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会場:幕張メッセ1~8ホール
入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日) 「信長の野望 Online」での話題の中心は、やはりレベルキャップの解放を柱としたキャラクタの成長要素についてとなった。前回のインタビューに続いて、その真意、内容について詳しく話を伺った。大きな収穫としては、レベルキャップの解放がレベル5程度になることと、年内の実装を確定させたこと、そしてキャラクタの成長という“縦の進化”をし続けることを「信長の野望 Online」運営プロデューサー山中肇氏が改めて公約として掲げたことだ。 一方、「三國志 Online」は、「涼州動乱」のアップデートの次の浪となる新規コンテンツ「闘技仕合」の中身について、そして今後の拡張プランなどを伺った。また、結果として大きなサプライズとなったのは、シンガポール生まれのMMORPGである「三國志 Online」の開発体制がついにシンガポールから日本に移されることが明らかにされたことだ。開発プロデューサーの上野彰三氏は、10月1日付けで運営プロデューサーとなり、ソフトウェア3部内の新体制において開発が引き継がれることになる。
インタビュー終盤には、5人のプロデューサー/ディレクターに直近の仕事内容や、ユーザーに対するコメントもいただいているので最後までじっくりお楽しみいただきたい。
■ 「信長の野望 Online」のレベルキャップの解放は5刻み!? 山中氏「今後も縦の進化を続けていく」
山中氏: レベルキャップの解放は、「飛龍の章」で一度50から60に上限を挙げていますが、それ以来となります。レベル以外に潜在能力という成長要素があり、レベル60に達したプレーヤーも潜在能力を成長させるためにプレイする意味がありました。しかし、潜在能力の上限も枯渇するという部分が現われてきました。そこで新たな成長要素を追加するということで、その他にもプランはあるのですが、同時にレベルキャップも解放することにしました。特にNPCと戦う場面において、レベル60に到達しても勝てない状況があったのですが、全般的にレベルを上げることで勝てるようになる、といいますか、どのプレーヤーにとっても活動範囲が拡がる成長の伸びしろということでレベルを考えていました。 編: レベルキャップ解放の幅はいくつくらいを考えているのですか? 山中氏: 今検討していますが、とりあえず5あたりで調整しています。 編: レベルの上限が100とか150になるということはないのでしょうか。 山中氏: 大幅に広げることは現時点では考えていません。 編: レベルキャップの解放は縦の進化です。縦の進化はサービスを始めて数年で止まってしまうのが通例だと思います。サービス5年目にしてまだチャレンジを続ける意図を教えてください。 山中氏: 成長の伸びしろがないとやはりプレイする動機に結びつかないです。ニーズはずっとあります。レベル60に達して潜在能力レベルが200に達するともう遊ぶ意味がないというお客様はいらっしゃいます。我々としてはもっと遊んでいただきたいということです。 編: そのロジックでいくと、ユーザーさんがレベル65に達して成長要素を上限まで上げきったら、ふたたびレベルキャップの解放を行なうということになりますが? 山中氏: そこらへんは時間をかけてじっくり調整するつもりです。ただ、「信長の野望 Online」は縦の進化をし続けると思います。 編: なるほど。ユーザーさんはそれぐらい常に強くなり続けたいという欲求があるわけですか。 山中氏: はい。パラメータ1の違いにも強いこだわりを持つ風土がありますね。 編: 一般的なMMORPGの場合、多数のユーザーがレベリングを繰り返してレベルキャップに達して、その過程で形成されたコミュニティが成熟してくると、「もうレベル上げはいいから仲間たちと一緒に楽しい事がしたいね」、つまり、横の進化を広げてくれよというニーズが大きくなってくるものだと思いますが。 山中氏: もちろん横の進化はありますが、縦の進化を欲しがっているプレーヤーも多いのです。ですから「信長の野望 Online」では両方に広げていきたいですということですね。 編: そのレベルキャップの解放と合わせて実施される新しい成長要素の導入ですが、いくつかヒントをいただけますか。 山中氏: 戦闘に直接影響する成長要素です。簡単に言うともっと強くなります。今まで限界があったものが、新しい成長要素で解放されていくというイメージですね。 編: ちなみにレベルキャップが解放されますと当然ユーザーさんはレベル上げにいそしむことになりますが、レベルを上げた方が遊ぶコンテンツとは何になりますか? 