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★PS3ゲームレビュー★

“変身!”するヒーローと旅する“自分”
オンオフが融合した意欲作

「白騎士物語-古の鼓動-」



 日本流ファンタジー世界の中で、巨大な騎士へ「変身!」するRPG「白騎士物語」。ファンタジー物の世界観に、特撮ヒーロー物のような巨大化、変身の要素がミックスされるとどうなるのか? 違和感はないのか? 面白いのか? そのあたりが気になる人は多いだろう。また、「白騎士物語」は、オフラインの「ストーリーパート」と、オンラインの「ライブパート」という2つのモードが1作品にまとまり、融合している意欲作でもある。そうしたところをこのレビューでおさえていこう。

【オープニングのイベントシーンより】
シズナ姫の成人を祝う式典と、長きに渡って確執のあった隣国フォーリアとの和平に沸くバランドール王国。しかしこの平和は「ウィザード」と呼ばれる謎の組織によって打ち壊されてしまう……



■ 王道の和製ファンタジー世界で主人公と旅する「自分」。巨大なヒーローに「変身」する大胆なアクセント

バランドール王国のワイン商で働く若者「レナード」。ストーリーパートの主人公だ
レナードの隣にいるキャラクターは、ライブパートの主人公とも言える、プレーヤーが作成したアバターキャラクターだ。レナードが最初に出会う仲間だ
自分の作成したキャラクターが主人公レナードと一緒に旅をしていく。このアイデアは面白いのだが、ストーリーの都合上いたしかたないとはいえ、ストーリーパートでのアバターの存在感は薄い
 ストーリーパートの主人公であるレナードは、バランドール王国のワイン商で働く若者だ。ワインを城へと届ける仕事を終えたあと、好奇心から宴の開かれている城内へ忍び込んだことで、レナードの、そして白騎士の物語が動き始める。

 「白騎士物語」の大きな特徴は、「ストーリーパート」という1人で遊ぶストーリーRPGと、「ライブパート」というオンラインでの協力プレイという2つが、1本に収まっていることだ。ストーリーパートではオフラインの1人プレイ用RPGが、ライブパートではオンラインでの4人協力プレイでクエストを遊べる。

 そして、この2つのパートは、プレイモードを選ぶような方式ではなく完全に融合している。ストーリーパートのプレイ中からライブパートのプレイを始めていけるし、ライブパートを終えるとストーリーパートへ戻っていき、ストーリーの続きをプレイしていける。

 ストーリー中にレナードが最初に出会う仲間は、プレーヤーが作成したアバターのキャラクターだ。このアバターは「ライブパート」で操作する“自分の分身”であり、ストーリーパートでのアバターは、レナードと共に物語を旅する仲間の1人だ。ライブパートでのアバターは、他のプレーヤーのアバターと協力してオンライン用のクエストに挑む自分になる。

 シングルプレイのオフラインRPGモードとオンラインで協力できるオンラインモードを両方持つゲームというのはあるにはあるが、ストーリーの主人公と自分の作ったキャラクターが別々に存在していて一緒に冒険する、オフラインとオンラインを自由に行き来できる、というのは珍しい作りだ。“主人公=プレーヤー本人”であるべきか否か、主人公にセリフを言わせるべきか、というRPGの悩みどころに対して、面白いアイデアだと思った。

 ただ残念なのは、あくまでレナードたちとアバターは、一緒に冒険しているという程度に収まっているところ。ふんだんにやり取りがあったり、アバターが仲間にいる必然性みたいなものが、ストーリー中にはほぼ感じられない。むしろ、なんでワイン商の新人であるアバターが、レナードたちの壮大で危険な冒険に同行するのかという前提すらも、自分にはよくわからなかった。「主人公と一緒に旅する自分のキャラ」というのは、今までのRPGにあまり見られなかった面白いアイデアだと感じただけに、なんだかもったいないなと思う。

 エリアの移動は、世界地図の画面から直接エリアを選ぶタイプだ。隣接したエリア同士はたいがい繋がっているので、走って移動することもできる。どのエリアもとにかくスケールが大きくてマップが広いのが印象的だ。スタート地点でもあるバランドール王国すらもかなりの広さなので、プレイ開始当初は驚くことと思う。

