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ドミニオンの世界へ行くためにはプレーヤーは“次元転生”をすることになる。この転生を行なったプレーヤーはレベル1になる。ドミニオン世界においては、全てのプレーヤーが全く新しいスタート地点に立つのだ。ドミニオンの世界のフィールドでは全てのプレーヤーが他のプレーヤーを攻撃できるPK可能な地域になっている。仲間との協力が不可欠な、過酷な世界での冒険はこれまでの「ECO」とは違う体験となるだろう。
本稿では今回追加される新要素をスクリーンショットとともに紹介していきたい。 なお、本稿では「ECO」のPvPシステムをPKと呼称する。現在のMMORPGでのPvPとは、狭義の意味で「お互いの合意のもと行なわれる対戦」という定義が一般的だ。全く警告無しにプレーヤーが他プレーヤーを襲うことが可能な「ECO」のシステムにおいては、PKとしたい。 ■ 全く新しいスタートとなる次元転生システム。PK可能な地域でどのような成長を目指すか?
前回「SAGA7」では、「天まで続く塔」をのぼりタイタニアの世界へ行くことができたが、そこはマーメイドの住むウォーターレイアー島で、他の場所に行くことができなかった。この島はタイタニアから隔離された場所で、結局プレーヤー達はタイタニア達が住む世界には行き着くことはできなかったのである。 今回、プレーヤーはドミニオンの世界に行くことができるようになる。スタート地点はタイタニア同様、「天まで続く塔」であり、クエストを進めることで行くことができるようになる。ドミニオン世界へと続く扉が開くきっかけは、「ECO」の世界の案内役であるエミル君と仲間達の冒険が鍵となる。 そのストーリーの中でドミニオンの世界に行くと「次元転生」という現象が発生することが説明される。ドミニオンの世界はエミルの世界と時間の流れが違うため、体がそれに馴れるには時間がかかるという。 ゲーム的な説明をすれば、次元転生システムによってプレーヤーはレベル1に戻り、ステータスが初期化される。ドミニオンの世界では全てのプレーヤーがレベル1からのスタートになる。ドミニオン世界では転職という概念はなく、キャラクタが持つスキルはエミル世界のものに準じる。現在ドミニオン世界のレベル制限は30までだ。 レベル1に戻ってしまうため、レベル制限のある装備は全部はずれてしまう。あらかじめ塔に入る前に装備をレベル1用に変更しておくとよいだろう。ドミニオン世界のスタート地点にはすぐ倉庫があるが、倉庫は整理していて高レベル向けのアバター装備しか入ってない、というプレーヤーも多いのではないだろうか。できるだけ低レベルのキャラクタでも戦える装備などを準備しておいた方が良さそうだ。救済措置のため、倉庫の近くには低レベル向け装備を売っている店もある。 ドミニオンは元々戦いを好む、好戦的な種族だ。緑の少ない不毛で過酷な自然が彼等の気質を作り上げたともいえる。しかも現在、ドミニオンの世界は“第四の種族”から侵略を受けている。全ての人々が力を鍛え立ち向かわなくてはならない状況なのだ。ドミニオン世界を訪れたプレーヤーは、エミルの世界以上に信頼できる仲間達との絆を深め、戦うための技術を磨く必要があるだろう。この「戦うための必然性」を、ゲームでは“PK可能のルール”として表現しているのだ。 現在まだ調整中とのことだが、ドミニオンの世界ではエミル界に比べてかなりレベルアップしやすいバランスになるという。これは、フィールドでのPK可能のルールや、デスペナルティの採用などを考慮した上とのことだ。スキルやステータスはエミル世界とはまた違った構成を考えていきそうになりそうだ。PKからいかに逃げるか、もしくは、いかに他のプレーヤーを効率よく倒すかを考えていくことになるだろう。PKに関しては後に説明したい。 ちなみに、再び次元転生を使えばキャラクタはエミル世界に戻れる。いわば、キャラクタ名と職業だけ同じの、全く別なフィールドとゲームという感覚を持った方が良いかもしれない。新しい世界での新しい冒険である。装備やアイテムに関しては、ドミニオン世界で得たものもエミル世界に持って行ける。
また、低レベルで転生をした場合、ドミニオン世界で使用するスキルは高レベルキャラクタよりも少ないが、再びエミル世界でキャラクタを育てドミニオン世界に戻ると、ドミニオンで育てたレベルはそのままで使用可能なスキルが増えるという。
■ 危機に瀕するドミニオンの世界、戦う人々の最後の砦ウェストフォート。ついに姿を現わしたDEMとは?
