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会場:幕張メッセ1~8ホール
入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日) 「ブロブ:カラフルなきぼう」(以下、「ブロブ」)はプロデューサーのニック・ハガー氏が、「セインツ・ロウ 2」はアソシエイト・プロデューサーのジェームス・トービット氏がゲームの魅力を語った。本稿ではその模様をお伝えしたい。 「ブロブ」は無機質な街に、ペンキを直接ぶちまけるかのように乱暴に色を塗るコンセプトが楽しいアクションゲームだ。「セインツ・ロウ 2」はストリートギャングの抗争をテーマに、偽警官になったり、当たり屋までできたりと、ハチャメチャさが楽しいクライムアクションゲームである。弊誌ではそれぞれの作品を下記プレビューで紹介している。興味を持った方はぜひご一読願いたい。
■ 学生のアイデアから生まれた「ブロブ」。そこから非日常と哲学を持つ楽しくてテーマを持ったゲームに!
「ブロブ」は無機質な管理された社会に、主人公のブロブが闇雲にべたべたと色を塗っていく いたずらのような楽しさがある。ハガー氏達開発スタッフは、元のアイデアに、プレーヤーのアクションで街が変わっていく感じ、社会に対する反逆児のようなテイストを加えてゲームのコンセプトを練っていったという。 「ゲームには“非日常”のパワーがある。普段できないことを思いっきりやってみたい。それは人を撃ったりとか、車を盗むといったことや、危険なカーレースだけではない。灰色の都会をキャンバスに見立てて、自分の思う色で染めてしまう。主人公のブロブの行動は、“とにかく何かスケールの大きなことをやってみたい”という欲求に答えてくれる行動だ」とハガー氏は語る。 「ブロブ」はコンセプト共に、デザインでも魅力的だ。特に街を無機質に変えてしまうインキー達は恐ろしい力を持っていながらもその描かれ方はキュートだ。ハガー氏は、まず『ブロブ』全体は都会的な雰囲気を出すために、シンプルな、それでいてかわいらしさを出せるソフトビニールの人形の雰囲気を参考にしたという。 その上で敵としてのインキーは牙を生やしたり、ただ恐ろしく、醜悪な姿ではなく、わざとシンプルにしたとハガー氏は語る。インキーの一見かわいらしい姿は“仮面”である。インキーの社会は、退屈だが平穏な、そして管理されることでの「安全」をもたらす。「安全ならば、管理されていてもいいや」と思い受け入れてしまう人の姿は、日常に埋没する我々現代人の姿に重なる。開発スタッフはそんな我々の姿勢に問いを投げかけるためにインキーのデザインを決めていった。 「ただ画面を暗かったり、怖かったりする要素で画面を構成したくなかった」とハガー氏は語る。しかし明るくてきれいな画面から、さまざまなアイデアや哲学を感じさせられるような、意外な深さを持たせることで、大人にもアピールできるゲームにしたかったという。
■ 幅広いユーザーに訴える楽しさは、まず自分たちが楽しいゲームを作ること
「幅広い層とはだれなのか、“みんな”とはだれなのか、その定義づけすらむずかしい。そこで我々は、自分たち開発者自身が楽しいと思えるゲームを目指していった。ハードコアなゲームになりすぎないようにも気をつけた。ゲームとしての制約や、駆け引きの要素が強すぎると感じたときには、そのたびに開発の方向修正をしていった。『Wii Sports』は欧米では“こんなのはゲームではない”ととても悪くレビューされることもあったが、みんなが楽しくプレイしていた。遊んでいて、その楽しさのあまりゲームであることを忘れてしまうような作品を目指したつもりだ」。 「アプローチとしては、色を塗ることの手軽さ、夢中になって色を塗っているだけで次々と先に進むことができるハードルの低さと、アクションの派手さ。