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12月4日 発売予定 価格:7,140円
CEROレーティング:Z(18歳以上推奨)
本作はXbox 360でプラチナコレクションとしても発売されている「セインツ・ロウ」の続編に当たる作品となる。プレーヤーはストリートギャングの一員として、敵対ギャングと戦い、領土を拡大していく。広大なフィールドをリアルな3Dグラフィックスで再現、乗り物で暴走したり、敵を銃でなぎ倒す「Grand Theft Auto III」タイプの作品である。
「セインツ・ロウ2」は前作以上に暴走気味で、アジトを確保するためにいきなりギャングやホームレスのたまり場に突っ込んだり、偽警官になって悪漢を車ではじき飛ばしたりと、過激な演出の多いゲームになっている。独特のブラックユーモアをふんだんに織り交ぜた「ちょっと危険な大人向け」作品である。今回は、序盤のプレイを中心に、本作の基本要素と“感触”を紹介したい。なお、今回プレイしたのはXbox 360版である。 ■ 刑務所脱獄、裁判所襲撃! “最初からクライマックス”のクライムアクション
しかし、主人公は生きていた。数年間警察の病院で意識不明で眠り続けていた主人公はサード・ストリート・セインツのメンバーの助けを借りて刑務所を脱獄。スティルウォーターへの帰還を果たすが、街は変わり果てていた。巨大企業「アルターコーポレーション」が進出し、街の風景は一変。さらに街には4つのギャングが台頭して、サード・ストリート・セインツは壊滅寸前まで力を失っていた。主人公はサード・ストリート・セインツの中心メンバーとして、他のギャングと抗争を繰り広げていくことになる。 プレーヤーは最初に「セインツ・ロウ2」で活躍する主人公の容姿を設定する。この設定の細かさが本作の大きなセールスポイントだ。前作でも、人種、髪型、表情など非常に細かく設定できたが、今作ではさらに女性も設定できる。目の形、顎の細さ、鼻の大きさにほお骨の高さ……、北米のゲームは顔のカスタマイズにこだわる作品も多い。その分、美男美女を作るのは難しいが、長くつきあうキャラクタである。気合いを入れて細かくカスタマイズしたいところだ。 「セインツ・ロウ2」のカスタマイズ要素は更に細かく、キャラクタの声も数パターンから選択でき、デフォルトの表情も設定できる。いつも小馬鹿にしたような笑いを浮かべていたり、何かに怒っていたりできるというわけだ。ゲームが進めば服も設定できる。上着やズボン、アクセサリはもちろん、下着すら設定可能だ。さらにアジトの内装も細かく設定ができ、「細部までこだわったストリートギャングライフ」が実現可能なのだ。 ゲームは刑務所脱獄からスタートする。チュートリアルでいきなり医師を襲い、その後銃を奪っての銃撃戦となる。パトカーの囲みを突破するなど、最初のシーンがいきなり他ゲームの終盤当たりのド派手な展開となっている。次々と襲いかかってくる警官を銃で打ち倒し、パトカーを奪い、さらにボートを奪って脱獄する。ボートにつけられたマシンガンを撃ちまくり、追いすがるヘリや警察の船を沈め、主人公はスティルウォーターへの帰還を果たす。 さらにその後すぐに行なうのは「裁判所への乱入」である。死刑を宣告されるかつての仲間「ギャット」の姿をTVで見た主人公は、そのまま裁判所に突撃、警備をものともせずにギャットを助け出す。主人公はギャットと、わずかに残った仲間を集め、サード・ストリート・セインツ再興を目指すことになる。 刑務所からの脱獄、裁判所の襲撃、そしてその後の展開と、自らの思いのためには容赦なく銃をぶっ放し、打ち倒す展開は派手だが、残酷なシーンが展開する。ここには賛否両論あるとは思うが、「セインツ・ロウ」シリーズには、「悪の美学」という言葉すら生ぬるい“暴力の陶酔”がある。映画の悪役の活躍を見ているかのような、妖しい爽快感がプレーヤーをストリートギャングの世界にグッと引き込むだろう。 本作のプレビューに先がけて、前作の「セインツ・ロウ」もプレイしてみたが、感想としては本シリーズは「GTA III」がなかったら生まれなかった作品だと感じた。リアルな3Dグラフィックスで書き起こされた街を舞台に、ギャングを扱ったテーマや、暴力的なヒーローが活躍する展開など踏襲している部分は多い。しかし「セインツ・ロウ」シリーズは「GTA III」がストーリーを中心に置いているのに対し、より過激な暴力的な世界と、そこに生きるエキセントリックな主人公の活躍に焦点を当てている。
