★ PCゲームレビュー ★
3Dで描かれた世界各国の各路線を楽しめる「Microsoft Train Simulator」(MSTS)。「Microsoft Flight Simulator」同様、アドオンソフトで楽しめる路線や車両を拡張できるのが特徴だ。ゲーム本体については以前掲載したレビューを参考にしていただくとして、今回お届けするのはコンスタントにMSTS用のアドオンソフトを出し続けるトワイライトエクスプレスの最新作「山陰本線キハ181系」。タイトルどおり山陰本線の一部の区間とキハ181系がプレイできるアドオンだ。
■ 鉄路の魅力あふれるJR山陰本線
ただ、重要な路線とはいえ、同じく京都-下関間には全線電化、しかも複線化(路線が2路線ある)されている山陽本線があるため、全線をつらぬく列車などは走っていない。また、京都方面から入ると城崎までしか電化されていないため、城崎以西はディーゼルカーが運用されている。しかも、今回収録されている城崎-浜坂間は単線となっており、結果的に運行されている列車の本数や、車両のバリエーションも山陽本線に比べると遙かに少ない。 もちろんこれは、周辺人口が少ないためだが、路線の魅力という点では山陽本線以上のものが山陰本線城崎-浜坂間にはある。ひとつは日本の鉄道風景を語るときに必ず出てくる餘部鉄橋が存在すること、そしてもうひとつは非常に海に近い場所を走るため変化に富んだ風景を眺められることだ。 特に餘部鉄橋付近は、このアドオンソフトで一番のポイントとなる部分。トワイライトエクスプレスもその辺りは当然わかっており(というか餘部鉄橋がある部分を収録路線として選んでいるのだろう)、鉄橋そのものや周辺のテクスチャもよく作り込まれている。
また、山陰地方は日本海側のため、山陽地方より雪が降りやすく四季の変化の魅力に富んでいる。このアドオンソフトとはあまり関係がないが、浜坂は、松葉ガニやホタルイカの漁獲高が日本一の浜坂港を近くに擁し、城崎は外湯巡りで有名な温泉があるなど観光地としてのポテンシャルも高い。 ■ キハ181系の力強い走行音を聴け そんな収録路線で楽しめる車両がキハ181系。MSTS本体にもキハ35が収録されていたが、あちらが通勤形のディーゼルカーなのに対し、キハ181系は特急タイプのディーゼルカー(気動車)でなる。国鉄初の特急形気動車は昭和35年に作られたキハ80系。このキハ80系が180馬力のエンジンを2基搭載していたのに対し、昭和43年に登場したキハ181系は500馬力のエンジンを1基搭載し、キハ80系では高速走行が不可能な勾配区間の多い路線に投入されていた。ただ、現在ではそれら多くの路線が電化されたため、JR西日本にしか存在しない貴重な車両となっている。 ゲーム中のキハ181系も、そんな大馬力ディーゼルエンジンを持つ車両らしく、エンジン音は大きめ。マスコン(マスターコントローラ)を操作すると、その量に応じた音が「ゴォォォォォ」と聞こえてくる。 実際の客室ではそれほどうるさく感じないのだが、運転室ではゲーム中のような音がするのだろうか? もちろん、鉄橋や踏切などでは音が変化し、プレイ中の臨場感を高めてくれる。特に地上高41mの餘部鉄橋区間では、その景色とあわせて楽しみも倍増だ。プレイできる車両はキハ181系のみ(CPU車両としてキハ47系が登場)と少しもの足りない感じがするのは事実だが、今やキハ181系が活躍する路線は少なく、その代表的な線区を楽しめるのはうれしいところだ。 なお、カラーリングは現在のJR色の“特急はまかぜ”のほかに、赤とクリーム色の塗り分けの国鉄(JNR)色の“特急はまかぜ”、そしてそれぞれに冬季のみ運行される“特急かにカニはまかぜ”が用意されている。
■ アクティビティは盛りだくさん?
1.自由走行
2.キハ181系運転チュートリアル
3.冬のはまかぜ4号
4.冬のはまかぜ4号(キハ181系国鉄色)
5.夏のはまかぜ1号
6.夏のはまかぜ1号(キハ181系国鉄色)
7.山陰本線チュートリアル
8.かにカニはまかぜ
9.かにカニはまかぜ(キハ181系国鉄色)
10.秋のはまかぜ3号
11.秋のはまかぜ3号(キハ181系国鉄色)
12.夜のはまかぜ5号(夜のキハ181系国鉄色)
13.夜のはまかぜ5号(夜)
14.春のはまかぜ6号
15.春のはまかぜ6号(キハ181系国鉄色) 以上、計15種類のアクティビティが用意されており、JR色、国鉄色のはまかぜ(かにカニはまかぜ)を各季節で手軽に楽しめるようになっている。半面どこか組み合わせのみ?という気もしないでもない。しかしながら、運行アクティビティメニューから手軽にさまざまな条件のプレイが選べるのは評価したい。 この中で、ちょっと変わったアクティビティが「山陰本線チュートリアル」。これまでのチュートリアル系のアクティビティは、車両の操作方法を習得するためのものだったが、このアクティビティでは観光案内を行なってくれる。たとえば城崎駅では、駅周辺の日帰り温泉や、駅の東側にある円山川の案内などをしてくれ、ちょっとした観光ガイドとなっている。今までにないおもしろい試みと言えるだろう。
日本の鉄道風景としてあまりにも有名な餘部鉄橋区間にポイントを絞り、今や貴重な車両となったキハ181系を楽しめるこの「山陰本線キハ181系」。収録された路線の周辺には温泉地も多いので、鉄な観光ガイドとして遊んでみるのもよいだろう。 ■ JR山陰本線 城崎-浜坂間徹底比較 今回もお約束の比較写真を掲載。実際に収録線区に取材に行ってきました。このアドオンの魅力である餘部鉄橋をお楽しみください。
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□トワイライトエクスプレスのホームページ http://www.twilight.co.jp/ □「Microsoft Train Simulator」のホームページ http://www.microsoft.com/japan/games/trainsim/ □「リアルアドオンシリーズ5 山陰本線キハ181系」のホームページ http://www.twilight.co.jp/trainsim/trainsim_sanin.htm □関連記事 【4月4日】PCゲームレビュー「リアルアドオンシリーズ4 JR東日本 東京-横浜」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020404/yoko.htm 【12月26日】PCゲームレビュー「リアルアドオンシリーズ2 JR信越本線 碓氷峠」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20011226/yokokaru.htm 【11月13日】PCゲームレビュー「MSTS アドオンシリーズ 国鉄485・583系特急」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20011113/485583.htm 【10月15日】PCゲームレビュー「リアルアドオンシリーズ1 JR中央線 東京-高尾」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20011015/tyuou.htm 【8月24日】PCゲームレビュー「Microsoft Train Simulator」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010824/train.htm (2002年5月15日)
[Reported by DOS/V POWER REPORT編集長 谷川 潔] |
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