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【連載第36回】大人による大人のための洋ゲー連載
■Game Dudeの「大人のための海外ゲームレポート」■
欧米アジア3地域の“お宅”を訪問!!
日本とはここが違う!! 世界の「Home」事情
「PlayStation Home」 |
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昨年末、いよいよ「PlayStation Home(以下Home)」はワールドワイドでベータテストを開始した(日本のみ“サービス開始”という表現になっている)。プレイステーション 3本体およびPLAYSTATION Networkのアカウントを持っていれば、誰でも無料でクライアントをダウンロードして「Home」の世界を体験できるようになっている。
「Home」は、日本ではすでにサービス開始という扱いになっているが、ワールドワイドではβテスト中の発展途上のタイトルであり、現時点ではアバターを操作して3Dの世界を歩き回るか、他のプレーヤーとチャットを楽しむか、簡単なミニゲームをプレイする程度の内容しか実装されていない。
このため、書ける内容にも限りがあるわけだが、今の「Home」で最も興味深いのは、各リージョンごとに目に見える特色が出ている点だ。エリアごとのデザインや、売っているアイテム、行ける場所など細かい所から一目でわかるものまで、リージョンごとの独自のサービス実態が面白い。そこで新年一発目の話題は、世界のお宅(Home)拝見、ということで、米国、欧州、アジアの各リージョンの「Home」の様子をお伝えしよう。
【お断り】 |
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当連載でご紹介したゲームは日本国内で流通しているハードウェアでは動作を保証するものではありません。編集部では海外版ハードウェア・ソフトウェアを輸入して紹介しています
この記事を読んで行なった行為によって、生じた損害はGAME Watch編集部および、メーカー、購入したショップもその責を負いません
GAME Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません
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■ 地域ごとに独自の発展が期待できる「Home」
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世界中のHomeを拝見!
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この見慣れぬ場所は!?
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今回ご紹介する「Home」は、バーチャルワールドとアバターを主体とした“ノンゲーム”のコミュニケーションツールのひとつに挙げられるサービスだ。プレーヤーは仮想世界の住人として自らの分身となるアバターを作り、他のプレーヤーとコミュニケーションやインタラクションを楽しめる。
「Home」の他のコミュニティサービスとの最大の違いは、プレイステーション・プラットフォームに参加しているサードパーティーが、メーカーあるいはゲームタイトル単位で「Home」の世界に独自の仮想世界を作り、そこにプレーヤーが実際に訪れることで、最新のゲームソフトの映像をみんなで観て楽しんだり、ゲームで対戦することができるという、Xbox Liveよりもさらに一歩踏み込んだコミュニティ機能にある。
日本においては他地域に先行する形で2008年後半からクローズドβテストが開始され、数度にわたるクライアントの大幅なアップデートを経て、今年末にワールドワイドでのオープンベータに移行した。当初は使い勝手やパフォーマンスまわりが今ひとつ歯切れの悪いクライアントだったが、アップデートにより改善は着実に進んでいる。
コンテンツ面においても「勇者のくせになまいきだ。」のミニゲームがゲームスペースに設置されたり、「ナムコミュージアム」などのサービスが追加され、徐々に盛り上がりを見せてきている。
現状の仕様は、仮想世界に用意された施設を使ってゲームを楽しんだり、服や家具などアイテムを購入して着飾ったり、アバター同士チャットでコミュニケーションを取るなど、シンプルなデザインに留まっており、ゲームをプレイすることで得られる各種リワードの整備やメーカーやゲームタイトル個々の独自コンテンツがお目見えするようになるのは、まだ多少の時間がかかりそうだ。
システム的には単一のサーバーに全世界のユーザーが集結するような作りではなく、米、欧、アジア、そして日本と、地域ごとにサーバーが分かれており、言葉の通じない外国のユーザーと無理矢理コミュニケーションを取らなくても済む様に配慮がされている。
もっとも「PLAYSTATION Store」がそうであったように、SCEは各地域ごとの「市場性」や「都合」に合わせて異なるサービスを展開しているため、仕様上いたしかたなく地域ごとにサーバーを分けている可能性はある。
たとえば、米国には、独自のWebサービス「PLAYSTATION Underground」や、有料の映像コンテンツ「Qore」などが配信されているが、今後も「Home」において地域ごとに異なる展開や進化が見られるようになるかもしれない。実際に今回各地域の「Home」を横断的に覗いてみて、その気配が濃厚であることも感じ取れている。
プレイステーション 3ユーザーにとっては将来的に重要なコンテンツになる「Home」を米国/欧州/アジアの各アカウントを使って、今の状況がどのようになっているかを探ってみたので、ご紹介したい。
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各地の特色あるデザインをチェック |
何の映像を観ようか…… |
■ 活気は世界一。最も進んだ世界はアメリカにあり
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スクリーン前がたまり場になっている
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日本語の入力はできない
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足にすがりつくパフォーマンス?
