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「アルタナの神兵」の物語は、前回の「開発チーム特別インタビュー」でも話題のひとつにあがっていたように、従来にもあった「ミッション」の枠組みに加え、クエスト形式の「三国連続クエスト」でも綴られていくというのが大きな特色となっている。ミッションでは「アルタナの神兵」オリジナルの物語、三国連続クエストでは各国ごとに大戦時代のシーンがそれぞれ展開されていく。
今回はいよいよ「アルタナの神兵」ミッションを紹介していきたい。禁断の口から水晶大戦のまっただ中、過去に降り立った冒険者。謎に満ちた場所で出会ったネコの王「ケット・シー」。異端の予言に謡われる「暁の新兵」。「嘆きの涙」を減らすべく奔走していた冒険者を、新しい出会いが待つ。
マヤコフ団長は外見から性格まで、とにかく濃い人物だ。言動はお姉口調で、仕草もそれっぽい。踊りにかける信念をはじめとする性格も格別の濃さで、大戦時という混迷の時勢に華美な踊りを批評する声もあるという取材陣の言葉を「おだまりっ!」と一蹴。「闇王だかなんだかしりませんがなんぼのもんですかっ!」とまくしたて、「その身が果てようとも踊り続けるのがマヤコフ舞踏団ですのよッ!」と高らかに宣言する姿には圧倒される。 ここまでのプロ根性、踊りにかける信念を聞いたからには、そのステージを是が非でも見てみたくなるというもの。だが、ステージの観覧にはチケットが必要で、そのチケットは巷では何十万ギルもの値段がつくプラチナチケットになっているという。チケットを持っていない、つまりお客ではないと分かるやいなや、マヤコフは態度を変え、冒険者は外に叩き出されてしまう。外にはすでにチケットを持ったお客が集まりはじめていた。
どうにかチケットを手に入れられないものかと考えていると、仕事をほったらかしてまで観覧しようとしていたところを、奥さんに見つかってしまい泣く泣く帰って行く人を見かけた。入手困難なプラチナチケットを手に入れ、仕事をほったらかしてでもステージを見ようとしていた人なのだから、現代で年老いていたとしても、きっとまだ踊りが好きなはずだ。
3人の中でもひときわ目立つのは、中央で一歩前に出て踊る少女だ。顔立ちからして他の2人とはひと味違う。ラジュリーズに「誰の踊りがいちばんカッコいいと思ってるんだ?」と聞かれるが、返答はもちろん決まっている。ちなみにこのとき左右の2人を選ぶと、ちょっと損をしてしまうようだ。 中央で踊っていたのは、マヤコフ舞踏団のトップアイドル、月影の胡蝶「リリゼット」という少女。なんでもラジュリーズによれば、最近入団した新入りということだが、厳しい入団試験に一発合格。瞬く間にスターとして認められたという。しかし、父親がエルヴァーン、母親がヒュームということ以外は自分のことを何も話さないらしい。 このシーンは、今後「アルタナの神兵」ミッションをリードしていく少女「リリゼット」の印象的な登場の場面だ。前回の「開発チーム特別インタビュー」では、このダンスシーンはイベント班のこだわりがまずあり、それに答えてモーション班が注力したという。それだけに彼女のダンスは表情の変化やまぶたの動き、髪のなびきかたなど、これまでの「FF XI」ではあまり見られなかった演出がされている。必見のシーンだ。 マヤコフ舞踏団のステージを堪能した冒険者とラジュリーズが外へ出ると、ラジュリーズの元へ騎士隊の隊員が駆け寄ってきた。素性もあまり分からないような冒険者にも気さくに接し、マヤコフとのやり取りでは助けてもくれたラジュリーズだが、どうやら名門の騎士隊を率いる隊長という高い身分のようだ。一緒にのんびりとステージを楽しんでくれたラジュリーズは、この後に大事な集まりがあるようだ。舞踏団団長であった時の雰囲気とはひと味違う面持ちをしたマヤコフも、ラジュリーズたち騎士隊についていく。
なぜ舞踏団の団長が? 厳しい表情をしたマヤコフの様子を含め、これから何があるのか気になるところだが、それどころではないものを冒険者は目撃する……。
ケット・シーは冒険者の姿を見つけるや、驚く様子もなく語りはじめる。冒険者の名前はおろか、この時代での冒険者の最近の行動、さっきまではダンスを見ていたことすらも知っているという。そして、冒険者が手にした「時を舞う力」はこの大戦すらも匙加減ひとつ次第なのだと語る。だが、どうやらその言葉の裏には何かしらの思惑もあるようだが……? と、そのとき思いがけない出来事がケット・シーと冒険者を襲う。2人(冒険者と1匹?)のやりとりを見ていたリリゼットほか舞踏団の団員たちだ。先のステージの可憐な姿はどこへやら。捕まえられてなおリリゼットたちに「青臭い小娘には10年はやくってよ! 」とすごむケット・シーに対し、「乳臭い子ネコには100年早いわ! 」と10倍返しで言葉を返す。団員たち曰くリリゼットは、月影の胡蝶と呼ばれる舞踏団のトップアイドルというのは見た目だけ。実は鼻っ柱の強い月影のオオカミだそうだ。
どうやらリリゼットは、「黒白ネコ」ことケット・シーを狙っていたようだ。彼女は団員たちにケット・シーを「未来からきた侵略者」だと話していたようで、「これは、世界の危機なのよ!?」と力説する。団員はもちろん、そんな話を信じてはいない。だが、ただひとり、冒険者だけは彼女の話にドキリとさせられる……。彼女は何者だろうか?
