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★DSゲームレビュー★

ゴッドシムの元祖がDSで21世紀に蘇る!
あの技も使えてボクもあなたもハルマゲドン!

「ポピュラス DS」

  • ジャンル:リアルタイム創世シミュレーション
  • 発売元:エレクトロニック・アーツ
  • 価格:4,980円
  • プラットフォーム:ニンテンドーDS
  • 発売日:発売中(2月21日)
  • CEROレーティング:A (全年齢対象)



 イギリスを代表するゲームクリエイター、ピーター・モリニュー氏の出世作ともいえる「ポピュラス」がニンテンドーDSで蘇った。その名もズバリ、そのまま「ポピュラス DS」。

 神の視点のシミュレーションゲーム「ゴッドシム」と呼ばれるゲームジャンルを確立した伝説の名作は、ニンテンドーDSでどのように生まれ変わったのか。日本を代表する「ポピュラス」ファンであると好き勝手に自負する筆者としては、普段は携帯ゲーム機を遊ばなくても、この作品だけはチェックしないわけにはいかないのであった。



■ 「ポピュラス」の歴史

Lionhead Studios代表、ピーター・モリニュー氏。英国が誇るトップゲームクリエイターだ
 「ポピュラス」は1989年に発売されたPCゲームで、オリジナルはIBM-PC、アミガなどの欧米市場のPCへ提供された。後にPC-9801、X68000などの日本のパソコンにも移植され、いわゆる「PC洋ゲー」としては珍しく大ヒットとなった作品であった。

 ゲームを開発したのはモリニュー氏が率いていた英Bullfrog。モリニュー氏は、この「ポピュラス」によってトップゲームクリエイターとしてスターダムにのし上がったと言っても過言ではない。後に「パワーモンガー」、「シンジケート」、「ダンジョンキーパー」などのユニークなゴッドシムタイプのゲームを次々と発表し、「ゴッドシムのピーター・モリニュー」というブランドイメージまでを世間に認知させることとなる。

 1995年、業績が伸び悩んだBullfrogはEAに買収されるが、これに反発するようにしてモリニュー氏はLionhead Studiosを設立して独立する。その後、Lionhead Studiosは、「ポピュラス」のリメイクとも言われた「ブラック&ホワイト」を発表。その後はMicrosoftと提携し、現在は「Fable」シリーズなどのXbox 360/Windows向けゲームを開発している。

 「ポピュラス」は1~3までの3作が制作されており、今回発売された「ポピュラス DS」はゴッドシムタイプ・ゲームの開祖的存在である1と2をモチーフにしたアレンジ・リメイク版となっている。

 しかし1と2ベースとしたことは間違っていないと思う。これならば、昔パソコン版で腕をならしたオールドゲームファンは懐かしい気持ちでプレイできるし、最近のゲームしか知らない新世代ゲーマー達にとっては、RTS(リアルタイムストラテジー)の元祖に触れることがきっと新鮮な体験となるはずだからだ。



■ 「ポピュラス」ってどんなゲーム?

 「ポピュラス」とはどんなゲームなのか? そもそも「ゴッドシム」とはどんなゲームジャンルなのか? ご存じない方もいらっしゃるかと思うので、改めて一度説明しておこう。

 プレーヤーが扮するは全知全能の神。この世を統べる神だ。神は奇跡を起こすことができるのだが、いつでも奇跡が起こせるわけではない。地上に住む住民の崇拝心が神を力づけるのだ。では、どうやって崇拝心を増加させるのか。それは住民の人口を増やすことで可能になる。ゲーム名の「POPULOUS」(人口過密な)はここから来ているのだ。

 では、このゲームの敵は誰か。それは敵の神(本作では悪魔と名付けられている)である。敵の神もまったくプレーヤーと同じ立場であり、この敵の神を崇拝する住民の人口が増えることで魔力(原作ではマナ、今作ではサイコパワーと命名されている)を得て奇跡を起こせるようになる。

