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会場:東京・渋谷 Bunkamuraオーチャードホール
【逆転検事】 このオーケストラコンサートは、2008年4月20日に開催した春公演のアンコール公演となっている。会場は「逆転裁判」シリーズのファンで埋め尽くされ、グッズ販売にも長蛇の列ができあがった。春公演同様の盛況ぶりを見せた。春の公演もそうだったが、来場者には女性ファンの姿が多い。
イベントは3部構成になっていて、後半2部、3部は春の公演と同じく東京フィルハーモニー交響楽団による「逆転裁判 特別法廷 2008 オーケストラコンサート」。だが第1部は「『NEW逆転裁判 NOTゲーム』プロジェクト発表会」という気になる名称になっていた。「NOTゲーム」と銘打った「逆転裁判」の新プロジェクト、そして「逆転裁判 特別法廷 2008 秋 オーケストラコンサート」の模様をお伝えしていく。
● 舞台化決定に会場大歓声! 「『NEW逆転裁判 NOTゲーム』プロジェクト発表会」
例えばイベント開始5分前には、成歩堂が音声で来場者に感謝しつつ着席を促し、そこに「待った!」とお決まりの台詞で割って入った御剣が「NEW逆転裁判……『NOT ゲーム』とは、一体何なのだ……。貴様は知っているのか、成歩堂! 」と疑問をぶつける会話が入る。それに対して成歩堂は、「あと5分待てば、全てが明らかになるさ!」と答えていた。春公演もそうだったが、「逆転裁判」の魅力やキャラクタの性格を活かした演出が随所に入ってくるのが面白い。
5分後、第1部の「『NEW逆転裁判 NOTゲーム』プロジェクト発表会」が開演された。スクリーンにおなじみの法定場面が映り、そこにサイバンチョが登場して公演の挨拶や注意が促された。注意では、携帯電話を切って欲しいという話でも「携帯電話が事件の発端になることもあるようです」と、シリーズのエピソードになぞらえたりと、注意ひとつにも逆転裁判の特別法廷はファンサービスが効いている。
続けざまにスクリーンには、「宝塚歌劇」のロゴが登場。「逆転裁判の熱い法廷バトルが宝塚歌劇により華麗に幕を開ける!!」という文字に続いて、宝塚歌劇の公演模様が次々に映し出される。驚きの声は一層大きく、「えぇ~!」という驚きの声はそのまま「キャー!」という声に変わっていく。会場は大きな拍手に包まれた。
この舞台化のきっかけについて、松川さんから「約2年ほど前にカプコンでゲーム制作問わずの新規プロジェクトが立ち上がりまして。逆転裁判の開発スタッフに宝塚歌劇の大ファンがおりまして、ぜひ何かを一緒にやりたいとなりました。開発本部長の稲船にプレゼンテーションしたところ、非常に面白いプロジェクトなので進めましょう、となりまして」と語られた。 また、当時ではプロジェクトの題材は「逆転裁判」に絞られておらず、カプコンの様々なコンテンツが候補にあったが、宝塚歌劇で公演して頂くなら「逆転裁判」がいいのでは、と自然に決まっていったということだ。ただ、その2年前のときにはプロジェクトは実現に至らなかったのだという。そこからプロジェクトメンバーや演出家の鈴木氏との交流が暖められ、今回ついに実現したということだ。 鈴木氏は「ゲームはとても興味があって好きです。カプコンの「逆転裁判」は本当に面白いゲームだなと思っていて。音楽からシナリオから素晴らしいものが取りそろえられてるなと。それで、今回のお話を頂いたときには、これはもう舞台にできる、と思いました」と、ご本人がゲームに親しんでいること、「逆転裁判」は舞台化するのに適した要素を持っていると感じたことを語った。また鈴木氏は、4月に行なわれたオーケストラコンサートの春公演を鑑賞し、確信をより強めたということだ。
宝塚歌劇によるこの舞台名は、バウ・ロマン「逆転裁判 -蘇る真実-」。主人公は成歩堂 龍一だが、海外版の名前「フェニックス・ライト」が使用される。アメリカを舞台に、熱血弁護士が難事件を解決していく物語となる。弁護士としての活躍を描くと共に、鈴木氏いわく「ゲームにはなかったラブロマンスを作ってみようと思う」ということだ。主要キャラクタももちろん登場し、ゲーム中に使用されている楽曲と宝塚版ミュージカルのコラボレーションも見所となる。
原作・監修・製作協力 株式会社カプコン
