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【連載第35回】大人による大人のための洋ゲー連載

Game Dudeの「大人のための海外ゲームレポート」

今度の舞台は太平洋と欧州の両面作戦!
充実のマルチプレイや「ナチゾンビ!」モードも魅力

「Call of Duty: World at War」

  • ジャンル:ファースト・パーソン・シューター
  • デベロッパー:Treyarch
  • パブリッシャー:Activision
  • プラットフォーム:プレイステーション 3 / Xbox 360 / PC
  • 価格:59.99ドル
  • レーティング:ESRB:Mature(17歳以上推奨)
  • 発売日:2008年11月11日(発売中)


 FPSゲームファン待望の「Call of Duty」シリーズ最新作がいよいよ登場した。今回は現代戦から再び第二次世界大戦の世界に戻り、しかも舞台は太平洋戦線と欧州戦線のクライマックスをカバーした見逃せない内容になっている。そして本作は、大日本帝国軍(いわゆる旧日本軍)が敵役として登場するため、ゲームファンの大きな興味を引いていたタイトルでもある。

 前作「Call of Duty 4」は、日本国内でもプレイステーション 3、Xbox 360両機種合わせて20万本以上を出荷したFPSゲームというジャンルにおいては異例の売れ行きを記録したタイトルで、現代戦を舞台にしたストーリー感あふれるソロキャンペーンと、絶妙なゲームバランスのマルチプレイが多くのゲームファンを魅了した。

 現在、「Call of Duty」シリーズは、もともとの開発を行なってきたInfinitywardと、アクティビジョン傘下のもうひとつのスタジオTreyarch(トレイヤーク)との2ライン開発体制をとっており、それぞれが交互にシリーズ新作をつくる体制が取られている。直接の続編となるナンバリングタイトルはInfinitywardが、ナンバリングされない外伝的なタイトルはTreyarchが行なうようになっており、今作もタイトル名を見ての通り、「5」ではなく、4の延長線上のシリーズ外伝的な扱いとなる。

 今回は何かと話題の「Call of Duty」シリーズ最新作「World at War」を早速入手してみたので気になるゲーム内容をレポートしてみたい。このゲームをプレイして感じたのは、勝者側の歴史を客観的に見られること、そしてそのゲームをゲームとして楽しめること、この2点が遊び手に求められるゲームだと言うことだ。

【お断り】
 当連載でご紹介したゲームは日本国内で流通しているハードウェアでは動作を保証するものではありません。編集部では海外版ハードウェア・ソフトウェアを輸入して紹介しています
 この記事を読んで行なった行為によって、生じた損害はGAME Watch編集部および、メーカー、購入したショップもその責を負いません
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■ 「メダル・オブ・オナー」シリーズ以来の太平洋戦争モノFPS

ムービーシーンには当時の当時の実写映像が多用されている
ゲーム開始前の前説も充実
 「Call of Duty」シリーズに関する詳細な説明は不要だろう。日本国内においても、最も有名なFPSゲームとして認知されている。今回の舞台は「World at War」ということで、太平洋と欧州戦線の両方をカバーしている。家庭用ゲームとしては実に2003年11月に発売された「メダル・オブ・オナー ライジングサン」以来となる旧日本軍との戦いを描いており、ゲーム中に昭和天皇や旧日本軍兵士が数多く登場したり、日本の城郭が合体したおかしな沖縄の風景などが発売前から物議を呼んでいた。

 舞台となる戦いはどちらも戦争末期のクライマックスをカバーしており、対独戦ではソ連の若き兵士となり、スターリングラードの包囲戦を生き延びベルリン陥落までを扱う。対日戦では、米海兵隊の兵士となり、マキンの戦いから、ペリリュー島攻略、そして沖縄戦までを描いており、特に沖縄戦を描いたゲームは例が少なく、非常に象徴的だ。

 我々日本人からすると対日戦の扱いが気になるところだが、この辺はゲームナイズされているとはいえ、ある程度戦闘の様子が忠実に描かれている。要するに火炎放射器による巧妙に隠された敵防御施設の一掃と近接戦闘だ。

 実戦ではトーチカや手掘りの地下通路を虱潰しにしていくために実際火炎放射器を多様したので、ゲームでも非常によく使う武器になっている。また欧州戦線ではほとんど使われなかったショットガンがゲーム中にも登場する。日本兵との近接戦闘を考慮して、実際に太平洋戦線で戦う兵士には装備されていた史実をゲームに取り入れている。