“報酬”が多くなるバランスを気をつけて作ったんだ。また、フリーペイントモードという、ゲームの駆け引きを一端横に置いて、純粋に街に色を付ける楽しさを体験できるモードも作った。『ブロブ』は紛れもないゲームであるが、ゲームが苦手な人も触ってみて欲しい。楽しんでいるうち、自分か“ゲーマー”になっていることに気づくだろう」とハガー氏は語った。 「ブロブ」は音楽も魅力的だ。街が管理されている状態では音楽がほとんどなく、ブロブが街に色を付けていくと演奏する楽器が増え、街に色が戻ると非常に華やかな音楽になる。また、1つのステージには数種類のジャンルの音楽が用意されている。この音楽のテイストを活かすためには、音響監督でありミュージシャンであるイギリスのスタッフのこだわりによって実現したという。楽器のパートもほとんど彼が1人で演奏し、そして編曲して楽しい曲に仕上げた。 音楽とゲーム展開の関連性の楽しさではハガー氏は「スペースチャンネル5」から影響を受けたと語る。ブロブが建物に色を付けるだけでなく、インキーの看板を現代アートのように変えてしまう所などは、街に色を塗っていく楽しさも含めて「ジェットセットラジオ」の壁に絵を描くグラフィティの楽しさにも影響を受けているという。「ジェットセットラジオ」をのグラフィティは街に勝手に絵を描いていくという、「本当はやってはダメ」な行為だが、ゲームの楽しさは、そういうところにあるのではないか、とハガー氏は語る。 今回残念ながら盛り込めなかったアイデアは? という質問をしたところ、ハガー氏はニヤリと笑って。「いくつかあるが、それはまだ秘密だ」と答えた。「今回の作品では、やりたかったことは全部実現ができた。それはとても幸運だと思う。しかし、もちろん次の作品で活かしてみたいというアイデアももちろん持っているよ」とのことで、今後ハガー氏がどんなゲームを作っていくかも注目したいところだ。
ハガー氏は最後に日本のユーザーへのメッセージとして、「『ブロブ』をぜひ体験したください。私達チーム一同、このゲームは本音で楽しい作品だと思っていますし、開発者としてもプレイして楽しいゲームで、この楽しさを多くの人に体験して欲しいです。私達は任天堂のゲームをはじめとして、日本のゲームも楽しんできた世代です。このゲームでゲームの楽しさを教えてくれた日本のみなさんへのお返しとしたい。日本のプレーヤーのみなさんに是非遊んでもらいたいと思っています」と語った。
■ 前作以上の自由度とカスタマイズ性を実現する「セインツ・ロウ 2」。プレーヤー自身が歩き方を決めるストリートギャングへの道
トービット氏は“自由度”こそ「セインツ・ロウ 2」の最も大きな特徴だと語る。広大な街を舞台に、プレーヤーの臨んだアプローチでゲームを進めていける。この自由な方向性は前作「セインツ・ロウ」から大事に受け継いでいるものだ。そして今作にはオンラインでのCo-op(協力)モードがある。このため、開発の早い時期からQAチームを発足させ、全体の管理、統一感を重視した。 「セインツ・ロウ 2」にはストーリーが進むミッション、連続したチャレンジを重ねていけるアクティビリティ、単発のディバージョンなどいくつもの目的がある。「大事なのは、プレーヤーが自主性を持って、自分の思った順番で取り組むことが可能だ。その幅の広さを実現させることが、今作の大きなチャレンジだった」とトービット氏は語る。 「プレーヤーキャラクタに女性を加えたのも、プレーヤーの自由度を広げるためのものだ」と、トービット氏は言葉を続ける。前作はプレーヤーキャラクタのモデリング、人種などを設定できる所に評価が高かった。今作ではさらに選択肢が広がり、女性でもプレイできる。さらに今作ではアジトや車のカスタマイズも可能で、プレーヤーが思い描く“生活”を追求できる。今作ではその方向性をさらに拡張しているという。 「『Grand Theft Auto IV』では主人公ニコの生き方、ストーリーをプレーヤーはなぞることになるが、『セインツ・ロウ 2』は違う。