 セレクトボタンからエリアのマップを開くことができるのだが、1画面には収まらないその広さはちょっとしんどさを感じさせるところがあるかもしれない。マップ画面の縮尺を切り替える機能が欲しかったところだ。また、移動中にも周囲を表示するミニマップが見られるのだが、これも縮尺が近くて使い勝手がよくない。こちらも拡大縮小の設定が欲しかった。

 なお、当初は進行方向に向かって自動で走るオートランの機能がなかったのも気になったのだが、これについては2月26日のアップデートで追加されている。今後もアップデートによる拡張に期待したいところだ。

ストーリーが始まるバランドール王国をはじめ、エリアはどこもかなり広い。中央の画像はバランドール王国内でマップを呼び出しているところだが、画面外にも上下4、5枚のマップが広がる。右の画像はストーリー開始直後に訪れるブラスタ平原だが、ここも広い。画像では左奥まで道が続いているが、その先までひたすらエリアは続いている


古代の民がつくりだした禁断の力「シンナイト」のひとつが「白騎士」だ
腕に装着した神器のアークを使って、白騎士に“変身”!
巨大なシンナイトに変身完了! 白騎士の足下にいるのはアバターキャラクターだ。だいたい7メートルぐらいの全長になる
シンナイトの攻撃は超強力。普通の姿で相手していた雑魚モンスターなど、ほとんど一撃で倒せてしまう。MPがなくなるまで変身していられるので、巨大なモンスターばかりでなく、周囲の敵も一掃できる
 「白騎士物語」のもうひとつ重要な特徴は、「変身!」というセリフと共に、巨大な騎士「シンナイト」に変身する、という要素だ。騎士の資格者となった者は、騎士のアークを使って巨大な騎士に変身し戦えるようになる。この、巨大な騎士に変身して巨大な敵とぶつかりあうという、ヒーロー物のお約束のような要素が、王道をいく(ある意味オーソドックスな)物語に強いアクセントを加えている。

 剣と魔法なファンタジー物にヒーロー物のお約束がミックスされていることに、とまどいを感じる人は多いかもしれない。自分も発売前にムービー等で変身シーンを見たときには「これはどうなんだろう。素直なファンタジーRPGでもいいような気がするけれど……」なんて思ったものだが、遊んでみると違和感はそれほどでもなかった。もちろん独特な世界観にはなっているのだが、こういうのもアリだなーと思えた。逆に「白騎士物語」から“変身!”の要素が無かったら、当たり障りのない物語になっていたと思う。

 シンナイトに変身するのは、ボス敵とのイベント戦闘だけかと思いきや、けっこう自由に変身できる。シンナイトに変身するには、巨大化するので天井が高い場所でなければならないというもっともな制限があるものの、そのほかには戦闘スキル(技や魔法など)を使うためのアクションチップを大きく消費するだけだ。つまり強力な技や魔法を使うような感覚で変身できる。エリアのそこらにいる雑魚モンスターを蹴散らすために変身したっていい。ただアクションチップは回復するのに時間がかかるので、頻繁に変身していられるというわけではない。

 シンナイトの力は強力だ。7メートルぐらいの巨大な騎士が大きな剣を振るい敵をなぎ倒す。ファンタジーRPGの中に突如巨大ロボットが登場したような光景は、ちょっと異様でインパクトがある。ちなみに7メートルという数字は、東京ゲームショー2008の「LEVEL5 vs PS3スペシャルセッション」にて、株式会社レベルファイブの代表取締役 日野 晃博氏が、大きさを感じやすいサイズとしてこだわった数字だと語っていた。そこから、おそらくシンナイトも7メートル前後のサイズだろう、と思われる。

 大きいのはシンナイトやイベントのボス敵ばかりではなくて、トロルやゴーレム、大蜘蛛、ドラゴンなどといった、大きなモンスターがエリアのそこらに徘徊している。そうした巨大な敵と戦うときにはあえて変身せずにそのまま戦ってもいい。巨大な敵には足や腕、高いところに頭、といったように攻撃できる部位があって、人間サイズのまま戦うときは、例えば足を攻撃し続けることで敵が崩れ落ち、低くなった頭やお腹を攻撃できるようになる。飛び上がって空中で武器を振るうタイプのスキルや魔法を使えば高い位置の部位を攻撃できるのだが、基本的には足下を攻撃して崩す戦い中心になる。こちらのダメージは通りずらく、敵の攻撃は強い。長期戦になってくる。