 ゲームの目的はシンプルで、プレーヤー神を崇拝する住民の人口を増加させて、敵の神を崇拝する住民を滅ぼし、結果的には敵の神を駆逐すること。

 その敵の住民を攻撃する手段、いうなれば兵器や武器となるものが、住民の崇拝心から得たサイコパワーを元に起こす天変地異「奇跡」の数々だ。そうした天変地異を使い、自軍陣地を繁栄させ、敵地を焦土と化して敵の住民を滅ぼせば勝ち。ルールはシンプルなのだ。

 広いマップ内をちょこまかと逃げ回る生き残りの敵神崇拝住民をいちいち追いかけ回して殺していては時間が掛かる。そこで、一方の神が優勢であると判断できるようなケースでは、その世界にいる全住民同士が一心不乱で戦い合う「ハルマゲドン」という最終戦争の奇跡を大量のサイコパワーと引き替えに起こせるようにもなっている。

【スクリーンショット】
神であるプレーヤーが、奇跡を駆使して敵の住民を減らしていく。毒沼を仕掛けたり、隕石を落としたりと、まさに神と呼ぶにふさわしい力を使える
もちろん敵の神となる悪魔も奇跡を使い、こちらの住人を倒そうと仕掛けてくる。最終的には全ての住民がひたすら争うハルマゲドンで決着する




■ 人口はどうやって増やすの?

 敵の攻撃方法をわかってもらえたところで、次は人口の増やし方についてお話ししたい。

 全能の神であっても、住民の数を直接的には増やせない。人口は住民達が家に住んでしばらくすると増えるという仕組みになっている。そこでプレーヤー神は、住民の住む家が建てられるように土地を造成していくことがもっぱらの任務となる。

 この「土地の造成」が「ポピュラス」における最も基本的な「奇跡」になる。画面一杯に広がる海の領域に、粘土細工のように土地を盛りつけ、住民の住める土地を広げていくのがプレーヤー神の基本作業になるのだ。土地造成の奇跡はサイコパワーの消費は少ないが、それでもゲーム序盤の住民が少ないうちはちょっと盛りつけるだけでサイコパワー切れになるので、慎重にミスのないよう行なう必要がある。

 土地は平坦であればあるほど大きな家が建てられ、住民の繁殖速度も増す。だからなるべく平らに土地を造成していかねばならない。住民達は家が一杯になると家から出てきて新居建築のために新たな土地スペースを探しだす。その歩き出した方向に土地を造成すればそこにさっそく家を建てるはずだ。

 このように、「ポピュラス」はコンピュータ世界に住む仮想の住民達に、神の視点で干渉していくことを楽しむゲームである。だから「ゴッドシム」ゲームと呼ばれるのだ。

【スクリーンショット】
デコボコした土地を、平らに造成していく。広い場所が取れれば家が大きくなり、住民が早く増えるようになる




■ インターフェイスは最高! しかし2画面の使い方に疑問

 ではDS版となった「ポピュラス DS」はどう変わったのか。

 もともとマウス+キーボードで遊ぶゲームだった「ポピュラス」だが、DSに移植するにあたって、マウス操作をDSのタッチペン操作に割り当てている。結論を先に言えば、操作に違和感はない。

 土地の造成は操作対象ポイントをペンでタッチして上にペンをずらせば土地の盛り上げ、下にずらせば盛り下げになる。奇跡の発動も、発動させたい場所をスクロールさせるなどして出し、発動したい奇跡アイコンをペンでタッチするだけ。とても直観的でわかりやすい。マウスでプレイしていたときよりも、仮想世界に実際に干渉しているような気分になれるのもいい。

プレイに熱中するほど下画面しか見なくなる。遊べてはいるが、何とももったいない気分だ
 しかし、ゲーム画面にはちょっと違和感を感じる。DSの下画面は、タッチペンで操作するためのインターフェイス画面、上画面をフルビジュアル画面としており、下にはアイコンとワイヤーフレームのようなシンプルグラフィックスが表示されるのだ。つまり、同じゲーム画面の簡易版を下に、ゴージャス版を上に表示しているようなイメージだ。プレーヤーは、終始、タッチペンで下画面の方を見ながら操作してプレイするので、上のゴージャス版のグラフィックスをほとんど見なくなってしまうのだ。