山中氏: レベルキャップの解放に合わせて新しい成長要素が実装されますが、それを成長させる場所を新たな冒険の場所として追加します。 編: それが新しいゾーンということですか。 山中氏: 新しいダンジョンが追加されます。レベルキャップの解放と同時に実装されますので楽しみにしていてください。 編: 強さの程度が知りたいのですが、レベル65に達して、新しい成長要素も上げていくと、「九州三国志」が少人数でクリアできたりしますか? 山中氏: そこまでは強くならないでしょうね(笑)。基本的に今までのバランスを大きく崩す強化の度合いにはなりません。 編: ちなみに前回のインタビュー掲載後にユーザーさんからはどのような反応がありましたか? 山中氏: プレーヤーの皆さんは、レベルキャップ解放だということはすぐにわかっていらっしゃって、「いまさらレベルだけ上げられても困る」という意見もいただいています。ですから今後はレベルキャップの解放だけではないという部分をアピールしていきたいです。 編: 今回のレベルキャップの解放の決定について、賛否でいえばどちらが多いですか? 山中氏: 賛成の方が多いですね。もちろん、レベルはこのままで良いから横の広がりを強めてほしいという声もありました。いずれにしてもやることは増えますので嬉しいという反応のお客様の方が多かったように思います。 編: キャラクタの成長要素以外にも、少人数でクリアできるダンジョンやチャットのマルチ化、生産成長支援といった刺激的なキーワードが並んでいました。もう少し詳しく解説していただけますか。 山中氏: 以前から、少人数で攻略できるコンテンツを追加して欲しいという要望はいただいていました。「信長の野望 Online」の場合、だいたい1時間半という単位で遊んでいただくことになるのですが、毎日チャレンジされる方やサラリーマンの方にとっては1時間半は長いという意見が多くございました。1時間半といっても、パーティーを集めるといった時間を含めると賞味2時間くらいかかるのです。ですから、もっとカジュアルにプレイしたいという声に答えたいと考えました。 編: もっとカジュアルというと、新しいコンテンツの所要時間はどれぐらいになるのですか? 山中氏: 1時間弱ですね。 編: そういえば、「三國志 Online」の合戦は30分では短く、1時間では長い、だから中間を取って45分になったというお話を、去年この場で伺いましたよね。 上野彰三氏: お話ししましたよね(笑)。あれはベータテストで何回もやった結果出した結論です。45分の最後のところで、精魂尽き果てるくらいの雰囲気を取れました。「三國志 Online」の合戦と、普段の遊びの集中度合いはやはり違うと思います。FPSやアクションゲームのように30分や40分の間かなり集中してプレイするので、それと一般的なレベリングでは疲れ方は違いますよね。あくまで私の持論ですが、1時間でかっちり終われることが家庭的には嬉しいかなと思っています。 山中氏: 「信長の野望 Online」の場合は、アクション性が強くないので、そこまで疲れることはないです。気軽に遊びたいというニーズに答えたいです。 編: 生産支援については、どのようなプランを考えているのですか? 山中氏: プレーヤーの方からは生産は習得を上げるのも大変だし、材料を集めるのも大変という意見がありました。前半はいわゆる“ノック”をしなければなりません。それが足かせになって生産なんかやらないというプレーヤーもたくさんいらっしゃいます。生産システムはかなり大きなコンテンツになっているので、なるべく多くの方にいじってトライしていただきたいということで、敷居を下げる方向性で考えています。 編: 実装スケジュールについて最新情報を教えてください。 山中氏: 10月に一部が実装されます。少人数プレイのコンテンツと、コミュニティを支援するマルチチャットのシステムが入ります。成長要素の追加、レベルキャップ解放などのメインは12月になります。
■ 「涼州動乱」後も続々とアップデートが続く「三國志 Online」
上野氏: 縦のアップデートでレベルキャップが解放され、やることが増えたと喜んでいただいている共に、当然横のアップデートもついても充実させていかなければならない。そうした要望はかなり来ているので今後検討していかなければなりません。今回、部曲砦を実装した後、即座に家が建って畑が見えるというのはかなり待っていらしたのかなと思います。 編: レベルキャップの解放に関連してですが、「プロデューサーに訊け!」でも出てましたが、レベル40以降のレベリングが地獄のように苦しいという意見があります。 上野氏: 最初の計画ではレベル40までをもう少し厳しくする予定でした。レベル40までの話をするならば、どこのMMORPGよりもゆるいと思います。それは合戦に参加していただくのに妥当なレベルとして40くらいが目安とされています。