 そうした一方、シンナイトに変身してしまえば巨大な敵もだいたい楽勝で倒してしまえる。シンナイトは攻撃力もHPも高い。人間のままでは全滅するような状況でも、変身してしまえば切り抜けられる。仲間の窮地を変身して助ける、というのはヒーロー物の醍醐味だろう。だがそのために、シンナイトに変身できるキャラクターのアクションチップはいざというときまで温存しておく、という意識がどうしてもついて回ることになった。いつ巨大な敵と出会ってもいいように。変身できるキャラクターはアクションチップを浪費しないよう、普段はアクションチップ消費の少ない地味なスキル中心で戦うようになってしまいがちだったのが、ちょっと残念に思えた。

 シンナイトに変身中はMPを消費し続けるため、変身が解けるまでの時間は限られている。また、MPが尽きる前でも、周囲に敵がいなくなれば変身は解けてしまう。そのため巨大な敵と戦うために変身したときは、できる限り多くの敵を巻き込むようにしてMPが尽きるまで暴れ回る、というプレイをした。なんだか巨大ロボットに乗り込んで破壊の限りを尽くしているような遊び方だ。目的地方面に向けてドカドカと突き進み、ある程度敵が集まったところでトカゲやら蜘蛛やらをほぼ一撃にしとめていく。ファンタジー物のRPGとは思えない異様な光景。爽快だ。

ピンチのときは騎士に変身! 巨大な魔獣を相手に変身せずに戦っていたのだが、大ピンチに。すかさず白騎士に変身して形勢逆転! 一気に魔獣を倒せた。ちょっとずるいような気はするが、なにせこれだけ巨大な騎士だし、剣もでっかいし、強いのは当然なわけで。ヒーローだから、これでいいのだ



■ オンラインRPGテイストなリアルタイムバトル。自分が命名したオリジナルコンボを決めろ!!

「ストーリーパート」での戦闘画面。戦闘に参加できるのは3人までで、プレーヤーはそのうち1人を操作。残りの2人は作戦などに応じて自動で行動する
こちらは「ライブパート」での戦闘画面。自分のアバターキャラクター以外は、当然ながら他のプレーヤーが操作している
戦闘はエリア内にいる敵を攻撃すればその場で始まる。切り替え無しのシームレスバトルだ。ストーリーパートはオンラインRPG風なシステムになっていて、ライブパートではシステムそのままにオンラインでプレイすることになる
習得した「スキル」をスロットにセット。アイテムや魔法はメニューからも使用できるが、スキルはスロットにセットしたものしか使えない。戦い方にあったスキルを厳選してセットしよう
 「ストーリーパート」での戦闘は、戦闘メンバー3人のうち1人を、プレーヤーが操作する。残りの仲間は、作戦指示に従って自動で行動してくれるオートバトルだ。操作するキャラクターを変更することもできるが、戦闘時は基本的に誰か1人を操作する。プレイしている感覚は疑似的なオンラインRPGに近い。

 これに対して「ライブパート」はと言えば、言うまでもなく操作するのは自分のアバターキャラクターのみ。最大で4人のプレーヤーがクエストに参加できる。ストーリーパートでも自分の作ったアバターを操作するようにすれば、どちらのパートでも自分の作成したアバターを操作してプレイする、というスタイルにできる。

 戦闘は画面の切り替えなどはなく、エリア中に徘徊しているモンスターに攻撃をしかければシームレスに始まる。「ストーリーパート」での他の仲間には、1人ずつに回復を重視したり、自由に戦えといったような戦い方の基本を設定しておけるほか、戦闘中にL3ボタンを押すことで、集中攻撃や分散、距離を取るなどの作戦指示も出せる。また、R3ボタンを押すと、作戦や状況に応じて強力な技を使ったり味方の回復を行なってくれる。