 もともと「ポピュラス」では、DS版でいう上画面側のゴージャスグラフィックスの方をいじるゲームだった。おそらく、DS版を制作するにあたり、ペンで操作する側の画面はシンプルにして見やすくしよう、という親切心からこういうデザインにしたと思うのだが、残念ながら、はっきり言ってありがた迷惑であった。

 極論を言えば、下画面にゴージャスグラフィックスを表示して、上画面を補助画面でもよかったのではないか。あるいはSELECTボタンで画面を随時入れ替えられる、というような配慮でもよかったと思う。あるいは下画面のシンプル画面はキャンセルしてゴージャス画面を上下両方に表示するのでもよかった。ここはもう少し練りこみがほしかったところだ。



■ 「ポピュラス DS」の特徴とその攻略指南

 DS版のオリジナルフィーチャーとしては、神に5種類の属性が与えられたことが一番のホットトピックとなろう。これは「AGE OF EMPIRES」シリーズなどのRTSで言うところの「文明」に相当するものだ。「地」、「風」、「水」、「火」、「木」という5つの属性があり、地→風→水→火→木→地という強弱関係(地→風は「地は風に強い」)が与えられている。またそれぞれの属性で発動できる奇跡の種類も違う。

 地の神が、初代「ポピュラス」の神に近く、土地をデコボコにして家を破壊してしまう「地震」、踏み入れた住民を敵味方構わず飲み込んでしまう底なしの「沼」などの奇跡が使える。ユニークなのが水の神で、自軍の人口増加率を引き上げる恵みの「雨」、落ちた敵の住民を自軍の住民に変換してしまう「洗脳泉」といったトリッキーな奇跡が使える。

 各属性の神には、それぞれ自軍の住民を高い戦闘能力を持った「戦士」に変換する奇跡を持っているが、この戦士にも各属性ごとに異なる特殊能力が与えられている。火の神が作り出せる「火の戦士」は破壊した家に火を起こし隣接する家や住民にもダメージを与える特殊能力を持つ。風の神が作り出せる「風の戦士」は敵の住民を惹き付けて連れ回し、敵軍の戦略行動を妨害する能力がある。

 プレイしてみた感じでは、属性の優劣は住民対住民(戦士を含む)の直接戦闘にも影響があるとみられ、戦士の使い時やハルマゲドンの発動タイミングなどの戦術にも大きく影響する。プレイ開始時には、どの属性の神になるかを選択できるのだが、属性ごとに独特な戦略が要求されるため、ゲームはこの属性選択の時から始まっているといえる。対人戦では、相手の属性に配慮しつつ、自分の得意戦術にマッチした属性を選んで挑みたいところ。

【スクリーンショット】
神によって使える奇跡は異なる。奇跡を使うと、派手なムービーが流れてから効果が発動する。敵となる悪魔が奇跡を使った際にもカットインが入り、仕掛けられたことが即座にわかる


 プレイする際の戦略についてだが、これは「ポピュラス」や「ポピュラス2」で使えた戦略やテクニックはほぼ全て使える。旧来のファンには嬉しい限りだろう。「ポピュラス」初心者のための基本戦略、そして対戦やCPU相手に勝つための必勝技のいくつかを記しておこう。

●高速造成の基本技

 土地の造成では、土地のデコボコをひとつひとつ修正していたのでは、敵に差を付けられない。

 そこでマスターしたいのが、3段盛って3段掘るという基本技。これで4×4のエリアを平地にして中央が窪んでいる状態にできる。あとはこの中央の窪みを埋めるだけ。超高速に4×4の平地が築けるのだ。ただし、それなりサイコパワーを消費するのでそこは注意。

 底なし沼、洗脳泉などのような住民を飲み込むトラップ系の奇跡を仕掛けられたときの復旧手段としても、この技は使える。

【スクリーンショット】
4×4のエリアを一気に平らにできる技。特に海を開拓するときに便利。敵のトラップの対応にも効果を発揮する


●住民の誘導

 プレーヤーは住民の行動を直接的には操作できないが、間接的に誘導はできる。

 まず、特定の場所に住民達を移動させたいときには、シンボルと呼ばれる民族の象徴を移動させたいゴール地点に移動する。続いて、住民の行動モードをシンボルへの「集合」に変更すれば、屋外の住民達はシンボルに向かって歩き出す。

