|
サポートジョブを何にするか? これはどのジョブの冒険者でも等しく直面する重要な問題だ。サポートジョブは、メインジョブの能力の底上げが狙えるだけでなく、プレイスタイルも変えられる。挑発が必要な場面ならサポートジョブを戦士にしたり、バランスよく攻守ともに優れる忍者を選択したり、インビジやスニーク、回復魔法などを重視して白魔道士や赤魔道士にしたり。熟練の冒険者ほどそのバリエーションは豊富かつ多彩だ。
そうしたサポートジョブ選びに、「アルタナの神兵」からは、「踊り子」という新しい選択肢が加わった。TPを使ってアビリティを発動するという新機軸の能力を持つ踊り子は、まったく新しいプレイスタイルを実現すると同時に、前衛ジョブでも回復役になれるという嬉しい能力を備えている。中でもソロプレイ時のパフォーマンスは抜群のものがあり、「ジラートの幻影」を境に一気に普及した“サポ忍”と同等か、それを上回るインパクトを持っているといっても過言ではない。今回は、今後、前衛ジョブのサポートジョブの定番にすらなりそうな、「踊り子」のサポートジョブ時の魅力を紹介していこう。
アビリティの内容はほぼ全てが味方への回復/支援能力や敵への弱体効果付与となっている。まず、攻撃するたびにHPやMPを吸収できるようになる「サンバモード」からは、ドレインサンバ、ドレインサンバII、アスピルサンバがサポートジョブ時に使える。ドレインサンバは平均的に10前後のHPを吸収し、ドレインサンバIIは与えたダメージ量に応じてより多くのHPを吸収できる。吸収量にはかなりばらつきが見られたが、50程度のダメージを与えている場合に10前後、モンスターによっては20前後のHPが吸収できた。 攻撃が当たるたびに吸収するので、忍者やモンクといった攻撃間隔の速いジョブなら短時間でかなりのHPを吸収していくし、両手武器を使うジョブなら大きいダメージを与えるとともに、多くのHPを吸収する。トータルではどのジョブでもあまり差が無く恩恵が得られる仕組みになっている。ただし、攻撃が当たらないことには意味をなさない。回復するために、命中率と攻撃力を意識するというのは新しい感覚だ。 さらにアスピルサンバでは、HPの代わりにMPが吸収できる。こちらは1回の攻撃あたり、平均的に8前後のMPを吸収する。ナイト、暗黒騎士、青魔道士、赤魔道士など、魔法を駆使しつつ物理攻撃もするジョブにとっては非常にありがたい存在だ。ただし、相手のモンスターがMPを持っていることが必須条件になるので、ここは気をつけたい。
ケアルワルツは70程度、ケアルワルツIIでは160程度のHPを回復する。ステータスのCHRによって回復量が増加し、ケアルワルツはケアルII、ケアルワルツIIはケアルIII相当の回復力を備えている。踊り子の特殊能力は、魔法ではなくアビリティなので詠唱を中断されるということもなく、効果が瞬時に発動するためソロプレイでも使いやすい。また踊り子のダンスは硬直がなく、次に発動したアビリティでモーションをキャンセルできるため、連続的にテンポ良く操作ができるのも嬉しいところだ。 メインジョブレベル70以上から使えるのが、状態異常を回復するヒーリングワルツ。石化、アムネジア、テラー以外の状態異常を、ひとつを回復できる心強いアビリティだ。スロウやバイオなどの厄介な異常も回復でき、白魔法のイレースに近い性能を誇る。ディバインワルツは、パーティーメンバーに対して範囲効果でケアルワルツ相当の回復ができる。パーティープレイ時に心強い。 モンスターの回避率や防御力を低下させる「ステップ」は、相手の回避率をダウンさせるクイックステップと防御力をダウンさせるボックスステップの2種類が使える。どちらも重ねて相手に与えることで、5段階まで効果をアップできる。攻撃を当てるための回避率ダウン、より高いダメージを与えるための防御力ダウンは戦闘を有利にするとともに、前述のドレインサンバIIの恩恵にも影響してくる。またステップを相手に命中させると、フラリッシュを発動するためのフィニッシュムーブをメインジョブ時には2取得できるのだが、サポートジョブ時では取得量が1になる。 このフィニシングムーブを消費して放つのが、「フラリッシュ」。