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★PS3/Xbox 360ゲームレビュー★

香港映画黄金コンビの世界を余すことなく再現
スイカも化石も常識も破壊する香港ノワールへようこそ

「ストラングルホールド(STRANGLEHOLD)」

  • ジャンル:アクションシューティング
  • 開発元:Tiger Hill Entertainment
  • 発売元:サクセス
  • 対応プラットフォーム:プレイステーション 3 / Xbox 360
  • 価格:7,329円
  • レーティング:CERO:D(17歳以上対象)
  • 発売日:5月22日(Xbox 360版)、9月11日発売予定(PS3版)



 株式会社サクセスはアクションシューティング「ストラングルホールド」のXbox 360版を5月22日に発売した。PS3版も予定されており、9月11日に発売される予定だ。北米ではMidwayが販売していて、開発はジョン・ウーが設立した開発会社Tiger Hill Entertainment。

 「ストラングルホールド」は「フェイス/オフ」や「ミッション:インポッシブル2」といったアクション映画で知られる映画監督ジョン・ウーが制作総指揮、チョウ・ユンファが主演するサードパーソンシューティングである。この2人は1990年代の名作香港映画「男たちの挽歌」シリーズでコンビを組み、香港映画界だけでなく世界から認められた。本作は、ジョン・ウーとチョウ・ユンファが作り上げた、独特のエッセンスを取り入れたアクションゲームとなっている。

 本誌で「ストラングルホールド」は北米のPC版のレビューGDC2008でのカンファレンスなどで、テクニカルライターの西川善司氏が、氏ならではの切り口で取り上げている。カンファレンスでは本作の技術面でのアプローチが語られていて、どちらも必見である。日本版を取り上げる本稿では、改めて本作ならではの特徴と、“楽しみ方”を提案していきたいと思う。


■ ゲームでの映画表現へのアプローチ。“黄金コンビ”が生みだした「香港ノワール」への挑戦

チョウ・ユンファ演じるテキーラ刑事。メニュー画面から銃撃戦で大暴れする姿を見せてくれる。鳩も飛んでいるのがジョン・ウーファンにはたまらない。このくどいくらいの強調が本作の魅力だ
監督のジョン・ウーはゲームのポイントでコンテンツをアンロックしていくショップに登場
「ハードボイルド~」でも出てきた、テキーラ刑事が酒を飲むシーン。テキーラとソーダの入ったグラスをテーブルに叩きつけて混ぜる、「ショットガン」という飲み方だ
 本作は1992年に公開された、「ハードボイルド/新・男たちの挽歌」の続編となっているが、映画と本作はストーリーの繋がりは最小限になっている。チョウ・ユンファ演じる主人公テキーラ刑事が香港警察の一匹狼であること、規則に従う上司と事件の対応で対立しがちであるという設定くらいで、本作で展開されるストーリーは完全にオリジナルだ。このため映画を見ていなくても、ゲームのプレイに何も支障はない。

 しかし、筆者としてはジョン・ウー監督、チョウ・ユンファ出演(ほとんどの作品で主演だが)の「男たちの挽歌」シリーズは是非見てもらいたい。このシリーズを見ることで、開発スタッフが「ストラングルホールド」で何を表現したいかわかるからだ。

 ちなみに、日本ではジョン・ウーとチョウ・ユンファコンビの作品をすべて「男たちの挽歌」の邦題をつけてひとくくりにしている(「ハードボイルド~」もその1つ)。厳密に本作の原題である「英雄本色」と名のついた作品は4作のみだ。ただ、個人的には日本で、「男たちの挽歌」の名前が付いているジョン・ウー監督作品全てがオススメである。

 シリーズ作品では、基本的には香港の犯罪社会をベースに、「情念」と「人の繋がり」をテーマにしたストーリーが展開する。その“濃さ”は欧米の映画とはひと味違う、大陸的なドロドロしたウエットなテイストだが、そのエネルギーが一気にアクションシーンで昇華する。画面からあふれ出てくるようなアクションシーンのエネルギーこそが、「ストラングルホールド」を世に生みだす原動力となったのだ。

