インタビュー
サードウェーブ代表取締役社長 尾崎健介氏インタビュー
2019年6月7日 00:00
未来に向けて。尾崎氏「“eスポーツ”としてのオフィシャルな大会が必要」
――そろそろお時間なのでまとめに入らせていただきますが、サードウェーブさんはJeSU(日本eスポーツ連合)のスポンサーでもありますが、日本の今のeスポーツの現状をどのようにご覧になっていますか? まだまだだなと感じていらっしゃるのか、結構おもしろいところまできているなと感じていらっしゃるのか、そのあたりの温度感のようなものを教えていただきたいです。
尾崎氏: 現状良い流れにになってきているなとは思います。やっぱり課題は当然たくさんあって、その課題をもっともっといろんな学校含め、団体と一緒になって解決していかないといけないなと思います。
――尾崎さんの考える課題とは何でしょうか。気になっているものを幾つか教えていただけますか。
尾崎氏: 今一番の課題は、オフィシャルなeスポーツ大会をやり始めていますが、これがちゃんと突き抜けて、安定するところまでいっているものがないと言うことですね。
――突き抜けるとはどういう状況でしょうか。やはり甲子園レベルまでというところまでということでしょうか。
尾崎氏: そうですね、ああいうレベルですね。国体だとか甲子園だとかそういうレベルです。次に、全般でいえば、「何を種目にするのか」とか、「何をeスポーツと呼ぶのか」ですよね。
eスポーツにも今後ゲームの依存症の問題などがクローズアップされてくると思います。そうした中でちゃんとした大会があるべきです。今のようにガイドラインもレギュレーションも決まらずに、eスポーツという言葉がひとり歩きしていたら、コミュニティレベルのゲーム大会が名前を変えているだけになってしまいます。しっかりとしたガイドライン、レギュレーションが定められたオフィシャルな大会があって、そこに対して参加する人たちが真剣に取り組んで、挑戦するという、楽しむだけではない真の意味で“eスポーツ”としてのオフィシャルな大会が必要だと思います。
――素晴らしい考え方だと思います。私はこの2年、日本でeスポーツが強く意識され始めてから数々のeスポーツの大会を取材してきていますが、一番痛感したのは、アスリートとしての自覚、人から見られる仕事として模範となるような振る舞い、要するにスポーツマンシップの教育、ここが足らないと感じています。
この点については、JeSUの設立発表会でも、他の記者からも質問が出ていました。プロゲーマーになった人はスポーツマンシップを学ばせるという回答があったのですが、具体的に何をしているのかが少なくとも外からはよくわからない。そもそもプロライセンスが特定のタイトルのみに偏っているため、その取り組みにも限界がありますが、教育に関しては大きな問題だと思っています。
尾崎氏: 本当に中村さんがおっしゃるとおりで、少々態度や言動に問題がある人がいたとしても、その周りの人たちはそれを許さない雰囲気だったり、自制するような業界にしていかないといけないですね。これはどこか1個がということではなくて、それに関わる団体や顧問の先生とかもそうでしょうし、まずはちゃんと選手宣誓とか、あいさつをきちんとしてからやるんだと。娯楽としてのゲームだったら、礼儀や態度なども関係ないかもしれない。強ければいいのではなく、そういうことができてはじめて競技であるということです。
これは誰かひとりの話じゃないと思うんですね。各団体や学校関係者、取り巻く企業もそうです。これらがもっとひとつにまとまって行かないと、とは思います。まとまっていくことで初めて課題が整理されていくと思います。
例えば、喫煙をした野球部員がいたとして、それはダメだから、即甲子園出場停止というような、そういう神聖さというか、厳格さは必要だと思います。でも、eスポーツは、そういう部分はまだ成り立っていないところがあって、まさしくそこに関しては問題共有が足りない部分がありますね。
――最後にゲームファン、eスポーツファンに向けてメッセージをお願いします。
尾崎氏: 今年は、「第2回 全国高校eスポーツ選手権」、「第3回 GALLERIA GAMEMASTER CUP」の開催と合わせて、LFSも更なる取り組みをしていきます。eスポーツはこれから今の比にならないぐらいもっと広がっていくと思います。我々としても広げられるように微力ながら尽力していきたいと思っているので是非、期待していてください。
――期待しています。ありがとうございました。