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【特別企画】Java搭載iモードの登場でゲームが変わる? |
【Java搭載iモード端末】 | |
F503i | P503i |
Java対応iモード携帯電話は、その名前の通り、Javaで書かれたプログラムを実行する機能が備わった携帯電話だ。ごく簡単に言うと、携帯電話の中にコンピュータがあって、携帯電話の中でいろいろなプログラムが実行できる。
今、代表的なゲーム用のプラットフォームには、たとえばプレイステーション 2やNINTENDO64のような家庭用のゲーム機、ゲームボーイのような携帯用ゲーム機、あるいはパソコンなどがある。どれも基本はコンピュータで、ゲーム用のプログラム(ソフトウエア)をコンピュータに実行させることで、ユーザーがゲームをプレイすることができるわけだ。
Java対応iモードの新機能というのも、実は、簡単にいうと「携帯電話をコンピュータとして使える」ことで、Javaプログラム(iモードの場合はこれを「iアプリ」と呼んでいる)を携帯電話で実行できるようになったのだ。で、このiアプリがゲームプログラムであれば、携帯ゲーム機などと同様に携帯電話でゲームをプレイすることができるのだ。
小さいようで、これはとても大きな進歩だ。なにしろ、これまでは携帯電話のゲームといえば、HTMLベースのものかせいぜい電話機に内蔵されているゲームしかなかったわけだが、これからは、ゲーム機やパソコンなどと同様にソフトを入れることでいろいろなゲームをプレイできるようになったのだから。携帯電話が、ゲーム機やPCなどのようにゲームプレイの環境のひとつになる第一歩を踏み出した、言ってもいい。
ちなみに、iアプリはもちろんこれからも増えるだろうが、503iシリーズ発売初日の26日からすでに多くのメニューから多くのゲームプログラムがダウンロードできるようになっている。ケータイ Watchのiアプリ対応サービス一覧「ゲーム」欄にもあるように、たとえば、「スペースインベーダー」や「スターソルジャー」、「ダンスダンスレボリューション(体験版)」など、タイトルを聞けば「プレイしてみたい」と思わせるタイトルがけっこうそろっている。
■ そもそもJavaって何?
で、Java携帯だ、Java対応iモードだと言っているが、そもそもJavaってなんなんだ? という方もいるかもしれない。ちょっとだけ簡単にJavaとはどんなものか説明しておこう。
詳細はケータイ Watchの「ケータイ用語の基礎知識・Java」あたりを見ていただくのがいいが、一言で言うと、Javaとは携帯電話や携帯機器、パソコンや、サーバーなどに載せる「仮想のコンピュータ」だ。つまり、Java対応iモード携帯電話は「iアプリを実行するための仮想のコンピュータ」を電話機に載せてしまった、というわけだ。
ちょっとつっこんだ話をすると、基本的にJavaは、「どんなコンピュータでも同じプログラムを実行できる計算機環境」をめざして作られている。つまり、パソコンでも携帯電話でも、あるいはPDAなどでも同じプログラムを同じように使えるようになっているわけだ。普通、パソコンや携帯電話の中にもそれぞれマイクロコンピュータが載っていて、それがプログラムを解釈して実行する。が、それぞれの機械で載っているコンピュータの中の仕組み(アーキテクチャ)が違うので、同じプログラムを違う種類の機械で動かすことはできない。そのために、それぞれの機械の中にコンピュータが載っているのに、そのコンピュータに他の「仮想のコンピュータ」の真似をさせているのだ。Java対応iモード携帯電話503シリーズもそれぞれの電話機内のマイクロコンピュータが、Java仮想計算機をエミューレーション(真似)してiアプリを実行している。
ちなみに、基本的にJavaのプログラミング開発環境は米Sun Microsystemsから公開されていて、iアプリの開発も、これにNTTドコモから「クラスライブラリ」(近々公開される予定)さえあれば、プログラミング技術があれば誰にでもiアプリを開発してWebサイトなどで配布することが可能だ。
携帯電話の場合、今まではメーカー以外が携帯電話のプログラミングをすることはこれまでかなり難しかった。また、仮にできたとしても、どの機種でも使いまわせるプログラムを作ることは不可能だっただろう。なにしろ、携帯電話内部のマイクロコンピュータは電話のメーカーや機種ごとにアーキテクチャが違っていても全然不思議ではなかったのだ。
携帯電話がJavaを搭載した、ということは単に「いろいろなゲームがプレイできるようになった」ということ以上に意味のあることなのだ。
