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会場:幕張メッセ 今回は、タイトルプロデューサーとして連日ステージに上がった4人に、ステージイベント直後にインタビューを行なった。出席者は、「信長の野望 Online」運営プロデューサー山中肇氏、「大航海時代 Online」運営プロデューサー渥美貴史氏、「真・三國無双BB」開発プロデューサーの藤重和博氏、「三國志 Online」開発プロデューサー上野彰三氏の4名。 プロデューサー4名同時インタビューということで、各タイトルに関しては大まかな話に留め、ディテールに踏み込んだ質問はしていないが、9月27日プレオープンサービス、10月11日正式サービスと怒濤の展開を目前に控えた「三國志 Online」については、比較的細かく話を伺っている。 インタビュー前編では、「ネットエンターテインメント フェスタ 2007」の感想を皮切りに、「信長の野望 Online」、「真・三國無双BB」、「大航海時代 Online」の今後の展開を、後編では「三國志 Online」のプレオープン、正式サービスに向けての抱負、展開、それから全プロデューサーに対して直近の業務内容などを伺っている。
■ 「ネットエンターテインメント フェスタ 2007」の企画意図と手応え
藤重和博氏: ひとつは、こうやってMMOのオンラインゲームを4つも作れるような体制になってきたということです。それをバラバラにアピールするよりも、4つの個性あるMMOを一丸となってアピールするのはどうだろう、と考えました。今回TGSという良い機会がありましたので、ここでいくつか仕掛けをしてみようかと、そういう考えが根底にあります。 編: 実際に出展してみてどのような感想をお持ちになりましたか。 渥美貴史氏: 「信長の野望 Online」と「大航海時代 Online」はサービス開始からだいぶ時間が経っておりますので、試遊にこれほど多くの方が来てくださるとは思っていませんでした。実際に今見てみると大盛況で、全体で90分待ちとかいった状況です。改めてTGSという場が、露出の場として非常にいい機会であることを実感しました。 山中肇氏: 私は実は去年会場には来ていなくて、今年久々に来て感じるのは、新しくゲームに興味を持った人が増えているなと。そういう意味ではもう4年運営しているMMOでも、興味をもって「これ何ですか?」と言ってくださるお客さんが一杯いらっしゃる、これは本当に光栄なことで、いい結果が出るのではないかなと思っています。 藤重氏: 去年「真・三國無双BB」を出展してある一定の手応えはありました。今年も何か仕掛けをひとつやれば、お客さんに色々集まっていただけるのではないかと思ったんです。そういう意味では、正直90分も並んでいただけるという状況には、思ったよりお客さまに受け入れられたのだなとうれしく思っています。 編: 去年はブース対抗戦のようなゲーム大会を企画されていましたが、今年はそういった事は意識されなかったのでしょうか。 藤重氏: そうですね、今回は4つのタイトルをそれぞれうまく盛り上げていこうという方向でベクトルを合わせました。ですので4つそれぞれ仕掛けを作って、ステージも4つのタイトルでやりましょうと。あとお配りしているDVDも4つそれぞれ簡単にインストールできるものを用意したり、別途シリアルを付けて、それを入力するとゲーム内のアイテムがもらえるというような仕組みを用意しました。会場の反応を見る限りでは、いい成果が出たのかなと思っています。 編: 特典アイテムは各ゲームでこだわったアイテムが追加されていて、凝っているなという印象を受けました。 藤重氏: そうですね。せっかく会場まで来ていただくことですので、ゲームの中で使っていただける良いアイテムをそれぞれ考えました。ある種競い合って決めたような感じです。 編: 上野さんはいかがでしたか。 上野彰三氏: 私はずっとシンガポールにおりまして、東京ゲームショウは久しぶりの参加でした。来てみて感じたのは、人の多さもそうなんですけれど、海外の人が割合多かったかなという点です。シンガポールでも、TGSに自費でもいいから来たいというスタッフが多かったですし、それだけ国際的に注目されるショウで、このように大々的にアピールできるというのは、今後にも期待できるのではないかなと思いますね。
■ 拡張パック第3弾は戦国の楽しさを深化、合戦の仕様も変更
