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Taipei Game Show 2009 関連レポート

台湾ゲーム関連ショップレポート 2009年版
コピー品ソフトが消滅。急速にクリーンになったゲーム市場

2月15日 収録

 台湾のコンシューマーゲーム市場は、2008年に任天堂が展開を始めたことで、ようやく3社が正式に出揃った。“正式に”というのは、それ以前から日本などからの並行輸入品が入っており、ニンテンドーDSなどで遊んでいるユーザーは以前から存在していた。現在はきちんとサポートを受けられる正規品を入手できる状況になった、ということだ。

 ハードウェアは揃ったが、ソフトがいきなり全て中文版になるわけではない。先行しているソニー・コンピュータエンタテインメントとマイクロソフトも、ファーストパーティ製は中文にローカライズしているが、その他は大半が日本語版や英語版のままで発売されている。他にもゲーム市場の中心がPCゲームだということもあり、日本のショップやユーザーとは何かと様子が異なる。

 今回は台北でコンシューマーゲームを扱うショップを中心に、アミューズメント施設やネットカフェなど、ゲーム関連施設を訪問した。弊誌では昨年のレポート一昨年のレポートも掲載しているが、この1年間で状況が変わった部分も多かった。改めて、台湾ゲーム関連ショップ事情の最新レポートをお届けしたい。



■ 新たなビルが完成し、内外ともに生まれ変わった「光華商場」

新しいビルに場所を移した光華商場。建物の正式名称は「光華數位新天地」だが、光華商場という名前も通称として残っている
中はとても賑わっているが、通路が広めに取ってあるので、さほど窮屈な思いはしなかった
 まずは台湾の電脳街として知られる光華商場へ。以前は高架下の狭い空間に多数の店が軒を連ねていたが、現在は「光華數位新天地」という6階建てのビルに集約された。小さなショップがひしめきあっているという仕組みは変わらないが、通路が広くとられ、明るく開放的な雰囲気になった。台湾では少し前に全住民に1人3,600台湾ドル(約10,800円)の消費券(政府発給の商品券。ただし9月までの使用期限がある)が配られたこともあり、特に賑わっていたようだ。

 ゲームショップは主に2階と3階にあり、大小あわせると10店舗以上ある。これらのゲームショップを見て真っ先に感じたのは、違法コピー品のゲームソフトがなくなったこと。台湾で正規に流通するソフトを素直に売る店がほとんどで、一部に並行輸入品が置かれている程度だ。建物内が綺麗で明るくなったことと合わせて、非常に健全な雰囲気になっている。

 しかしよく見ると、そうでもないものもまだ存在している。一番目立ったのが、一部ゲームショップにある「維修」という文字だ。素直に読めば「ゲーム機を修理します」ということなのだが、そもそもゲーム機はショップでの修理が認められていない。では何をするかというと、コピーソフトを動かすために本体を改造するのである。ソフトはインターネットを使うなど入手経路が変わっているようだ。

 本体に手を入れるものでは、ニンテンドーDS Liteの外殻をまるごと交換してしまうという面白いサービスを行なっているショップがあった。クリアイエローやゴールドなど見慣れないカラーも扱っており、価格は1,800台湾ドル(約5,400円)。当然ながらこれも本体改造に当たるため、正規の保障は受けられなくなる。

 他にはPCゲームを壁一面に並べた店や、狭い店内がほぼ全てLogitech製品という店、ゲームパッドを山のように扱う店などもあった。ゲーム以外ではやはりPCパーツやデジカメなどを扱うショップが多い。特にASUSを始めとした台湾メーカーの製品は、日本よりもかなり安い値段で購入できるものが多かった。

 光華商場は以前から「台湾の秋葉原」と紹介されることが多いが、光華數位新天地に移ってからも、その傾向は変わらない。中にはアニメ関連の商品を扱う店もちらほらあり、さらには以前はなかったアダルト商品を扱う店が堂々と出店していた。客層が変わってきた“今風の秋葉原”のイメージにも当てはめられそうな変化だ。

 また光華商場の近くにある地下街「光華国際電子広場」にも行ってみた。こちらも光華商場と同じように小さな店が並ぶ場所で、昨年はコピーソフトのメッカともいうべき酷い状態だった。しかし現在は大半の店がシャッターを下ろしており、ごく一部がひっそりと営業している程度で、コピー品の販売業者は完全に駆逐されていた。ただその一部の店では、改造ファームウェアを入れたPSPや、PSPの液晶やアナログスティックなどの部品を販売していたりと、まだアンダーグラウンドな雰囲気を残している。

