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★PS2ゲームレビュー★
「ガンダム」ゲームは世に多いが、これら世界観、操作系、戦略性といった要素を巧みにマッチさせ、なおかつ高い完成度を誇るものは、他に類を見ないのではないだろうか。本作「エゥーゴvs.ティターンズ」でも、それらの魅力は十二分に受け継がれている。前作をプレイされていない方は、過去記事を参照していただければ幸いだ。 それでは、家庭用版ならではの「エゥーゴvs.ティターンズ」の魅力について見ていくことにしよう。 ■ 直感的な操作系、「コスト制」による戦略の面白さ モビルスーツの美しいモデリングと、重厚な挙動。そのモビルスーツを簡単な操作で、直感的に操れる点。音楽、セリフなど、原作そのままの要素を、上手くゲームに溶け込ませている点。これらは、前作から引き継がれている「エゥーゴvs.ティターンズ」の魅力として、ガンダムの世界観を巧みにゲームに持ち込むことに成功しているといえるだろう。それに加えて、2on2の対戦ゲームとしては、「協力する楽しさ」を前面に打ち出し、2人で協力して相手を倒すことがゲーム性の根幹として据えられている。2on2のゲームで、協力する戦略性をわかりやすく伝えることに成功しているゲームは少ない。 また、戦略面を語る上で重要になってくるのが、「戦力ゲージ」と「コスト制」のふたつ。これは、各モビルスーツには性能に応じたコストがそれぞれ設定されており、撃破されるとその分だけ戦力ゲージを失い、戦力ゲージが0になると敗北、といったものだ。例を挙げると、高性能なZガンダムはコスト375、中程度のガンダムMk-IIは295、性能の低いハイザックは195といった具合。 基本的に総コストが600以上使用されるとゲームオーバーとなってしまうため、1機ずつ撃破されても600を越えないようにチームを編成したり、600を越える場合は375のハイコスト機を2機使う、というように、機体の性能差だけでなくコスト面も考慮に含めてチーム編成をするのが重要。チームオーダーから相手を倒す順番まで、作戦を立てる上での深みをより増すことに成功していると言えるだろう。これらは前作から受け継がれた要素だが、対戦バランスを考えたコスト設定は今作でも絶妙に機能しており、戦略を考える上では外すことのできないファクターである。
■ アーケード版との相違点 本作がアーケードに登場したのが9月下旬、それから2カ月半ほどで家庭用の発売となったわけだが、アーケード版でも元々PS2互換基板を使用していることもあり、グラフィックなどの移植度はほぼ完璧といっていいだろう。相違点としてまず挙げられるのは、家庭用だけの新機体だ。新機体として、エゥーゴ側にメタス、ディジェ、スーパーガンダム、ティターンズ側にマラサイ、ガルバルディβ、バウンドドック、ハイザック・カスタムなどが追加されており、これだけでもお得感がある。もちろんこれらの機体は、アーケードモード、対戦モードだけでなく、通信対戦においても参戦が可能だ。 アーケード版の全9ステージを順番にクリアしていくアーケードモードは、新ステージである「ケネディポート」からスタートするルートが新たに加わった。道中ではやはり新ステージの「ダカール」も登場する。また、些細な変更点だが、アーケード版ではカットされていた発進シーンがアーケードモードには追加されている点も、ファンには見逃せないところ。主人公カミーユ・ビダンが「Zガンダム、行きます!」などとセリフをしゃべってくれるのは、原作ファンにはうれしい演出だろう。 原作ファンのためにはもうひとつ、前作の家庭用版で好評だったミッションモードが今回も用意されている。今作では、原作のストーリーを追いかける形でミッションが進行、序盤からクワトロ・バジーナと共闘してカミーユのガンダムMk-II奪取を援護するなど、原作ファンには堪えられない展開が待っている。
■ より利用しやすくなった「マルチマッチングBB」の通信対戦の魅力 KDDIの「マルチマッチングBB」サービスを利用したオンライン対戦は、アーケードから家庭用に移植された通信対戦のゲームとしては、随一の出来であるといっても過言ではないほどの再現度だ。接続する時間帯によって異なるが、通信時のラグなどはほとんどなく、かなり快適に対戦プレイを行なうことができる。 実際の対戦は、ホンコンシティ、ジャブローなど、原作の戦場にちなんだ名前のチャットルームに入り、個別に部屋を作って対戦する「オペレーション選択」と、見知らぬ人と手早く対戦したいときは「パートナー自動選択」の2種類から選択し、それぞれ対戦を行なう形となる。知り合いだけでじっくりと対戦、手早く不特定多数との対戦という両方のニーズに応えているといえる。 また、12月12日から、キュベレイなどの隠し機体や、RX-78-2ガンダム、MS-14ゲルググなど「一年戦争」の機体が、26日からは鹵獲(ろかく)機体として両軍共通ですべてのモビルスーツがネット対戦で使用可能となり、一層の白熱が期待できる。 また、前作では、PS2対応モデムを利用した従量課金制サービスだったが、「マルチマッチングBB(ブロードバンド接続)」サービスにより、月額定額900円とかなり安めの価格で、通信対戦を存分に楽しめるようになった点も見逃せない。今まで家庭用ゲームのリアルタイム対戦サービスは、ほとんどが従量制で、1分10円を越えるような高い価格のものが多かっただけに、非常にうれしいサービス向上といえるだろう。 以上のように非常に高いレベルで家庭用作品としてまとまっている本作。原作ファン、アーケードファンともに、掛け値なしにおすすめできる作品だ。
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