ちゃんとした絵が出せるわけがない」と思って反対したんです。「本当にできるのか?」と思いながら、自動生成を研究しながらマップのデザインを作っていたんですけど、結局「東京ゲームショウ 2004」には間に合わなかった。僕自身、他のタイトルにひけを取らない状態で出展したかったんで、「TGS 2004」バージョンはプリセットのマップだったんです。もちろんプリセットだから絵がキレイに出るんですけど、そこには、「ほら、自動生成じゃなかったらこんな綺麗な絵が出るんですよ」というメッセージがこもってたんです。 大海氏 「TGS 2004」の絵を出した時点で、てっきり「これを自動生成でやれるんだ」というアピールなんだと思ってました(笑)。 大植氏 「自動生成では無理です!」っていうアピールだったんです。でも、自動生成でやるということで進んできたし、「とにかく『TGS 2004』のあの絵に近づけるように実験していきましょう」と期限を切ってやり始めたのが9月くらいでした。それで、やりたくないのに必死でやってたら、自動生成のクオリティがだんだんプリセットに追いついてきて、絵としていけるんじゃないかって(笑)。そういう経緯があったんですよ。 最初は、自動生成で扉や壁がめちゃくちゃに並んだり、同じパーツが並んだりして、そのロジックをどうしようかというところから考えていきました。そこで結局、プリセットに負けない絵を見せるためには、ということで単純にパーツ数を増やす作業になったんです。だからとにかくパーツ数が多くて、トライアンドエラーの回数もめちゃくちゃ多かったんです。
――自動生成ならではの苦労した点はどんなところにありましたか? 大植氏 ごまかしがきかないんですよね。普通マップは、資源の節約で見えないところは描かないんです。でも今回は、どこにどのパーツがくるかわからないんで資源の節約ができないし、相当覚悟がいるなと思いました。 それから、FPSって、プレーヤーが絶対に壁に近付くので、壁のテクスチャがアップになることが多いですよね。その時に「PS2に比べてやっぱり劣る」と思われたくなかったんです。そこでテクスチャの描き方を、素材の加工じゃなくてドット単位で描くという方法を取り入れたんですよ。うちのチームには元ドット絵を描いていた人もいたので。ただ、慣れてないスタッフもいるんで、タッチを合わせるのは最初、すごく大変でしたけど。 解像度がほかと全然違うとわかって頂けるハズなんで、是非近付いて見て下さい。魂が息づいてると思うんで。
――自動生成に対応した自社ツールも作られたんですよね? 大植氏 効率化ということで、プログラマさんと連携して自社ツールを作り始めたんですけど、デザインチームからもかなり贅沢言ってプログラマさんに対応してもらいました。 最終的には、バグが出たりしたときにそのパーツが何なのかわかるように、パーツを共有しないといけないんです。そのために、僕らは作ったパーツを社内webにどんどん上げていくんですけど、1枚1枚手作業でUPしていられないので、それをやってくれるWebツールまで作ってもらいました。効率化を常に意識していたので、トライアンドエラーの回数が増えたのは大きかったです。 企画のほうで仕様が変わると、マップを生成するロジックが変わるんです。マップは企画と大きく絡んでいるので、仕様変更が非常に多いんですよ(笑)。 ――マップがランダム生成ということで、ライティングもご苦労されたのでは? 大植氏 プリセットのマップなら光の方向も影も決められますけど、今回はライティングもランダムなので、それを逆手にとってごまかしてやろうという発想があったんです。ステージは全部室内でちょっと暗めですけど、光源があちこちにあるので、それを利用してライティングをキレイにつけるシステムを作りました。でも、これもまた仕様変更が多くて(笑)。 松岡氏 ランダム性を壊さずに絵としてのクオリティを高めて、尚かつその中でゲームを遊んでもらうには、それなりの形状を作っていかないといけないので、そこのバランスを取るのは非常に難しかったです。でもコンピューターに任せてできあがったマップは、人だと考えつかないような形が出たりもするので、それを見たときは新鮮な感じでしたね。 大植氏 やればできるということを、今回本当に勉強させて頂きました。最初は本当に不安でしたけど。