ゲームショップはいずれも小規模なものだが、建物自体が新しいこともあり、綺麗で整然としている。コピー品も見当たらない
「維修」の文字が唯一の気がかり。堂々と改造をうたわないだけマシかもしれないが…… コンシューマーばかりではなく、PCゲームを扱うショップももちろんある Logitechの商品ばかりが並ぶ面白い店も
DS Liteの外殻だけを交換するサービス。見慣れない色にするのはちょっと面白そうだが、改造には違いない PCパーツを扱うショップも多数ある。為替相場の影響もあり、日本より安く手に入る商品も多い アニメ関連商品を売るショップもある。「台湾の秋葉原」と呼ばれるのも納得
昨年はゲームショップも並んでいた「光華国際電子広場」は、今はシャッター街に。僅かに残ったショップでは、PSPの部品などを扱っていた



■ “座って遊ぶ”文化は一時休眠?「台北地下街」

台北駅のすぐ近くにある「台北地下街」には、多数のゲームショップが並ぶ
入り口の階段横は、一面がXbox 360の広告になっていた
 続いては、台北駅の近くにある台北地下街。こちらはコンシューマーゲームショップの主戦場というべき場所で、多数のゲームショップが軒を連ねている。店舗は光華商場のものより広いものが多く、どの店も多くの客で賑わっていた。ショップで扱っている商品は、こちらもほぼ全てが正規流通品。違法コピー品はもちろん、本体の改造を促すようなものもなく、光華商場にも増してクリーンな環境だ。

 陳列されている商品を見ると、機種別のソフトの偏りが少ないのが目に付いた。どの店を覗いても、プレイステーション 3、PSP、Xbox 360、Wii、ニンテンドーDSのソフトを、それぞれほぼ同じだけのスペースに分けて置いている。台湾におけるハードの主導権争いは、まだまだこれからが勝負といった様子が感じられる。

 台北地下街のゲームショップといえば、店頭に集まってゲーム機を持ち寄り、座って遊んでいるユーザーの姿が印象的だった。ところが今回は、1店の店先に十数人いた程度で、他では全く見かけなかった。何か指導が入ったのか、あるいは単純に遊ぶゲームがないのか、理由ははっきりしない。

 ただ店頭の試遊台には、多くのユーザーが集まっていた。今回訪れた際には、「ストリートファイターIV」と「真・三國無双5」のいずれかを店頭に出している店がほとんどで、そのどれにも多数のユーザーが集まっていた。特に「ストリートファイターIV」では、大技が決まるたびに雄たけびを上げるほど熱狂している人もいた。試遊ではなく、本気で遊びに来ているところは、日本とは少々雰囲気が異なる。もしかすると座って遊んでいたユーザーも、この輪に加わっているのかもしれない。

 日本とは違う混沌とした雰囲気を期待して行くと、ショップそのものはさほど日本と違わない印象で、肩透かしを食らったような気分になる。ただ、これは台湾の市場が成熟し、クリーンな環境で各社が争える状況がやってきた証拠とも言えるだろう。

ゲームショップの数は以前より増えているようだ。店の前で座って遊ぶ人の数は少なくなったが、店頭の試遊台は大いに盛り上がっていて、人の数は減っていないように見える
店頭では、とにかくコーエーの宣伝が目立った。PSP「真・三國無双 MULTI RAID」の発売が間近だとはいえ、かなりの力の入れようだ
中古専門のゲームショップもある。スーパーファミコンやメガCDなどのソフトを当たり前のように置いていたり、「悪魔城ドラキュラ」シリーズを展示していたりして、お宝が眠っている気配が感じられる こちらは台湾では珍しいというカードゲーム専門ショップ。店は小さいが、外に人があふれるほど活気がある
カードゲームショップの中を覗くと、PS3「THE EYE OF JUDGMENT」を遊んでいた。これは新鮮な光景だ 昨年見つけたメイド喫茶は外の建物に移転していた。店に入ると「お帰りなさいませ、ご主人様」と日本語で出迎え。ケーキを頼むとチョコでイラストを描いた上、日本語名まで添えてあった