山中氏: やはり戦国の雰囲気をもっと強調して、特徴を出していこうと考えています。そこが基本になっています。一言でいうと、戦国をもっと面白くしようということです。「信長の野望 Online」はゲームの発展の中でいろんなものを入れていくうちに、戦国のおもしろさがなんだかボヤけてきたんですよね。そこをもう一度見直そうと思っています。 編: 例えば新職業や、世界そのものの拡張はあるんでしょうか。 山中氏: 新職業はかつて追加したものがありますが、その職についても、まだ我々自身満足できるほど十分熟してないと思いますので、ここはしっかりとコンセプトを見直して再構成しようということです。 編: PS2のサポートは今後も続けていかれるのでしょうか、また、次世代機のサポートはどのように考えてらっしゃいますか。 山中氏: PS2のサポートはもちろん続けていきます。次世代機については、出すとすればXbox 360かPS3ということになるでしょうね(笑)。 編: コーエーのオンラインゲーム事業は「信長の野望 Online」から本格スタートして、現在は4タイトルのMMOがあります。「真・三國無双BB」の争奪や、「三國志 Online」ではついに1,000人規模の大合戦がフィーチャーされます。こうした流れの中で、「信長の野望 Online」の合戦は今後どう進化していくのでしょう? 山中氏: 今の合戦は、ずっと初期から同じような仕組みでやっていますので、もう、小細工程度の改良ではすまないと思っています。だから次は、かなり変えていくつもりです。ただ、既存ユーザーの皆さんは急激な変化を喜ばない部分もあると思いますので、そのあたりも加味しつつ、スムーズに新しいものを加えていきたいと検討しています。 編: 「信長の野望 Online」のオフラインイベントを企画したいという発案がありましたけれども、それは発表会と一緒にやるのか、それともイベント単体でやるのでしょうか。 山中氏: その辺りはまだ全然検討していません(笑)。ただ、まずは発表会とユーザーイベントは一度にまとめてやったほうがいいのではとも思っています。
■ 運営移管の影響は? 今後の展開は「Evolution」と「拡張パック」
藤重氏: 変わっていることと変わらないものがあります。変わらないのは、私たちが物を作っていく中で、ひとつのものをしっかり作って提供していく、というところです。そこは全く変わることなく続けていきます。ただ、やはり、運営するパートナーさんが変わるということになれば、やはり企業の文化も違いますので、そこに対してはある程度あわせていく必要があるのかなというのが今の考えですね。 編: 運営のCJIJさんから、いくつか開発に関する要望が出ているという風にも伺っていますが。 藤重氏: そうですね、そこはやはり運営を移管するにあたって、CJIJさんの今までの運営の中身をみて、一緒にやっていただこうという風に思っていただけていますので、その中で、ここは残してほしいとか、ここはできれば改善してほしいとか、そういう意見は沢山頂いています。 編: 具体的にどのような提案が来ているのですか? 藤重氏: 例えばお客さんがもっともっと活発に戦える仕組みがないだろうか、ということですとか、あとは単純に、こういうイベントをやりたい、といったご提案を頂いています。 編: 今回の移管によって、例えば韓国展開が非常にやりやすくなるといった展開はあるのでしょうか。 藤重氏: 同じグループの会社ということで、当然、そうした影響はあると思います。 編: 以前ですとELEVEN-UPとコーエーからそれぞれID登録が行なえて、2つの窓口からゲームをプレイしていたわけですが、この点は今後どうなるのでしょう? 藤重氏: とりあえず現在はBB-IDがそのまま使えるようにしていますので、そこは今までどおりです。 編: CJIJさんのほうで、また独自にID登録が可能になるのでしょうか? 藤重氏: そこはまだ言えないところです(笑)。一杯新しい仕掛けを考えています。そこはまた時期が来たときにしっかりとお答えしたいと思います。 編: 今後の開発についてですが、これまで「Evolution」という形で大規模アップデートを実施されてきましたが、今後はどうなるのでしょう。 藤重氏: そこは大きく変えるつもりはないです。まず、ある一定の期間で、大きめのアップデートをしっかりとする。毎月小規模のアップデートを当てていくという部分は今後も変わらず続けていきます。その中身をどうするかという部分に関しては、ご要望もいろいろ頂くことがあるでしょうから、それらを随時反映させていくという形になります。 編: 次の大きな節目としては「Evolution 3」になるわけですが、ちょっと間が空きましたね。