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人気ゲームの世界を再現したスペースを用意
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世界最大規模の市場規模を誇る米国は、「Home」も最大規模だった。コンテンツアップデート、ユーザーログイン共に非常に活発的であり、ログインしてセントラルプラザ(日本版で言う所のホームスクエア)に接続すると、大勢のプレーヤーがチャットや各スペースの探索を楽しんでいる姿を見ることができる。
まず初めに気付くのが、セントラルプラザのデザインが日本サービスとは大きく異なる点だ。雰囲気的には近代的な公園とショッピングプラザが合体したようなデザインで、日本サービスよりも狭く、起伏も少ないため歩きやすい印象を受けた。
実際に散策してみてわかったことは、エリア構成自体は日本版と変わらず、内部構造も「ボウリングアレイ」(その名の通りボウリングやビリヤード、ミニゲームができる場所)のデザインが異なる程度で、基本的な仕様やサービスは他地域と変わらない。
ちなみに、米国でのβテスト開始時に女性アバターに複数の男性アバターがダンスをしながら取り囲む行為が行なわれたこともあったようだが、その後のアップデートで自宅以外の場所でボイスチャットができなくなった。「Home」内ではSCE純正のコントローラに合体させるキーボードパッド「ワイヤレスキーパッド」を使って「Home」を利用するプロモーション映像が流されており、テキストチャットが“推奨”されている。
このためか、セントラルプラザに限らず、至るところでみんなが積極的にテキストチャットを楽しんでいるのが印象的だった。キーボードを接続しているユーザーが多いのか、テキストチャットはそこそこ活発的で、あちこちでどこから来たのか、年はいくつなのか、と言った会話が行なわれていた。
面白いのは、米国サーバーでありながら欧州から多数のユーザーが流入しているという点だ。「どこから来たの?」という質問に対して「ドイツ」とか「ロンドン」とか、米国外の回答がとても多かった。PLAYSTATION Networkの海外アカウント作成は簡単に行なえるため、英語が使える国であれば賑やかな場所に集まった方が楽しいのは確かなことだ。
米国サービス独自の要素としては、セントラルプラザだけではなく、ゲームソフトとタイアップしたスペースが用意されているという点だ。現時点ではSCEの「アンチャーテッド」と、Ubisoftの「ファークライ2」の世界観を再現したテーマが開放され、自由に行き来することができる。
「アンチャーテッド」のスペースでは、ゲーム中に登場するキャラクター、サリーが経営するバーをイメージした部屋になっており、南国風の落ち着いた雰囲気の良い部屋に設置されたゲーム機で、オリジナルゲームをプレイすることができる。
「ファークライ2」では、駅をモデルにしたスペースが用意され、荒廃した雰囲気が良く出ており、「Home」のベーシックなスペースとは異なる雰囲気が楽しい。こちらもミニゲームが用意されており、他のプレーヤーと対戦を楽しめる。全般的に日本に次いでコンテンツの充実度が高く、かつ日本とは異なる路線を突っ走っているのが米国版の特徴だ。
これらのスペースはセントラルプラザから直接行くことはできず、メインメニューのワールドマップから選択してジャンプするというワンクッションを挟むようになっている。これはおそらくメーカー単位で独立したスペースを作る事で、将来的にはレーティングやチケットの有無などによる入場制限を行なえるように配慮したものだろう。
収益源となる有料アイテムに関しては、日本同様、米国でも服飾品や家具などのアイテム販売がスタートしている。モール内の店に入ると、見慣れたPLAYSTATION Storeと同じようなインターフェイスが開き、好きな種類のアイテムを選択して購入できる。価格帯は0.49ドルから4.99ドルに設定されており、アイテムの種類はベータテストという段階としては豊富に揃っている。
アカウント自体は今ログインしているPLAYSTATION Networkと同じものが紐付けされているため、仕様的にエリア別の決済手段を用意しなければ、アイテムを購入することはできない。もちろん、日本のクレジットカードの使用は不可だ。
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雰囲気の良いアンチャーテッドの世界 |
「ファークライ2」の世界はやや閑散としていた |
