★DSゲームレビュー★
練りこまれた戦闘システムで駆け引きを楽しめる!
「ブレイザードライブ」 |
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- ジャンル:MYSTICKERバトルRPG
- 発売元:株式会社セガ
- 価格:5,229円
- プラットフォーム:ニンテンドーDS
- 発売日:発売中(12月4日)
- CEROレーティング:B(12歳以上対象)
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本作の主人公はシロウ。コミック版とは違うストーリーが楽しめる |
「ブレイザードライブ」は12月4日に発売されたニンテンドーDS用ソフト。本作は講談社から刊行されている「月刊少年ライバル」とセガが共同し、コミックとゲームのストーリーがリアルタイムに絡み合いながら進行するプロジェクトのゲーム版となっている。
コミック版の同名作品、「ブレイザードライブ」は既に岸本聖史氏作画により月刊少年ライバル誌で連載されており、ゲームの発売日と同日の12月4日に単行本の第2巻が発売されている。
従来の原作コミックからのゲーム化作品では、原作コミックのストーリーをゲームで主観的に追体験する、という形のものが多かったが、本作はプロジェクトスタート時点から共同プロジェクトとしてスタートしていることもあり、ゲーム版とコミック版ではストーリーはもとより、主人公もまったく異なる内容となっている。
コミック版の主人公はダイチ、ゲーム版の主人公はシロウと呼ばれる少年。2人は同じ時間軸の中に存在し、コミック版にシロウが登場して共同戦線を張ることもあり、同じくゲーム版の中にダイチが登場することもある。そのためコミック版の読者であっても、新鮮な気持ちでゲームを楽しむことができるようになっている。
■ ブレイザードライブの世界観
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舞台は近未来。東京はトウキョウと呼ばれ、XII区まである |
本作の特徴は「ミスティッカー」を使った独自の戦闘システムにある。その戦闘システムに触れる前に、まずは本作の世界観について説明したい。
ミスティッカーとはステッカーの形状をしているが、発動させると貼り付けた場所に火や水や電気などのエネルギーを発生させることのできるエネルギードライブシステム。本作の舞台となる近未来の東京23区(ゲーム中ではトウキョウXII区)では、このミスティッカーをエネルギー供給の中心として採用している。
ミスティッカーは大変危険であり害を及ぼすため、通常、人体に直接貼り付けてはいけないとされているが、一部の特殊な耐性を持った人間に限り、直接貼り付けて発動(ドライブ)することで、秘められた力を解放させ取り込むことができる。この限られた人間たちが、本作の主人公シロウを含む、ブレイザーと呼ばれる人々である。
ブレイザーには、その力を用いて悪事を働こうとする、よからぬ輩も存在する。彼らは野良ブレイザー、通称ノラブレと呼ばれ、これを取り締まるために生まれた組織が、ガーディアンと呼ばれるもの。主人公のシロウもストーリー中でこのガーディアンに所属し、フェンリル支部員としてノラブレたちと戦いを繰り広げる。
本作ではこのガーディアンフェンリル支部を拠点として、与えられたミッションをこなしていくことでゲームが進行していく。
【スクリーンショット】 |
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シロウはフェンリル支部の一員として、ミッションをこなしていく。たいていのミッションでは、同じフェンリル支部のガーディアンを1人パートナーとして連れて行くことができる |
■ 戦略性を意識したゲームシステム
ミッション中の基本的なゲームの流れは一般的なRPGと同様だが、本作にはエンカウントバトルは存在しない。そのため一部のミッションを除き、好きなだけ探索を行なうことができる。戦闘は決まった場所で起こるようになっており、たいていは1つのミッションで3回から4回戦闘を行なうことになる。
・戦闘の流れ
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攻撃の順番は右上のスピードゲージで確認できる |
ミッション中にノラブレと遭遇すると、いよいよ戦闘が始まる。戦闘は「ドライブモード」、「アタックモード」、「ディフェンスモード」の3つのモードを繰り返すことで進行していく。
ブレイザーは、1回のターンで左右の腕をそれぞれ1回ずつ行動させることができるようになっており、行動済みになった腕は次のターンが来るとまた回復し、行動可能になる。自分のターンはドライブモードとアタックモード、2つのモードで構成される。まずドライブモードで左右の腕にミスティッカーを貼り、その後にアタックモードで攻撃する、という流れだ。
ドライブモードを迎えると、まず1枚デッキからミスティッカーを引き、それを加えた手持ちの中から、左右の腕に1枚ずつミスティッカーをドライブすることができる。
ドライブモードが終わると次はアタックモード。左右の腕のどちらを使って攻撃するかを選択し、次に攻撃対象を指定する。こうして攻撃を行なうと、攻撃に使用した腕は行動済みとなり、次のターンまで行動できない。
