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戦術魔道書「グリモア」を使って魔法を効果的に駆使するジョブ「学者」。以前に本連載の第6回で、前衛ジョブ向けの新たなサポートジョブ選択「踊り子」を紹介したが、「学者」もまた魔法を駆使するジョブにとって見逃せないサポートジョブの選択肢のひとつだ。 サポートジョブを「学者」にしたときのメリットは、メイン時同様にアビリティにあるが、その内容はとても独特だ。注目のポイントは、「白/黒のグリモア」によって魔法スキルのキャップが引き上げられ、キャップ値も最大になるところ。グリモアに対応する魔法は消費MPや詠唱時間が低減されるところ。そして、サポートジョブレベルで使えるMP回復アビリティ「机上演習」の存在だ。
3月11日のバージョンアップで劇的なパワーアップを遂げた「学者」は、サポートジョブの選択肢としても見違えるように注目すべき存在になった。魔法ジョブのサポートジョブとして、他ジョブにとってもサポ「白魔道士」と並び立つ存在として、定番のひとつに加わってくる可能性が非常に高い。今回はサポートジョブ「学者」の魅力を紹介していこう。
「学者」というジョブは、ハッキリ言ってメインジョブでもサポートジョブにしても、特殊なことが多くて難解だ。それが「学者」というジョブ名や存在にマッチしているところがまた面白いところではあるが、魔法ジョブに馴染みの薄い冒険者が「サポートジョブ学者」を理解するのは簡単ではない。そこでまずは、サポートジョブを「学者」にしたときのメリットをざっくりと書いてしまおう。
・「ケアルIIIまでの回復魔法、サポ白に近い状態異常回復魔法、強化魔法が使える」 上に書いたメリットは、サポートジョブで得られる項目であり、全ジョブが得られるものだ。例えば、MPを持たない前衛ジョブであっても、実用レベルの魔法スキルで「学者」の白魔法と黒魔法が使えるようになる。そしてMP回復アビリティ“机上演習”も使用できる。 続いて、実際にどんなアビリティや魔法が使えるかを、以下の表でご覧頂こう。「学者」をサポートジョブにしたときに得られるジョブアビリティ、ジョブ特性、使用可能魔法をまとめたものだ。
次に黒魔法を見ると、基本的な精霊魔法のほか、ドレイン、スリプル、ディスペル、アスピルを使えるのがポイントだ。ただし、スリプルとディスペルはメインジョブレベル60から使えるようになる「黒の補遺」を組み合わせないといけない。成長過程においては、「補遺」の存在によって、他の魔法ジョブの役割を取りすぎないようになっているところがポイントだ。 魔法ジョブのサポートジョブ選択としては、定番の「白魔道士」、「黒魔道士」、「赤魔道士」あたりと比較することになるが、まずテレポやデジョンといった移動系の魔法は一切ない。ストンスキンやブリンク、リレイズがないところも大きいだろうか。また、ディア系に始まるスリップダメージ系統の魔法も持たない。このあたりが他のサポートジョブ選択との違いだ。サポートジョブ学者によって使える魔法は、サポートジョブから欲しい必要最低限のラインナップになっている。 アビリティ面での特徴では、メインジョブレベル20からは「戦術魔道書」のアビリティ「簡素清貧の章(白魔法用)」と「勤倹小心の章(黒魔法用)」で、これは次に唱える魔法の消費MPを半分にしてくれる。さらにメインジョブレベル50からは、「電光石火の章(白魔法用)」と「疾風迅雷の章(黒魔法用)」も加わる。こちらは次に唱える魔法の詠唱時間と再詠唱時間を半分にしてくれるアビリティだ。 また、前衛ジョブなら、ソロプレイやスキル上げのときに選ぶジョブとして白魔道士を選ぶシーンがあったが、今後は学者も見逃せない。唯一サポートジョブで「リジェネII」が使えるところは大きなポイントだろう。ちなみにステータスアップとしては、やはり魔法系ジョブらしくINTとMNDが上昇する。白/黒魔法の両方を扱えるジョブだが、INTのほうが若干上昇値が高い。
さて、ここまでは他の魔法系ジョブをサポートジョブにする場合と比較しやすいところ、そして簡単に説明できるアビリティを解説してきた。だが、「学者」をサポートジョブにしたときに得られる重要なポイントは、「白/黒のグリモア」による“魔法スキルの引き上げ効果”と“消費MP、詠唱時間、再詠唱時間の低減”、そしてMP回復アビリティ「机上演習」の存在にある。これらについては個別に詳しく紹介していこう。
