★ PS2ゲームレビュー ★
■ 原作に登場する機体を完全網羅し、ここに再現 プレイする際に一番気になる点といえば、やはり使用できるモビルスーツ、モビルアーマーなどがどのくらい用意されているのか、だろう。数でいえば、デフォルトで連邦軍が7機でジオン軍が14機の計21機。最終的には原作に登場したものはすべて登場するという。ただし、連邦に関しては、2機ほど原作(ファーストガンダム)では登場しなかった機体があり、数が増えている。これらの機体はいつでも選べるわけではなく、それぞれに地上用、宇宙用などといった適性に応じた運用状況が決められている。これは、対戦を行なうステージにより決まり、これもまた原作通りの設定となっている。
■ 操作を簡略化し、遊びやすくしている この手のロボットアクションゲームの常として、横移動や武器の切り替え、視点移動などの操作が複雑であることが挙げられる。だが、このゲームではできるだけ複雑にならないように操作系をそぎ落とし、簡略化している。 通常の移動は方向キーで行ない、ダッシュは同一方向に2回連続入力すればOK。射撃、格闘、ジャンプ、ロック変更の攻撃関連の操作はコントローラ右の4つのボタンに振り分けられている。これにボタン同時押しによる特殊攻撃の計5種類のボタン操作ですべて賄われているのだ。 ガンダムが好きだからといって、すべての人が複雑な操作についていけるわけではない。そのあたりにも気を配っているのはうれしいところ。なにより、直感でモビルスーツの戦闘がこなせるので、プレーヤーに爽快感を与えてくれる。 攻撃の手段は、射撃攻撃と格闘攻撃。そして特殊攻撃の3タイプが用意されている。 射撃攻撃は、距離に関係なく攻撃を仕掛けられる攻撃手段。相手に背を向けた状態であっても、ロックさえしていれば振り返って攻撃、もしくは武器の銃口を相手へ向けて攻撃してくれる。この使い勝手の良さもあり、攻撃の主軸に用いるべき攻撃手段だ。 ただし、弾は相手に向かって直線に飛んでいくため、ダッシュなどの移動で簡単にかわされてしまう。闇雲に撃ってもそうそう当たらないので、相手の着地直後や格闘攻撃中でもみ合っているときなどを狙っていくのがセオリー。 射撃武器にはビーム兵器、バズーカ、マシンガン、ミサイルといった種類によって、様々な特徴が設けてあるのも注目ポイント。例えば、ビーム兵器は貫通能力を持っており、直線上の敵をまとめて攻撃できるが連射はできない。一方、マシンガンはダメージは低いが一度の攻撃で最高4連射できる。さらに、前方や横にいる相手に対して、走りながら攻撃できるといった具合。これらの特徴を踏まえて戦いに臨むことが大切になってくる。なお、射撃武器は弾数が設定されている。弾を使い切った場合は一定時間待って弾が補充されるのを待つか、モビルスーツによってはマガジン交換を行わなければならない。 格闘攻撃はビールサーベルやヒートホークといった、接近戦用武器を用いたもの(モビルスーツによっては、射撃攻撃になっている場合もある)。相手に接近するというリスクは伴うが、一発の破壊力が高く、ボタンを連続で入力すれば最高で3ヒットの連続技を決められる。また、攻撃時、相手に向かって突進しながら攻撃するので、ある程度のホーミング性能も期待できる。欠点は、攻撃開始時と後に無防備の状態があること。これを補うために射撃攻撃と同様、相手の動けない瞬間を狙っていくしかない。 最後の特殊攻撃はモビルスーツ特有の攻撃で、ロックした相手を攻撃するという点では上の2つと同じ。射撃武器が弾切れなどで使えない時のつなぎや、相手を攪乱したりするために利用するなどの様々な使い道がある。これら特殊武器にも使用回数が設定されており、使い切ったら、補充されるまでの間は使用できない。
■ ゲームの基本は2対2のチーム戦 実際にプレイする際、プレーヤーは連邦軍かジオン軍に属し、各々の軍属の機体に乗り込んで敵と闘う。また、双方とも友軍機が1機就くことになっているので、2対2の複数対戦となる。これにより友軍機との連携が重要となり、敵軍の1機を集中して攻撃したり、1機が囮となって相手の注意を逸らし、友軍機が隙だらけの背後から攻撃するといった戦術性が格段に広がる。勝敗は相手軍の「戦力ゲージ」を0にすることで決着がつく仕組みで、モビルスーツを破壊されるごとにこのゲージが低下していく。ゲージの低下量は、戦場に出ているモビルスーツのコストによって変化。コストの高いモビルスーツが破壊されれば、戦力ゲージが大幅に低下して敗北が早まってしまう。機体性能の高いものほど破壊されにくいが、コストが高くなるため、撃破されれば大打撃、といったハイリスクハイリターンの設定がなされているわけだ。チームメンバーのどちらか、もしくは両方がハイコストの機体を使っていると、1回撃墜されただけで負けが確定してしまうことも多い。これを軽減するために片方が低コストの機体を使い、高コストの機体を守りながら闘うなどのパートナー同士の機体セレクトも立派な戦術ポイントとなる。 ただし、これらは共同プレイやネット対戦といった、パートナーが人間の場合に生きてくるもの。アーケードモードなどでCPUをパートナーとする場合、こういった融通は利きにくくなる。だが、そのあたりもちゃんと考慮されており、CPUのアルゴリズムを「射撃重視」、「格闘重視」、「援護重視」、「回避重視」などと任意に切り替えて戦える。これらの要素を考慮に入れ、相手に勝利するといった楽しみもこのゲームの重要なポイントといえるだろう。
