|
会場:台北世貿中心
入場料:大人200台湾ドル(約700円)
そのSCETブースは、プレイステーション 3で25本、PSPで10本の新作タイトルの試遊台を出展。新作といっても、発売前のタイトルは一部で、たいていは発売中のもの。これはブース内で本体からソフト、周辺機器にいたるまでを、割引価格で販売しているからだ。来場者に遊んでもらって、面白ければその場で買ってもらうというのが、“Taipei Game Show流”なのである。
■ 台湾でPS3/PSPクリエイターを育成するプログラムを開始
このプログラムにおいて最も特徴的な点は、台湾の政府が協力しているということ。韓国など一部の国では、国策としてクリエイターを養成するプログラムを用意しているが、今回は国と企業、しかも台湾から見れば外資系の企業と共同で行なうという、ユニークな取り合わせになっている。台湾政府としても、実績のあるSCEグループに任せられるほうが安心感があるということだろう。 開発環境は、PS3とPSPのものが提供される。講師には日本の一流クリエイターも招き、実践的な内容で進められるという。優秀な作品は、PLAYSTATION Storeや、PLAYSTATION Homeで配信される。さらに台湾でクリエイターが育った暁には、日本のクリエイターとのコラボレーションも考えたいとしている。現在は、9月にプログラムを開始できるよう準備を進めているという。
ちなみに今回のSCET出展タイトルの中には、台湾のデベロッパーによる作品は1つもない。台湾にもPCゲームの開発会社は数多くあり、決して土壌がないわけではないので、これをチャンスと見て参入するメーカーが出てくることもあるのかもしれない。またPLAYSTATION Storeなどのオンラインサービスで作品が配信されるならば、台湾だけに留まらず、日本のユーザーも触れられる可能性が高い。どんな作品が現われるのか、今から期待しておきたい。
初日のステージイベントは上記の発表会のほかに、バンダイナムコゲームスのPS3用ガンシューティング「タイムクライシス4」ディレクターの薩川隆史氏や、同じくバンダイナムコゲームスのPS3用対戦格闘「鉄拳5 DARK RESURRECTION ONLINE」ゲームデザイナーの原田勝弘氏がゲストとして招かれ、各タイトルの紹介やデモプレイを行なった。2日目には、PS3用電車運転ゲーム「Railfan台湾高鉄」プロデューサーの向谷実氏も登場する予定。日本人クリエイターが登場すると、たちまちステージ前にはものすごい人だかりができていた。
出展タイトルを全体的に見ていくと、PSPは一部に固めて試遊台を置いているのみで、大半はPS3の試遊スペースで占められていた。中身は、中文版が2割、残りは原版そのままの言語といった感じ。その場で売られている発売済みのタイトルも同じ傾向だ。ただ来場者は慣れているのか、あまりその点を気にしていないようで、どのタイトルにもそれなりに人が付いていた。全て日本語で書かれたシミュレーションゲームも、あまり気にせず遊んでいるユーザーが多いのは見ていて面白い。 ただ問題もある。各タイトルの操作説明がどこにも書かれておらず、担当者も1人で数タイトルをカバーするため、聞かれるまで教えてくれない。触ってわかるシンプルなゲームはいいが、チュートリアルもなく、製品版をそのまま置いただけのゲームだと、まるでゲームを遊ぶに至らないことさえある。遊んでもらえばいいといっても、もう少ししっかりと来場者をサポートして欲しいと感じた。
ここからは出展タイトルの中から、日本で未発売のPS3用タイトルを紹介していく。なお先に言っておくが、全世界が長らく期待している「PLAYSTATION Home」は、ここでも映像出展のみとなっていた。
■ ドラゴンボールZ バーストリミット(バンダイナムコゲームス)
ゲームはサイドビューのオーソドックスな対戦格闘。ボタンを連打するだけでコンボ攻撃を出せるほか、「かめはめ波」などの必殺技は横入力と○ボタンなど、とてもシンプルなコマンドになっている。その分ゲームは攻撃のタイミングが重要になっており、遠距離攻撃をよけていきなり背後に回りこみ、カウンター攻撃を仕掛けるといった駆け引きの戦いとなる。アクションのスピードもかなり速く、なかなか戦いの迫力もある。 グラフィックスは3Dをアニメ風に見せるセルシェーディングで描かれている。以前も同様のアプローチをとった作品は存在するが、本作のクオリティはかなり高く、どの角度から見ても原作のキャラクタをしっかりと描いていると感じられた。 そしてもう1つ面白いのが、アニメ的、あるいはマンガ的な演出を加えているところ。強力な技を出すときや、特定の条件で発動する特殊能力が出る際には、派手なカットインやデモシーンが流れる。格闘ゲームとしては異様なほどデモシーンが多く長いのだが、原作を知っているプレーヤーなら楽しく見られるし、テンポが悪くなっているとも感じない。なかなかうまい演出になっていると思う。
台湾・日本ともに2008年発売予定で、価格は未定。
■ HAZE(UBISOFT)
本作はなんといってもグラフィックスの美しさで注目を集めていた。フレームレートは大半のシーンで秒間30フレームに届かないように見えたが、爆発や煙のエフェクト、マップの描き込みはとても美しく、プレイしていてもそちらに引き込まれてしまう。 ゲームのポイントとなるのは、「ネクター」と呼ばれる薬剤。使用すると視点が一瞬ぼやけたようになり、その後は敵がライトアップされたようにくっきり見えたり、射撃能力が向上したりと、各種の能力にアドバンテージが得られる。ただし一定時間で効果が消えて、使用回数も限られている。体験した範囲では、序盤はさほど難しいシチュエーションもなく、ネクターに頼るシーンもなかったが、ゲームが進むとネクターをどこで使うかというのもポイントになりそうだ。
台湾では2008年3月発売予定で、価格は未定。日本では2008年春発売予定としており、価格は同じく未定。
■ PAIN(SCE)
パチンコは上下左右の角度を調節でき、ひとまずは街の中にあるビルなり、車なり、通行人なりに向けて青年を射出する。青年は「アァー!」と声を上げながら空を飛び、オブジェクトに衝突し、当たったものを壊しながら落下していく。この悲壮なアクションが台湾の人たちにも大ウケで、見ている人もかなり多かった。 この動きには物理エンジンのHAVOKが使われているそうで、街中にあるオブジェクトが壊れる様子はとてもリアルに表現されている。青年の動きも、「マネキン人形をパチンコで飛ばしたらこんな風に動きそう」というような、完全に脱力したマネキン風のリアルな動きをする(やっていることは全くリアルではないが)。それがなんとも痛々しく、苦い笑いを誘う。ちなみにタイトルの「PAIN」というのは、日本語で「痛み」であり、それがこのゲームの一番重要な要素であることは間違いない。 1発ものといってもコツはあるようで、ガスのタンクのようなものに青年を当てると、爆発して再度吹き上げられていた。こういう動きをうまく連続させていくことで、“Super Ooch”を目指していく。ただゲームとしては難しく考えず、できれば「よくわかっている大人」が何人か集まったときにでも一緒になって遊んでみてもらいたい。ある種、ゾンビの群れに食い殺されるようなものよりもショッキングな映像なので、子供に遊ばせるには注意が必要かもしれない。
台湾・日本とも発売日および価格は未定。
□Taipei Game Show 2008のホームページ http://tgs.tca.org.tw/ □Sony Computer Entertainment Taiwanのホームページ http://asia.playstation.com/tch_tw/index.php (2008年1月25日) [Reported by 石田賀津男]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|