 弾丸の雨を恐れることなくかいくぐり、2丁拳銃で、マシンガンで、ショットガンで何人もの敵をなぎ倒す主人公。体中蜂の巣にされて倒れる敵、銃撃戦で壊れる周囲、怯えて逃げまどう一般市民……。その混乱と破壊のカタルシスは、これまでの映画作品のスケールを超えた。ジョン・ウーとチョウ・ユンファ、2人の“黄金コンビ”が生みだしたアクション映画の手法は、香港映画界を変え、「香港ノワール」と呼ばれるブームを起こし、日本やアメリカを始めとした世界の様々な作品に影響を与えた。

 この2人が提示したアクション世界はけっしてリアルなものではない、“突っ込みどころ”はたくさんある。「弾切れしないハンドガン」、「主要人物は至近距離で撃ち合ってお互い血まみれになりながらも、その後も元気に動き回る」、「状況によって威力の違う手榴弾」、「反動が全くない銃」、「吹っ飛びすぎ」、「やたらめったらお互い銃を突きつけて静止する(メキシカン・スタンドオフと呼ばれる演出)」……。

 これらを例に挙げて作品の演出を冷笑することもできる。しかし、そんな表面的な評価はジョン・ウー作品の本質ではない。その本質が多くの人に支持されたからこそ、黄金コンビは世界に認められたのだ。突っ込もうと思えばいくらでも突っ込める、しかし、そのリアルでは到達できない、ダイナミックで派手なアクションは、大きな爽快感と興奮を観客にもたらしてくれる。「ロマンの前にはリアルは小さな価値観だ」と、「男たちの挽歌」シリーズはそのアクションシーンで力強く語っている。

 「ストラングルホールド」はこの、「ロマン」に焦点を当てた作品である。不死身の主人公が、超人的活躍で多数の敵をなぎ倒す、主人公と敵の銃撃戦にすべてが破壊されていく……。こう書き出してみると、ジョン・ウー作品の演出は、ゲーム、特にFPSのコンセプトそのものだということに気付かされる。ジョン・ウー映画のエッセンスはもともとゲームと強い親和性があるのである。

 本作では主人公テキーラ刑事がマフィア達の戦いに介入していく。戦いの舞台は香港の街、マフィアの工場、そしてシカゴと移っていく。マフィアとの戦いの中で鍵を握るのはテキーラがかって愛した女、ビリーとその娘ティコだ。ビリーは香港マフィア、ドラゴンクローのボスであるジミーの娘だったために、テキーラと無理矢理引き離されたのだ。ビリーとティコはマフィアの抗争に巻き込まれる。彼女たちを救うため、テキーラは戦うのだ。

 襲ってくるマフィアをテキーラは容赦なく撃つ。ワイヤーアクションそのままの高いジャンプや、スローモーション、ハンドガンで狙撃など、ジョン・ウー映画ならではの特殊能力を発揮するテキーラがかっこいい。

 スタッフの技術的なチャレンジで実現した“破壊”の美学にも注目だ。打ち抜かれて破裂するスイカ、看板の落下に巻き込まれる敵、走り抜けると散乱する物体、隠れていると徐々に破壊される壁……派手に、“自然”に壊れていくオブジェクトはゲームの爽快感を大きく増してくれる。

 企画としてジョン・ウーの原点である香港時代の「男たちの挽歌」シリーズに目をつけた開発スタッフに拍手を送りたい。特に「男たちの挽歌」の初期シリーズには、洗練されていないだけに情の濃いストーリーが展開する。そのストーリーには、お約束ではあるが熱くなるパワーがある。

 古い作品なだけに、レンタルビデオ店でも置いてあるところが少なく、廉価版のソフトも出ていないのが残念だが、ゲームをプレイしたユーザーは是非見て欲しい。追加すると、アメリカでのジョン・ウー監督作としては、「フェイス・オフ」がおすすめである。

テキーラと衝突するエド・リー警視。規則に従わないテキーラに苦言を呈しつつもサポートする 香港の裏社会を牛耳るジミー・ウォン。娘と孫を人質に取られ窮地に立たされる ジミーの娘ビリー。かつてテキーラと恋人関係にあった。娘とアメリカで暮らしていたが……
画面がセピア色になるテキーラタイム。ジョン・ウー映画ならではのアクションで敵を倒すことができる ステージの様々な場所で鳩が飛ぶ。鳩を探してみるのも本作の楽しみ方かもしれない 18年前のビリーとの甘い思い出。マフィアのボスの娘であるビリーと刑事のテキーラは、引き離されてしまった
カートに乗り、テーブルの上に乗っている果物も、貴重な化石も粉々にして戦うテキーラ。ジョン・ウー映画のアクションシーンのエッセンスを濃縮した作品だ


■ テキーラ刑事の超絶アクション。男の怒りの前には通常の物理法則や、常識は存在しない!