レベル40になればひとかどの戦力としてやっていける。そこまでの導入を早くするために40まではゆるく設定してあります。レベル40から50まではハイレベルになるということもあるのですが、経験の数量を増しています。 その部分に関しては、我々としてはこういうレベリングの仕方がありますよということを提案できるのではないかなと思います。モンスターを狩って経験を得るという部分が弱いのでそうした声が聞こえてくるのだと思うのですが、逆に言えばそこを充実させることで、レベルを上げる楽しみが得られるのではないかと思います。今日レベル40で明日レベル41というのは楽なのかもしれませんが喜びは薄いのかなと思います。そこが同じことの繰り返しにならないように作り手として追加していかなければいけないなと思います。 編: つまり、40以降はレベリングというコンテンツの質が変わっているんだよということですか。 上野氏: そういうことになりますかね。色々な方向でレベリングするということになります。一直線にあげていくやり方ではどんなに経験値を多くしたり少なくしたりしても同じ結果にしかならないと思います。われわれはそこを広げる努力をしていきます。 編: 経験値の稼ぎ方のアプローチを増やすというわけですね。具体的なプランはありますか? 上野氏: 今の段階ではまだ言えないです。どのくらい経験値を上げるのか、何をさせるのか、ということを考えていかなければならない。他のMMORPGでも導入されているものはありますが、ものすごくバランスが難しい。ちょっとゆるくしただけでものすごくレベルがあがってしまうこともあります。 編: 縦の進化は現在進行形と言うことですが、とすると、レベル50到達ユーザー向けのコンテンツも、今後拡充されると言うことですか? 上野氏: そうなります。まだあります。ヒントは、クローズドβテストやオープンβサービスで登場した巨大モンスターが出るようなコンテンツを用意しようかなと思っています。 編: 部曲砦ですが、ユーザーさんの反応はいかがですか。 上野氏: 仲間と作り上げる箱庭的要素としておおむね好評でしょうか。また同時にもっとこうして欲しいというご要望もたくさんいただいています。 編: 現時点では、ギルドハウスが建てられて、家の中でチャットをしたり、種まきをしたりといったことが楽しめますが、今後どういった拡張を予定されていますか? 上野氏: “内政的要素”という言い方で作っていますので、それに類推するものは作っていきたいです。ほんわかライフみたいなものを強化していきたいです。今後も部曲砦自体のアップデートはしていきたいです。 編: 個人的な印象としてはその中で行なわれるインタラクションがもう少し充実すると「真・三國無双Online」でモーション追加のように、かなり変わってくるのではないかと思います。 上野氏: そうですね。家具などに対するアクションなどでもだいぶ変わってくると思いますが、何をどうするかについては、まだ申し上げられないです。 編: 現段階は、仲間で集まって作っていただいてチャットを楽しんでくださいというフェイズなのでしょうか。 上野氏: はい。仲間たちで集まって同じ勢力で次の合戦の作戦会議をしましょうといったところなどで使っていただければと思います。 編: 「涼州動乱」の次の展開はどのようになるのでしょうか? 上野氏: 直近では「闘技仕合」という、気軽に対戦できる対人戦をテーマにしたコンテンツを実装しました。 編: すでに1,000名規模の合戦を実装しているゲームとしてはいささか唐突感がありますね。 上野氏: 実際は5対5にしていますが、10対10や25対25という戦いができるように設計がしてあります。25対25というのはあまり気軽ではないですが、徒党人数を大きくすればするほどライトコンテンツから離れていきます。その中で対人戦自身にある程度のバリアーがあるので、それに加えて人数のバリアーが加わるとさらにバリアーが高くなってしまう。ですから、「闘技仕合」は5人対5人から楽しめるように設計しました。 編: とすると、方向性としては、カジュアルに楽しめるコンテンツということですか。 上野氏: そうですね。カジュアルに遊んでいただけると思います。 編: 勝敗結果によって、何かメリットはあるのですか? 上野氏: 闘技仕合専用のポイントなどは用意していませんが、イベント等で勝ったほうにたいしてポイントをつけるといったことが追加できるようになっています。今回実装するにあたって、同時にイベントを入れて、そこで得たポイントで褒賞がもらえるようにしています。 編: 将来的には「信長の野望 Online」の上覧武術大会のような、全サーバーの猛者が一堂に会して戦うような広がりを期待して良いですか? 上野氏: んー、そういう広がりの仕方とはちょっと別なものを構想しています。まだお話できる内容ではないですね。 