 一般住民だけで敵地へ攻め込むときや、自軍から離れた場所に家を建てたいときなどにはこの技は重宝する。ただ、敵の神がこのシンボル集合を察知して、シンボルの周辺に「底なし沼」をばらまいてきたりすることもあるので注意。これをやられると人口が一気に減ってピンチに陥る。

 また、ステージ(マップの種類)によっては、住民が家から出にくいことがあるが、その際はペンで家を2回タッチすると、家をそのままに、住民を強制的に屋外へ押し出すことができる。この、家から押し出した住民に新しい家を建てさせよう。「ポピュラス」世界の家は「無人の家」も人を生み出すので、とにかく平地に家を建てさせることが人口増加に繋がるのだ。

【スクリーンショット】
シンボルの移動と、シンボルへの集合という2つを同時に実行することで、住民を任意の場所に誘導できる。さらに近くの家を2回タッチして住民を外に出しておけば、人集めも素早く済ませられる


●お手製火山

 初代「ポピュラス」で一世を風靡した裏技「お手製火山」の技は今作でも使える。

 「ポピュラス」では自軍の住民、あるいは家が見えているときに、画面内の土地造成が可能となっている(造成条件でこれを禁じることもできる。シングルプレイでは禁じられているステージもある)。このルールを逆手に取り、体力の十分な適当な住民をシンボル移動技で敵地近くまで誘導し、敵地近くの平地に家を建てさせ、この家を画面内に出した状態にすれば、なんと敵地を造成できるようになるのだ。このあと敵地にドカドカとめいっぱい土を盛って山としてしまえば、敵地の家は破壊され、敵地の住民の家を路頭に迷わせることができるのだ。

 サイコパワーを消費して発動できる奇跡「火山」により敵地に山を作り出すことができるが、この裏技を使えば、サイコパワーの少ない土地造成の奇跡だけで、敵地に火山(のようなもの)を作れる。これが「お手製火山」だ。このテクニックは対戦だけでなく、シングルプレイでも有効なステージがあるので活用しよう。

 ちなみに、筆者が昔、来日したモリニュー氏と初代「ポピュラス」で親善対戦した時にこの技を彼に使ったところ「こういう遊び方は想定していない」と怒られた。

【スクリーンショット】
敵の奥地に味方住民をうまく誘導し、敵住民の家が固まっているところで一気に高い山を造成する。これで敵の家がなくなり住民が追い出され、さらに元の平らな土地にするにはかなりの手間がかかる




■ ゴッドシムの開祖、RTSの原形は今も色あせない

筆者お気に入りの「ポピュラス・ザ・ビギニング」。筆者はこのゲームの攻略本も出したことがあるほどのマニア
 現在ではオーソドックスであるRTSの内政~戦闘というシステム形態を、「ポピュラス」では非常にシンプルでありながらも凝縮した形でゲームとして実装できている点に、今さらながらに感動する。「ビンテージ・ゲームとして面白い」だけではなく、シンプルな携帯ゲーム向けRTSとして完成度が高いので、RTSファンであればお勧めできる。

 シングルプレイだけでなく、対戦にも対応。対戦は最大4人まで可能だが、ゲームカートリッジは人数分必要になる。Wi-Fiコネクションには未対応で、ローカルなDSワイヤレス対戦にのみ対応している。それでも、当時、PC-9801やX68000でRS232Cケーブルを繋いで対戦していた30~40代の人は、無線で対戦できることに感激することだろう。

 ここまで書いておいて皮肉なことではあるが、個人的には「ポピュラス」シリーズは、モリニュー氏がBullfrogを離れたあとに開発された3作目の「ポピュラス・ザ・ビギニング」が最高傑作だと思っている。次回はぜひ、こちらの移植をお願いしたいのだが、DSだとマシンパワー的に辛いか? かといってPSPではプレイ操作が難しすぎるか? とにかく続編も頼む!

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□エレクトロニック・アーツのホームページ
http://www.japan.ea.com/
□「ポピュラス DS」のページ
http://www.japan.ea.com/populous/
□関連情報
【1月25日】EA、DS「ポピュラス DS」新情報公開
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(2008年5月20日)

[Reported by トライゼット西川善司]



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