この「机上演習」はまったく新しい感覚のMP回復方法だ。既存のMPの枠とは別枠にMPを貯めておける。例えば最大MPが800あるキャラクタだったとして、「机上演習」は、その800とは別に一定のMPを保持しておける。そして、貯めておいた机上演習のMPを好きなタイミングで開放すれば、そのときのMPに加えられる。時間をかけて“MPを貯めておけるアビリティ”だ。 机上演習をまず最初に使用すると毒を受けている状態のようにHPが減り始める。頭の中で戦いのシミュレーションをして想像した力を貯めるというところだ。その行為は体力を使うのだろう。というわけで、そこから一定時間HPが減少していく。そしてその後の好きなタイミングでもう一度、机上演習を使用すると、蓄積されたMPがMPゲージに加わる。このような2段階のアビリティだ。蓄積できる量は、初回使用時のHPに依存していて約25%が限度になる。事前に蓄積しておけるところがポイントで、瞬時にMPが回復するアイテムを、アビリティで用意できるようなものと考えるのがわかりやすいだろうか。 ただし、使い勝手は、必ずしも良いわけではない。仮にHPが1,000あるならそのうち250をMPとして貯めておける。そして、2度目の机上演習使用で開放しMP250が回復する。蓄積中は3秒ごとにHPが2づつ減少して貯まっていくので、250貯めきるには375秒つまり6分25秒かかる計算だ。なお、蓄積中にHPの残量が50%を割ってしまうと、その段階でMPの蓄積が終わってしまうという特徴もある。また、机上演習中のデメリットとして、スリップダメージが入り続けるためヒーリング作業が行なえず、赤魔道士のリフレシュやドリンクでのリフレシュ効果も得られない。バラードやエボカーロールは大丈夫だ。 パーティプレイにおいて赤魔道士がメンバーにいるときは、リフレシュをもらうか机上演習を使うかが悩みどころになる。リフレシュは3秒に3MPずつ回復していき、150秒でMP150を回復する。机上演習は3秒ごとに2蓄積と、若干劣るかたちになるほか、あとからまとめてMPを回復する方式で、かつHPを消費しヒーリングができないなどデメリットも多い。ただ、リフレシュ自体は赤魔道士本人がMP40を消費する魔法であり、手間の面としても赤魔道士の負担になる。机上演習で充分MPを補充できるようなら、リフレシュの分のMPや手間を他の魔法や行動に回してもらうのがよさそうだ。 また、前述のようにストンスキンなどでHP消費蓄積を軽減しない限り蓄積中はヒーリングができない。ヒーリングと机上演習のMP回復量と時間は比べるまでもなくヒーリングのほうが有利だが、机上演習は蓄積中に行動が取れるのがなにより大きい。ここもリフレシュのケースと同様にシチュエーションで使い分けることになる。 このように特殊なMP回復アビリティなのだが、サポートジョブの能力として全ジョブが完全に使えるという点は非常に大きい。パーティーメンバーに吟遊詩人、赤魔道士、コルセアといったMPを回復できるジョブがおらず、ヒーリングでMPを回復するほかないという状況には、非常に頼もしい存在になる。
ただ、スキル上げやソロプレイなどで前衛ジョブが活用するときには一点問題があって、前述のようにHPに依存するMP蓄積は、途中でダメージを受けるとその段階のHP量に応じて蓄積が完了してしまう。頻繁にダメージを受けるときには蓄積しづらい。戦闘前に事前に蓄積しておいてMP量を増加させる、またはこまめに蓄積、取得を繰り返すという使い方になるだろう。
