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会場:Marina Square Central Atrium
repi選手はチーム戦代表となったTarq選手と共に、強いプレーヤーとして日本の「ゲットアンプドR」プレーヤーの間で認知される存在だ。repi選手自身は試合前の意気込みを聞くと「僕なんてダメですよ」とちょっとネガティブな意見を照れていってしまう内気な人物だが、うちに秘めた熱い闘志と、冷静さを併せ持っている。的確に相手と距離を保ち、隙を見逃さない戦法で戦いを進める選手である。「ゲットアンプドR」の日本一のプレーヤーから、世界一のプレーヤーとなったrepi選手の戦いを紹介したい。
■ 台湾・香港タッグでの2vs1の戦い。イエローカードも出され絶体絶命の危機に
前日のくじ引きによってrepi選手の最初の戦いは香港の選手と台湾の選手との戦いとなった。repi選手にとってこのくじの組み合わせはかなり運の悪いものだった。というのも台湾と香港はパブリッシャーが同じ台湾ガマニアで、お互い言葉も通じ、露骨な連携作戦でrepi選手1人をねらい打ちにしてきたのだ。 「ゲットアンプドR」は1人のプレーヤーを攻撃していると他のプレーヤーに対して無防備になりやすい。このため徹底的なマークにあえば実力が上でも倒されてしまう場合がある。バトルロイヤル時には他のプレーヤーを争わせ、その隙をついて攻撃するという“距離感”を体得しているプレーヤーが有利であるが、今回の場合は、引率スタッフに常に声をかけられながら戦う香港・台湾の選手はタッグとなってrepi選手を攻撃し続けた。 repi選手は両手に刃のついた「刀峰戦神」というアクセサリで、接近戦重視で戦うスタイル。台湾の選手は接近戦で、香港の選手は2段ジャンプからのキックを繰り返し攻撃してくる。repi選手は両者の攻撃をかわしながら、香港の選手はキックの落下点に、台湾の選手は攻撃をかわし背後に回りダメージを与え、隙を見つけると必殺技の全方位へエネルギーの刃を放つ攻撃で両者にダメージを与える。 1vs1の戦いではrepi選手の実力が明らかに上で、激しく動き回ったり地形の高低差も利用して、台湾・香港の選手を分断し撃破していった。片方の選手を倒したときはrepi選手の体力は残り少なくなっていたがそれでも負けることなく、1ステージ目を勝利した。2ステージ目は挟み撃ちに合い、倒されてしまうが、3ステージ目は一定時間後に現われるロボットに乗り込み香港・台湾選手を倒した。 途中、台湾選手は漁夫の利を狙う作戦に出て、香港選手をけしかけ体力が減った後に攻撃する作戦に出るが、消極的な戦法としてイエローカードを出された。しかし試合の中盤にrepi選手は逃げすぎるとして同じくイエローカードを出されてしまったのだ。イエローカードは、1枚につき-1ポイント。ぎりぎりの戦いを続けるrepi選手には大きなマイナスとなった。 ちなみに、イエローカードが出た個人戦はこの試合だけだった。応援していたサイバーステップスタッフはrepi選手に出たイエローカードに不満の表情を浮かべたが、抗議はなかった。2人の選手が露骨に標的を絞って攻撃してくるのに、逃げすぎるという評価は明らかに厳しい判定だと感じた。カードをもらったrepi選手は積極的に前に出る攻撃を行なうが、そうなると集中攻撃を浴びることとなり、第2セットは落としてしまった。repi選手は下を向いてしまい、サイバーステップスタッフからはチーム戦の日本選手達が励ましの声をかけてきた。 