――PSPでは、ACアダプター接続状態で4段階、バッテリー駆動時は3段階ですが、どの辺りの明るさを基準に? 大植氏 バッテリーの3段階目です。そこに合わせて遊んでもらえるといいと思います。 ――暗さの度合いのバランスどりはどのように決められたんですか? 大植氏 据え置き機だとどうしてもテレビによって明るさが違うので、ゲーム画面で一番暗く見える段階を、どんなテレビでもだいたいテクスチャが見える程度に上げるんですけど、PSPは共通した環境なので、かなり暗めにしても見えるところがすごくありがたかったです。 海外のFPSだと真っ暗な場面もあるので、最初にそれを真似てやってみたところ、何が何だかわからなくてダメでした。暗すぎると画面が動いたときに自分の位置を見失うということがあって、それは絶対避けたかったんです。でも、ある程度の暗さは残したいという狙いも同時にあったので、とても気を遣いました。どこかに敵がいるという怖さや、音楽が鳴っている中敵を探すという、ゲーム性の面でも、暗めの画面を大事にしたかったんです。
■ 音楽による臨場感の表現と、容量とのせめぎ合い
――さて、そのサウンドですが、まずはコンセプトからお聞かせ願えますか? 佐藤氏 今作では「バーチャルリアリティ」が大きなモチーフの1つになっていますが、この仮想現実におけるリアリティの追求を常に念頭においてサウンドの制作を進めました。仮想現実なので、完全なリアリティではありません。バーチャルリアリティとは僕にとって「0と1で表現される、限りなく有機質に近い世界観の再現や構築」という風に解釈しています。一見相反する有機的な要素と無機的な要素の、それぞれが持つ旨みをうまく音に盛り込みつつ、「矛盾の中に介在する虚無感の演出」と、その世界観に「ユーザーを感情移入させる」というところに重点をおいてサウンドの制作を進めてきました。これらが今回サウンドとしてコンセプトとしていた部分です。 ――BGMのテーマに関してはどうでしょう? 佐藤氏 先ほども話しましたが、BGMに関しても「矛盾の中に介在する虚無感」をテーマに制作しました。その中で世界観を壊さずいかに演出するか、という部分が一番大変でした。 具体的に言うと、世界観に起因する部分もあるのですが「ハッピーな曲は一切書かないようにしよう」と最初から決めていました。つまり、ゲーム中に出てくる曲はどこかしこりが残るような、煮え切らない感じのものが多いんです。ジャンルは様々で、テクノ系あり、ミクスチャーあり、ハードコアもあり、といった具合にそれぞれの曲に違いはありますが、例えばゲームをクリアすると出てくるクリアリザルト画面に用意した曲も、けっして「やった、クリアした!!」っていう感じではないんです。「クリアしたけど、まだ何かあるのかな?」と疑ってしまう感じです。 ――PSPのスペックが最初に発表されてから発売までに変わったと思うのですが、それに合わせた仕様変更も考えられたりしましたか? 佐藤氏 BGMも効果音もストリーミングは一切使用せず、すべて内蔵音源で再生する方法を採用しました。ちょうどサウンドの制作を始める時期にPSPのスペックの詳細に関する情報が入ってきたんですが、その段階ではストリーミングは使わないほうが良さそうだったんです。詳しいことは言えないのですが、諸々の事情を踏まえて検討した結果、全てを内臓音源で再生する方式をとりました。
――なぜ内蔵音源ということになったんでしょう? 佐藤氏 まず、緊張感の演出のために、敵と遭遇するとBGMが鳴り出すという仕組みになっているのですが、敵と遭遇するという予期できない状況に対応して、レスポンス良くリアルタイムに音を鳴らすために、ストリーミングを見送りました。もちろん理由はこれだけではないのですが、「レスポンスの良い発音」と、1つぶっちゃけますと内蔵バッテリーの消費量を気にしてストリーミングを使用しなかった部分もあります。ただ、PSPの内部メモリの容量にはかなり制限があるので、その部分の調整はとても苦労しました。 UMD全体の容量は1.8GBですが、それはトータルで収録できる容量で、実際に一度に読み込めるメモリの中でサウンドに与えられている容量は、おそらくユーザーの皆さんが想像しているよりもはるかに小さいサイズで、相当緻密にやりくりをしなければならないんです。レスポンスとデータ効率、バッテリーの消費量の問題などから内蔵音源を使うことにしましたが、BGMはもちろん、銃を撃つ音、爆発音といったSE(効果音)も、全てをその中に入れなくてはならなかったので、効率良く容量を節約し、いかにゴージャスに鳴らせるかが一番大変でした。僕のムチャなニーズにしっかりと答えてくれた中野さんに、おそらくそのしわ寄せが行ったはずです。
