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【特別企画】

Java搭載iモードの登場でゲームが変わる?
Java対応iモードがやってきた iアプリゲームの基礎知識
【 後編 】

 ついに登場したJava搭載iモード。「iアプリ」と呼ばれるJavaプログラムを端末にダウンロードすることで、アクションゲームなどこれまでの携帯電話では考えられなかったようなゲームを遊ぶことができる。Java搭載iモード端末の登場でどのようなゲームを遊ぶことができるようになるのか? 2回に分けて取り上げる。後編は「Java搭載iモード端末の登場でどんなゲームが登場するのか」です。 (編集部)


■ Java対応iモードではどんなゲームができるのか

 具体的に、Java対応iモード携帯電話でどんなゲームができるのか? 答えは「速度さえ気にしなければなんでもできるはずである」が正解だ。Javaに対応した、ということで今、iモード携帯電話で遊べるゲームとして注目されているのは、アクションゲームやシューティングゲームの類だ。

 ただし、実際のところ、非力な携帯電話内蔵のCPU (携帯電話は大きさが限られる上に電源も内蔵電池の限られた電力しか使えないので、そのトレードオフとしてCPUパワーはかなり小さいものとなっている) でJava仮想計算機のエミュレーションをしている、という事情もあってPCや携帯ゲーム機と比較しても、Java対応携帯電話のスピードは遅い。

 携帯ゲーム機では、非力なCPUでもアクションゲームなどがスムーズにできるようにハードウエアでスプライトやバックグランドなどのオブジェクトの移動を、あるいは拡大縮小回転などもサポートしている場合が多いが、Java対応iモードには今のところ、(おそらく)そのような特殊な仕組みはない。したがって、各ソフトメーカーが工夫しているとはいえ、専用のゲーム機と比べるとどうしてもアクションゲームの動作などは重くなりがちだ。だから、今のところ、バリバリにすばやいシューティングゲームや、大きなキャラクタがどんどん動いたり、回転したりするような派手なアクションゲームをiモードに期待するのはあまり正しくない。

 ダウンロードといえば、携帯電話の「プログラムもデータもいつでもダウンロード、アップロード可能」という性質を生かしたようなアプリケーションに期待するのはある意味正しいかもしれない。iモード携帯電話は、通信プロトコルとして、HTTPとHTTPS、つまり普通にWebページをアクセスするのと同じ方法をアクセス手段としても持っていて、プログラムからWebサーバーへのアクセスも簡単だ。たとえば「全国でハイスコアランキングをする」というようなことは割と簡単にできる。

 たとえば、今遊べるゲームだと、ドワンゴの「対戦!がんこ盤」のように、すべてネットワークに接続した状態のユーザー同士がチェスやはさみ将棋などをプレイする、などというタイプのゲームが簡単にできるのがiモードならではだろう。この「対戦!がんこ盤」では、対戦では、サーバーがユーザーのレベルに合わせて自動的に対戦相手を決めてくれる自動マッチングや、特定のIDと待ち合わせをして対戦することもできる機能もある。

【対戦!がんこ盤】
(C) 2001 DWANGO Co.,Ltd.

 あるいは、ネットワークということでいえば、ドワンゴの「サムライロマネスク」なども注目してみて欲しい。このゲームも、これからのiモードを予感できるゲームだ。これは、日本の戦国時代をモチーフとしたネットワークRPGで、ユーザーは30日間合戦に参加したりして出世を目指したり、妻を娶って後継者となる子供を作ったりと10歳から約30年分の人生を楽しむことができる、というゲームだ。

【サムライロマネスク】
(C) 2001 DWANGO Co.,Ltd.

 なお、iモード携帯電話も、ネットワークならどんなゲームでもできる……というわけではない。また、通信速度が今のところ9,600bpsとかなり遅めな上に、使っている通信手段がそもそも遅くなってもきっちりデータを送り、一回で全ての情報を送りきるというタイプのもののために、リアルタイムにあれこれ情報をやりとりするようなゲームを作るにはあまり向いていない。リアルタイムでの対戦ゲーム、たとえば格闘対戦ゲームなどはちょっと難しいかもしれない。

 他には、iモードの注目すべき機能には「エージェント機能」がある。iモードでネットワークを使うタイプのコンテンツでは、「エージェント機能」といって必要に応じて通信をしたり、あるいは毎日決まった時間に決まった情報を取ってくる、などということもできるようになっている。うまく使えば、「毎日サーバーからデータを読んで自動的に育っていく育成ゲーム」のようなものもできるかもしれない。