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シアターはみんなで鑑賞する方式 |
モールでは家も購入可能 |
■ 「Home」の故郷欧州はコンテンツの出来が一味違う!?
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欧米サービスオリジナルのホームスクエア
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流されている映像はクオリティ高し
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続いて欧州の「Home」を見てみよう。欧州サービスでは、米国版のような追加スペースはないものの、中心地である「ホームスクエア」(欧州サービスは日本サービスと同じ名称)のデザインは、欧州オリジナルになっている。欧州版はどこか米国の西海岸地域にも似た開放的かつノスタルジーな雰囲気が漂う、温かみのあるデザインが嬉しい。ユーザー数は、米国より少なく、日本より多いという、そこそこの人数で、言語は英語のみとなっている。
欧州版最大の特長はオリジナリティとチューニングにあるだろう。「Home」自体がもともと英国で開発が進められてきたせいもあるためか、デザイン的にも使い勝手的にも一番こなれている。
他の地域と比べて大幅に変わっていて目をひくのが「シアター」だ。日本を含む他の地域のシアターでは、ほとんどがプロモーションムービーを繰り返し再生しているだけだが、欧州サービスでは、Euro Gamerという現地のゲームメディアが制作している情報映像や、「レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ」という飛行機競技を紹介するものなど、単なるトレイラーの垂れ流しとは一線を画するサービスを提供しており、これは他地域のユーザーからすると、非常にうらやましく感じるところだ。
鑑賞形式も異なる。他のシアターは実際に映画館内部のように、アバターを席に座らせてみんなで映像を観る形だが、欧州版の場合はシアター内に入ると視点が固定されており、他のユーザーなどの干渉もなく映像を観るのに集中できるような作りになっている。同じシアター内の見せ方をちょっと変えただけだが、使い勝手の面においては優れている。
その他モールで販売している課金アイテムも、欧州地域のみ実在するイタリアの人気カジュアルファッションブランド「DIESEL」の服飾品が購入できるようになっている。値段的には1.59ユーロで日本円にすると200円を下回る程度で販売されている。
今回、居ついて楽しいなと思ったのがこの欧州サービスで、ユーザー数こそ米国版より少ないものの全体的な完成度は最も高いレベルに仕上がっていると感じた。
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シアター内はスクリーンが複数用意されている |
欧米版は1人でじっくり観る方式だ |
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視点も固定されており、1段階だけズームできる |
ボウリング場はこちらも大入り状態 |
■ 近くて遠い? アジアの盛り上がりはまだこれから
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明らかに他地域より人は少ない
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最も人の多いボウリング場内もちょっと寂しい
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最後にご紹介するのがアジアリージョンだ。アジアサービスは台湾が中心になっているようで、モールの決済も台湾ドルになっている。
状況としては、他の地域と比べてまだまだこれからの段階で、ログインしてもほとんど人がいない。アジアではプレイステーション 3の普及そのものが過渡期にあるためだろう。
各エリアの構成は日本の「Home」と全く同じで、前述の決済通貨の違い以外はプロモーション関連の映像が現地化されていたりする程度。また日本までの回線が細いのか、非常に動作が重く、率直なところ日本から遠征するメリットは感じられない。
唯一、ボウリング場には人が集まりゲームを楽しんでいるが、ホームスクエアなどのスペースでおしゃべりを楽しんでいる人や、シアターで映像を観賞している人は少なく、誰も居ない場所もあり、全体的な寂しさは拭えない。コンテンツ関連もベーシックなものだけで、日本で提供中の追加要素等も一切ないため、それがまた寂しさを一層誘う結果になってしまっている。
