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会場:Marina Square Central Atrium
団体戦は各国の3人の選手がチームを組んで出場し、他チームと3vs3の戦いを繰り広げる。どのように役割を分担するか、どう連携するかが重要となる。日本ではチームバトルは特に人気が高い。世界戦はトーナメント形式で行なわれ、1回戦でベスト8が、2回戦でベスト4が選出される。 試合は3ステージ1セットで、3セット行なう。各ステージとセット終了時と、セット終了時の勝利国にはポイントが与えられ、合計ポイントで勝敗が決定する。 日本は香港チームを下しベスト8に残ったものの、次に韓国チームと戦いやぶれ、5~8位を決める戦いに進み、ここでフィリピン、タイと戦い勝利し5位という成績になった。彼らの戦いと、優勝した韓国チームの戦いを紹介したい。
■ 立ちはだかる韓国チームの前に敗北、その後集中力を取り戻し5位となった日本チーム
ディゾナント中将選手は大会などにはほとんどでないが、プレーヤー達の間では強いと評判の人物で、今回、「サイバーステップ特別枠」として日本一を決める世界戦2次予選を第3位で突破、Rockyu選手も他の有名プレーヤー達を退け4位という成績を残した。ディゾナント中将選手、Rockyu選手は“ダークホース”として日本のプレーヤー、サイバーステップの運営スタッフを驚かせた。 今回、日本チームの戦い方は、リーダーであるターグ選手をアタッカーとして、他の2人が敵を引きつけ、乱戦に持ち込んだ上でターグ選手が突っ込んでダメージを与えるという戦術をとった。「GetAmped World Festival 2008」ではセットごとにアクセサリや戦闘スタイルを変えることができる。ターグ選手は広い範囲攻撃を可能にする「刀峰戦神」や、敵に毒ダメージを与える「毒針グローブ」、ジャンプ中に広範囲にダメージを与える「コンバットブーツ」など様々なアクセサリを状況に合わせて使用していた。 ディゾナント中将選手はキャラクタがダウンさせられた時などに強力なキョンシーに変身できる「キョンシーハット」で接近戦を挑んだり、ミイラを呼び出しす事のできるピラミッド型のアクセサリ「砂王の冠」を使い距離を取った戦い方をしたりとアクセサリによって戦い方を変えていた。Rockyu選手は接近戦を中心に、爆弾が多く出るステージが続く3セット目は「ダイナマイトハット」をかぶり、爆弾で敵を殴る強力な攻撃を行なっていた。 初戦である香港戦ではRockyu選手とディゾナント中将選手が敵を引きつけ、ターグ選手の攻撃が当たるという状況が面白いほど決まり、強さを見せつけた勝利となった。Rockyu選手が追いかけている相手をターグ選手が反対側から追いかけ挟み撃ちにするなどチーム戦ならではの連携が見られた。 今回、筆者は「ゲットアンプド」の上級者によるチーム戦を初めて見たのだが、3人がそれぞれ役割を持って戦うそのコンビネーションに感心させられた。各選手はあまり声をかけることもないのだが、それぞれの行動がかっちりと有機的に繋がっている。香港の選手は分断されて各個撃破されていった。 「ゲットアンプド」ではチーム戦にもかかわらず味方にも攻撃が当たってしまう。ターグ選手はRockyu選手やディゾナント中将選手が戦っている相手に向かって飛び込み、範囲の広い攻撃をする。このとき、きちんとターグ選手の交わすテクニックも要求されるのだ。日本チームの戦いは、彼らのポテンシャルの高さを見せつけることになった。 しかし、第2回戦で日本チームは優勝候補である韓国チームと対戦することになる。前日のくじ引きの結果であるが他チームと明らかに違う強さを発揮する韓国との試合は強い緊張感を日本チームに与えたようだった。日本チームは「決勝戦のつもりで挑む」と気合いを見せた。 1セットの第1戦、第2戦はチームの連携が機能し、韓国チームに勝利することができた。しかし韓国チームはここから勢いを盛り返した。第2セットではお互いが相手の攻撃を注意しすぎて、消極的になってしまい、一瞬膠着状態になった。このため、運営スタッフは両国にイエローカードをだした。イエローカードはポイントが-1される。第2セットは韓国側が勝利したが、韓国のWindySoftスタッフは第2セット終了後このイエローカードに対して猛烈な抗議を行ない、一時試合が中断した。 しばらくしてから開始された第3セットでも日本チームは敗れ、韓国はベスト4に進出、日本は5~8位決定戦へと向かうことになった。この敗戦で一番力を失ってしまったのがターグ選手だった。5~6位の戦いへ進出するためのフィリピンチームの戦いで、第1セット、何度も早い段階で地形から落とされてしまったのだ。日本で1、2位を争うターグ選手とは思えないミスに、Rockyu選手は心配そうにターグ選手に声をかけた。 第2セットへのインターバルの時に話を聞いてみると、「韓国戦の緊張感がすごくて、フィリピンの選手との戦いに力が入らなくなってしまった」とのこと。サイバーステップスタッフは「何言っているんだ」と、他の選手と共にターグ選手を励ました。インターバルで気持ちを切り換えたのか、続くセットを連取し5~6位の戦いへ進出を決めた。