自分のターンが終わると、下画面右上のスピードゲージを元に次のキャラクタのターンが始まる。そこで相手キャラクタに攻撃されると、ディフェンスモードが始まる。ディフェンスモードでは防御に使用する腕を選択し、相手の攻撃を防御するのだが、このとき行動済みになっている腕は選択できない。
例えばシロウ1人で敵ブレイザー2人と戦わなければならない場面では、自分のターンで相手に攻撃してしまうと、次のターンまで攻撃に使った腕は防御に使えないので、相手の攻撃をどちらか片方は甘んじて受けなければならない。こうなると被害が大きいので、十分に準備が整うまではあえて攻撃せず、防御に専念する、などの戦略も必要になる。
【スクリーンショット】 |
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手持ちミスティッカーの中から1枚を選び、ドラッグアンドドロップで腕に落とせばドライブ完了。直感的でわかりやすい操作だ |
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ドライブしたミスティッカーを1枚消費して発動する、オーバーディフェンスも重要な要素。防御するタイミングで反撃できるほか、あとからいいミスティッカーを引いたときに貼りなおしを狙うこともできる |
・デッキ
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デッキ編集画面。ミスティッカーで埋め尽くされた画面は圧巻 |
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武器にあたるアームズミスティッカー。ノラブレは持てない高級品だ |
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テクニックミスティッカーは一時的な効果を生み出す。発動するには条件を満たす必要がある |
戦闘が始まる前に、プレーヤーは手持ちのミスティッカーの中から24枚を選択し、デッキを組むことができる。
ミスティッカーは左右の腕にそれぞれ最大4枚までドライブすることができ、単純に効果は加算されていくので、基本的にはドライブすればするほど強くなる。
ただし、「好きなミスティッカーを自由にドライブできるわけではない」ことが本作の面白いところ。ミスティッカーには適用範囲が設定されており、これを超えてドライブすることはできないようになっている。適用範囲はミスティッカーごとの情報表示画面で確認できる。「I~II」と書かれていれば、1枚目、もしくは2枚目にしかドライブできない。同じく「III~IV」と書かれていれば、3枚目以降にしかドライブできない。場合によっては「IV」とだけ書かれたものもあり、これは4枚目にしかドライブできない。
さらに、通常のミスティッカーとは別に、アームズミスティッカーと呼ばれるものが存在する。これは一般的なRPGで言うところの“武器”にあたるもの。左右の腕にそれぞれ1つずつ設定することができ、これを設定しておくと、その腕はミスティッカーをドライブしなくとも攻撃力と防御力が上乗せされる。加えて、アームズミスティッカーと同属性のミスティッカーをドライブした際に、ボーナスが加えられるため、うまく属性をあわせるようにすると、より有利に戦闘を進めることができる。
また、テクニックミスティッカーと呼ばれるものは、通常のミスティッカーのように腕にドライブするのではなく、体にドライブすることで効果を発揮する。この効果は一時的なものになっており、体力を回復するものや攻撃力を高めるもの、相手にダメージを与えるものなどが存在する。
これらの適用範囲や属性、効果を踏まえたうえで、どの4枚をドライブするのが一番有効か考え、そこに行き着きやすい組み合わせを模索しながらデッキを構築していくのは、なかなか面白いシステムになっていると思える。
【スクリーンショット】 |
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適用範囲の広いミスティッカーは効果が低くとも汎用性が高いため強力。まずはこれらのミスティッカーを中心にデッキを組むのがコツだ |
・成長要素
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ドライブスキルはスキル盤のようなものを辿って入手する |
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獲得BP量には戦闘の内容も加味される |
プレーヤーは新たなミスティッカーを手に入れるほかに、戦闘で手に入るブレイザーポイント(BP)を消費してドライブスキルを取得することができる。
ドライブスキルは左右の腕に4枚ミスティッカーをドライブした場合に得られる特殊効果で、片腕で発動する1stドライブと両腕で発動する2ndドライブの2種類が存在する。
これらはスキル盤のようなものを進めていくことで取得でき、この途中にはドライブスキル以外にもボーナスドライブとして「HP増加」や「SPD増加」など、基礎能力を高めるものも用意されている。