■ これからの話

 さて、最後に、Java対応携帯電話がこれからどうなっていくのか、という話をしよう。

 まず、iモードの話。これから、いくつかのメーカーからJava対応iモード携帯電話がさらに発売される予定だ。注目なのは、TFD、TFTタイプの液晶画面を搭載したモデルだ。今、発売されているiモード携帯電話の液晶画面はSTN型といってオーソドックスなタイプの液晶ディスプレイだが、この液晶は反応速度が速くなく、また、色数もあまり増やせないという弱点がある。TFD,TFT液晶は「アクティブマトリクス」方式といって、各画素に薄膜ダイオードやトランジスタが組み込まれていて、反応速度も速く、画像をとてもあざやかに表示できるのだ。ちなみに、携帯ゲーム機ではゲームボーイカラー、ゲームボーイアドバンスが反射型TFT液晶を採用している。

 余談になるが、やはり、iモード携帯電話というのは、ゲーム開発にとっては、特に速度という面でかなり制限のあるハードウエアではある。これは聞いた話なのだが、iアプリに関しては、プログラマも試行錯誤だと言う。たとえば、ゲームでは、少しでもキャラクタの動きが滑らかなほうがいい。そこで、iアプリでも、使う関数をなるべく早い方法や関数を選んでプログラムの「最適化」を行なっているのだが、Java対応携帯電話では、どの命令が早いかなどが端末によってバラバラである部分もあるらしく、ソフトメーカーも苦労しているようだ (まぁ、もともとそれぞれ違うCPUを使ってJava仮想計算機をエミュレートしているわけだから、当然と言えば当然の結果ではあるのだが) 。で、結局、同じアプリケーションなのにF503i用、あるいはP503i用のプログラムに分けて作っておいて、サーバーからダウンロードさせる際に、ダウンロードしている端末によって送るiアプリのファイルを変える、などという涙ぐましい努力をしているソフトメーカーもあるのだそうだ。

 それはともかくとして、携帯電話のJavaは遅いのが弱点であるので、その点はこれからの世代の携帯電話でも改良されていくだろう。この点は、携帯電話以外のデバイスでもいろいろな工夫がされている。たとえば、JIT(ジャストインタイムコンパイラ)などというものもあるし、究極の工夫としては「Javaチップ」というものもある。これは、その名前の通り、Javaバイトコードをそのまま実行してしまうLSIで、いわば、仮想の計算機として考えられたアーキテクチャをそのまま本物のLSIにしてしまっただと言ってもいいだろう。ちなみに、このJavaチップとしては、富士通が、携帯電話、携帯情報端末など、ネットワーク端末向けの低消費電力pico-Java2採用チップ「MB86799」なども製品化していて、これを利用する場合、PCでも、今までのJavaVMの数十倍のパフォーマンスを得ることができるそうだ。さすがに、今のiモード携帯電話にこれがそのまま搭載されることはないかもしれないが、こういった工夫が携帯電話に反映される日もいずれくるはずだ。

 今回の503iシリーズはこういった大きな携帯電話の進歩の、小さな第一歩だと思っていいだろう。

 なおい、ごく近い話だと、次のステップとしては2001年5月から開始される予定のNTTドコモの「FOMA」(IMT-2000対応のサービス)では、やはり、このiアプリと互換性のある端末が登場する予定で、この機種では、iアプリのファイルサイズ制限(現在は10KB)の変更などの検討されているそうだ。

 なお、iモード以外の話だと、J-PHONEなどからもJava対応の携帯電話が発売される予定になっている。ただし、発表によれば、このJ-PHONEの携帯電話はiモードとは搭載しているライブラリやプロファイルが違うので、勝手サイトにあるものでもiアプリをJ-PHONE端末で実行することはできない。


□関連情報
【2月5日】Java対応iモードがやってきた。iアプリゲームの基礎知識【 前編 】
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010205/javai.htm
【1月23日】iアプリ対応サービス一覧 (ケータイ Watch)
http://k-tai.impress.co.jp/data/iappli/
【1月18日】ドワンゴ、オンラインRPG「サムライロマネスク」などを「iアプリ」用コンテンツとして配信
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010118/dwango.htm

(2001年2月6日)

[Reported by 大和哲]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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