■ 凄まじい活気のアーケードゲーム!「萬年商業大楼」

ゲームショップが多く入っているビル「萬年商業大楼」。台湾では貴重なアミューズメント施設もここにある
5階にあるアミューズメント施設への入り口。店内は撮影禁止だったので写真はこれだけだが、小さな入り口に反して中は非常に広く活気があった
 次は若者の街、西門町にある萬年商業大楼。こちらも小さなショップが寄り集まるショッピングセンターで、3階と4階にいくつかのゲームショップがある。店の規模は非常に小さく、また通路が細くてかなり混み合っている。取り扱っている品は先に紹介したような場所と大差なく、狭いなりに整然と売っているという印象だ。

 またここの5階は、大規模なアミューズメント施設になっている。そもそも台湾ではアーケードゲームが規制されているため、この店は認可を受けた希少な存在といえる。ちなみにキッズ向けのカードゲーム筐体はあちこちで見られるが、これはゲーム機ではなく“カード販売機”という扱いで規制の網を潜り抜けているのだという。

 店内に入ると、ものすごい数の客に圧倒された。日本ではアーケードゲームが下火になりつつあるということもあるが、それにしても日本では見られないほど店内は活気にあふれていた。筐体も各種かなりの数が揃っていて、しかもほとんどのゲームがプレイ中の状態だった。規制が厳しいこともあって、アーケードゲームそのものが最先端の遊びの1つとしてとらえられている、という印象を受けた。

 入っているゲームは大半が日本製。「BLAZBLUE」、「DrumManiaV5」、「湾岸ミッドナイト MAXIMUM TUNE3 DX」といった日本でも稼動して間もないアーケードゲームも入っている。これらは日本語版がそのまま動いているが、「太鼓の達人11 亜州版」のようにローカライズされたものもある(ただし、隣には日本最新版の「12」も置かれていた)。

 ゲームをするには、硬貨を投入するのではなく、まずメダルに交換する必要がある。メダルは100台湾ドル(約300円)で20枚。プレイ料金は新しいゲームは1プレイ4枚、古いものは3枚といったところ。4枚であれば1プレイ約60円となる計算が、台湾の生活水準から考えると150円程度の感覚で、順当な価格設定といえる。

 ただ「三国志大戦2」だけは別で、10台湾ドルを6枚(約180円)入れるとプレイできた。これもカードが排出されるので、カード販売機扱いとして動かしているのかもしれない。 なおゲームはネットワーク通信対戦にも対応し、台湾のみならず香港、シンガポール、上海の4地域をまたいだバトルも実現されていた。

 人気のジャンルはないかと見てみたところ、前述のとおりどのゲームにまんべんなく人がついていたので、極端な偏りは感じられない。比較的人が集まっていたのは音楽ゲームで、ビジュアル的にも目を引く「jubeat」には人だかりができていた。また「キング・オブ・ファイターズ」シリーズは人気が根強く、いくつかのバージョンが並べてあった。

ゲームショップはかなり小規模な店舗が多い。昔ながらの街のゲーム屋さんといった風情がある
西門町は若者が集まる街ということで、流行の1つである日本文化にも敏感。よってマンガやアニメの商品を扱う店も多い



■ 悪いイメージの払拭を模索する台湾ネットカフェ

「青少年育楽中心」にオープンした新型ネットカフェ「台北電子競技館」。一般利用もできるれっきとしたネットカフェである
 今度はショップを離れて、台北市内にあるネットカフェを見てみることにした。今回行った戦略高手(AZTEC)忠孝店はゲームに注力している店舗。入り口には店内に設置しているPCのスペックを、使用しているマザーボードの型番まで書いてある。半導体関連企業が多くあり、そういった知識も豊富な台湾人らしいアピールだ。利用料金は1時間60台湾ドル(約180円)だが、3人で入店すれば3割引、5人ならば半額まで割引される。

 店内はちょっと綺麗な喫茶店にPCを置いたという感じ。日本のネットカフェでは、パーティションで仕切った席が多かったり、背の高いマンガの本棚が置いてあることが多いが、ここはマンガもごく僅かにある程度で、開放的な空間になっている。あくまでPCゲームを遊ぶための店で、友達と連れ立って来てもらおうという仕組みだ。

 店の奥はガラス張りのコーナーがある。元々は喫煙席という扱いだったが、現在は屋内での喫煙が法律で禁止されたため、全面禁煙となっている。客は20台前後の若い男性がほとんどだが、入り浸っているという印象ではなく、カジュアルに遊んでいるという印象が強かった。ただヘッドフォンは席に用意されておらず、ゲームの音は液晶モニタの内蔵スピーカーから直接出力していたため、神経質な人は隣の音が気になるかもしれない。