BPは一般的なRPGで言うところの経験値にあたるパラメータだが、得られるBP量は戦闘の内容、アタックモードでの最高ダメージ数値やディフェンスモードでの最高ディフェンス値なども加味される。これも本作の戦闘を退屈なものにさせないひとつの要因になっていると感じられる。
■ 秀逸なアニメーションムービー
練りこまれた戦闘システムのほかに、全編を通じて美麗なアニメーションムービーが再生されるのも本作の特徴。
ストーリーの要所要所でこれらのアニメーションが雰囲気を盛り上げる。通常のバストアップ画像そのままのクオリティで再生されるムービーは合計10分以上も収録され、非常に見ごたえのある内容になっている。
なかでも、特定のアームズミスティッカーの上にしかドライブできない、レジェンドミスティッカーをドライブした際に再生される、固有アニメーションムービーは必見。これを見るためだけにデッキを組んでみるのも面白いかも知れない。
【スクリーンショット】 |
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ストーリーの合間にもクオリティの高いアニメーションムービーが挟まり、雰囲気を盛り上げる |
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レジェンドミスティッカーを使うとド迫力のアニメーションムービーが再生される |
■ チュートリアルやムービーのスキップなど、丁寧さが欲しいところも
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ドライブするたびにカットイン。飛ばしたいが、すぐには飛ばせない…… |
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移動は下画面、移動できるポイントは上画面で確認。ちょっとわかりづらいかも |
全体的には楽しませてもらったのだが、少し気になったのはテンポの悪さ。例えば、懇切丁寧なチュートリアル自体は非常にありがたいのだが、開始時のチュートリアルが1時間近くも続くとさすがに辟易してしまう。
戦闘時にミスティッカーをドライブするたびにカットインが入り、2秒程度ゲームの進行が停止してしまうのも、テンポを損なう要因になっている気がする。少しでもわかりやすくしようという気配りなのかもしれないが、できれば慣れてきたら省略できるオプションなどが用意されていると、より良かったように思う。
結果的に、1回の戦闘が最低でも5分を超えるぐらいの長さになっており、さすがにこれは長すぎると感じた。
また、これは個人的な好みもあるのかもしれないが、操作面でもタッチパネルを中心としたインターフェイスになっているのは、少しストレスを感じてしまった。
こちらも、ミスティッカーをドライブする操作を直感的でわかりやすいものにする、という意図があってのものだと思われるが、戦闘中のメッセージのスキップぐらいはボタンで行なえるようにして欲しかった。
マップの移動に関しても、移動は下画面で行ないながら、マップの切り替えが行なわれる位置は上画面に表示されるようになっており、どこに行けばいいのかわかりづらい。ここももう少しわかりやすいようにして欲しかった。
最後に少し苦言を呈してしまったが、全体的には良くできており、見た目も良好でなかなか楽しめる作品だと思う。コミック版のファンはもとより、このテのカードバトルが好きなプレーヤーにもお勧めしたい作品だ。
【スクリーンショット】 |
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コミック版からはダイチ、ミソラ、クロキらが登場する。コミックとあわせて楽しめるのも本作の魅力だ |
(C)岸本聖史/SEGA/講談社
□セガのホームページ
http://sega.jp/
□「ブレイザードライブ」公式サイト
http://blazerdrive.jp/
□関連情報
【10月12日】【東京ゲームショウ2008レポート】
セガブースレポート
「428」、「レッツタップ」など、新作タイトルがプレイアブルで出展
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081012/sega.htm
【10月11日】【東京ゲームショウ2008レポート】
セガブースイベントレポートその3
クリエイタートークやアーティストのライブイベントなどを開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081011/sega3.htm
【9月16日】セガ、「コンシューマ新作発表会2008」開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080916/sega.htm
【9月5日】セガ、DS「Blazer Drive」
特殊な力を持つブレイザーたちの戦いを描くRPG
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080905/blazer.htm
(2008年12月16日)
[Reported by 米澤大祐]
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