■ 原作の世界に没入できる、PS2ならではのモード
ところが、PS2版には、「ミッションモード」というものが用意されている。このモードは、原作の連邦軍対ジオン軍のいわゆる“1年戦争”を舞台に、軍に入隊したプレーヤーがこの戦争に参加するというもの。連邦軍とジオン軍の両サイドの視点から、原作で展開された1年戦争に参加すると聞けば、ファンならプレイしないわけにわけにはいかないだろう。 プレイ開始時にプレーヤーが操作できるのは、最も性能が低いモビルスーツのみ。序盤はこの機体で各戦場へと身を投じていき、ミッションをこなした数に応じて次第に他のモビルスーツが配給されるシステムになっている。 ひとつの戦場で任務を遂行すれば、他の戦場がいくつか現れ、新たな戦場を選んで、任務をこなしていくといったミッションタイプの進行で、原作の名シーンが再現された戦場に身を投じ、キャラクタたちのこれまた名台詞を聞けたりできる。随所に、いや、すべてがファンのハートをつかむような作りなのだ。 さらに、原作を知っているなら、「ガンダムを相手にしたザクのパイロットの気持ち」も体感できたりする。格闘攻撃の2~3発、最悪で射撃攻撃1発で撃墜されてしまう切なさは、ファンのみならず1度は経験して欲しい(苦笑)。逆に連邦側では、シャアの乗るモビルスーツの強さに驚くこととなる。このように、ぬきんでた強さを誇る原作の主役級キャラクタたちと、上手く立ち回われた時の爽快感もこのモードの魅力である。
■ 人対人との真剣バトル。場所を気にせず楽しめるネットワーク対戦 一台のPS2で対人戦などを楽しむ場合、画面を分割してのプレイとなる。画面が小さくなるため多少迫力に欠けるが、これでも十分に遊べる。しかしながらひとりで対戦をしたい人のため、モデムを使った通信対戦が用意されている。最大の特徴は、PS2対応のモデムさえ持っていれば、プロバイダに加入しなくとも対戦を楽しめるという点にある。初めに個人情報の登録はあるが、これが済めば後はサーバーに接続して対戦相手を捜すだけでいい。サーバーに接続後、戦場に見立てたロビーが表示される。好きなロビーに入ったら、連邦軍かジオン軍のチャットルームに入る。この時点で、プレーヤーはどちらの軍のモビルスーツを扱うかを選択することになる。
対戦が始まり、何度かプレイしてみたが、気になるゲームの遅延(ラグ)も少なく快適に遊べた。たまに、5秒以上固まることもあるが、頻繁に発生しなかったので気にならないだろう。プレイ中はL1ボタンを押すことで仲間に戦況の定型メッセージを送る程度のコミュニケーションしかとれないため、相手の動きや戦況などを見極めて戦術を各自で構築するしかない。 何より、相手も人間なので、CPUでは考えられない行動や戦術をとってくる。これがネットワーク対戦の醍醐味。ひとりで楽しむのに飽きてきたなら、ぜひネットワーク対戦を試して欲しい。 ただし、ネットワークを利用している際、常に回線使用料が発生しているので、調子に乗って長時間遊んでいると、大変な額になるのでそこは財布と相談してほしい。
■ アクションゲーム好きならほどよく遊べる良作 原作ものというものもあり、プレーヤーの大半は「ガンダム」に魂をひかれた人たちだと思われるが、それを差し引いてもアクションゲームとしての感想は「遊べる」のひと言。わかりやすく慣れるのも早い操作性やゲームルール。その中で、様々な戦略を組み立てられる楽しみと、細かい気配りがなされている。対戦自体もテンポ良く進むので、何度も遊べるといった点もいい。ただ、原作を知らない人が楽しむ場合、機体の性能差に戸惑うのは確か。手軽に勝てるものを選ぶとなると、高コスト機体を選ぶしかない。逆にアニメでの思い入れだけで機体を選ぶと、勝てずにイライラするなんてことも十分にあり得る。このあたりは乱暴だが、原作ものの特徴と割り切るしかない。どちらかといえば分の悪い機体でも、パートナーと戦術次第で十分戦える。ファンも納得がいき、知らない人も程良く遊びたいというぜいたくな要求に、このゲームは十分応えてくれていると思う。
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□バンダイのホームページ (2001年12月28日) [Reported by 渡辺洋二] |
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