アジア一円はオンラインゲームが盛り上がっているため「Home」も様々なイベントなどが組まれているのかと思いきや、ほぼ放置状態になっているのが残念だ。モールに人はいるがアイテムもそんなに売れてないようで、販売されている服などを身に着けている人を見かけることはできなかった。
アジア地域用のPLAYSTATION Network Storeのように、日本と欧米のコンテンツをごったまぜに並べたカオス感が楽しめれば最高だったのだが、残念ながら現状のオープンベータテストの段階では、そこまでには至っていないようだ。
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無人の場所が目立つ |
映像はきちんと現地向けに作成されている |
■ 「Home」はこれから。PS3ユーザーは成長の様子を経過観察せよ
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各ゲームの専用スペースはHomeの将来性を感じる
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雰囲気が全く異なるので気分転換にもなる
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駆け足で各地の「Home」を紹介したがいかがだっただろうか。実際に他の地域の「Home」に滞在して、他のライバルハードでは味わえない経験をすることができたのは収穫だった。「Home」は、プレイステーション 3をより有益に活用できるコミュニケーションツールとして、依然として将来性が期待されるサービスだ。
しかし、現時点での「Home」の完成度はまだまだ低い。オープンベータと銘打ってるにも関わらず課金まわりのアイテムだけが完備され、各施設や映像コンテンツなども少なく、物足りない要素が多すぎる。ログインしてテキストチャットとダンスしかできないのでは、飽きられてしまうのも早い。更なるコンテンツの充実が望まれるところだ。
「Home」にPS3ユーザーを集めるためには、ゲームとの連動機能が必要不可欠だろう。例えば人気タイトルのキャラクタアイテムが入手できるとか、クリエイターを交えたイベントが実施されるとか、訪れたくなるだけのメリットを具体的かつシンプルな形で提供していく必要があるように思える。
また、クライアントの設計が古いのも気になるところだ。違うスペースへ移動する度にデータをダウンロードしたり、ローディングそのものが長かったりと、10年前に登場したPC向けオンラインゲーム「EverQuest」レベルのシステムで、現状では「Home」の世界に長くいるのが億劫に感じられる。
コンテンツとクライアント両面での同時進行の改善という非常に重い課題はあるものの、「アンチャーテッド」などのゲームを題材にしたスペースなどを見ていると、Homeの可能性や将来性にかける期待感が見えてくるのも事実だ。現在開催中のCES2009で、Electronic Artsが「Home」に参入することも発表され、今後、他のサードパーティーも追従することが予想される。今後のアップデートにも注目していきたい。
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欧州版はちょっとカリフォルニア風? |
何を観ようか? |
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モール内にDIESELが出店 |
ミニゲームは結構遊べるものが多い |
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米国版のセントラルプラザ |
キーボードパッドは「Home」の必須アイテム |
(C)2009 Sony Computer Entertainment.
□「PlayStation Home」公式ホームページ
http://playstationhome.jp/
(2009年1月9日)
[Reported by Game Dude]
当連載でご紹介したゲームは日本国内で流通しているハードウェアでは動作を保証するものではありません。編集部では海外版ハードウェア・ソフトウェアを輸入して紹介しています
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