“あなた”が、街に降り立ち、自分の好きなように歩き、ミッションをクリアしてストリートギャングとして成り上がっていくのだ」とトービット氏は語る。 今回はさらに、オンラインで自分のカスタマイズを披露することができる。こだわりのモデリング、服装、アジト、自分のストリートギャングライフを全世界のプレーヤーに公開することが可能だという。 さらにオンライン要素を質問してみた。トービット氏によれば、今作では、全てのミッションを他のプレーヤーと協力できる。ストーリーのミッションが難しくてクリアできないときなど、他プレーヤーに助けてもらってクリア、ということもできるという。1人に運転を任せ、もう1人が同じ車に乗ってマシンガンを連射するなど、協力プレイならではの戦い方もできる。 Co-opの結果は両方のプレーヤーに反映されるという。リスペクトポイントをCo-opで稼ぐことも可能なのだ。トービット氏は「ストリートギャングの1人、“サンズ・オブ・サムディ”のボスはハイチの魔術であるブゥドゥーを使いこなす。彼を倒すにはあるタイミングで攻撃をしなくてはならないが、そのタイミングは難しい。Co-opならばより戦略的に戦えるだろう」と語った。他のストーリートギャングも非常に特徴的であり、ぜひ見て欲しいという。
■ よりド派手なゲーム展開。ハチャメチャな自由度と共に、ストーリーも注目
“派手さ”というのは「セインツ・ロウ 2」でのキーワードであるとトービット氏は語る。プレーヤーはいきなり脱獄、追いすがるヘリやボートをマシンガンで壊し、そこかしこで大爆発を巻き起こしながら刑務所から脱出する。いくつものアクションを連続させる。出し惜しみせず、思いっきりアクションを楽しんでもらいたかったという。特殊能力を持つボスや、最新兵器で固めた企業がからむとなれば、終盤はどれだけ派手になるか、とても興味が広がる部分だ。 以前「セインツ・ロウ 2」の開発バージョンを触ったとき、露出度の高い衣装(ほとんど裸)になって街を歩く“ストリーキング”をやってみた時、通行人達がものすごく喜び、声援を送ってくれたところが気になった。そのときプレーヤーキャラクタは女性だったが、男性キャラクタでは反応が違うのだろうか? この質問をしたとき、トービット氏は笑いながら「ゲーム性として大きく違う訳じゃないね」と答えた。 良識的な人、拍手喝采をする人、中には怒って襲いかかってきたりする人もいる。NPCごとの反応の違い、彼らの個性をもたらすAIは今作のセールスポイントの1つだという。ゲーム性としては違いがないが、女性プレーヤーで走り回ると、男性のNPCのヤジや口笛がより激しくなるとのことだ。また、ストーリー上のカットシーンでも男女でもわずかに違いがあるという。 「トービット氏お気に入りのミッションは?」という質問には「ストーリーミッションが好きだ」とのこと。「セインツ・ロウ 2」はストリートギャングと激しい抗争を繰り広げる。敵対ギャングとの戦いの中には次々とミッションが連鎖して発生し、結果として長いストーリーが語られるシーンがある。トービット氏はこの連続するミッションの感覚が好きだという。
最後にトービット氏はユーザーへのメッセージとして、「是非Co-opを楽しんでください。体験を共有するのはこれまでとは全く違う感触をもたらすはずです。また、タップリ時間を取ってゲームを楽しんで欲しい。『セインツ・ロウ 2』の街は隠し要素や、秘密がたくさんあります街を探索して、色々なものを見つけてください」と語った。
「ブロブ」
「セインツ・ロウ2」
□コンピュータエンタテインメント協会(CESA)のホームページ (2008年10月14日) [Reported by 勝田哲也]
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