 この手の戦争ゲームで枢軸側の扱い(特に旧日本軍の)がひどいと憤慨するゲームファンは多々いる。実際問題として少し文献をあさればわかるようなミスが目立つが、本作もひっくるめて戦争物のゲームはほとんど戦勝国である欧米のスタジオが作っているということを忘れてはならない。

 演出面では前作「Call of Duty 4」以上に凝った描写がされており、両陣営ともに残酷な描写が見られるのが本作の特長だ。プレーヤーは戦争にきれいも汚いも無いという点を実感するだろう。この点は連合軍だろうがナチスの武装親衛隊だろうが、はたまた旧日本軍士官だろうが、まったく偏りなく描かれている。

いよいよ舞台は太平洋へ。夜襲を得意とした旧日本軍との戦いと言うことで、自然、夜間戦闘が多い 赤軍はナチスドイツの本拠地ベルリンへ突入!
マルチプレイも充実 CoDにゾンビとはこれいかに!?



■ 米海兵隊と赤軍兵士が見た地獄の戦場をたどれ!

南太平洋では海兵隊と大日本帝国軍との死闘が始まる
火炎放射器で旧日本軍の壕をつぶしていく
この新しい武器の威力はとても強い
赤軍兵士が独軍兵士を虐殺してしまった
 「World at War」では、プレーヤーは米国海兵隊員もしくはソ連の赤軍兵士となり、各地を転戦していく。今作の主人公は、太平洋戦線では米国海兵隊のミラー二等兵、欧州戦線ではソ連赤軍のペトレンコ二等兵となる。

 ゲームのエンジンは「Call of Duty 4」で採用されたものを引き続き使用しており、南洋の鬱蒼とした密林や、廃墟と化したベルリン市街、そして無数の兵士達をリアルに描いている。本シリーズといえば乗り物だが、本作でも戦車や哨戒機などに搭乗するステージが用意されており、各地の戦場を様々な視点で体験することができる。

 ゲームシステムに関しては、「Call of Duty 4」のソロキャンペーンのルールをそのまま踏襲しており、変更点はほとんどない。武器は2種類まで携帯可能、受けたダメージは安全な場所に一定時間身を隠していれば、自動的に回復するようになっている。

 また、ライフシステムや操作形態についても「Call of Duty 4」と全く変更がない。これはシリーズに一貫性を持たせる上でも歓迎したいところで、昨今のトレンド的に体力ゲージ制採用でヘルスパックを取って体力回復、というゲームデザインは面倒くさくてプレーヤー側としてもやってられないところ。

 ミラー二等兵は第一海兵師団に所属している設定になっており、どこかの戦いで旧日本軍の捕虜になり、マキンにまで連れて来られたという設定になっている。史実ではこの部隊はペリリューに取りかかる前は、ガダルカナルやニューブリテン島などを転戦しているが、地図を見てみると、マキンまで連れて来られるのは、状況的にちょっと無理があるような気がする……というような前置きはさておいて、ゲーム開始当初いきなり主人公は虐待を受けた末、旧日本軍兵に殺されそうになるところを友軍の部隊に救出されるところからスタート。

 一方のペトレンコ二等兵は赤軍の二等兵としてスターリングラードの戦いに身を投じ、戦いに参加していた戦友はあえなく独軍との戦闘で全滅。自分は気絶していたので残敵掃討を免れるという、こちらも地獄のような状況からスタートする。どちらの戦場でもシリーズおなじみの頼りになる仲間&上官がおり、海兵隊のローバック軍曹は俳優のキーファー・サザーランドが、赤軍のレズノフ軍曹は、ゲイリー・オールドマンが声をあてるなど、豪華な役者を起用して世界観を一層深いもの仕立てている。ちなみに今回は英軍が出て来ないので、シリーズおなじみのプライス大尉は登場しない。残念。

 本作は取り立てて新しいゲームプレイを楽しませてくれるものではなく、スターリングラードであればスナイパー合戦であり、ベルリン攻防戦は議事堂に立てこもった武装親衛隊の生き残りとのガチンコ戦闘が待っている。気になる対日戦では、バンザイ突撃や、死んだふりからの突撃などトリッキーな戦闘が待っている。いわば、“いかにも”なシーンが体験できるオーソドックスなゲームと言っていい。