上に挙げたいずれのジョブ選択でも、基本的にサポートジョブ側の魔法で実用的なものというと回復、強化魔法あたりに限られていた。それは主に魔法スキルがないためで、例えばサポートジョブ側の魔法スキルで弱体魔法スキルが101あったとしても、レベル70以上で相手にするモンスターにいくら魔法を唱えどもほぼレジストされる。唱えられるけど使えない、という状態だ。前衛ジョブでもメインジョブの武器スキルにない武器は実用的ではないのと同じだ。 だが、「学者」には「“白のグリモア”“黒のグリモア”によってそれぞれ対応する魔法スキルを一時的に高められる」という特徴がある。白と黒のグリモアを使うことで、白魔法、黒魔法に関わる「神聖魔法スキル」、「回復魔法スキル」、「強化魔法スキル」、「弱体魔法スキル」、「精霊魔法スキル」、「暗黒魔法スキル」を高められるスキルキャップが引き上げられ、スキル値も最大、いわゆる青字状態になる。 例えば「白魔道士」は、神聖魔法と回復魔法を得意としており、強化魔法と弱体魔法はそこそこで「赤魔道士」に準じた位置づけになっている。そこでサポートジョブを「学者」にして白のグリモア状態にすると、強化と弱体はメインジョブレベル75時で256にまで引き上げられる。A~Fの記述で言うと、強化C+、弱体CだったところがともにB+になる計算だ。魔法スキルがD以上あればグリモアによってB+に引き上げられる。 また、もともと「白魔道士」にスキルがない精霊魔法スキルと暗黒魔法スキルは、黒のグリモア状態にするとレベル75時ならスキル246となり、どちらもBに近づく。表記としてはB-というところだ。スキルが低い、もしくは無い場合はB-相当に引き上げられる。 このグリモアによるスキルキャップ引き上げの計算は独特で、正確には“そのキャラクタのスキル値を元に計算してスキルキャップを引き上げてくれる”ものとなっている。ジョブとしてのスキルキャップがD以上でも、キャラクタのスキル値そのものが育っていなければ、B-までの引き上げに留まる。 簡単に言うと、「グリモアを使うと魔法スキルがB+もしくはB-にスキルキャップが引き上げられ、キャップ値になる」というわけだ。白魔道士レベル75の例なら、弱体魔法スキルのキャップが大きく高まり、レジストされがちだった弱体魔法がグッと通用しやすくなる。黒魔法に関してはサポートジョブのスキルでレベル37相当の101が限度だったところが、246にまで飛躍的に上がる。これによりサポートジョブの「学者」が修得している黒魔法の各精霊魔法ほか、スリプル、ディスペル、ドレイン、アスピルといったあたりも実用できる。
もちろん例として挙げた「白魔道士」以外の魔法ジョブでも恩恵は同様だ。「黒魔道士」なら神聖魔法スキル、回復魔法スキル、強化魔法スキル、弱体魔法スキルの4種が高まり、「赤魔道士」も神聖魔法スキル、回復魔法スキル、精霊魔法スキル、暗黒魔法スキルが高まる。その他のジョブにおいても同様で、今までは唱えることこそはできるが実用性はないと捉えられていた魔法も、グリモアを使うことで変わってくる。新しい常識を生む可能性は十分にありそうだ。 “グリモア”はこれまでの「魔法を使うならメインジョブに魔法スキルがないと使い物にならない」という常識を打ち壊している。グリモア使用中に限られるとはいえ、どのジョブでも6種の魔法スキルをB-以上にできるからだ。そしてサポートジョブの学者が使える魔法を高いスキルで使用できる。例え話だが、魔法スキル246で通用するモンスターになら「サポ学者でスリプルを唱えるモンクや戦士」だって可能だ。 これまでには考えられなかった組み合わせや動きが可能なため、これがどこまでトレンドを変えていくかは測りかねるところがある。とりあえず魔法使用ジョブの魔法スキル周りを大きく変えるサポートジョブとして、「学者」は重要な存在になるのは間違いないだろう。
なおグリモアには、「白のグリモア」なら白魔法の詠唱時間、再詠唱時間、そして消費MPが10%低減される。「黒のグリモア」なら黒魔法に同様のボーナスがある。ただし、白・黒魔法と白・黒のグリモアを逆に組み合わせてしまうと、詠唱時間、再詠唱時間、消費MPが20%増えてしまうというペナルティもあり一長一短だ。うまくグリモアを切り替えていければ、他ジョブにはない魔法使用効率アップが測れるところが地味ながらも大きなポイントだ。
