インタビュー

サードウェーブ代表取締役社長 尾崎健介氏インタビュー

LFSは休日平日を問わずコミュニティが集まる場にしたい

――先ほど少し話に出ていたE5(E5 esports Works)も、サードウェーブの子会社として設立されて1年が経過しました。E5は「LFS池袋 esports Arena」の運営をはじめ、GALLERIA GAMEMASTER CUPや全国高校eスポーツ選手権の運営など、縁の下の力持ちとしてサードウェーブのeスポーツ事業を支える存在ですが、1年間運営してみて感想はいかがですか?

【LFS池袋 esports Arena】
LFSで行なわれているオフラインイベントの様子

尾崎氏: LFSについては事業とかビジネスというよりは、あそこでもっともっとコミュニティ大会を誘致したい。という点ではLFSの運営に関しては、まだ期待通りとは言えないですね。

――尾崎さんの期待というのはどういうものだったのでしょうか?

尾崎氏: これまでゲームイベントというものは、毎回機材を導入して、会場に搬入して設置して、イベントが終わったら撤去するという、コストがもの凄く掛かるものだったんですね。ですから、LFSのような場所を作ればもっと大会などが活性化できるだろうと、活性化するために作ったものなのです。ですので、平日休日を問わず毎日あそこでゲーム大会やイベントがたくさん開かれるような場所にしたかったんですが、まだまだ数が少ないと感じます。

――私も発表会やeスポーツ大会でちょくちょくLFSに行ったり、ストリーミングの配信を見ていますが、週末はイベントで結構埋まっていますよね。そこだけでは足らなくて、平日は大学のサークルや、アマチュアチームとかが借りたりするような、そういった風景を想像されているのでしょうか。

尾崎氏: そうですね。コミュニティリーダーが「こういうイベントをやるぞ」と計画して入ってくるような、そういうイメージですね。もちろん、一般のユーザーも大事なお客様です。私のイメージは、一般のお客様にも楽しんでいただくことと合わせて、みんなで集まって一体となってゲームをするための施設なので、そういうイベントの数はまだ足らないですね。

――もうすぐ営業開始から2年目を迎えるわけですが、今年の方針はありますか。「ロケットリーグ」のアマチュアリーグもLFSで始まりましたよね。

尾崎氏: PRIMAL(Rocket League Japan Series)ですね。ああいった形でリーグの誘致や、これまでできなかったことをどんどん進めていくことですね。今も週末はほぼ埋まっていますが、平日の動きが足りないですね。平日を変えていきたいですね。

【PRIMAL】
RIZeST主催の「ロケットリーグ」リーグ。サードウェーブは協賛として会場を提供している

――ちなみに、これは少し話がそれますが、秋葉原のGALLERIA esports Loungeの地下は私もよく観に行くのですが、10席あるしかないのに稼働率が高い。ちょっと秋葉に行こうという仲間が4~6人の単位で入ったり、待ち合わせに使っているというイメージがありますね。

尾崎氏: そうですね。GALLERIA esports Loungeは、気軽にPCゲームに触れてもらい、PCゲームの楽しさをわかってもらうと言うことなので、その目的は合致していると思います。LFSとはちょっと違うんですよね。LFSはeスポーツ施設として、大会とかイベントとかをコミュニティが一体になってやるための場所であって、それによってコミュニティやPCゲーム自体も盛り上がっていく。そのための場所です。

【GALLERIA esports Lounge】
落ち着ける色使いの空間に、10台のゲーミングPCが用意されており、LFSと同様に3時間単位で利用できる

――LFSについては、2号店、3号店という話もされていましたが、今はその計画はまだない感じでしょうか?

尾崎氏: 出店計画は現時点では未定です。ただその考え方は変わっていないです。

――先月、綾瀬工場を取材させていただいたんですね(参考記事)。BtoCの個人向けのゲーミングPCが1台ずつ手作りされていましたが、その一角では本体側面に「GALLERIA」のロゴシールが張られた法人向けのGALLERIAが大量生産されていて、ネットカフェに大量納入していることを知って驚いたんですね。こちらのBtoB向けの「GALLERIA」というのはどのような計画なんでしょうか。

尾崎氏: GALLERIA自体にハッキリとしたBtoB計画があるというわけではないのですが、そこはさっきの部分と絡むところがあるのです。LFSを広げていくのは、以前中村さんにもお話をしましたが、野球で言えば野球場を作っていくと。別に野球場を作ること自体が我々のビジネスではなくて、野球をするための野球場がいっぱいできれば良いんですよね。

 なので、他社さんがeスポーツ用のカフェ、eスポーツ大会ができるようなゲーミングカフェを作っていってくだされば、何も我々が独自でLFSを増やす必要はないんです。そういう意味では、日本各地で作られているゲーミングカフェ、eスポーツカフェができていく中で、我々はそういった所にPCを提供して、販売していくということは、我々のeスポーツのビジョンとしてマッチしています。

【綾瀬工場】
4月に取材した綾瀬工場。極めてエキサイティングな空間だった(参考記事

――なるほど、綾瀬工場の担当者に聞いた話では、法人向けのPCが8,000台でしたか。すごい数字だなとびっくりしました(参考記事)。ある意味LFSというのはショールームの機能も兼ねていて、GALLERIAの購買にも結びついているのかと思っていました。LFSとGALLERIAというのは全然別なんでしょうか?

尾崎氏: 一緒にはあまり考えてはいないです。GALLERIAを販売するためにLFSを作ったわけでもないですので。そこはやはり距離があると思います。マーケットを大きくして行きたい、これはPCの販売にいずれはつながるという下心が無くはないのですが、そこまで直結するものでもないですね。

【法人向けエリア】
側面にGALLERIAのロゴがあるのが法人向けの証。同一スペックで大量生産されていた