 もっとも、戦争描写に関しては、さらに一歩踏み込んでいる。たとえば、実際に使われた火炎放射器やショットガンなどの近距離向け銃器をあえて前面に押し出し、陣地をしらみつぶしに潰していく残酷さを余すところ無く強調表現していたり、これまでは敬遠されてきたナチスの象徴である“ハーケン・クロイツ”をゲーム中に採用しているなど、従来の第二次世界大戦タイトルのイメージからの脱却が計られている。

 ソロキャンペーンの総プレイ時間は大体6~8時間程度だろうか。難しいモードでも後述のCo-opモードで4人一緒にプレイすれば助け合いながら進めていける。気になる点はAIが敵味方共に練りきれてないことで、こちら側の兵士の中にポツンといる敵軍兵士や、全然頼りにならない味方の攻撃など、「あれれ?」と思われる状況に遭遇することが多々あった。

 基本は死んだら手前のチェックポイントまでやりなおしというプレイスタイルで、難しいところは何度もやりなおしを強いられ、ストレスがうなぎ上りに上昇したこともある。Co-opモードであればプレーヤーが全滅してなければその場で生き返らせてもらえるので、コントローラを放り投げたくなったら、素直に他人と協力して進める道を選択しよう。

 銃器は、支給品だけでは足りないので、敵から奪い、味方から融通して貰いながらして、上手に戦わなければならない。ちょっと気になったのは銃の発射音で、歴代シリーズがド派手すぎる効果音でプレーヤーを圧倒させていたのに比べると本作ではちょっとパンチが弱いかな? という気がした。どちらが善し悪しかは好みの問題だが、従来とは異なる射撃音になっているのは事実だ。

 ただし武器へのこだわりは随所に感じられるところがあり、例えばシリーズで初めて機関銃のバイポッドを開いて固定させ、精密射撃をすることができるようになった。アリサカ・ライフル(要するに三八式歩兵銃だが、米軍では三〇式など含めてこの年代以降に採用された小銃をすべてアリサカ・ライフルと呼んでいる)に銃剣をつけたものなど、細かいツボを心得ているところは評価したい。ちなみにこの銃剣、繰り返すが単なる三八式歩兵銃なのだが、ゲーム内ではめちゃくちゃに強い設定になっている。

 ゲームの展開上、夜戦や地下、建物内での戦いが今回は多く明るい日差しの下で戦うシチューエーションがあまりなく、全般的に暗めの絵になっているのも特長のひとつと言えるだろう。

機関銃のバイポッドを展開できるようになった T-34を駆る戦車戦も用意
哨戒機による任務。艦艇を襲撃する 機内の機銃座を移動できる
旧日本軍兵士はどこから襲ってくるかわからない ドイツの首都、ベルリンへの突入が開始される!



■ 盛りだくさんのマルチプレイにFPSゲーマーは歓喜せよ!

一応首里城がモデルになっているらしい
所々雰囲気は出ているのだが……
とても恐ろしいお犬様
今回は戦車にも乗れる
 「Call of Duty 4」に引き続き、本作でもマルチプレイモードはアツい。しかも基本的なデザインはそのままで、機能面で大きい拡充が施されている。ざっと挙げるとマルチプレイ対戦では乗り物がサポートされたこと、最大4人までのキャンペーンCOOP(協力プレイ)モードが追加され、更にソロキャンペーンをクリアすると「ナチゾンビ!」が遊べるようになる。後述するが、このゲームモードはかなりおもしろいのである。

 まず通常のマルチプレイモードから紹介すると、こちらは「Call of Duty 4」のマルチプレイをそのまま踏襲したもので、レベル制、レベルアップに伴うアンロック、スキル、武器カスタマイズ、各種チャレンジなど、ほとんど同じものになっている。唯一異なるのは乗り物に乗れるようになったことで、マップによっては戦車などが配置されており、2人まで乗り込み戦うことができる。ちなみに戦車の機銃担当になると狙撃の良い的状態であり、プレーヤーキャラは、デフォルトのスキルでパンツァー・ファウスト(対戦車砲)を持てるため、乗り物に乗ってると圧倒的に有利、という訳ではない。