まず、ここまでに書いてきたように、サポートジョブ「学者」の能力は、実はメインジョブにはあまり依存しない。サポートジョブレベルで修得している「学者」の魔法はグリモアによって魔法スキルが引き上げられるため、もともと魔法が得意だったジョブならそのスキルで使えるし、魔法スキルがなかったジョブなら、グリモアによって高まったスキルで活用できる。踊り子はTPさえ稼げればどのジョブでもサポートジョブとして活用できるジョブだったが、学者もややそれに近い感覚だ。 使用魔法では、やはりストンスキン、ブリンク、そしてリレイズが使えないところが残念だが、それらがあると万能になり過ぎる気もする。基礎的な回復魔法や強化魔法は揃っているので、おおむねサポートジョブ「白魔道士」に近い感覚でプレイできるだろう。 また、それに加えてドレイン、アスピル、スリプル、ディスペルが使えるところはかなり大きい。戦闘しながらドレイン、アスピルを使ってHPとMPを吸収しつつ、緊急時にはスリプルで寝かして対応できる。デメリットとしてグリモアの切り替えを常に意識する必要があるが、そのぶん消費MPなどの低減効果もある。慣れないうちはグリモア切り替えの煩わしさが強いが、慣れてくると低減効果のメリットが嬉しく感じられるようになるはずだ。
「ナイト」、「暗黒騎士」を含めた前衛ジョブなどと組み合わせるケースは、主にソロプレイやスキル上げ、カンパニエバトルやビシージ等で活用されるかと思うが、頻繁に使う回復魔法を重視して、基本は白のグリモアで動く。いざ、スリプル、ディルペル、ドレイン、アスピルなどを使いたいときには、一時的に黒のグリモアと黒の補遺のような動きになる。「獣使い」や「からくり士」はソロプレイでサポートジョブに「白魔道士」を頻繁に使ってきたジョブだけに、スキル引き上げと机上演習がある「学者」という選択はより注目だ。 また、「召喚士」や「青魔道士」のように白/黒魔法ではないがMPを活用するジョブなら、“机上演習”がかなり魅力的だ。特に「召喚士」はMP回復アビリティ「エレメントサイフォン」と併用することでさらにMPを補充できる。レベル75時点なら、召喚魔法スキルや最大HPによって増減するが、だいたいエレメントサイフォンで200前後、机上演習で同じく200前後のMPを回復できる。ソロプレイの幅が広がるし、パーティープレイにおいてもMPの余裕が出てくる。青魔道士においても同様で、パーティーに回復役として参加するときなど、有効に使える。 「カンパニエバトル」などをはじめ、戦闘で倒れてしまった人へレイズをかけるとき、まずパッと頭に浮かぶのはそのときのMP残量だ。レイズにはMP150が必要だが、ここでサポートジョブが学者であり「白のグリモア」中ならMP135で使えることを思い出す。それでもMP残量が135ないときにはヒーリングしてMPを回復しようとなるのだが、ここでさらに「戦術魔道書」の存在に気づく。「簡素清貧の章」のアビリティを使うと、元の消費MPが150だったレイズが半分の75になる。それでもMPが足りないなら、事前に蓄積しておいた机上演習を開放してMPを回復したりもできる。
このようにアビリティを組み合わせれば最終的に元の半分以下のMP消費で魔法が使える。机上演習の効果を含めて、とてもMP消費が控えられたサポートジョブだ。白魔道士のサポートジョブにしているときは、「簡素清貧の章」でレイズIIIでも消費MPが250の半分で125に、ケアルガIVでも元の260を半分の130で使用できる。黒魔道士の例なら「勤倹小心の章」を組み合わせれば、フレアIIなど古代II系魔法でも消費MP287が144になる。また、「電光石火の章」、「疾風迅雷の章」を組み合わせれば詠唱時間と再詠唱時間も半分にできる。戦術魔道書のアビリティはいずれも組み合わせ可能だ。
適したジョブは基本的には魔法ジョブのサポートになってくるが、ソロプレイなどにおいて前衛ジョブがサポ白を選んできたシーンにも加わってくる。もともとMPを持たないジョブは、最大MP量が乏しいところもある。グリモアによって消費を低減できる点や自己MP回復ができるところは、サポ白以上のメリットがあるだろう。
魔法ジョブの新たなサポートジョブ選択肢の登場であり、見逃せない存在だ。メインジョブとしての「学者」も非常に魅力的な存在になったので「学者」をプレイしているかたも増えたかと思う。学者をプレイしているかたには他の魔法ジョブでプレイしてきた人も多いだろう。サポートジョブとの組み合わせもぜひ試してみてもらいたい。
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□スクウェア・エニックスのホームページ (2008年4月4日) [Reported by 山村智美 / Pomm]
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