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会場:韓国国際展示場(KINTEX)
入場料:4,000ウォン(前売り2,000ウォン)
カプコンからは、開発統括本部オンライン開発部長の小野義徳氏と、オンライン開発部 制作室 企画チームで韓国版のローカライズディレクターを務める小泉隆秀氏が来場。NHNからは、プロジェクト事業統括のコ・ユンホ氏が登壇した。
イベントの内容は、登壇者がユーザーからの質問を受け付けるQ&Aのみ。80分という長い時間が設けられたが、90分以上経っても質問が途切れず、韓国ユーザーの熱意を感じさせるイベントとなった。
■ 「MHF」の面白さをわかって欲しいと願う韓国のヘビーユーザー
しかしながら韓国は、そういった下地となるタイトルがほぼないため、ほとんどのユーザーが初心者の状態で、かつデータもないところから「MHF」をプレイすることになった。もちろんデータは熱心にプレイしていったり、日本版のデータを参照することでわかってくるものだが、それができるのは一部の限られたユーザーである。会場に来ていたのは、そういった熱心なユーザーに違いないが、彼らは「ゲームは面白いが、それを他の人にうまく伝えて、楽しく遊んでもらうのが難しい」というのだ。 例えば「韓国版にはチュートリアルがあるものの、移動方法や狩りの仕方を説明する程度で、装備の強化やクエストの進行などの説明が全くなっていない。HRが高い人でも酷い装備をしていたり、スキルもほとんどないことがある」という要望があった。クエストメンバーを募集したら、酷い装備の人が来てクリアできなかった……というのは日本でもあることだが、下地がない韓国では、その割合も相当違うのだろう。これは上級者にとっては、遊ぶ上で1つのストレスにもなる。 確かに「MHF」では、狩りの仕方までは説明してくれるが、その先にある装備の強化の楽しさや、目指す装備の必要性については、直接的には教えていない。モンスターを倒せなくなったときにどうするかとユーザーが考えて、初めてそこで装備強化の重要性と楽しさを見出すのである。しかしアクションゲームとしての楽しさだけでもそれなりの魅力があるだけに、装備強化に興味が向かず、面白さの本質を知らないままに「MHF」を去ってしまうユーザーもいるかもしれない。韓国のユーザーは、昨今のユーザーの減少を見て、それを身をもって感じているようだ。 これについてカプコンの開発陣は、「チュートリアルで回答を用意してしまうと、面白さは激減してしまうと考えていて、開発も悩んでいるところ。身に着けたいステータスに実現する装備にはどうやって持っていけるのかという指針を見せるなど、オピニオンリーダーの助けになるような施策は考えていきたい。韓国のユーザーの感覚を知りたいので、こういうものが欲しいという意見をいただいたい」と述べた。またコ氏は「NHNに要望を受け付ける掲示板を作り、毎週金曜日にカプコンと行なっているミーティングで提案する」と回答した。 装備を強化して、強力なモンスターに打ち勝っていくことこそが面白さの根幹にあるゲームだけに、それを奪わないような形でのガイドというのは難しいとは思う。ただその作業工程というのは、確かにわかりづらいし、どれほど強くなるかというのはやってみないと実感できない。特に韓国で必要な要素ではあるが、過去の自分を振り返って考えると、日本でもそういった要素は欲しい。即答はできないにせよ、最優先で検討してもらいたい。 他には、「アイテムのトレード制限は韓国ユーザーには向いていないと思う」という質問もあった。これには小野氏が「自分で強くなっていくことを基礎に置いたゲームなので、トレードを自由にはしない」と明確に答えた。やはりゲームの根幹に関わるので、こういうところで違いを出すつもりはないようだ。 日本ユーザーにも注目の話題としては、「2つのサーバーを統合する計画はないか」という質問。これに対してコ氏は、「サーバーの統合は決定した。フレンドリストとギルドなどのコミュニティ機能が移植できなかったが、一昨日ようやく解決できた。来週月曜日から統合のテストを行なう」と答えた。韓国と日本のサーバーシステムには違いがあるかもしれないが、韓国で統合したという実績ができれば少し期待が持てる。
武器バランスに関する意見はやはり多く、「この前の狩猟大会ではチーム全員が双剣を使って1カ所を攻撃するものもあって、見る側としては面白くない」、「太刀の使い方が難しいので改良してほしい」、「ガンランスの攻撃力が低い」といった声が上がっていた。これについては、「『シーズン3.5』でガンランスの攻撃力を上げているので、今後に期待して欲しい」など、日本版の情報を示して理解を求めた。
イベントの終了後に小野氏は、「意見をダイレクトに反映するのは難しいが、こういった機会を何度も作ることで、皆さんと一緒に韓国版の仕様を作り上げていけることはうれしく思う。次回は壇上ではなく、みなさんに囲まれるような機会を作りたい」と語った。おまけに「韓国の焼肉が大好きなので、美味しい店があったら紹介してほしい。『上手にやけました~』を焼肉屋でやるのはどう?」というと、会場からも笑いと拍手が起こり、楽しい雰囲気でイベントを締めくくった。
■ 小野氏にインタビュー。「韓国ユーザーの積極性がありがたい」
イベント終了後に小野氏に少し時間をいただき、イベントの感想や、韓国でのサービスについてどう考えているかを伺った。