 「白騎士物語」の戦闘は画面をみるとアクション要素が多いのかと思うかもしれないが、実際は移動以外のアクション要素はあまりない。リアルタイムの戦闘をコマンド選択で行なうようなイメージだ。戦闘が開始されると、「アクションゲージ」という円形のゲージが貯まっていく。これが満たされると行動が行なえる。ようするに入力の待ち時間だ。

 このアクションゲージの貯まるスピードは、装備品などによって、軽装なら速いし重装備なら遅いといったように変わるのだが、基本的に少しゆっくり目に感じた。おそらくはライブパートでテキストチャット入力を戦闘中に行なうことなども考慮しての控えめなスピード調整かもしれないが、ほんの少し、もうワンテンポ速くてもいいように思う。そのほかにもキャラクターがダウンしてから起き上がるまでがゆっくりとしているところなど、動きが鈍いと感じられるときがあったので、そのあたりも気になったところだ。そうしたスピード感はプレーヤーが互いをフォローしあうライブパートでは丁度いいぐらいなのだが、ストーリーパート中だともったりと感じられるところがある。

 アクションゲージが貯まってから発動するのが「スキル」だ。スキルは戦闘画面の下に横並びなっている「スロット」にセットしたものを方向キーで選択して使用する。横一列には7つのスキルを、スロットの列はほかに4列あって方向キーの上下で切り替える。自分でセットするスキルが21個で、ほかに、アイテム、防御、ターゲット変更、シンナイトに変身できるキャラには変身のコマンドがある。

 防御はR1ボタン、ターゲット変更はL1ボタンでも行なえる。防御はアクションゲームのような瞬間的に反応して防御するようなものではなくて、ゲージが貯まってから選ぶと防御の姿勢をとり続けるというタイプだ。敵のターゲットをひきつけるようなスキルもあるので、それらと組み合わせて、オンラインRPGでいう盾役のようなプレイスタイルをするときに使う。移動は自由にできるが、敵との距離をとっても攻撃を無効にしたり避けたりすることはほとんどできない。移動操作のテクニックで敵の攻撃を避けられるゲームだったら、もっとエキサイティングな面白みが出たのでは、と感じるところもある。

 この方向キーの上下でスロットの列を切り替えるという方式は、ちょっと手間がかかる。頻繁に使うスキルを集めるようにスロットへのセットを考えることでだいぶ解消されるが、セットした位置が遠いスキルや、アイテムをすぐに使いたいときの切り替えはけっこう時間がかかってしまう。例えば、戦闘の操作にはL2/R2ボタンを使っていないので、L2/R2ボタンでスロットの列を切り替えるみたいな方式が欲しかったところだ。

 先に戦闘のテンポが少しゆっくり目と書いたが、ある意味そのテンポはこのインターフェイス操作のリズムに合っているとも言える。だが、こうしたメニュー周りがより洗練されれば、もっとスピーディーにしても大丈夫になるのではと思えた。

 これは「白騎士物語」のインターフェイスやメニュー周り全般に感じたことだが、全体に洗練されていない印象を受けた。インターフェイスの多くが、メニューを呼び出し、たどり、選ぶという手順のかかる作りになっている。ボタンやキーの組み合わせで選びたい機能をショートカットさせる、という仕組みが欲しかった。あと、戦闘中にはターゲットの敵を視点にロックするような仕組みも欲しかったところだ。

スキルポイントを消費してスキルを習得する。スキルポイントはレベルアップするともらえるが、取得のやり直しができないので、慎重に選んでいきたい
習得したスキルを組み込んで作成する「コンボ」。武器ごとにある武器マスターのスキルを取得すれば、より長く強力なコンボが作れるようになる
コンボ中は技を○ボタンで繋いでいく。タイミングよくボタンを押せば、威力が高まる
 スキルは、レベルアップすると手にはいるスキルポイントを使って取得する。スキルの系統には、片手剣、両手剣、両手斧、槍、弓、杖といった武器に依存するもののほかに、主に回復魔法がある神聖魔法、攻撃魔法のある精霊魔法がある。自分の作成したアバターのスキルはもとより、他のストーリーパートのキャラクターも、どういったスキルを取得していくかは自由だ。一応キャラクターごとに初期装備している武器があるのでそれでイメージを固めていくのもいいが、それも変えてしまって自由にスキルをつけていくこともできる。