敵の攻撃をジャンプしてかわし、敵の頭に銃弾を撃ち込む。テキーラタイムは超人的なアクションを可能にする
ヘリコプターと対決! テキーラボムがあれば圧倒的な不利の状況も覆せる
バラージを使うと、最大12発の装弾数のショットガンも、一定時間マシンガンのように連射ができる。威力も高まり、圧倒的な攻撃が可能になる
 「ストラングルホールド」は主人公であるテキーラの姿が常に見える、サードパーソンシューティングだ。テキーラは様々なアクションで襲い来る敵を倒す。テキーラの特殊能力として最初に上げられるのが、「テキーラタイム」、いわゆるバレットタイムで、発動させることで敵の動きや弾がゆっくりになり、有利な状況で戦うことができる。

 このテキーラタイムは、ゲージがたまっていればいつでも使うことができるが、本作の場合、ジャンプや、遮蔽物から飛び出した時など様々な状況で“自動”で発動する。横っ飛びに、後ろに飛び下がって敵に正確な射撃を加える、といったアクションが可能なのだ。テキーラタイムの自動発動の条件は、階段の手すりを移動した時、シャンデリアにぶら下がった時、テーブルの上を飛び越した時など、実に多彩だ。派手なアクションで敵を倒していく爽快感が味わえる。

 ゲームを進めていくと種類が増える「テキーラボム」という能力もある。最初の能力は体力を回復させるものだが、2つめの「スナイプ」は、離れた敵をズームアップし、撃ち抜くことができる。水の中にいるかのように敵の動きが緩慢になり、敵を視界に入れると一気にズームアップする。首や頭など、急所を狙うことで一撃で離れた敵を倒すことができる。

 3つめの「バラージ」は一定時間無敵になる上、銃の性能が跳ね上がり強力な攻撃が可能になる。本作にはハンドガン、サブマシンガン、アサルトライフル、ショットガンなど様々な武器が登場するが、バラージを使うと比較的威力の低いハンドガンでも弾丸で周囲のオブジェクトを粉々にできる。圧巻なのはショットガンだ。バラージ中は、ショットガンをマシンガンのように連射できるのだ。

 「スピンアタック」はムービーと共にテキーラの周囲の敵を一掃する技。このときテキーラの周囲をどこからともなく現われた鳩が飛び回るのが面白い。鳩はジョン・ウー映画のお約束とも言える存在で、時には場所を無視して鳩が飛ぶシーンがカットインされる。ジョン・ウーのファンならば思わず笑みを浮かべてしまうだろう。

 スタンドオフも本作ならではのアクションだろう。テキーラは様々な場所で敵の待ち伏せに遭い、何人もの敵に至近距離から銃を突きつけられる。普通の映画ならば主人公が観念して、銃を捨てて両手を上げてしまう状況だが、そうしないのがジョン・ウーの主人公だ。スタンドオフではテキーラタイムのように銃弾がゆっくりになる。至近距離から放たれる弾丸を、テキーラは回避し、さらに反撃して取り囲むマフィアを打ち倒すことができるのだ。映画の「マトリックス」のような超絶アクションである。

 本作には何人かボス級の敵と戦うシーンもある。彼等との戦いでは、テキーラボムの使い方が重要になる。難易度が低ければバラージでのごり押しも可能だが、そうでなければ時には逃げに徹することも大切になる。ステージのどこに体力回復薬が落ちているか、ボムのゲージを上昇させる“折り鶴”があるか、頭に入れて動こう。敵によってはオブジェクトをぶつけてダメージを与えることも可能だ。

 チャプター3限定のアクションだが、ステージ開始時にテキーラが武器を満載したギターケースをステージに設置する事ができる。このギターケースに触れることで、テキーラは弾薬と体力を補給することができる。このギターケースを基点に敵と戦うことになる。敵と戦うためにあらかじめ戦場に武器を配置して利用する、というのは西部劇時代からの定番のシーンだが、やはり燃える。映画を意識した本作にぴったりの仕掛けだ。

 本作は様々な技術的アプローチをしている一方で、ゲームの駆け引きそのものは、ダメージをものともせずに敵を倒し、体力回復を取ってごり押ししていくという、いささか古風なバランスになっている。特に後半は、やたら敵が出てくるという感じで、バランスの甘さを感じる。