【現在遊べるiアプリのゲーム】 | ||
スターソルジャー | スペースインベーダー | パックマン |
(C)1986,2001 HUDSON SOFT | (C) TAITO 2001 | (C) 株式会社ナムコ |
■ハードウエアの特徴
さて、ここで、逆にゲームマシンとして、Java対応iモードはどこが今までの機械と違っているのかを見ていこう。Java対応iモード携帯電話は、最近のゲームマシンと比較すると、かなりつましいスペックのマシンだ。
ハードウエアは、26日に発売になったF503iの場合、画面がSTN反射液晶で横120×縦160ドットしかない。カラーは256色の固定パレット。音源は2オペレータ16和音(4オペレータを使用する場合8和音)のFM音源+8Khz ADPCM。ちなみに、携帯ゲーム機としては、たとえば、ワンダースワンカラーの場合が画面が224×144ドット256色、4チャネルのPCM音源を搭載している。
ただ、携帯電話はその大きさが小さい分載せられるメモリも非常に小さい。たとえば、F503iの場合、iアプリに使うことのできる記憶用のメモリはトータルで200KBで、iアプリのひとつひとつは「JARファイル」という画像データや音楽データを含んだ圧縮ファイルで10KBまで、という大きさの制限がある。
携帯ゲーム機などでは、たとえば、ゲームカートリッジにはよく使われている、4M bitマスクROMだとゲームのプログラムや画像、音楽データに512KBを使うことができる。それに比べるとiモードのほうはかなり小さい。
が、Java対応iモードには、他のゲーム機とは違う大きな武器がある。それは、このJava対応iモードが「携帯電話である」ということだ。つまり、いつでもどこでも電話機能でネットワークに接続できるのである。
通常のゲーム機では、メモリはROM、つまり読みこみ専用で書きこみのできないメモリを使い、ゲームのプログラムや音楽データ、キャラクタのデータなどが全てまとめてこの中に入れられている。iモードでは、ゲームのデータ全体をメモリの中に入れておくこともできるが、ゲームのプログラムやデータ全体はサーバーの中に置いておく。そして、必要な分だけネットワークを介して読みこんでは実行することができるわけだ。
インターネット上のサーバーの容量はいくらでも増やすことができる(別にサーバー自体が複数になってもよいわけだし)ので、「読みこみに多少時間がかかる(特にiモードでは9,600bpsと通信速度はお世辞にも速い速度とはいえない)」ものの、事実上、iモードでは無限の容量のゲームデータを使用できることになるわけだ。
また、アプリケーションがサーバー上にある、ということはいつでもバージョンアップが可能である、ということもある。たとえば、ゲームのデータがアップグレードされていたりしても、携帯ユーザーは何の手続きも踏まずに勝手にデータが新しくなっているわけだ。
また、ソフトは全部ダウンロードで手に入るので、ゲームソフトを発売日にわざわざ買いにいかずとも、サーバー側でサービスさえ開始されればいくらでもダウンロードで手に入れることができるという手軽さもある。
ちなみに、iアプリのゲームでは、アプリケーションの実行中に通信をするかどうかを設定することができ、「通信する」設定にした場合はこのデータの読み込みが行なわれることになる。
後編では、ズバリどのようなゲームが登場するか予想します。掲載は2月6日です。お楽しみに。
□関連情報
【1月23日】iアプリ対応サービス一覧 (ケータイ Watch)
http://k-tai.impress.co.jp/data/iappli/
【1月18日】ハドソン、あの「スターソルジャー」をiアプリに移植
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010118/hudson.htm
【1月18日】セガ、「サンバDEアミーゴ」、「チューチューパズル」などJava搭載iモード向けにサービス開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010118/sega.htm
【1月18日】タイトー、Java搭載iモードで「スペースインベーダー」をリリース
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010118/taito.htm
(2001年2月5日)
[Reported by 大和哲]
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