「GTA」シリーズは、主人公自身はミッションで暴力行為を行なうものの、意外と常識も持ち合わせている。むしろ過激な行動をするのはNPCの場合が多い。これに対して「セインツ・ロウ」シリーズは、ただ拠点を奪うためだけにいきなり敵のど真ん中に突っ込み、一般人にもかまわずマシンガンを乱射するような、よりパワフルでめちゃくちゃな活躍ができる作品となっている。社会正義に真っ向から反発するような本作の価値観は、プレーヤーを選ぶ側面があるが、だからこそ開発者が全力で主張する「ロマン」を感じて欲しい。
■ 偽警官、当たり屋、大暴走……とどまることを知らない悪ノリ展開のミッション
ゲームのルールもまったく異なる方向性を感じる。「GTA IV」のキャラクタは少しでも気を抜くとあっという間に倒れてしまう上、アイテムを使わなくては体力が回復しないという、どちらかといえばリアル指向のルールとなっている。それに対し、「セインツ・ロウ2」のプレーヤーキャラクタは「コールオブデューティ4」や、「ギアーズ オブ ウォー」の様に、撃たれてもしばらくすれば勝手に体力が回復する。無謀な行動さえ気をつければ、多数の敵を相手にしても勝つことができ、失敗のリカバーも容易だ。 本作でユニークな要素が「敵を捕まえることができる」という要素だ。そしてつかんだ敵を投げ飛ばすことができる。投げつけた敵で建物を破壊することも可能だ。「セインツ・ロウ2」での最初のアジトは、そうやって奪う。ホームレスが住みついた古い教会に突っ込み、ホームレスが逃げまどう中、縄張りにしていたギャングを排除する。さらに住みついていたホームレスを捕らえ、彼らの粗末な家に彼らの体を投げつけて壊してしまう。中には怒って襲いかかってくるホームレスもいるが、彼らもどんどん捕まえて、家に投げつけてしまう。サード・ストリート・セインツの最初の拠点はこうして作られるのだ。 「セインツ・ロウ2」には“リスペクトポイント”というポイントがあり、ストーリーを進めるにはこのポイントが必要となっている。このリスペクトポイントはメインミッションだけでなく、“アクティビティ”と呼ばれるサイドミッションをプレイすることでより多く稼げる。 アクティビティには様々なものがあり、どれも「セインツ・ロウ2」らしい“ハジけた”内容になっている。最も基本となるレースでさえ、建物の屋根を飛び越したり、フェンスをぶち破ってショートカットするのが当たり前だ。 この他にも様々なミッションがある。リスペクトが稼げるが、ギャングとの抗争とは関係のないものも多い。例えば、「治安密着24時」というテレビ番組に協力するミッションがある。このテレビ番組は、カメラが警官に同行し犯人逮捕を撮影するという人気番組なのだが、プレーヤーを「偽警官」として雇い、やらせ番組を収録するという皮肉の臭いが強いミッションだ。街で迷惑行為をする人物を警棒でとっちめたり自警団としてやりたい放題、という形だが、「警棒で倒したのは撮影したから、次は車で轢いて!」といったさらに常識はずれの注文を出される。 他にも「保険金詐欺」として、車にわざと轢かれ、賠償金をせしめるものがある。猛スピードで突っ込んでくる車に自分から体当たりし、いかに過激な轢かれ方をするかでボーナスポイントが得られる。さらにゲームが進むと面積の少ない過激な服を着て街を歩き、できるだけ多くの人にその姿を見せつける「ストリーキング」のミッションすらある。通行人の多くがその過激な姿を見て拍手喝采してくれるのが「セインツ・ロウ2」らしいところだ。中には良識的市民もいて、怒ったり、殴りかかってきたりもするから注意が必要だ。 今回触れることができたのはゲームの序盤だけであり、これからギャング達との本格的な抗争、部下の掌握、そして巨大な敵との邂逅など様々な展開が待っているようだ。もちろん、ぶっ飛んだアクティビティにも期待している。オンラインでの協力プレイも可能とのことで、非常に楽しみな作品だ。
「セインツ・ロウ2」は過激なゲームだ。ミッションの1つ1つに突き抜けた暴力への肯定と、独特のユーモアがある。本作はけっして残酷描写や、むごたらしさだけをウリにした作品ではない。しかし、万人にお勧めできる健全優良なゲームでもない。家でこっそり、もしくは「わかる友達」を招いて、そのお馬鹿なノリに大声で笑い、半分あきれつつ、のめり込んでもらいたいゲームである。
「PS3版」
□THQジャパンのホームページ (2008年10月3日) [Reported by 勝田哲也]
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