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「アルタナの神兵」大規模バージョンアップレポートの第2弾では、前回の“カンパニエ編”に続いて、“ジョブ・システム編”としてジョブまわりのアップデートや、システムアップデートの内容をご紹介していきたい。今回のバージョンアップで最も変わったジョブといえば、なんと言っても「学者」だ。新アビリティの追加と共に使用可能魔法が大幅に増え、後衛にはありがたいMP回復アビリティも登場した。さらに既存のアビリティや魔法も使いやすく調整されている。以前の印象とはまったく違うジョブと言えるほどに大きく調整された。 対する「踊り子」には、メインジョブ時の能力の引き上げとサポートジョブ時の差別化を図る調整が行なわれ、さらに多くの既存ジョブに対しても各種調整に加えて、新魔法、新アビリティが多く追加されている。
またシステム面では、魔法ジョブでもバトルBGMが聴けるようにバトルBGMの再生条件が変更。さらにマクロなどのユーザーデータをプレイオンラインのサーバーに保存できるようにもなった。バージョンアップ内容の中から、そうした見逃せないポイントを押さえてみた。
「学者」と「踊り子」には多数の要素が追加された。まずはアーティファクト(AF)の実装だ。詳しくは今後、本連載でも取り上げていく予定だが、「アトルガンの秘宝」で追加された新ジョブと同じようにストーリー形式のAF取得クエストと、指定アイテムを納品するクエストによって全ての箇所が入手できる。また、レベル70~71になるための限界突破クエストも双方に導入された。 ● 「学者」-- 使用魔法が増え、MP回復をはじめとした各種アビリティが追加!
「学者」は劇的な変化を遂げた。まず、新アビリティとしてレベル10で修得する「白の補遺」、レベル30で修得する「黒の補遺」が追加された。これは「白のグリモア」か「黒のグリモア」中に発動できる戦術魔道書のアビリティ。それぞれの補遺中にのみこれまで使えなかった白魔法や黒魔法が使用可能になる。補遺はどちらも対応するグリモア中にのみ使える戦術魔道書のアビリティだが、使用後はグリモアを切り替えない限り効果が続く。「補遺」使用時に使えるようになる魔法は以下のようになっていた。
戦術魔道書のアビリティは、「戦術魔道書」というカテゴリとしてリキャストが共有される。つまり、補遺を使えば範囲化やその他も使用済みの状態になるが、ここで学者の「チャージ」という特徴が活きてくる。チャージはレベル10で1回分、レベル30で2回分、レベル50で3回分、レベル70で4回分が貯められる。簡単に言えば、チャージ時間が経過していれば回数分、戦術魔道書のアビリティを連続して使えるというわけだ。 そのチャージの1回分が貯まるまでの時間も調整された。簡単に言えば、戦術魔道書のアビリティを以前より短い間隔で使えるようになっている。チャージ数の最大蓄積数、つまりレベルによって変わるようになっていて、チャージ数が1のレベル10のときには1回分のチャージが4分かかるのに対して、チャージ数4のとき(つまりレベル70以降)では1分にまで短縮される。レベルが上がれば上がるほど有利に働く仕様となった。 新アビリティとしては、レベル35で修得する「机上演習」が追加された。これは“HPを消費してMPを回復する”というアビリティだ。「机上演習」を発動させると、まずHPが徐々に減少していく。このときのステータスは「机上演習:蓄積中」となり、この間にはMPはそのままだ。また、ダメージを受けている状態になっているのでヒーリングやログアウトもできなくなる。そこから一定時間が経過した後にもう一度「机上演習」を発動すると、HPを消費、つまり蓄積した量だけMPが回復するという仕組みだ。 蓄積できる量は、冒険者の最大HPに依存するようで、だいたいHPの25%ほどが最大蓄積量になる。最大に蓄積すると、「机上演習:蓄積完了」となりアイコンも変化する。蓄積した分、MPを瞬時に回復できるが、蓄積中はリフレシュなどのMP回復効果が得られなくなるので一長一短の仕組みとなっている。「机上演習」はレベル35で修得するため、サポートジョブを学者にして活用してみるのも面白いだろう。 さらに、学者専用の新魔法には、天候属性の魔法命中率をアップさせる「虚誘掩殺の策(レベル46)」が加わり、対象者の天候を変化させる「陣」の魔法も効果時間や詠唱時間、使用間隔が見直され使い勝手が良くなっている。また、白のグリモアで弱体魔法スキルが上がるようになり使いやすくなったほか、学者のジョブアビリティアイコンは専用のものになって一目で状態がわかるようになった。これでもかと言わんばかりの嬉しい調整内容が盛りだくさんだ。 ● 「踊り子」-- ワルツの、メインジョブ時とサポートジョブ時での差別化はどう影響する?