小野氏 : 初めてです。「MHF」のイベント自体は、NHNさん主導で何度もされていますが、日本のカプコンのスタッフが参加したのは、先月、ヨンサンの電気街の映画館で開いた時が初めてでした。 ――韓国のユーザーさんとお話をしてみていかがでしたか? 小野氏 : ここまで積極的に質問が出るとは思いませんでした。日本でも別のタイトルなどでユーザーを呼んだことはありますが、事前に質問を書いてもらうならまだしも、その場でどうぞというと質問が出にくいものです。これが韓国の方の積極的な国民性なのかなと、大変ありがたく聞かせてもらいました。 日本やアメリカの方のように、「ここがダメだからこのゲームはダメだ!」という言い方ではなく、「ここをこうしてくれたら、僕らはこうできるんだ!」という、ビジネスライクな質問をされるので、「そうやったら次が見えるんだな」というのがわかって、とてもありがたいと率直に思います。 ――韓国のサービスについてはどういう状況だとお考えですか? 小野氏 : あまりよろしくはないと思っています。日本の数字が高すぎるというのもあるとは思うのですが、韓国はそこまで達していないので、業績から言うとまだまだなのかなと思っています。逆に我々は日本で、既に大作のオンラインゲームがある中で、これだけの数字をずっとたたき出せているということは、何かしらの魅力があるタイトルなんだなということは、うっすらながら感じているところです。 韓国市場の状況からすれば、まだ伸びしろはあると、社内的には非常にポジティブな考えがあります。ここを埋めるためにはゲームの面白さではなく、今日ユーザーさんから言われたような意見を取り入れることによって、「シーズン2」、「3」とジャンプアップできるのではないかと。特に日本の市場と違うところをNHNさんと話して出てきたのは、ローンチした時が勝負じゃないということです。アップデートを繰り返すことによって客層が変わり、取り込み方も変わってくると。であれば、オンラインゲーム大国である韓国の中でも、残った伸びしろにアタッチメントしていけると考えています。 ――具体的にはどのくらいの数字を狙いたいですか? 小野氏 : 同時接続数で日本は超えたいですね。オンラインゲーム王国といわれている韓国で、日本を超えないというのはないと思っています。人口は日本の1/3でも、プレーヤーの数が違いますから。いつまでに、とは思っていませんが、いつか「MHF」で、韓国に日本のゲームを入れたという実績と、日本のゲームでここまできたという爪跡を残したいと思います。 ――韓国でもPSP版の「モンスターハンター ポータブル」が出ていますが、日本より強く相乗効果を狙うなど、サービスの狙いの違いはあるのでしょうか。 小野氏 : 日本では「MHF」が出て、次に「モンスターハンター ポータブル 2ndG」が出たときには「MHF」の樹海が入ってと、うまく相乗効果の形を狙っていました。韓国の場合は、PSPを含むコンソール市場がそこまで成熟していないので、「モンスターハンター」シリーズのオピニオンリーダーはほんのわずかしかいないと思うのです。そこであまり相乗効果を求めていくことは考えていなくて、この土壌の中で「MHF」をどういうカスタマイズをして、どういうサービス形態を取れるのかを考えることに注力したほうがいいのかなと思っています。 ――韓国向けの独自要素を入れる計画はあるのでしょうか? 小野氏 : まだ韓国のユーザーは「モンスターハンター」のゲーム性にまでたどり着いている人が少ないと思っています。今日ひっきりなしに出ていた要望は、「自分たちは楽しみ方をわかっているけれども、他の人にそれを伝えるための武器が欲しい」というものでした。だったらうまく伝えるために、チュートリアルが正解かどうかはわからないですが、そういった部分で韓国だけの何かを追加してあげたいとは思っています。 でもそれが「モンスターハンター」の根本的な遊びを揺るがすようなものにはなりません。今日も「アイテムを譲渡できませんか」という質問に対してノーといいましたが、それをやったらこのゲームをやる意味がないじゃないですか。ずっとメゼポルタで座って、アイテムをくれといえばいいだけなので、それは別のゲームでやってもらえばいいと。そうじゃないところをきちんと埋められないかなとは思っています。 一番最初にNHNの方もおっしゃっていましたが、韓国向けのゲームの解説というのは、最初に結構入れたのです。それでも今日、質問があったように足りていないようです。単に足りないだけではなく、他人に教えづらいんだというのが来ているので、「こういったスキルをつけたらいけるんだよ」というのをわかりやすく伝えるクエストやチュートリアルを入れるかどうかは、今後も考えたいと思います。 ――では最後に、「シーズン4.0」を控えた日本のユーザーにも一言お願いします。 小野氏 : 日本は「シーズン3.0」で大きな転換点を迎えたと思っています。「アクラ・ヴァシム」を出したときに、こういうやり方もあるのかと評価いただいて、かつ「マイガーデン」や「マイトレ」の遊び方も増えて、オンラインらしさも出てきたと思っています。 「シーズン4.0」ではもう一度、ゲームのほうに戻ったアップデートの施策を打っています。奇数ではコミュニティ方向、偶数はゲーム方向という風になるのかもしれませんが、今回は新マップと新モンスターの投下によって、新しい「モンスターハンター」の遊びを楽しんでもらいたいと思っています。 特にエリアを作るのにかなり時間がかかっています。皆さんにはわからないところなのですが、今回、新マップを入れるために、システムをかなり改良しました。こういうやり方、こういうカメラの見せ方をしたいから、プログラムをバージョンアップしましょうというのがあったので、プログラマ達はかなり頑張って、根幹を改造して、今回のエリアを入れたという経緯があります。そこはぜひ楽しんでもらえればと。この冬休みは寝かせませんよ(笑)。楽しんでいただきたいと思います。
――ありがとうございました。
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□G-Star 2008のホームページ (2008年11月16日) [Reported by 石田賀津男]
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