そんな逆境で肩を落としたように見えたrepi選手だが、後で聞いてみたところ、心の中では「絶対負けない!」と闘志を燃やしていたという。反撃は最終セットの第2ステージから。台湾の選手を穴に落とし素早く倒すと、香港の選手もあっという間に倒した。しかし最終ステージでは、中盤で大ダメージをくらい、体力が残りわずかという状態でまだまだ体力を残している2人と、狭いステージで向き合うという状況に追い込まれてしまった。 圧巻なのはここからだ。さらに体力を減らして台湾の選手を倒すと、もう体力ゲージが0の状態で香港の選手と向き合い、攻撃、ガード、隙をついて攻撃と、息づまる攻防を繰り返し、ぎりぎりの状態で倒し、勝利したのだ。圧倒的不利な状況からの逆転劇に日本のサイバーステップスタッフからはどっと歓声と拍手が上がった。 トーナメントは、ポイントで順位が決まる。ポイント集計の結果、台湾、香港チームも次のトーナメントに進むベスト8に残ることが決定した。他の国の戦いでは圧倒的な差によって、ポイントを得られないチームも出たが、repi選手の戦いは全チームがポイントを得た、ものすごい接戦だったのだ。そのぎりぎりの戦いをrepi選手は制したのだ。
repi選手は試合が終わるとすぐに台湾、香港の選手に握手を求めたが、その手はぶるぶると震えていた。どれだけのプレッシャーと緊張感の中で戦っていたか伝わってきた。仲間は彼を拍手で迎えた。チーム戦の選手達はrepi選手の戦いに興奮していた。チーム戦の選手は一回戦の香港チームを撃破し、最強と噂のある韓国チームとの戦いを前にしていたが、「彼の戦いを見たら、僕等も負けられないですよ」と強い調子で次の試合の意気込みを語った。日本のチーム、そして応援団にも活力を与える、逆境をはねのける戦いだった。
■ ヒットアンドアウェイ、中国、インドネシア、タイを相手に距離と地形を活かした戦いを展開
repi選手の戦い方は第1戦とは全く違う、自由自在にステージを動き回り、的確にダメージを与えるという戦法となった。他国の選手が戦っている場所に乱入し、必殺技でダメージを与え、追いすがってくる者にはくるりと振り返ってはじき飛ばす、他の敵が背後を襲ってきたらするりとかわし、他の敵と戦うようにし向ける。段差など地形をうまく使い、画面が切り替わった瞬間の敵を攻撃するなど、上級者のお手本のような戦い方だった。 中国の選手は戦っている真ん中に立つために集中攻撃を受けやすいようで、早めに沈んでしまうことが多かった。タイの選手はrepi選手を別にすれば戦いに長けていた感じで、最後にrepi選手と1対1に立つ場面も多かった。ほとんどの場面でrepi選手が一番体力を残しているという状態で、実力の違いを見せつけていた。 実力差がはっきりするのは生き残った最後のプレーヤーとの1vs1の戦いである。repi選手は相手の周りでちょこまかと小さな円を描く様に動き回る。飛び込むと思わせてそれをしない、近づいてくると対戦相手はガード体勢を取るが、「ゲットアンプドR」ではボタンを押しても一定時間でガードは解除されてしまう。repi選手はそのガードが解除された瞬間を狙って攻撃をたたき込むのだ。
この相手の前で円を描く戦いは、日本チームや韓国チームなど強力なプレーヤー達が使う戦法で、焦れて攻撃を仕掛けようとすればひらりと交わされその隙をつかれる。空中に突き上げられ落下に追撃を浴びせるなどチャンスの時のrepi選手の攻撃は強力だった。repi選手は1戦目と違い、危なげない戦いぶりで、3国の対戦相手を退けた。
■ 韓国との頂上決戦、共に接近戦重視のスタイル。緊張の戦いを制し、優勝へ!