時間の関係上、5~6位決定戦からは1セットマッチになった。対戦相手のタイはキョンシーハットや刀峰戦神など日本と似たようなアクセサリを使う戦術を使うが、日本チームの連携の前に3ステージ全てポイントを取られ、日本は5位の座を獲得した。日本チームは韓国チーム以外には全て勝利したが、だからこそ1度の敗北が悔やまれる結果になってしまった。
■ 手を合わせることで経験の差が明らかに。これからの戦いへ備える反省点とは
1ステージ目は韓国のメンバーが3人生き残るという圧勝だったものの、2ステージ、3ステージ共に最後は1vs1の接戦となった。3ステージ目は終盤韓国がロボットに乗り込み、最後に生き残った中国メンバーを猛追、その圧倒的な火力に敗れ去った。結果としては3セット全て韓国チームの勝利となった。 決勝戦は韓国チーム対台湾チーム。台湾チームは両手に刀を持つアクセサリや、毒針グローブを持った接近戦重視のチームだ。試合は両者が縦横無尽にフィールドを走り回り、激しくぶつかるという戦いとなった。戦いの駆け引きでは韓国が一歩上で、1ステージ目は韓国チームは1人もかけることなく勝利した。このメンバーを生き残らせる戦い方も韓国チームの強さだ。 続く2ステージでは2ステージは台湾チームは集中攻撃を食らってメンバーを1人失いながらもしばらく持ちこたえていたが、押し込まれてしまった。台湾チームが一矢報うことができたのは3ステージ目だ。韓国チームの1人のメンバーを落とし数で優位に立ち、追いつめていく。その後1対1となり、韓国チームは中国戦と同じようにロボットで反撃しようとするが、台湾チームの最後の1人はそれをはねのけ韓国チームを破った。1セットマッチのため韓国チームが勝利したが、流れは台湾チームに傾いていたようにも思えた。もし最初の予定通りに3セットマッチだったら結果はどうなっていたか、興味のあるところだ。 団体戦での順位は1位が韓国、2位が台湾、3位中国、4位インドネシア、5位日本、6位タイという結果となった。日本と2位、3位の国を下した韓国チームの完全勝利と言っていい結果となった。 試合後日本チームにコメントを求めた。ターグ選手は「韓国戦に関しては、1戦目は自分の動きができたが、2戦目からはそのパターンを引っかき回されて、それに対応できなかった。経験の差を感じた。アクセサリの知識と、どれだけ生き残るかの戦い方の差だったと思う。最後の戦いではコロボックルという使い慣れていないアクセサリを使ってみたが、ジャンプの高さが変わっていたりうまく動けなかった。実力の差というよりも、アクセサリへの知識や、経験を埋めていきたいですね」と語った。 Rockyu選手は「緊張していたとは自分では思っていなかったけど、ターグが集中攻撃されているとき助けられなかったり、いつもできるはずのことができなかった。ぼく自身調子の波があるところもあって、このムラ気を次をなくしていきたい。他のメンバーよりもアクセサリの使い方になれていないのも課題です。後は、他の国の選手ともっと戦いたかったですね」とコメントした。 サイバーステップ代表取締役社長の佐藤類氏によれば、今回参加した日本チームは「日本最強のメンバーを集めた」という。前回日本は個人戦で4位と6位、チーム戦では入賞できないという結果に終わり、その反省と、自社での世界大会運営を目指し、選手達には大会での戦いというものに慣れさせ、スタッフは大会運営のノウハウを学ぶために2カ月に1度の大会イベントを自社内で開催してきた。今回の選抜プレーヤーはその戦いの覇者であり、上り調子の選手だった。佐藤氏をはじめとしたサイバーステップスタッフの願い通り、今回の大会では、「日本チームは強い」と世界のプレーヤーに認識されただろう。
しかし、今回の場合、「最強のチーム作り」に勢力が語られていたとは言えないだろう。選手は最強のプレーヤーを集めたドリームチームだったが、反面チームとして戦った経験はあまりなかったという。ここまでの成績を残せたのは彼らが優れたプレーヤーであるからだが、多彩な局面でどう戦うか、仲間との瞬間的な連携はどうするか、チームとしての戦いは新しい課題となったと思う。個人戦とは全く別のノウハウも必要かもしれない。今後、日本のチーム戦がどう変化していき、今回の選手がどのような活躍をするのか、注目していきたい。
□サイバーステップのホームページ (2008年8月4日) [Reported by 勝田哲也]
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