 このAZTECについてさらに調べてみたところ、「青少年育楽中心(Young party)」という台北市の公的施設の9階に、2008年11月から「台北電子競技館」という店舗を出店しているのがわかった。早速そちらも覗いてみることに。

 台北電子競技館は、基本的には通常のネットカフェとして運営されており、料金や割引のシステムもAZTEC忠孝店と同様。しかし店内はかなり広々としており、外光も入るようにしていてかなり明るい。またフロアの中央には円形のステージが用意されており、4つの席にはそれぞれ42インチの中継モニタがセットされている。「電子競技館」という名前のとおり、ゲーム大会を開くことも意識したレイアウトだ。

 同店の詳細について、プロジェクトマネージャーを務める陳建宇氏にお話を伺った。この店の最大の目的は、ネットカフェの悪いイメージを払拭することだという。台湾ではネットカフェに対し、閉鎖的な空間に若者が集まることから、不良のたまり場といった認識が広まりつつあるという。日本でいう、昔のゲームセンターのような感覚なのだろう。

 ネットカフェ事業者のAZTECとしては、そういう状況は好ましくない。青少年育楽中心には、アミューズメント機器を置いたスペースや映画館などがあり、家族で楽しめる場所でもある。AZTECとしてはここに出店することで、家族でも安心して遊べるようなネットカフェを提供したいという狙いがあるようだ。事実、取材した日にも、小学校に入るかどうかの女の子を連れた家族が、横並びの席に座って遊んでいた。

 とはいえ、ここもれっきとした店舗なので、営利目的で営業している。IntelとASUSをスポンサーに招くことで、最新スペックのPCを用意。また週末には店内のスペースを利用したゲームイベントも頻繁に開催しているという。今後はこういった綺麗な環境のネットカフェを、台中や高雄にも展開したいとしている。

最初に訪れたAZTEC忠孝店は、落ち着いた雰囲気のネットカフェ。人気ゲームのランキングを見ると、1位は圧倒的な人気で「Warcraft III The Frozen Throne」だった
「台北電子競技館」の店内の様子。端のほうには仕切りのあるブロック席もあるが、大半はオープンな席で、明るい店内が魅力。時間の都合で見られなかったが、この日は「World of Warcraft」のイベントを行なったそうだ。右下は同店プロジェクトマネージャーの陳建宇氏



■ クリーンな環境へ急進する台湾ゲーム市場

 ゲームショップ、アーケード、ネットカフェと一通りのゲーム関連店舗を回った感想は、「予想よりずっと綺麗」というものだ。半導体関連企業が多く、各国のゲームが流入するという環境から、コピーの問題が蔓延し、それがゲームに対しての悪い印象を強くするのではないかと思っていた。

 しかし今年の台湾は、とにかく明るく、クリーンな印象が強かった。それでいて、ゲームに対するユーザーの熱気は衰えることがなく、極めて健全な方向に進化していると感じられる。もちろん健全化したのは表層だけで、よりアンダーグラウンドなところには潜んでいるのかもしれないが、それでも「コピー品は堂々と売買するものではない」という意識が明確になったというだけでも大きな進展といえるだろう。ハードホルダーの地道な活動が、ようやくショップやユーザーからも理解を得られ始めたのだと実感した。

 正規流通のゲームが売れるとなれば、自分でゲームを作ろうというクリエイターも出てくるはずだ。昨年はSCE Taiwanが、クリエイターを育成するプログラムを発表している。これらの動きに乗って、今後、台湾ゲーム業界にとってポジティブなスパイラルが生まれることを期待したい。

□Taipei Game Show 2009のホームページ
http://tgs.tca.org.tw/
□関連情報
【2月13日】台湾最大規模のゲームショウTaipei Game Show 2009が開幕
Webゲームやアーケードゲームなど、台湾ゲーム産業に新たな兆し
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20090213/tgs_01.htm
【2008年1月29日】台湾ゲームショップ特別レポート 完全保存版 Ver.2.0
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【2004年2月7日】一般ユーザーとはちょっと違ったゲーマーが集う台湾「光華商場」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040207/tgs_s.htm

(2009年2月17日)

[Reported by 石田賀津男]



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