 面白いのは軍用犬を呼ぶスキルで、むしろ乗り物の攻撃よりもこのワンワン軍団の方が恐ろしい。この犬達は、敵の位置をにおいで察知し、一目散に駆けて行くため、犬の行き先をなぞっていけば隠れた敵が見つけられるという寸法だ。複数のプレーヤーが発動させると、犬を退治するのに手こずっている間に敵にバリバリとやられてしまう次第。犬そのものの攻撃力もバカにならず、何度か味方の兵士が犬に次々とかみ殺されて行く光景にも出くわしている。恐るべき強敵だ。ほかにも、毒ガス兵器であるタブンガスを投げることも可能。

 以上のように「World at War」は、「Call of Duty 4」をベースに、新たな兵器やスキルを楽しむことができるため、「Call of Duty 4」のプレイ感覚を維持しながら、新しい遊びを楽しむことができるようになっている。ただ、個人的に残念だったのは、マップのつくりが今ひとつだったことで、全体的に広く複雑化されたため、どうしてもウロウロと歩いている時間が多く、息つく暇もない戦闘が楽しめた「Call of Duty 4」の対戦と比べると、戦闘の密度という点においてやや物足りない。

 マルチプレイマップは、ソロキャンペーンのステージをベースに作成されており、当然沖縄戦やベルリンの攻防戦といったメジャーな戦場はカバーしている。連合軍(米軍 or 赤軍)vs 枢軸軍(旧日本軍 or 独軍)に分かれて戦うことができる。兵科や武器は両陣営共通なので、特長を出すなら前作と同じようにプレーヤーレベルを上げて武器を新しく入手してカスタマイズをかける必要がある。

 それから、キャンペーンモードを最大4人でプレイできるCOOPモードも実装されている。FPSの協力プレイは、実はまだあまり前例がなく、「COD4」で多くのプレーヤーが期待していた機能がついに本作で実現した。ゲーム内容はソロキャンペーンの既にクリアしたステージを個別にプレイするか、最初から最後までを通しでプレイするかの選択肢は用意されているが、ゲーム内容自体は、ソロと変更はない。

 COOPモード特有の機能としては、途中で倒れても生き残っている仲間が助けることで何度でもその場から復帰できるようになっているところだ。プレーヤーが全滅するとゲームオーバーとなる。これは後半ステージになるほどありがたみを感じる要素で、倒れたプレーヤーは一定時間経過すると死んだことになり、ステージクリアするまでは復帰できないため、誰か倒れたら速攻で駆けつけて救出する必要がある。

 最後に紹介するマルチプレイモードが今回のイチオシ「ナチゾンビ!」モードだ。ソロキャンペーンをクリアするとプレイ可能になるこのモード、ソロとCOOPの両方がプレイ可能だが、ソロは正直なところあまり価値を感じない。このゲームは4人のCo-opこそ最高なのである。プレーヤーは2階建ての建物に陣取り、外から襲ってくる元ドイツ兵のゾンビを撃退するという単純なルールが採用されている。

 建物には窓やドアなどがバリケードされており、更に2階にいく場合階段も塞がれている状態から始まる。ゾンビはバリケードを突破して中に入ろうとしてくるので、4人で手分けして水際で食い止めることが重要になる。破壊されたバリケードは修理可能なので、放置せずに迅速にバリケードを維持して、ゾンビの猛攻を防がねばならない。

 武器は最初拳銃とナイフしか装備していないが、ゾンビを倒すことで得られるポイントと引き換えに新しい武器を入手することができる。銃弾の補充もポイントと引き換えになるため、建物内のどこでどんな武器が入手できるのか、場所は良く覚えておいたほうが賢明だ。中にはランダムで武器をゲットできる棺桶もあり、火炎放射器や機関銃など、ここでしか入手できない強力な武器が揃っている。

 ゲーム序盤はゾンビの動きも緩慢で、ポイントを取るために他のプレーヤーとゾンビの奪い合いになるが、ある程度ポイントがたまり、2階など封鎖されている部屋をポイントを消費することで解除すると、解除した部屋の窓やドアからもゾンビが侵入してくるため、途端に忙しくなってくる。

 コツは的確な持ち場分担と、誰か倒れたら速攻で救出に駆けつけること。持ち場分担は各フロアごとに2名ずつが理想だ。これは1人で頑張っていると後ろからバリケードを突破したゾンビの大群に瞬殺される危険性があるためで、プレーヤーはゾンビの攻撃を2~3発もらうだけで倒れてしまうため、常に後ろには注意をした方が良い。