宝塚バウホール公演:2009年2月5日~2月15日
日本青年館 東京特別公演:2009年2月24日~3月2日
宝塚歌劇団 宙組の蘭寿とむさんはまず、「宝塚で舞台化させて頂くということですので、ゲームではご覧になれない、歌や踊り、そしてラブストーリーをお見せできると思います。たくさんの方に愛されている『逆転裁判』の主人公をさせて頂くということを、とても光栄に思っています」と挨拶。続いて「逆転裁判」のオフィシャルファンブックを取り出し、キャラクタ性格診断チャートに挑んだ。 「口癖は語尾に『~~ッス』をつけてしまうことだ」というような、診断チャートの問いに会場からも笑いが漏れる。最終的に蘭寿さんの診断結果は正義感溢れる御剣タイプになり、「わたくし今回、成歩堂龍一をさせて頂くんですけど……(笑)」と、笑いを起こしていた。 蘭寿とむさんからのビデオレターには、最後にサプライズが待っていた。蘭寿さんが突如、成歩堂に姿を変え、「異議あり!」の決めセリフを披露。会場はそのサプライズに「おぉー!」と大きく沸いた。
最後に、松川さんからファンの方へ向け「カプコンは今まで、映画化やアニメ化などコンテンツの拡大に挑戦してきました。今回、『逆転裁判』を宝塚歌劇さんで舞台化して頂けるというのは、それ以上のすごい挑戦だと思っております。2009年2月、新しい『逆転裁判』と宝塚歌劇をどうぞ、お楽しみください。本日はどうもありがとうございました」と第1部を締めくくった。
● 「逆転裁判 特別法廷2008 秋 オーケストラコンサート」
演奏された楽曲は基本的に春の公演を元にしていた。「王泥喜 法介 新章開廷」からはじまり、「逆転裁判1~3 法廷組曲」と続いていく。「逆転裁判4」、「逆転裁判1~3」、「逆転裁判 蘇る逆転」の記憶を呼び覚ましていく。 曲の間には、サイバンチョ、成歩堂、御剣による掛け合いが入る。3曲目に演奏された「芝九蔵虎之助~スウィンギン・ゼニトラ」は成歩堂のニセモノこと芝九蔵のテーマだが、御剣に「弁護側のテーマが流れたところで」と決めつけられ、本当の成歩堂のテーマは後回しされてしまう。ゲーム同様に不遇な扱いをされる成歩堂など、シリーズのテイストそのままの笑いどころが随所に散りばめられている。春公演同様に来場者の肩の力を抜いてくれた。 検事側の楽曲として、「逆転裁判3」の名キャラクタ、ゴドー検事のテーマ「ゴドー~珈琲は闇色の薫り」、御剣検事のテーマ「大いなる復活~御剣怜侍」が演奏され、第2部は幕を閉じた。 休憩後の第3部は、「逆転裁判4 法廷組曲」から始まり、シリーズの悪役をフィーチャーした「悪漢組曲」が演奏される。続く「恋するギターのセレナード」では、春公演に続いてゲストにボーカリストの霜月はるかさんが登場。「逆転裁判4」のラミロアに扮して歌を披露した。 ここで霜月さんのほか、ニンテンドーDS用ソフト「逆転検事」でプロデューサーを務める江城元秀氏、ディレクターの山崎剛氏、作曲家の岩垂徳行氏が登場。10月9日から12日に開催される東京ゲームショー(一般公開日は11日、12日)の会場で、「逆転検事」をぜひ体験して欲しいと語った。 今回の公演で初披露された新曲「捜査官組曲」は、「逆転裁判 特別法廷2008 秋 オーケストラコンサート」のブログにてファン投票で決定されたもの。イトノコ刑事、罪門恭介、宝月 茜の刑事3人のテーマのメドレー曲だ。コンサートはその後、「綾里 真宵 ~逆転姉妹のテーマ」、「逆転裁判3・終幕」、「大江戸戦士トノサマン」、「成歩堂 龍一 ~異議あり!」と続いた。
アンコールには「タイホくん ~守ってあげたい」が演奏された。タイホくんは、「逆転裁判 蘇る逆転」で登場した“イトノコ刑事作のゲージュツ作品”。タイホくんが不気味にうごめく……もとい、電池が切れるまで踊り続ける悲しい姿がスクリーンに大きく映し出されるなか、テーマ曲をアンコール曲として豪華に演奏するという趣向に、大満足のなかオーケストラコンサートは終演した。
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□カプコンのホームページ (2008年9月24日) [Reported by 山村智美]
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