編: 5対5の対人戦という新しいバトルに関して、どのような戦術がトレンドになると考えていますか? 上野氏: 勝利条件については1種類しか用意していないのですが、こちらも増やしていくつもりです。 編: といいますと? 上野氏: 何種類かの勝利条件を増やして行きますが、個々はまだ申し上げられないんです。 編: 現在、「三國志 Online」のアップデートは、州単位で行なわれてきていますが、今後も何州、何州という風にひとつずつ足されていく形になるのでしょうか? 上野氏: おそらくそうはならないと思います。プレーヤーの皆さんにとって、エリアが拡がることは楽しみかもしれませんが、実際に中国大陸をすべて実装してしまった場合は大変なことになりますよね(笑)。 あとは地勢的な問題で、たとえば荊州(けいしゅう)の北近辺を作ったとしてもあまりフィールドとしての変化が見られないのですよね。もし追加するとしたら南蛮を追加したほうがプレーヤーの皆さんから見たらものすごく変化があるわけです。今回の涼州は砂漠エリアということでこれまで実装できているものとは少し異なるものが盛り込まれていると思います。 編: 確かに「三國志 Online」は、“中国全土を実装します”とは一度も言っていないですね(笑)。そうなりますと、ゾーン拡張という点で、「三國志 Online」の終着点はどこになるのでしょうか? 上野氏: MMORPGには終着点はありませんから。できる限りどこまでも広げていくと思います。あれだけ広い大陸ですからね。拡張の余地は無数に考えられると思います。また、単純にパブリックゾーンを拡張する事だけがゾーンの拡張の方法ではないと私は考えています。ただ、どちらのほうでやっていくかというのはプレーヤーの皆さんのトレンドを考えていかなければいけないなと思います。始めた当初よりも少しずつ変化してきていると感じています。 編: 次にゲームの柱である合戦ですが、今後のアップデート計画について教えてください。 上野氏: 大きくという言い方はできませんが、今後も色々な調整はかけています。方向性としてはロールとして光るようにしたいなと。そのロールらしくというところをうまく調整していきたいです。 編: ユーザーさんが期待されている「拡張パック」について、お話しできる範囲内で教えてください。 上野氏: 検討中ですが、十二分にありえる話だと思います。ただ、現時点では、まだよちよち歩きのところで、どの中学を受験するか考えますかといわれているようなものなので、具体的な話をするまでにはもう少し時間が必要だと思います。
■ 「三國志 Online」開発部門はシンガポールから日本へ。今後の開発体制はどうなるのか?
藤重氏: 基本はサービスの段階になったのでソフトウェア3部内で開発をやろうと考えています。実務もコーエー社内でやる事になると思います。シンガポールからスタッフを招いて、日本で開発作業を継続していきます。 編: コーエーシンガポールの機能は、「三國志 Online」が占めるウェイトが大きかったように思いますが、今後どうなるのですか? 藤重氏: 私はお答えできる立場にいませんが、現在、コーエーグループ内の戦略に合わせて新たな取り組みが検討されているところです。 編: シンガポールから「三國志 Online」の開発部門を移す理由はなんですか? 藤重氏: 色々な理由があるのですが、ひとつは開発現場と市場に近いほうが良いということ。現在は日本でサービスしているので日本に近いほうが良いと思うのです。実際サービスを行なっているのは渥美のオンラインサービス部ですし、そうした中でソフトウェア3部とオンラインサービス部という関係で「三國志 Online」もできるほうが、より密なコミュニケーションができ、形にもできやすいのではないかと考えています。 渥美氏: 運営サイドとしても日本の開発部隊との絡む機会が増えていきますので、お客様のニーズに迅速に対応していく意味ではこれからすごく良い体制になるということを期待しています。いままで上野が開発プロデューサーという肩書きでしたが、運営プロデューサーという肩書きになっています。これまで開発を担ってきて、ゲーム内容をよく知る人間のうちの誰かが、サービス段階では運営側を担当するのが良いという意図があり、この体制でやっていくことになります。 編: それでは今後、開発のリーダーシップはどなたが執るのですか? 藤重氏: それは改めてご紹介します。コーエーは4タイトルのオンラインゲームを持っていますが、その開発を1つの部署でそれをやるメリットはすごく大きい事だと思います。それは意思決定の問題であったり、情報共有の問題であったりします。セクションが2つに分かれれば2つの意思ができますし、そうなるよりはまとめたほうがよいだろうと。それはモノを作るときにパフォーマンスとして現れるではないですか。そこでお客様に運営に迅速に対応するという事に対してその方がよいだろうという判断です。 