 ストーリーパートを進める上では、神聖魔法を重視した回復役のキャラクターを1人用意すると楽になる。基本の行動内容も「回復を優先」にすれば、HPの減少はもちろん、ステータス異常にも適切な魔法で対処してくれる。

 スキル同士を組み合わせた「コンボ」を作成できるシステムが面白い。スキルを発動する順に組み込んで、最後にコンボに好きな名前をつける。そのコンボをスロットにセットして使えば、コンボに組み込んだスキルが連続して発動される。コンボ発動中は○ボタンを押すことでスキルが繋がっていくのだが、○ボタン連打でも発動するが、タイミングよく押すことで威力が増す。斬りつけ、切り上げ、上空に飛んで斬り下ろす。そんな連続技をスキルの組み合わせで自在に作成可能だ。

 面白いもののなかなか悩むのがコンボの名前なわけだが、これはライブパート中にもログに発動したコンボ名が表示されるので、笑えるような面白いものはまだしも、不快感を与えるような名前は避けよう。

 “ライブパートの自分”であるアバターのレベルは、当然「ストーリーパート」でも上がる。ストーリーパートでレベル20になれば、ライブパートでもレベル20だ。装備もストーリー中に身につけたものそのままになる。その逆に、「ライブパート」のクエスト中にレベルが上がれば、そのレベルのまま「ストーリーパート」に戻っていく。ストーリーとライブはまったく垣根がなくて、同じ世界の中で、同じキャラクターが挑むものというスタンスになっている。

 最後に装備品について。武器や防具はショップから購入できるほか、強化したり素材へと分解したり、そして素材から合成して作成することもできる。ライブパートでは特に、クエストから手にはいる素材を集めて、より強力な武器や防具を合成していくことがプレイ目的になっていく。

 装備品のグラフィックスは全てキャラクターに反映される。つまり、ストーリーパートのキャラクターたちも武器や防具を変えれば、その姿は様変わりする。だが、合成もあまり種類が多く作れない序盤から中盤にかけてはショップから購入できる防具で装備を調えることになる。そしてその種類はショップごとにだいたい2、3種類と少なめなので、ストーリーのキャラクターたちがみんな同じ見た目になってしまうことが多かった。キャラクターの見た目的な個性も消えてしまう。

 合成で作れる装備品を重視していけば装備の種類も増えていくのだが、合成の素材はなかなか集めるのに苦労する。そのあたりは素材目的に繰り返し遊ばせる姿勢であるライブパートと共通なためで、手軽に作れるものが少ない(ようは、オンラインRPG基準の手間や労力がストーリーパートに共通であるということ)。ショップ販売の装備品に、アクセサリ(メガネとかマントなど)を組み合わせていけば、みな別々の格好にもしていけるのだが、もう少し序盤から外観の違う装備の種類が欲しかったところだ。

装備している武器や防具は、ストーリーパートのキャラクターの外見にも反映される。姿はイベントシーンでも同様だ。画面左のように装備を外したままでイベントシーンに入ってしまうと、なんだかおかしな雰囲気になってしまう。ショップで販売されている装備だけだと種類が少なくて、仲間が似たり寄ったりの格好になってしまうのは、少し残念に感じるところだ
こちらは、装備の強化、分解、そして合成の画面。素材を入手して、強化した武器と合成させることで新しい武器や防具を作る。ただ合成はオンラインのライブパートが基準というか、強力な装備を作るための素材集めはかなり苦労する。その苦労の分、お目当ての装備が完成したときの喜びがあって、面白いところではあるのだが、ストーリーパートでも同じ基準で合成することになるので、これはちょっと辛いところだ



■ 「ジオネット」でプレーヤー同士が繋がる「ライブパート」

ストーリーパート中に購入した「サブクエスト」に挑むのがライブパートだ
 ここからは「ライブパート」について触れていこう。まず前提になるのは、ストーリーパート中にショップから「サブクエスト」を購入することだ。サブクエストギルドランクが上がるごとに買えるものが増えていく。また、クエストを遊ぶにはクエストの舞台になっているマップまでストーリーパートで進んでいることも条件になっている。