DEMは機械生命体の様に見える謎に包まれた存在で、全身が金属でできた人型の種族だ。ボールにプロペラをつけた探査機をフィールドに飛ばし、道行く冒険者を攻撃している。ウェストフォートから東に進んだ「西アクロニア平原」は彼等に制圧された最前線だ。現在、西アクロニア平原から先は全てDEMの勢力下にあるという。 フィールドではドミニオン達のテントがあり、DEMに対抗するレジスタンスが活動の拠点としている。テントには傷ついた戦士が治療を受けていたりと、戦いの凄惨さを物語っている。ウェストフォートでは身内を殺された人や傷つき無気力になってしまった戦士、DEMとの戦いに備えて戦いの訓練をする者達もいる。プレーヤー達はこのレジスタンスに協力していく展開になりそうだ。 街にはレジスタンスの本部や商店などもあり、ドミニオン世界の冒険の拠点として充分機能しているが、やはりNPCのセリフからにじみ出る世界観が興味深かった。これまでの「ECO」のフィールドでは地方の特色などはグラフィックスから伝わってくるものの、「実は隠れた設定が……」というものが多く、結局世界全体が明確ではなかった。もちろん今回のアップデートでも謎は多数提示されているが、“危機に瀕したドミニオン世界”という世界全体のテーマが明確に伝わってくる。プレーヤーはこの世界の危機を目の当たりにすることで、何をすべきかを考えるだろう。 ドミニオン世界のフィールドマップは、「軍艦島」や「西アクロニア平原」など、エミル世界と共通しているものもあり、地形もエミル世界と似ている場所もある。今回はドミニオン達の街であるウェストフォート他、計7つのマップが実装される。地図的には西の地方である。 フィールドは赤黒い岩場と砂漠が広がる不毛な地域だ。砂漠は流砂のように動いている。リンゴのような形をした「マリュス」やひよこのような「ピヨピヨ」といった弱いモンスターがいる。序盤はこれらのモンスターを倒してレベルを上げていくことになる。デスペナルティもあるので、レベルが低い内は戦うモンスターを慎重に選ばなくてはならないだろう。 このフィールドマップには昼夜の概念がある。「ECO」の他のフィールド同様時間で変化するものではなく、テントで休憩することで切り替わる。夜のマップは出現する敵が違い、より強力になっている。レベル30のキャラクタでも苦戦しそうである。この他にもマリオネット「ブラフスキー」がらみのイベントも面白そうだ。子供を連れたお父さん、という感じのユーモラスな外見のマリオネットだが、どんなイベントを体験できるのだろうか。 西アクロニア平原でプレーヤーはDEMと遭遇することになる。非常に好戦的な種族のようで、近寄るだけでものすごい数のDEMに取り囲まれる。30レベルのキャラクタではとても太刀打ちできなかった。ダメージすら与えられないように感じたが、例えDEMの攻撃を振り切り運良く奥に進んでもイベントなどはまだないということで、「DEMは今の力では太刀打ちできないほど強い」という雰囲気を体験できるだけの場所のようだ。
ほかにもDEMはエミル君のストーリーにも深く関わっていくことになりそうだ。今のところDEMは恐るべき敵であり、危機を迎えているドミニオンを助けたいという雰囲気だが、ここからどのようにストーリーが展開するのだろうか。何よりも、ようやく明確に語られ始めたこの世界がどうなっていくのか、興味を惹かれるところだ。
■ 非常にシンプルなPKシステム。仕様の細部はまだ検討中