 ゲームバランスそのものは、改良の余地を感じさせるが、本作はクリアや効率を目指すだけのゲームではないと筆者は思っている。「映画の登場人物になりきる」というこだわりを持ってプレイすると新しい境地が開けるのだ。カートに乗って敵を倒すためには敵がどのくらい出てくるのが良いか、階段を駆け下りるのはどのタイミングか、何よりも、「チョウ・ユンファだったらどんなアクションがかっこいいか」を気にしてプレイすることで新しい楽しみ方が生まれる。

 ジャンプをしてのテキーラタイムは、姿勢が動いてしまうため狙いが定められず、立ち上がりの時などにダメージを受けてしまうといったデメリットもある。しかし、普通にテキーラタイムを発動させるより、飛び上がった方がカッコイイのだ。自分の求める理想のアクションをテキーラにさせることこそ、本作の本当の面白さだと思う。この楽しみ方は、次に語る「ステージの仕掛け」も合わせることで、さらに追求できるのである。

テキーラのアクションと敵の配置に合わせて、テキーラタイムが自動発動する。テキーラタイムはボタンで任意で発動できる。そちらの方がテキーラの姿勢も変わらず、ゲーム的には有利なのだが、アクションに連動した発動の方が“絵”としてカッコイイ
ハンドガンで遠距離の敵を狙撃をすることができるスナイプ バラージはすべての火器の連射力と威力が跳ね上がる。発動中は無敵だ バラージ発動前には専用のリロードシーンが入る。本作は通常リロードがない
敵を一掃するスピンアタック。どこからともなく鳩が出てくる スピンアタックで撃ち抜かれる敵。こちらのモーションも凝っている 戦闘開始の前にケースを置く。ケースを基点に敵と戦う
例え後頭部に銃を突きつけられても逆転できるスタンドオフ。毎回待ち伏せに遭うテキーラはどうかと思うが、カッコイイシーンだ
高い体力を持つボスとの戦い。テキーラボムの使い所と、体力回復の場所を考えて戦う


■ クリアしてからが本当の戦いの始まり。どこまで破壊し、いい“絵”が作れるか?

大爆発に巻き込まれて吹っ飛ぶマフィア達。爽快感が大きいシーンだ
カートで移動しながら射撃。ジョン・ウーらしい“絵作り”を考えてプレイする事で楽しさがふくらむ
ジョン・ウーのショップで見ることができるステージのコンセプトアート。この美しいステージが、銃撃戦でメチャクチャになる
 テキーラは様々な場所で戦う。香港の市街、マフィアの化学工場、カジノやレストラン、ペントハウス、博物館……。「ストラングルホールド」は細密なグラフィックスで、ある時は美しく、そしてある時は猥雑に風景を描き出す。

 その精密なフィールドに、とにかく“爆発物”が多く仕掛けられているのが本作の大きな特徴である。街ならばガスタンク、ドラム缶、さらにはテレビ、化学工場は薬品精製の機械が爆発するし、駐車場なら車もガソリンタンクに引火させることができる。博物館やレストランですら例外ではなく、消防用の消火器を撃つと爆発を起こす。ペントハウスではテキーラの待ち伏せ用に対人地雷が仕掛けられているが、テキーラはそれを逆手にとって敵をやっつける。後半のステージでは、手榴弾を使うことで自らも爆発を起こせるのだ。とにかくやたらに爆発物がステージに登場するゲームなのだ。

 もう1つ、“壊れる”というのがもう「ストラングルホールド」のステージのキーワードだ。ジョン・ウーの作品は、銃撃戦の中様々なものが壊れ、メチャクチャになる。テーブルの上のものは床にぶちまけられるし、ガラスは銃弾で撃ち抜かれたり、敵の体がぶち当たることで粉々になる。看板は当然のように落ちてくるし、木で作った足場もバラバラになる。本作は、すべてのオブジェクトが壊れるという技術的チャレンジで、映画の雰囲気をうまく表現している。

 全てのオブジェクトが壊れる「ストラングルホールド」の戦いは、一生懸命積んだ積み木を一気に崩すような爽快感がある。この凶暴な破壊衝動が一番体験できるのが博物館だろう。巨大な恐竜の化石、始皇帝の兵馬俑など、展示してある貴重な遺産が、テキーラとマフィアの戦いで粉々に破壊されていく。テキーラが入っていく時に入口から部屋を見れるが、その美しさが後の破壊のすさまじさを強調することになる。