編: 新体制はいつからスタートしているのですか。 渥美氏: 10月1日からです。対外的には東京ゲームショウが初のお披露目となります。 編: 上野さんにお伺いしますが、「三國志 Online」開発プロデューサーから運営プロデューサーに担当が変わり、運営プロデューサーとして新たにやってみたいことはありますか? 上野氏: オンラインオフラインは意識していませんが、さまざまなライブイベントを行なっていきたいです。オンラインゲームですから、まずはオンラインのイベントをしっかりこなしたいと思います。 編: 「三國志 Online」は開発初期の段階から、アジアをターゲットにしていた初のMMORPGですが、海外展開の進捗はいかがですか? 藤重氏: アジアに向けて開発をしていくという最初のポリシーは変わっていません。先日発表させていただいた上海のパートナーさんと調整しているところです。今後可能性があれば中国以外でも考えていきます。 編: 今年何度かシンガポールを視察する機会に恵まれましたが、東南アジアはいつのまにか大きな市場に育っている印象を持ちました。たとえばシンガポールにもAsiasoftさんなど東南アジアを股にかけて活躍しているパブリッシャーさんがいくつも育ちつつあります。そうしたメーカーとパートナーシップを結んでアジア展開を行なうシナリオはないのでしょうか。 藤重氏: ゼロではないです。アジアにこだわる必要すらないので、「三國志 Online」を楽しんでくださるお客様を増やす可能性があるなら考えていくべきだと思います。 編: 話は変わりますが、コーエーさんはE3で「大航海時代 Online」を出展されたことがありますよね。その際、松原(健二 コーエー代表取締役社長)さんは、海外で売るためにはPS3版もやりたいよねというお話しをされていたんですね。今回、それが現実になり、PS3版「大航海時代 Online」の海外展開についてどのような抱負をお持ちですか? 藤重氏: 海外展開に限らない話ですが、まず、PS3にこだわる必要はないかなと考えています。それから「大航海時代 Online」に限らず。どのタイトルも共通で海外で広げられるところには広げたいです。 編: 当時と今では当然海外市場向けのストラテジーが異なると思います。現在はどのようなストラテジーで動いているのですか? 藤重氏: ストラテジーはあるにはあると思いますが、追々お話できるタイミングになってからしたほうがよいかなと思います。ニーズがあればどこでも展開したいと考えています。後は展開する順番ですよね。
■ 5人のプロデューサーに直近の作業内容と今後の抱負を聞く
上野氏: じゃあ私から。現在、運営に関する作業が多くなっているので、イベントの展開やプレーヤーの皆さんの動向を見ているところです。仕事をコンテンツとしてみなすならコンテンツは変わっています。仕事のサイクルについては、変わるものではありません。 山中氏: 私も開発から運営のプロデューサーに変わり、プレーヤーの皆さんの声から開発はどうあるべきというものを分析して開発と相談して次のコンテンツに結び付けているところです。 編: ちなみに、この5人のプロデューサーの中では、山中さんが一番人気があると思いますね(笑)。 山中氏: そうですか?(笑)。プレーヤーの皆さんに対するメッセージは、すべて私の責任で作っています。これからもお客様の心を繋いでいきたいです。 編: 弊誌にも記事を掲載するたびに数多くのご意見をいただきますが、以前は、なんといっても松原さんの存在が大きかった。中には「ウソを付いてる!」みたいなご意見もあるわけですけど(笑)、このところご意見の矛先が松原さんから山中さんに変わり、山中体制がようやくユーザーさん馴染んできたという印象を私は持っています。 山中氏: 松原は「信長の野望 Online」のプロデューサーであった時代から、特に多忙でしたので、なかなか「信長の野望 Online」だけにかかりきりというわけにはいかなかったんですね。今も顔は変わったけれども中身はそれほど変わっていないと思いますよ。 編: 渥美さんはいかがですか。 渥美氏: 「大航海時代 Online」に関しては長期的な展開を思い描いているところです。「Cruz del Sur」に関してはチャプター5まで形になりつつあるので、その先を見据えてどうかというところを開発側と共にアイデアを出して考えています。 私が担当しているオンラインゲームの運営全般というところでは、自社運営タイトルを統一する形でお客様の満足度を高めるにはどうしたらよいのかということを考えています。レベル20以下無料のポリシーを転換したりですとか、ああいったあたりも全タイトル足並みが揃う形で進めてきましたし、各種オプションのサービスも1個のタイトルでうまくいったものを他のタイトルで導入するということがありました。