サポートジョブ時には自分を攻撃するようにしむけるA.フラリッシュと、モンスターをヘヴィ状態にするD.フラリッシュが使用可能だ。敵対心を直接的にコントロールできる「挑発」相当のアビリティである。戦士の本家挑発に比べると敵対心の向上は低い印象だが、前衛としては喉から手が出るほどほしいアビリティだ。一方、D.フラリッシュは命中率が低いため頼り切るには不安もあるが、モンスターを引き寄せて時間を稼ぐマラソン戦法の補助や、モンスターから逃げるときに活用したい。 最後はジグモード。サポートジョブ時には、インビジとスニークの効果を得られるスペクトラルジグが使える。移動中の危険をなくすインビジやスニークの効果はソロプレイでの冒険や、パーティでの移動など、もはや欠かせない存在だ。このジグはTP消費はなくいつでも使えるのが嬉しい。効果時間はランダムなもののある程度決まっているようで、サポートジョブ時には早いときで約30秒ほどで効果が消える。リキャストも30秒のため不足はないが、長い距離を移動するときには周囲に気をくばりたい。また、再使用時にはスニーク効果は手動で切らないとならないところも気をつけよう。
最後にジョブ特性を見ると、物理回避率アップ、レジストスロウ、モクシャ、物理命中率アップと、前衛ジョブにとって無駄なものはなにひとつない充実ぶりだ。前衛ジョブの回復役スタイルを実現させるとともに、ソロプレイ面においてもパフォーマンスをぐっと高めてくれる。
サポートジョブを踊り子にすることで得られる最大のポイントは、「アタッカーが回復役になれる」ことだ。これまで回復役を担うには白魔法が必須であり、白魔法はMPを消費するためMPを豊富に持つジョブだけが回復役になれた。元々MPを持たないジョブの場合、仮にサポートジョブを白魔道士にしても得られるMP量が少ないため、急場しのぎにはなっても実用には耐えない。そのため、サポートジョブに白魔道士や赤魔道士を選択すれば回復役ができるというのは、あくまで魔道士ジョブ、かろうじてナイトあたりに限られてきた。 つまりは、魔道士ジョブはサポートジョブを白魔道士にすれば回復役になれるが、一方で前衛ジョブにはそれに相当する選択がなかったわけだ。それゆえ、前衛ジョブはアタッカーの領域以外にはどうしてもポジションが広がらなかった。しかし、回復役がいないとパーティープレイが成立しないのだ。 そういった状況に現われたのが「踊り子」だ。MPではなくTPでHP回復できる踊り子は、攻撃を得意とした前衛ジョブにうってつけで、ヒーリングではなく攻撃することで回復アビリティ発動のための動力を得る。前衛ジョブのうち何人かがサポートジョブを踊り子にできれば、予想以上に回復の役割をカバーできる。
ソロプレイや特定のクエストを手伝ったりする場合でもサポートジョブ踊り子の有用性は高い。敵対心を上げるA.フラリッシュを使ってターゲットを回せるし、ケアルワルツを駆使しての回復は心強い。移動時には、インビジとスニークの効果が得られるスペクトラルジグが非常にありがたい。HNMクラスのモンスターなど、強力なモンスターとの戦いでは、あまり効果は期待できないが、一般的なゲームプレイでは、抜群のパフォーマンスを発揮する。 サポートジョブ踊り子のデメリットとしては、アタッカー性能が落ちることが挙げられる。アタッカーのダメージ源となるウェポンスキルはTPを全て使ってしまうため、回復のことを考えると撃ちづらくなる。また、アタッカーとして取る行動と回復のために取る行動、その両方の全てを短時間にこなすのも難しい。このあたりはモンスターの強さや状況に応じてバランスを調節したいところだ。
ナイトのサポートジョブとしてもとても優秀だ。ナイトはモンスターの攻撃を自身で受け止め、それを白魔法で自己回復して敵対心を高めるが、そこにケアルワルツによる回復を上乗せできる。シールドマスタリーによってTPも貯めやすい上、もともと盾役の設計なので、TPの使い道をウェポンスキルではなく踊り子のアビリティに回すことができる。ケアルガに相当するディバインワルツの存在も範囲攻撃や魔法でHPが減った仲間を癒すのに便利だし、ステップによる弱体とA.フラリッシュによって、モンスターの攻撃をひきつける役目もしっかりこなせる。 また、避ける盾役でありソロプレイのパフォーマンスも高い忍者にも、サポートジョブ踊り子の選択は魅力だ。忍者に限らず、シーフ、モンクなど高回転の攻撃で素早くTPを貯められるジョブはTPで回復するという仕組みと相性が良い。ヒーリングワルツでスロウなどの致命傷になりえる状態異常を自分で治せるのもポイントだ。