ラヴォール村は冒険者にとっては、後にどのような末路を迎えるかが分かっている場所だ。村はオーク帝国軍に完全に占拠され「ダボイ」という地名に改めらる。しかし、それは今ではない。後に伝えられている歴史ではオーク帝国軍に占拠されるのは“水晶大戦終結の後”とされている。だがこの時期にはすでに村は蹂躙されている……。 実のところこの“歴史との奇妙な食い違い”は、ラヴォール村が導入された時点で感じていた人もいただろう。歴史上では、村にオークが侵攻したとされているのはあくまで戦後。だが実際には、この時点で侵攻され半ば占拠されている。 実のところ筆者も本連載の第7回で獣人拠点を紹介したとき、この食い違いには悩んだのだが、この点についてはあえて触れなかった。だが、そうした背景を楽しんでいる人にとって、歴史と事実の違いなどから今後の物語への想像が膨らんだりするところが、「アルタナの神兵」ならではの面白さだろう。
本来なら起こるはずのないラヴォール村への侵攻。救出に行くという騎士隊の出兵。未来を知る者にもすら未知の出来事が起ころうとしている。冒険者はリリゼットとともに、鉄鷹騎士隊一行を追ってラヴォール村へと急ぐ……。
このシーンは、これぞ戦争のひとコマという展開の連続だ。とは言っても、ウィンダスの連続クエストとはまたひと味違ったシリアスでシビアな戦いの模様になっている。まだ村人も残されているなか、闇の王親衛隊の容赦のない攻撃の手が伸びる。戦争のむごさを強く感じさせるためだろうか、これまでの「FF XI」にはあまり見られなかった残虐な描写も多い。
突然の火の手、そして「闇の王親衛隊」の襲来に逃げる村人。そしてその村人に容赦なく放たれるデーモンの魔法。物見台の兵も魔法を喰らい地面へと落下していく。激しい戦いに次々と倒れていく王国軍の部隊。冒険者はリリゼットとポーシャと共に西の避難壕へと村人を誘導すべく、騎士隊から離れるが……。
外観的にはフォモルに近いように見えるが、会話もしっかりとでき、知能も高そうで、性格の違いも表現されている。アクウィラに至ってはかえって不気味に思えるほど話し方や仕草がコミカルだ。彼らの語る「リリス様」という存在が気になるが、彼らのことすらまだ分からない。ただ、はっきりとしているのは、冒険者やリリゼットに敵対する者らしいということだ。 なお、この後、「アルタナの神兵」ミッション初のバトルシーンがある。相手はドラゴンの「ガラリグ」だ。ミッション枠のバトルフィールド戦闘ということで、戦闘不能になった場合でも経験値のロストがない。気軽に挑んでいけるのが嬉しいところだ。
この戦闘の難易度はそれほど高くはない。レベル75の冒険者なら1~3人で勝利できるだろう。ガラリグは他のドラゴン族同様、各種「ブレス」や魔法効果を消去する「無の歌」、ボディプレスなどを駆使してくる。最も気をつけなければならないのは石化効果の「ペトロアイズ」だ。視線判定の技なので、技の構えを見てしっかりと対処しよう。独自の特殊技などは持っていないようなので、対ドラゴン族戦の基本対処すらしっかりしていれば、それほど苦戦することなく戦えるだろう。
国旗も破れ倒壊しているサンドリア王国……。戦いの跡が色濃く見られ、崩壊しているバストゥーク共和国……。枯れ果てた星の大樹が滅亡を感じさせるウィンダス連邦……。激しく破壊されているジュノ共和国……。 衝撃的なシーンはさらに続く。玉座で刺殺されているデスティン国王……。絶命している星の神子……。自らの剣で貫かれたザイド……。他にも衝撃的なシーンが並ぶ。信じがたい光景の連続に告げられる「虚に非ず」という言葉。この光景、末路こそがあるべき真実ということだろうか……?
上の場面だけでもかなり衝撃的な展開なのだが、この意味深なシーンがどのような場面で見られるのかは実際にゲーム内でお楽しみ頂きたい。また、ミッションにはもうひとつ驚かされるシーンが待っている。下の画像はそのひとつだが、詳細は伏せたい。実際にプレイして確かめていただきたい。思わず声が出るような、そんな光景が待っている。
ただ、「本格始動!」と大きく銘打たれていた手前、ボリュームの少なさについては少々残念だった。イベントシーンとして無駄を減らしスピーディに展開しようという意識が感じられるのだが、いかんせんあまりにもあっさりと終わってしまう。もちろんインタビューでも触れたように、連続クエストとセットで「アルタナの神兵」のストーリーであるという点も考慮しているのだが、やはりもう少し欲しかったという気持ちが残る。 自ら戦うバトルシーンが1つしかないのも、あっさりと終わってしまう印象を強くしている。やはり誰しも、自分で操作しプレイしたいという気持ちがあると思う。人それぞれに好みはあるかもしれないが、イベントシーンの物語でテンションが高まり、そのテンションのままバトルシーンへ突入していく、というのが「FF XI」の真骨頂ではないだろうか。“戦争の時代”なのだというところからも、バトルに期待したくなる。
ただ、ぐいぐいと引き寄せられる濃密なストーリー性は「FF XI」ならではだ。驚かされるシーンも多く、今後も引き続き興味が尽きない。まだ本格始動後の段階ということもあるので、今後はバトルイベントの展開やバランスに期待していきたいところだ。
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□スクウェア・エニックスのホームページ (2008年7月31日) [Reported by 山村智美 / Pomm]
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