これはやはり運営移管による影響と考えてよいのでしょうか。 藤重氏: そうですね。ちょっと色々あったので、少し間が空いたなというのは確かです。 編: その分、当然濃い中身を期待してよいと? 藤重氏: もちろんです。武器の追加などもいろいろありますけれども、今は言えないことも沢山あります。例えば9月に運営移管するにあたって「演習」という要素を入れたのは、CJIJさんとお話をする中でご要望があって、必要だろうと判断したものです。これからも、いつになるかは言えないですけれども、驚くような変化をしたいなという想いはありますね。 編: コーエーさんのオンラインゲームは、拡張パックのビジネスを展開されていますが、「真・三國無双BB」はこの点どうなるのでしょうか。 藤重氏: そうですね、当初の計画の中では「Evolution」というという中規模のものを中心に考えていたのですが、現在は、やはり本当に遊び方を変えるようなものも必要だろうと考えはじめています。拡張パックは、きちんと開発期間を取らないといけないので、簡単に出せるものではありませんが、前向きに考えています。 編: では今後は複数の開発パイプラインをしっかり確保して、「Evolution」だけでなく、拡張ディスクの展開も考えていくと? 藤重氏: そうですね、そのように考えています。いつ、どのような内容になるかというのは、時期になればお話できると思います。
■ 「Cruz del Sur」の手応えと、「チャプター2」以降の展開について
渥美氏: そうですね、やはり「大航海」はうちのタイトルでいうと次男坊なので(笑)、次男坊というと結構気楽にできたりするじゃないですか。出た順番でいえば「信On」が長男ですよね。そういったところで長男は思い切ったことをやりにくい部分もありますから、次男坊はある程度自由にやらせてもらっているというところはありますよね。 「大航海時代 Online@モバイル」のときもそうでしたし、例えば拡張パックを出すときに、チャプター制という形で大型アップデートを複数回にわける形をとっていますが、お客さまにとっては分かりやすい形になるだろうということで大々的に言わせていただいたということもあります。今後もそういった新しい試みを取り入れていきたいですね。 編: ステージイベントで、「航海者養成学校」の「スクールチャット」が満席で困るという嬉しい悲鳴が上がっていましたね。このシステムは素晴らしいですよね。 渥美氏: そう言って頂けると大変ありがたいです。やはり初心者の方は、最初、初心者同士の関係を探すというのが難しいと思うんです。ですからこういった場を提供してみてはどうかというアイディアは開発からも上がってきましたし、私たち運営のほうも、それ面白いからやろうよ、みたいな形で良い方向に進んできました。 編: 夜は絶えず満席というのは、原因としては居心地が良すぎて、ずっと入り浸っちゃうということですか? 渥美氏: 基本はそうですね。今回、養成学校は初心者の方だけではなく上級者の方も入れるようにしたんです。それは初心者同士のコミュニケーションと同じで、上級者の方とも自然にコミュニケーションをとれるような形を自然に盛り込みたかったという意図があり、そのようにしました。 その結果、上級者の方が初心者の方にアドバイスしてあげる場面があったりして、その点は狙い通りだったのですけれども、それだけに結構居心地がよくて学生で居続けている上級者の方もいらっしゃるようです。予想していたよりは利用してくださるユーザーの方が多かったという状況です。 編: 会場のイベントでは、そのあたりの仕組みを変えて、満員の状況を改善したいと仰っていましたが、具体的にはどのようなことなのでしょう。 渥美氏: 上級者の方にはちょっとだけご不便を強いるような形になるかもしれません。まだ詳細は検討中なのですけれども、レベルで制限する変化もあると思いますし、または時間制限ですとか。要は定員が空けばそこに初心者の方が入ってこられるような形を考えています。 編: 拡張パック「Cruz del Sur」の発売から1カ月ほどになりますが、ユーザーの反応はいかがでしょうか。 渥美氏: 航海者養成学校が入ることによって、初心者の方からすればゲームの進め方が格段にわかりやすくなったと思います。特にゲームの導入部分です。私達の見ている限りではスムーズに先に進まれているというのはわかります。そこはうまくいっているな、という印象です。 編: これまで以上にオンラインゲームビギナーの加入率、定着率が高いということですか? 