 オブジェクトの破壊は、敵を倒すときに重要な役割を果たす。ガスボンベの前で銃を乱射したり、化学薬品のつまった装置のある部屋で立てこもったりと、敵がわざと倒されるために登場するシーンがいくつもある。これはスタッフの誘導であることは明らかだ。

 ギャグ用語を借りれば、「ボケ」といっても良いかもしれない。看板の下で銃を撃つ敵、ドラム缶に乗っかって銃を連射する敵、不安定な足場にいる敵、彼等は銃弾という「ツッコミ」を待っている。彼等を直接撃つのは“不粋”というものだ。薬品の入ったタンクやドラム缶を撃ち大爆発を起こさせたり、看板の下敷きにしたり、手榴弾でまとめて倒して、スタッフの想いに応えるのが本作の楽しみ方だろう。

 「ストラングルホールド」はクリアするとチャプターを繰り返し遊べる。最初のプレイではクリアに夢中でも、次からはステージの構成を見る余裕も出てくる。落ち着いてみると、爆発物や壊せるステージが見えてくる。また、壁でジャンプしたり、シャンデリアにぶら下がって射撃したり、階段の手すりを滑りながら敵を撃ったりと、アクションにもこだわれる。

 便利なアサルトライフルだけでなく、ショットガンやロケットランチャーなど派手な武器も“観客”を意識して使っていきたいところだ。スコアを競ったり、実績を解除するのも良いが、本作ではやはり、ジョン・ウーらしく、チョウ・ユンファらしい「絵」を追求したい。「俺のテキーラはかっこいい!」という境地こそ、本作のプレーヤーがたどり着く目標だと思う。

 正直、「男たちの挽歌」というシリーズは今から15年以上前、ということでやはりストライクゾーンが狭いかな、という印象はある。今の価値観から考えれば古くさかったり、語るテーマもくどかったりするが、根底に流れる魂は時代を超える熱さがある。ちょっと作品に触れるためのハードルはあるが、見てもらえれば、名作は色あせないことをわかってもらえると思う。「ストラングルホールド」はその魂を受け継ぐべく作られた作品だ。

 アクションシューティングである本作は、ジョン・ウーの映画と比べると、ウエットなストーリー展開が足りないと感じた。映画ほどに、登場人物に思い入れが生まれなかったのは少し残念だった。昨今のゲーム(特に欧米の最新作)は映画に近い臨場感と没入感をインタラクティブで実現しつつある。本作に続編があるならば、主人公達の情念がアクションシーンで昇華するような、ジョン・ウー映画の持つエッセンスをさらに濃く表現してもらいたい。

橋を壊したり、誘爆させたり……ステージに仕掛けられているスタッフからの“サービス”をどれだけ利用するかが、派手なゲームシーンを作り出す鍵になる
最初のステージは香港市内。雑然とした街の中で激しい銃撃戦を繰り広げる
第2ステージはマフィアの薬品工場、工場、船、倉庫などすべてを破壊するテキーラが恐ろしい。ステージ中盤ではヘリに乗って銃撃する場面も
“メガ”と呼ばれる、カジノやレストラン、酒場がある複合施設。酒場ではステージの演奏メンバーを守らなくてはいけない
駐車場から高層ビルのペントハウスへ。ヘリが頻繁に襲ってくる上、対人地雷が仕掛けられている危険な場所だ
貴重な化石や美術品、遺跡からの発掘品を次々と破壊していく博物館での戦い。この派手な展開はゲームならではだろう

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□サクセスのホームページ
http://www.success-corp.co.jp/
□「ストラングルホールド」のページ
http://www.success-corp.co.jp/software/ps3/stranglehold/ (PS3版)
http://www.success-corp.co.jp/software/xbox360/stranglehold/ (Xbox 360版)
□関連情報
【3月11日】サクセス、PS3/Xbox 360「STRANGLEHOLD」発売決定
ジョン・ウー制作総指揮でアクションゲームの美学炸裂
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080311/sh.htm
【2月25日】二丁拳銃ファンのためのジョン・ウー世界実装講座~ 「Stranglehold」開発秘話あれこれ
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080225/st.htm
【2007年10月16日】PCゲームレビュー「John Woo Presents Stranglehold」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071016/str.htm

(2008年6月3日)

[Reported by 勝田哲也]



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