 ライブパートの始め方はいくつか方法がある。ひとつは、ストーリーパート中のワールドマップ画面から、購入したサブクエストを選ぶことで開始できる。ここから「だれかとプレイ」を選べば、同じクエストに挑もうと待機しているプレーヤーに接続されるオートマッチングだ。手軽に誰とでもいいから「ライブパート」を始めたいときはこちらから簡単に始められる。また、クエスト選択後に「ひとりでプレイ」を選べば、オフラインでサブクエストをプレイできる。クエストの下見などに使える。

 もうひとつは自分でルームを作成していく方法だ。ストーリーパート中のセーブポイントやワールドマップ画面から、「ジオネット」という項目を選ぶと、「ライブパート」の中心になるコミュニティスペース「ジオネット」に接続される。

ジオネット内の画面。こちらは開発スタッフのページで、開発スタッフのマイタウンはプレーヤーが集まるパブリックスペースのように活用されている。まずはここからライブパートのプレイを始めるのがオススメだ
「マイタウン」のルームに入ったところ。ルームには12人までが入ることができ、ここから4人まで参加可能なサブクエストを開始していく。ルームはコミュニケーションの場所だ
ライブパートでは(というよりアバターキャラクターは?)、残念ながらシンナイトに変身できない。そういう意味ではライブパートのプレイは、オーソドックスなオンラインRPGという印象だ
 「ジオネット」は、ようするに「Mixi」などに代表されるソーシャルネットワークのネットコミュニティだ。プレーヤーごとに自分用のページが用意されて、そこで冒険日誌という日記をつけて公開できる。他のプレーヤーが自分のページを訪れれば、訪問者履歴として記録され、公開されている日記からその人のページを見ていける。メールのやりとりをしたり、フレンドのページをたどっていくことも可能だ。

 プレーヤーのページにはそれぞれ「マイタウン」という項目があって、そこにルームを作成できる。ルームは1ルームにつき12人が接続できて、そこで他のプレーヤーのアバターと交流したり、サブクエストを開始していける。ようは誰かのページのマイタウンに人が集まる、というわけだ。

 ただこの仕組みは「白騎士物語」を遊んでいるフレンドがたくさんいる人ならいいのだが、そうでない人からすると、プレーヤーが集まっているマイタウンがわかりづらい。そのため、昨年末から開発スタッフのページが公開されていて、そこが最も人の集まるマイタウンになっている。まずはそこで白騎士物語を遊んでいるフレンドを増やすのが遊びやすい。

 プレーヤー同士の会話はテキストチャットで行なう。定型文なども用意されているので比較的手軽だが、こうしたファンタジーRPGではテキストチャットが主流だし、アクション要素もそこまで高くはないのでテキスト入力する余裕も十分にあるのだが、よりスピーディーに会話できる選択肢としてボイスチャットも使いたかったように思う。

 ギルドランクは、サブクエストをクリアすることで得られるポイントを貯めると上がっていく。もちろん最初はランク1からで、購入できるのもランク1のクエストだけだ。自分でサブクエストを開始するときは購入してあるクエストしか選べないが、ランク6までのサブクエストなら他のプレーヤーが開始したクエストにも参加できる。

 サブクエストの内容は様々だが、おおまかに言うと、エリア内で何か条件を満たし(何かアイテムを見つけるとか、特定の敵を倒す、など)、最後に出現するボス敵を倒してクリアになる、というものが多い。それ自体は問題ないのだが、いかんせんサブクエストの数が少ないのがネックに感じる。ランク6以上の高ランクになるにつれてそのランクのクエストが増えていくのだが、ランク1~5は2つか3つほどしかない。ランクを上げるために同じクエストを繰り返すと効率を突き詰めたプレイ内容になってしまいがちで、正直面白みに欠けてしまう。現在は3種類の追加クエストが配信されており、今後も続々追加予定ということなので、期待していきたい。