次元転生を経て降り立つことができるドミニオンの世界ではフィールドでPK可能となっている。プレーヤーがレベル5以上になるとこのルールが適用される。このPKにはランキングが適用されており、他プレーヤーを殺したプレーヤーにはWRP(War Record Point)が加算され、ランキングに反映される。ランキング上位者しか購入することができないラインナップがあるなどの特典があるようだ。 ヒールに関してはパーティーメンバーにしかかけることができない。襲われているプレーヤーをとっさに助けるという事はできない。また、パーティーを組んでいるプレーヤーには攻撃が当たらないので、多数で少数を襲う場合はあらかじめパーティーを組んでいた方が有利だ。 今回の体験プレイで一番困惑した仕様が、移動しようとしてクリックした時、全く意図せず他プレーヤーをクリックしてしまった場合、いきなり攻撃してしまうところだった。他ゲームではオプションで警告を出したり、Ctrlをクリックしながらでなくては攻撃できないようにロックをかけている。もっとも、現時点ではPK行為に対してのペナルティーもないので、単なる過失なら謝れば済む問題ではある。 PKに関しては、現時点で仕様が固まりきっていないところがある。以前は「レベル20以上離れていると攻撃できない」ということだったが、ユーザーの反応を見ながら、このレベル差をもう少し縮めて同じくらいの力量のプレーヤーが戦えるように、バランス調整するという。また、PKを望まないプレーヤーが戦いを回避するためのアイテムを用意する、といったアイデアを考えているとのことだ。 今回の体験会では、「PvP体験」として、スタッフの協力の下3vs3の戦いを体験できた。両チームが離れ、リーダー役のプレーヤーの号令の下戦ったのだ。筆者は弓を使うストライカーで参加した。他のメンバーは近接攻撃の得意なブレードマスターや、ロボットに乗るマシンナリー、魔物を使うカバリストなどバランスを考えた上でメンバーを変え、数回対戦を行なった。 筆者はまずペットの狼をけしかけ、弓を使って追い打ちをかけるという戦法で戦った。スキルの使い方などになれていないためつかまってしまうこともあった。回復アイテムは用意していたが、全体的にキャラクタの攻撃力は高めで近寄られると倒されてしまう。囲まれたブレードマスターがマリオネットのエレキテルに変身し、その防御力で敵の攻撃を耐えるという場面もあった。 一通りプレイして実感したのはやはりPvPは面白いということだ。用意されたキャラクタのスキルではあるが、どれを使うか考え、直前にはチームチャットで狙う敵の打ち合わせをする。どう動き、どう戦うか、システムを理解した上で戦えば更にうまく立ち回れると感じた。マシンナリーのロボットは頑丈で、ペットや回復をしてくれるネコマタは心強かった。 PK可能なフィールドでは一部のプレーヤーがPK部隊を結成し、フィールド上のプレーヤーを攻撃するだろう。彼等とどう戦うかは、もしくはどう襲うかは、ドミニオン世界での大きなテーマとなるだろう。鍵となるのは信頼できる仲間達だ。味方をどう守るか、襲われたときあわてず立ち向かえるか、PKは襲う側が有利ではあるが、他のプレーヤーを助けるためにあえて身を投じるプレーヤーも多いだろう。これまでとはひと味違った絆と、出会いが体験できるのは間違いない。それは「ECO」に新しい“繋がり”をもたらす。
戦いは避けられない世界だが、やはり他プレーヤーを積極的に襲うプレーヤーというのは少数派だろう。「ストーリーを体験したいけど怖い」というプレーヤーも多いかもしれない。対人戦に秀でたプレーヤーは彼等を守る存在として、これまでとは全く違う活躍ができるかもしれない。プレーヤー達がどんな社会を作り、つながりを持っていくか、注目したい。
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□ガンホー・オンライン・エンターテイメントのホームページ (2008年4月30日) [Reported by 勝田哲也]
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