 ステージが進むとほぼ毎回確実に建物内に大量のゾンビがなだれうって入ってくるため、誰か1人でも欠けると即全滅、ゲームオーバーになりかねない。すかさず救助に行かないとダメなのだが、ミイラ取りがミイラになる可能性もあり救出タイミングが非常に難しい。チームワークが全てと言えるだろう。

 「Left 4 Dead」や「Counter-Strike Online」など、今年は何だか協力プレイとゾンビが旬なのか、この「ナチゾンビ!」モードも非常に面白い内容で、ここだけ抜き取って単体で売っても十分商売になりそうだ。ちなみに私の限界はステージ14までで、ゾンビの多さとステージのスタートから襲撃開始までの時間が短すぎて、毎回ここらあたりで全滅してしまう。

 惜しいのはこのモードにはリワードに相当するものがほとんどなく、プレイを重ねてもマルチプレイモードの経験値やレベルとは切り離されているため、何度やり込んでもプレーヤーが得るものが無いことだ。もう少しマルチプレイとCOOPとの連動性を持たせてくれても良かった気がする。

協力プレイもサポート 最大4人まで同時に参加可能
倒れてもその場で助けてもらえる 武器マークを見たら要チェック
どんな武器が出るかはお楽しみ ゾンビは単体でも強い




■ 「ナチゾンビ!」モードは単体売りできるほどの面白さ!!

旧日本軍兵士によるバンザイ突撃は続く
スナイプ合戦も楽しめる
 本作は前作「Call of Duty 4」のエンジンを使い、太平洋戦争と欧州戦線のクライマックスを見事に描いている。「COD4」を超える存在になりえたかというと微妙だが、総じて満足度の高いFPSゲームに仕上がっている。演出面でシリーズ既存のマンネリ感を打破するために、あえて過激な方向性に持っていったり、マルチプレイに力を入れたりと評価できるところもある。

 マルチプレイの「ナチゾンビ!」モードも大収穫だった。このモードをプレイするためだけにゲームソフトを買い求めても損のない程で、全体のボリュームで見た場合のパッケージお買い得度は極めて高い。

 気になるのは、今作で沖縄戦、ベルリン陥落まで描いてしまったため、第二次世界大戦に関してはいよいよネタ切れ感が強くなってきたことだ。対日戦は沖縄戦以降は地上戦が無く、対独戦もベルリン陥落を持って終わりを迎える。エンディングを見ても戦いぬいた末に終戦を迎えた、という形にまとまっている。この次はもう史実的には不可能な局面まで来てしまった。

 Infinitywordが現在開発している「COD5」は、「COD4」で描かれた現代戦がそのまま踏襲されるため、まだまだネタは盛りだくさんだが、Treyarchの次回作がどうなるのかは気になるところだ。

 最後に、本連載の恒例になってしまった感もある日本版発売に関する考察を述べておきたい。結論から言うと、本作の国内発売は非常に難しいだろう。国内固有の見解という理由も当然あるが、表現の面でも今回はシリーズで初めてになるであろう、部位欠損がある。具体的に言うと、兵士の手などがもげるのだが、ゾンビのクビも飛んだりするので、その辺の修正がされない限り、どうにもならない。「World at War」の場合、その上に、旧日本軍や戦争表現の妥当性の問題が立ちはだかる。Matureレーティングを存分に活かした内容になっている本作は、存在そのものが今の日本市場には厳しいといっても過言ではないと思う。

マキンの夜襲戦 背景とのギャップがちょっと苦しい
何度対戦しても飽きない不思議な魅力を持つ 更なる上達を目指して精進したい
たまにはゾンビとも戦うのだ これで戦いは終わるのだろうか……!?


(C) 2008 Activision Publishing, Inc. Activision and Call of Duty are registered trademarks of Activision Publishing, Inc. All rights reserved. The ratings icon is a registered trademark of the Entertainment Software Association. All other trademarks and trade names are the properties of their respective owners.

□「Call of Duty」シリーズ公式ホームページ(英語)
http://www.callofduty.com/

(2008年12月25日)

[Reported by Game Dude]



当連載でご紹介したゲームは日本国内で流通しているハードウェアでは動作を保証するものではありません。編集部では海外版ハードウェア・ソフトウェアを輸入して紹介しています
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