 最後にアバターについてだが、アバターの作成はゲームプレイ開始の一番最初に行なう。まったく何もわからない段階で作成をするのだが、アバターの容姿はそれ以降変更はできない。やりなおしのきかない最も重要な作成だ。アバターはセーブデータひとつに対して1キャラクターのみという仕様なので、違うアバターを作るにはストーリーパートを最初からプレイしないといけない。ストーリーパートに参加するアバター以外にも、ライブパート用のサブキャラクターも作れるようにしてほしかったと思う。

左の画像は、サブクエストを開始する前の待機所。ここでクエストへの参加メンバーを待つ。画面の上に時間が出ているが、待機所は10分、クエスト中はクエストごとに制限時間が設定されている。クエストによるが、だいたい1つのクエストは30分~50分ほどで終わるだろうか。右の画面はクエスト終了後のリザルト画面。ポイントが貯まればギルドランクがアップする



■ あと一歩インターフェイスや会話を洗練して欲しい。面白い、でも惜しい、もったいない、と感じる作品

細かな気になる点がたくさんあるものの、なんだかんだで面白い。でも、もったいない! 自分にとって「白騎士物語」はそういう感想のゲームになった
 王道をゆく日本人好みな和製ファンタジーの世界観。巨大なシンナイトと巨大な敵のぶつかりあい、「変身」というヒーローの演出といった、大胆なアクセントは魅力的。だが、イベントシーンでの敵との会話ややりとりなど、全体に洗練さに欠けるなと感じたことを残念に思う。特に会話の魅力が薄くて、そうしたあたりからキャラクターの魅力までも発揮しきれていないように感じた。

 ムービーシーンの色合いと、ゲームプレイ中の色合いの違いも気になった。例えば、自由都市グリードのムービーあたりは、淡く、独特な空気感を感じさせる色合いがファンタジーの世界観にあっていてとても美しいのに、ゲーム中は色が濃くて重いアニメ調になっている。ムービーとゲーム画面とで見え方が異なるゲームはそれこそたくさんあるとは思うが、色調はできれば近づけて欲しい(ムービーシーンのカラーはすごくキレイなので、そちらに近づいて欲しいと個人的に思う)。

 このレビューを自分で読み返してみると、どうにも、残念に思った点や気になったところを多く書いていて、自分の書いたものながら手厳しいなと思う。だがそれらは、もったいないと感じたからだ。実際のところこういう内容のレビューを書いておきながらも自分は「白騎士物語」を楽しく遊んでいる。オンラインプレイとオフラインのストーリープレイを分けずに融合させて、システムを全て共通にした意欲的な取り組みは面白いし、安心して遊び込める和製RPGならではの安心感みたいなものもある。それだけに、洗練すればもっと面白いゲームだったはずと思えるのが残念だ。

 なお、公式サイトにある「プレイヤーズインフォメーション」では、プレーヤーから送られてきた要望がリストアップされており、運営チームによるアップデートでの改善が検討されている。既にオートラン機能などがアップデートで追加されているが、今後もライブパートをより快適に楽しめるよう、続々と反映していってもらいたい。

 ライブパートを楽しみつつ、次回作に期待したい。


Created by LEVEL-5 Inc.
(C)2008 Sony Computer Entertainment Inc.

□プレイステーションのホームページ
http://www.jp.playstation.com/
□レベルファイブのホームページ
http://www.level5.co.jp/
□「白騎士物語 -古の鼓動-」のホームページ
http://www.jp.playstation.com/scej/title/shirokishi/
□関連情報
【12月10日】SCEJ、PS3「白騎士物語 -古の鼓動-」ユーザーを招いてシークレットパーティを開催
ゲーム内にSNS機能を搭載した「ジオネット」など新要素を披露
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081210/sirokisi.htm
【10月9日】最大4人のオンラインマルチプレイに対応する王道RPG
SCEJ、PS3「白騎士物語 -古の鼓動-」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081031/siro.htm
【10月9日】東京ゲームショウ2008 ソニー・コンピュータエンタテインメントイベントレポート
「リトルビッグプラネット」/「白騎士物語」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081009/sce1.htm

(2009年3月5日)

[Reported by 山村智美]



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