開発面に関しては藤重がやっているのですが、サービス・運営面に関しては私の方で考えるというところです。 竹田氏: 直近で言うと、正直言ってPS3版で右往左往しているところがあるのですが(笑)、発表までこぎつけたので後は開発でどこまで出せるかを考えたいです。それだけではなくWindows版との両輪体制になりますので、両方を見ながらやっていきます。 編: 私は竹田さんに聞きたかったことがあるんです。「大航海時代 Online」は類例のないオンラインゲームだと思います。MMOアクションやMMORPGでは他にいくらでも似たようなタイトルがあるので、ユーザー本意という視点から考えると、そのトレンドに乗ればひとまずは安心というところがある。しかし、「大航海時代 Online」ではそのアプローチは使えないわけです。開発側はどのような思考プロセスで新しいアップデートを考えているのですか? 渥美氏: まず、運営サイドで言いたい放題言うのはありますよね(笑)。 竹田氏: ホントですよ(笑)。そこまでいうかというところまで言うのですが、意外とそこにヒントがあると思います。 編: つまり、運営側からユーザーさんの意見を聞きながら、最大公約数的に新要素を実装していくという形ですか? 竹田氏: 最大公約数にしたらしたで不満が出るのです(笑)。これができないときにはこれはどうだという提案を常にしていかなければいけないです。 編: 私からすると、「大航海時代 Online」は軟体生物のような捉え所のないオンラインゲームに見えるのですが、ゲームの背骨になっているものはなんですか? 竹田氏: 「大航海時代 Online」を説明するときには冒険、交易、戦闘の3本柱といっています。普通のMMORPGでは戦うというところに集約されていますが、3つが3つがまったく違う方向を向いているのがポイントかなと思います。その3つを伸ばすことで広がりを出しています。 編: 藤重さんはいかがですか。 藤重氏: 開発のプロデューサーとしては「真・三國無双Online」は他のタイトルと色合いや課金目的なども違う中で、反応がすぐ出てくるというのはやってみてわかった部分です。そういう点に対して今まで以上に気を使わなければいけない部分があるのかなと日々感じています。毎月コンテンツの内容や色々な数値を見ながら調整していく。ディレクターの頃はモノを作って提供するということをシンプルに考えればよかったのですが、そこだけではなく考える必要があるというのが今の仕事です。 編: それでは最後にユーザーさんに向けてメッセージをお願いします。 上野氏: 「涼州動乱」が終わり、運営からいろいろなことをやっていくフェイズにしていきたいなと考えています。楽しみにしていただければと思います。 山中氏: 「信on」はウソが多いというご意見に対して言い訳させていただきますと、プレーヤーの皆さんのために良いコンテンツは何かと考えたときに、将来の予定でこういう方針でやっていくということはいうのですが、現場に下ろしたときにゲームの将来性ですとかその辺の調整で多少狂ってしまう場合があります。「争覇の章」では発表会で申し上げたところまで及ばない点もあったので、これからアップデートなりで完成度を高めて、満足いただけるコンテンツにしていきたいです。ご期待ください。 渥美氏: 今回「大航海時代 Online」のPS3版の発表があったので、そちらにフォーカスがあたっていることは確かなのですが、これまでWindows版において、たくさんのお客様にご支援いただいたことを常に考えていく必要があると思っています。そうしたお客様を裏切らないようにこれから12月、1月、それ以降と運営側として様々な施策を進めていきたいです。 竹田氏: 「大航海時代 Online」は、チャレンジングなタイトルとしてやったことのないことをやろうという気持ちが開発にも運営にも満ち溢れています。今回PS3の発表ができたことを一区切りに次のネタを考えていきたいです。これからも末永くプレイしていただければと思います。 藤重氏: 開発プロデューサーとしては直接見ている「真・三國無双Online」で良いものをしっかり作ってご提供していきたいなと思います。開発全体の部長としての立場では、それぞれのプロデューサーがタイトルにはいますが、同じようなスタンスで統括して、4タイトルそれぞれのお客様に楽しんでいただき、それに見合ったクオリティを提供していくことがものすごく大事な事だと思います。PS3版もそういう精神で作っていこうと竹田の尻を叩いています(笑)。どうぞご期待ください。 編: ありがとうございました。
□コンピュータエンタテインメント協会(CESA)のホームページ (2008年10月21日) [Reported by 中村聖司]
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