――武器の数が多くて、効果音の制作も大変そうな印象なんですが? 中野氏 FPSでは、「重火器を撃って気持ちいい、敵に当てて気持ちいい」というところが結構大事なので、“そこだけは譲れない”というところを念頭に置き、基本を固めていきました。武器の種類が多いので、制作が進むにつれて、こだわればこだわるほど必要な音が増えていくところをいかにしてうまく詰めていくか、というところで苦労しました。 数多くの魅力的な敵キャラが登場しますので、その大きさや攻撃力の高さも音で表現しつつ、聴感上違和感がないように調整し、いかにその戦闘に勝利した(または負けてしまった)という臨場感を表現するかには、相当気を遣って作り込みました。FPSはその場面を演出するために、同時に多くの音を必要とするので、「潤沢にありますよ」とアピールをしつつ詰め込んで整理して、なんとか派手にしたいなと。そこは、効果音で一番大事にしたかった部分です。 佐藤氏位置情報としてのサウンドという点にも重点を置きました。ある方向で音がして、そっちを向いたら敵が銃を構えていた、というように、位置情報としてゲームをサポートするという点にも注意しました。FPSでは当たり前の要素なので、距離感や方向感には特に気を使いましたね。 また、ゲーム中は常に必ず“空間音”を鳴らしています。リアリティの追求という観点から考えると、おそらくそんな音は鳴っていないんですが、そこはあくまで「仮想現実」の世界なので、空間を演出する為に常に鳴らし続けています。こういった全ての効果音とBGMを、いかにちょうどいい音量で聴かせるか、その調整を取るために繰り返し音を聞いてはデータを修正する、といった試行錯誤を随分繰り返しました。 ――聞く環境がバラバラの据え置き機と比べて、携帯機はある程度固定の環境であるという面で、調整はやりやすいんでしょうか? 佐藤氏 そういう視点から見ると、モニター環境がほぼ固定なので調整する上での着地点は絞りやすかったと思います。ただ、PSP本体のスピーカーは非常にクセが強くて、低音が出 なかったり高音がきつかったりするので、低音だけで音を構成してしまうとスピーカーでは実際聞こえなくて、「ここは無音なのか?」といった勘違いをされてしまいます。常に低音も意識できるような高音をある程度含ませるようにして、ひとつの音として必ず成立させるように極力注意を払って作り込みました。 ――そうなると、ヘッドフォンをしてプレイした方がいいですか? 佐藤氏 そうですね、できればヘッドフォンでプレイされることをお勧めします。スピーカーとヘッドフォンでは音の聞こえ方がだいぶ違うと思います。もちろん本体のスピーカーでもちゃんと聞こえるように作ってありますが、やはり限界があるので。 中野氏 ヘッドフォンをしてプレイすると、結構遠くの音も聞こえるんです。視界からは見えなくても、カツカツ響く足音で何かがいるとわかる。でも、撃って相手に気づかれると向こうも乱射してきたりしますよ。
――マルチプレイ時はさらに音の数が増えて大変なんでしょうか? 中野氏 マルチプレイは最大で4人同時対戦が可能ですが、実際の音数という意味ではシングルプレイ時と大きく差はありません。ただ、内部の構造的な部分で、シングルプレイとは若干違う工夫が必要でした。ただ、武器の中には同時発音数をたくさん必要とするものもあり、その武器を4人同時に装備したときのケアには、かなり気を遣いましたね。 佐藤氏 確かに、自分の射撃音が発音されない、などの最悪の事態は、最優先でフォローしました。 ――サウンド周りの制作期間はどれくらいですか? 中野氏 「TGS 2004」のときから、SEは7、8カ月くらいは手がけてますね。イチから作ったというところも大きかったし、FPSは音数が多いので、作って調整、差し替えというのを繰り返しました。 佐藤氏 BGMに関しては、実際作っていたのは4、5カ月なんですけど、一番大変だったのは作った音をプログラム上で鳴らす作業でした。正確には「鳴らしてもらうためにメインプログラマにお願いする」作業ですね。チームのメインプログラマのところに足繁く通って、「ここのこの音が鳴ってないです」と繰り返す毎日で、ひどいときはその場に居直って「今すぐ直してくれ」と無茶を言ったりして(笑)。最終的に「ここまでなら手を入れていい」という日が決まっていて、その日ギリギリまでやってましたね。軽く険悪な雰囲気にもなったりして(笑)。 ――こうしてお話を伺っていると、プログラマへの依存度が高いプロジェクトになったんですね。 大海氏 そうですね。プログラムディレクターの中川(前回インタビュー)が、サウンドもAIも全部やっていたんで、最後は大変なことになってましたね。