吟遊詩人のサポートジョブにしてみるのも面白いかもしれない。攻撃参加してTPを稼ぎ、歌って踊ってパーティを支援回復する。効率面を重視している状況ではどうか分からないが、仲間と遊ぶときにはありだと思う。
青魔道士でプレイするときには、主に二刀流のジョブ特性と空蝉の術による回避力を目当てに忍者をサポートジョブにすることが多いのだが、それに比べるとプレイ感覚はがらっと変わる。空蝉の術でモンスターの攻撃を避けているうちに攻撃していく攻撃型だったスタイルが、攻撃を受けつつTPで自己回復するという防御型になる。ナイトに近い感覚だろうか。 戦闘では、ドレインサンバIIかアスピルサンバの2択になる。青魔道士はMPがあるジョブなので、MPがあるうちはドレインサンバIIでHPを吸収し、MPが減ってきたらアスピルサンバでMPを吸収というスタイルを選択した。ちなみにカンパニエバトルで戦う獣人たちの多くはMPを所有しているようで、アスピルサンバを存分に使えた。 周囲をみると、獣人のターゲットが向いてしまい、走って逃げまわっている冒険者がいた。そこでヘヴィ効果を対象に与えるD.フラリッシュを追いかけているモンスターに当ててみる。モンスターにヘヴィ効果が加わって、追いかけていた冒険者は無事にターゲットが移るまで逃げ延びていた。もちろん、同じように自分が狙われてしまい危険になった状況でも活用できる。D.フラリッシュは命中率が低いのが難点だが、高レベルでカンパニエバトルのモンスターが相手なら、かなりの確率で命中していた。 D.フラリッシュは命中率が低いためなかなか常用しづらいが、ヒットすれば特定のモンスターを引きつけて走り回るマラソン戦法を単独でできるようになる。これまでは基本的に赤魔道士のグラビデを頼りに行なう戦法だったが、これが赤魔道士がいない状況でも可能になるのは大きい。命中率は低いものの、マラソン戦法を使いたいシチュエーションで試してみる価値は大いにありそうだ。
これまでソロ活動をする際は、白魔道士や赤魔道士をサポートジョブにして活動していた。回復魔法とインビジやスニークといった移動補助の魔法が目当てだ。この目的にも今後は踊り子という選択が入ってくる。アタッカージョブの選択としてはTPの使い道を選べる踊り子が候補としてはかなり有力になった。前述のようにD.フラリッシュさえ当たれば、危険なときに逃げやすいのもポイントだ。
今回は新たなサポートジョブの選択肢として「踊り子」を考えてみた。これまで存在しなかった「前衛ジョブでも回復役になれるサポートジョブ」として、踊り子の存在はとても大きな変化だ。踊り子というと、トリッキーな支援ジョブといった印象が強いが、実際のところは、無駄なく実用的なアビリティが揃うとても優秀なサポートジョブの選択肢になっている。
ソロプレイのパフォーマンスアップに繋がり、プレイスタイルそのものも大きく変化する。前衛ジョブでもパーティーに回復役、回復補助として参加できるようになる意味合いの大きさは言うまでもないと思う。もちろんサポートジョブとして活用するには踊り子をメインジョブとして育成することになるが、それによって低レベル帯の回復役が増えるし、育成したあとには自身のプレイの幅が広がると思う。踊り子自身もパフォーマンスが高いジョブなので、ぜひ遊んでみてもらいたい。
(C)2002-2008 SQUARE ENIX CO.,LTD All Rights Reserved.
□スクウェア・エニックスのホームページ (2008年2月18日) [Reported by 山村智美 / Pomm]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|