韓国の選手の戦い方は「毒針ナックル」を使った接近戦スタイル。この戦い方は以前の韓国代表と共通するスタイルだ。日本の「ゲットアンプドR」のプレーヤーは前回の大会が行なわれるまでこのアクセサリーを強い武器とは認識していなかったが、大会で一気に知名度が上がり、戦いに取り入れるプレーヤーが増えたという。 repi選手はこれまでと変わらず「刀峰戦神」を使う。repi選手自身は色々なアクセサリを試し、様々な状況で戦うのが好きとのこと。「ゲットアンプドR」では400種類以上のアクセサリがあるが、“勝つ”ための有効なアクセサリは限られてくる。今大会ではサービス時期の関係もあって100種類程度にアクセサリは限定されていた。「毒針ナックル」、「刀峰戦神」は共に人気の高いアクセサリで、多くの国のプレーヤーが使用していた。 repi選手と韓国の選手の戦いは大会の最後に行なわれた。このため注目度は1番で、各国の選手、ギャラリー、スタッフが固唾をのんで2人の戦いを見守っていた。少し残念だったのは、決勝戦にもかかわらず、スケジュールの都合で1セットのみになってしまったところだ。戦闘の短縮はこの戦いだけでなく、チームの上位決定戦から行なわれていたが、最後のクライマックスはたっぷり時間を取ってもらいたかったというのが正直なところである。頂上決戦は、3本勝負のみで決定されることとなった。 毒針は攻撃を食らうと体色が緑色に変化させられ徐々に体力を奪われる。少ないチャンスをものにして大ダメージを与えることができるアクセサリーだ。対するrepi選手の刀峰戦神は範囲の広い攻撃で、手数で勝負。「ゲットアンプドR」は落ちている武器を拾って攻撃することもできるが、強力な代わりに隙が大きい。両者落ちている武器には見向きもせず、移動も最小限でお互い円を動く動きで相手の隙を狙うという非常に緊張感のある戦いになった。 隙をついてはダメージを与える、徐々にお互いの体力が減っていくという戦いの中、最初のステージを制したのはrepi選手。2戦目は足場の狭いところでの戦いとなった。今にも落ちそうなぎりぎりの戦いが続いたが、相手の呼吸を読んだのか、repi選手の攻撃は面白いように当たり、結果として半分以上も体力を残して勝利した。 3戦目はリーチが長くなる武器をお互いが持って攻め合うという戦いになった。韓国の選手は2戦負けた時点で席を立とうとしており、スタッフに止められて3戦目に望んだが集中力が切れてしまったのか、攻撃に精彩を欠き、結果として3戦全部repi選手の勝ちとなった。勝利が決定した瞬間、日本のチームからは歓声が、会場全体から拍手が巻き起こった。 立ち上がった瞬間、repi選手が言った最初の一言は、「優勝のコメント何も考えてない、どうしよう」とこれまで通りのちょっと消極的な姿勢だったが、その直後、各国のメディアが競ってカメラを構えシャッターを切った。各国のカメラマンの要求でガッツポーズを取り、フラッシュに囲まれている中で表情は生き生きとして、勝利の笑みを満面に浮かべた。最後には日本の運営担当である池田浩秋氏と肩を組み、ポーズを取って喜びの笑顔を浮かべた。 試合後、コメントを求めると、repi選手は「優勝してもちろんうれしかったです、海外旅行も初めてだったし(笑)。今思えば最初の不利な戦いも面白かったですね、今になって思えば。勝てておいしかったですし。韓国の選手との戦いは、日本のチームのみんなの方が実力は上だったと思いました。日本代表を決める2次予選が一番きつかったです」と語った。 ただ、韓国のチームは戦いの後韓国の運営会社であるWindySoftスタッフにキーボードを見せて説明し、韓国の仲間達が慰めるように肩を叩いたシーンがあった。どうも試合中キーボードの不具合が起きたようだが、抗議はせず、そのまま試合を続けた、という感じだった。韓国の選手が不具合で力が出せなかったとすれば残念である。 今回の大会では、多くのプレーヤーが自分専用のキーボードを持って戦いに望んでいたが、キーボードの接続でのトラブルが多く見られた。今となっては真実はわからないが、ぜひ韓国選手は来年の世界大会でも勝ち進み、その実力を再び世界で発揮して欲しい。運営スタッフのハードウェア対策も期待したいところだ。
今後、repi選手はサイバーステップが目指す自国開催での第3回の世界大会に向けて、最強選手として他のプレーヤーを迎え撃つことになる。「普通の対戦でも、負けるたびに『世界一に勝った』とか言われちゃうんだろうな」と語るrepi選手がこれから世界一のプレーヤーとしてどんな交流を持ち、活躍するか楽しみだ。
□サイバーステップのホームページ (2008年8月4日) [Reported by 勝田哲也]
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