渥美氏: そこはまだ出たばかりですのでデータが完全にはでていないのですが、実際に見た感じではそうです。初心者の方からすると、今までなら詰まっているようなところでも、航海者養成学校で色々教えてもらうことで解決できるようになりましたからね。 今回、航海者養成学校の実装によって、チュートリアル機能を非常に強化したわけですが、やはりこれも向こう何年間かのサービスを想定する上で、この段階でやるのも決して遅くはないと思っているんですよね。そういった意味で航海者養成学校を入れたという経緯があります。 編: 今回スクールチャットが満席というのは、企画側から見てひとつの誤算と言えると思いますが、そのほかに、意図したとおりに行かなかった部分というのはありましたか? 渥美氏: 大きく失敗した部分はないですね。既存のお客様からすると、もうちょっとボリュームあったほうが良かったという声はいただいています。例えば、バトルキャンペーンという非常に大きな仕様追加があったのですけれど、それのスタート日が発売日と若干ずれていたこともあり、そういう部分でご指摘を受けたのかと思います。それ以外には問題になっている部分はありませんね。 編: 今回、世界一周というのが大きなフィーチャーになっていますけれども、それにチャレンジしている冒険者の割合はどれくらいなのですか。 渥美氏: 先行してプレイしている上級者の方はほとんどプレイされていると思います。すでに世界周航を達成している方も結構いらっしゃいますね。実はこのあと10月にアップデートがありまして、8月22日に新海域が開いて世界一周できるようになりましたので、その海域をつかって世界周航レースと言う形でイベントを行なう予定です。上級者の方からすると、各海域の風向きですとか、潮の流れといった研究が進んできている頃だと思いますね。なので、そういうタイミングでレースをするのは面白いのではないかと考えております。 編: それはリアルタイムで行なうイベントなのですか? 渥美氏: ランキングは、イベント期間中の最速タイムで争われますので、イベントの開始時間に間に合わないお客様でも第一位を狙うことができます。ただ、レース感覚を最大限味わうためにはイベント開始と同時に参加されるのがオススメです。 編: 世界一周って現在、実時間にしてどれくらい掛かりますか? 渥美氏: 船のスピードがアップしましたので、高速船なら多分4時間くらいでいけると思います。1日2日かかるようなことはないですよ(笑)。 編: 今後チャプター2、チャプター3、と言う風にアップデートが続いていくことになると思いますが、チャプター2はどのような内容になるのでしょうか。 渥美氏: チャプター2はですね、来たるべき時期にドカーンと発表させていただきたいと思いますけれども(笑)、チャプター1のときにやり残した部分もありますので、そういったものを入れて行きたいなと考えています。あと、チャプター毎の大きなアップデートの際には、ユーザーの方もシステム上の新たな要素に期待する部分もあると思いますので、そこはきちんと盛り込んで行きたいと思っています。 編: 新しい海域の追加はあるのでしょうか。例えば現在世界一周は南回りのみですが、そのほかのルートでも可能になるのですか? 渥美氏: 検討中ではあるのですが、今の段階ではお答えできません。するかもしれないし、しないかもしれません。海域については、より長期の計画に関係してくるところですので、決まっている部分もあるのですが、他にゲームシステムの部分で非常に大事な要素が入ったりする場合は、そちらを優先したりといったことがあります。なのでちょっと断定的に言えないところですね。 編: チャプター1では世界一周が可能になったわけですけれども、今後のチャプターで、ユーザーに対して期待してほしいポイントはなんでしょう。 渥美氏: やはりチャプター2とか3で入ってくる新しいシステムですね。そこに一番期待していただきたいと思います。 編: チャプター2の実装時期はいつぐらいを予定していますか。 渥美氏: そうですね、出る頃にはだいぶ寒くなっていると思いますね。ただ、「大航海」の場合は、今まで言ってきたことは大体スケジュールどおりに進めてきていますので、一回発表したらまず間違いないと思っていただいて大丈夫です。 (以下、後編へ続く)
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□コーエーのホームページ (2007年10月1日) [Reported by 中村聖司]
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