■ まずは「CODED ARMS」を手に取ってほしい ――次回、もし別の仕事に就くとして、またFPSを手がけたいと思いますか? 松岡氏 今回は今回なりにやりきったと思ってますけど、やりきったなりに次の欲求が出てきています。アイデアも色々あるので、ぜひ挑戦したいです。ユーザーの人に喜んで頂くためにも、個人的にも、もっと進化はしたいなって思います。 大植氏 僕はデザイナーですし、FPSっていうジャンルは最先端技術を使った、疑似体験に一番近いジャンルなんで、僕はFPSしかないです。5年経っても10年経ってもFPS、生涯FPSに捧げることを決めてるんで。 一同 (笑) 佐藤氏 今回PSPのFPSということで、サウンドとして泣く泣く切り捨てなければいけないことや、アイデアがあっても見送らざるをえなかった部分があるので、次にまたFPSをやることになったら、僕はやりたいと思います。またこのチームで何かできるなら、いろいろと楽しみながら仕事ができるんじゃないかと思ってます。 中野氏 確かにこのチームでしたらまた新しいことをやると思うので、このチームであればぜひまたFPSをやりたいなと。で、今回できなかったことを更にパワーアップさせて、次に反映させて、皆さんに楽しんで頂ければと思っています。 大海氏 今回ここまでやってくる中で、みんなが目指すものはどんどん上がっちゃったと思うんです。だから「次はこれだけはやれる」というのがあると思いますし、僕はその気持ちをいい形で発揮してもらえるようにしていきたいと思います。ユーザーの方にも、「このシリーズは毎回これまで体験してたことがないことを体験させてくれる」と期待してもらえるようにしていけたらと思いますね。 ――最後に、みなさんのパートの立場から、「CODED ARMS」のアピールをお願いします。 松岡氏 操作に不安を持っている方がいるとしたら、PSPでのFPSのこれがひとつの答えだと思うので、とりあえず1回は遊んで欲しいです。そこからもし、作り手にフィードバックを頂けるなら、またそれをお返ししてキャッチボールができると思うんで。 大植氏 FPSは普通、顔の見えない人と対戦できますけど、相手の感情は伝わってこないですよね。4分割のゲーム画面だとどうしても相手の位置がわかってしまうし。今回携帯ゲーム機で初めて独立した画面で、一緒に遊べるということを実現してると思うんですよ。そういう意味では携帯機としてのウリってあるんじゃないかなと。バグチェックの時も相当楽しかったですし。 佐藤氏 初PSPで初FPSだったので、正直手探りの部分が多かったんですが、そんな中でもゲーム中における緊張感や臨場感は、なかなか他に無いものをうまく醸し出せてるんじゃないかと思います。チェックプレイですら時間を忘れてハマってしまうくらい面白いので、是非一度手に取ってみてください。 中野氏 携帯ゲームということで、「据え置き機や他のPCのゲームに比べるとちょっと落ちるんじゃないの?」というイメージを持たれやすいと思うんですけど、そう思われないように一生懸命作りました。 シングルで遊ぶときはヘッドフォンをつけて、周りの空気を感じてもらいながら撃ち合いしてもらいたいですし、マルチのときはみんなでわいわい遊んでもらえればと思ってます。 大海氏 次世代機の時代が来たら、今以上に国内でもFPSが増えると思うんですね。ゲームはより臨場感の高い方向へいくと。主観視点、つまり自分の目で見て、自分の足で歩くという、それこそまさにゲームの世界の中に自分が入っている感覚のFPSは、他のジャンルより臨場感が高いですよね。そういう意味でFPSのノウハウを早く持ちたいと思っていたのですが、やっとやれるチャンスがきました。このジャンルは、今後国内でも発展すると思いますし、我々もできれば取り組み続けたいと思いますので、まずは時代の先取りということで是非手にとってみてください。 (C) 2005 KONAMI ※画面は開発中のものです。
□コナミのホームページ (2005年6月22日) [Reported by 河本茉澄]
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