「トランス」の使いどころとしては、パーティが危機のときに緊急回復したいという場面が多いと思うが、以前だとトランスでTP消費がなくなっても再使用時間の制限があったため、あまり実用的でなかった。今後はトランス中ならTPを気にせずに6秒ごとにワルツを使ってパーティを癒せる。白魔道士の「女神の祝福」のように瞬間的に完全回復させるわけではないが、そこが回復役の代表である白魔道士との差別化だろう。 また、メインジョブ時には「ステップ」の命中率にボーナスが加えられるようになった。さらに、「ヘイストサンバ」、「アスピルサンバII」および「ドレインサンバIII」といったメインジョブで使用できるサンバの効果時間も長くなっている。 踊り子をメインジョブにしている場合とサポートジョブにしている場合とで、ワルツの効果に対する補正が変わったところも見逃せない。もともと回復効果のアビリティであるワルツにはステータス補正が加わっていたのだが、この補正ボーナス部分がサポートジョブ時には若干引き下げられたようだ。使用時のレベルやステータスで変わってくるが、だいたい回復量でいえば1~2割程度メインジョブ時よりも低くなっていた。
本連載第6回でもお伝えしたが、踊り子をサポートジョブにしてのプレイはとても魅力的だ。今回はメインジョブ時との差別化として「ワルツ」に差別化が測られると共に、メインジョブ時のメリットが加えられた。このような調整はされたものの、それでもまだまだ魅力的なサポートジョブ選択肢のひとつであることには変わりはない。
● 過去への新移動魔法が白魔法、黒魔法に追加! 召喚士は特殊なMP回復アビリティが追加
過去のテレポイントはいずれも今回開放された獣人の本拠地「ラヴォール村」、「オズトロヤ城」、「ベドー」に近い場所に設置されていた。どこからでも過去へワープできるという点と、過去の獣人拠点近くへと移動する2つの使用目的があるだろう。 ただ、単純に過去世界へと行くにしては、過去のテレポイントから所属国に移動するには少し距離がある点、獣人の本拠地に行くにしても過去の所属国にはカンパニエ審理官による連合軍戦績テレポがあるという点などがあり、絶対的なメリットは正直なところ今は少ない。だが、パーティを組んで獣人拠点へと赴く機会が増えることになれば、魅力を増していきそうだ。 黒魔法に追加された新移動魔法は「リトレース(黒55)」だ。これは標的のパーティーメンバーを過去の所属国へとワープさせるという、“過去版デジョンII”と言える魔法。黒魔道士専用の魔法でレベル55から修得可能となっている。その利便性は言うまでもなく、現代から過去の所属国へと瞬時に移動する用途、過去でのプレイ後に帰還する用途、どちらにしても魅力的な魔法だ。「リコール」3種類と「リトレース」はいずれも過去世界でのクエストの報酬で入手できる。
召喚士には、レベル50で修得する新アビリティ「エレメントサイフォン」が登場した。これは自分が召喚した精霊からMPを得るという、ちょっと変わったMP回復手段だ。5分間隔で利用可能で、召喚魔法スキルに比例してMP回復量が変化する。装備品によるボーナスを含め召喚魔法スキルが210前後の状態で試してみたところ170ほど回復した。どうやら天候や曜日なども関係するようだ。精霊を召喚することが前提の手順とはなるが、MP回復手段が追加されたこと、これまであまり活用する機会がなかった精霊召喚を活用できるというのは大きい。サポートジョブでも使える学者の「机上演習」と組み合わせてみるのも面白そうだ。
● 忍者に待望のスニーク効果「物見の術」が登場!
忍者には、レベル25から修得できる「物見の術:壱」が追加された。これはスニークの効果を得る術で、新たに追加された忍具「三尺手拭」を消費する。「物見の術:壱」はカザムのお店で8,822ギルで販売されている。レベル25から使用できる術ということで、その付近のレベル帯でレベル上げに訪れる事が多いカザムで販売されているのだろうか。忍具「三尺手拭」は裁縫の合成で作成できる。サポートジョブでも使用可能なのが嬉しいところだ。
● 過去世界のモンスターから覚えられる新青魔法をはじめ、暗黒魔法、新コルセアロールが登場
暗黒騎士には、アブゾ系の新魔法として命中を吸収する「アブゾアキュル」がレベル61からの魔法として登場。“吸収”なので、自身の命中率を高めると同時にモンスターの命中率を下げられるところがポイントだ。 効果のほどは控えめのようではあるが、これで暗黒騎士は「命中」、「TP」、「STR」、「DEX」、「INT」、「AGI」、「VIT」、「CHR」、「MND」と、ステータス吸収系統の魔法がさらに充実し、ドレイン、アスピル、スタン、さらにドレッドスパイクも含め、暗黒魔法を駆使する戦い方が一層確立しそうだ。なお「アブゾアキュル」は、アトルガン白門の魔法屋で購入できる。
コルセアには、踊り子と学者のジョブ名に由来する新ロール「ダンサーロール」と「スカラーロール」が登場している。それぞれ、「ダンサーロール」はHPリジェネの効果、「スカラーロール」はコンサーブMPの効果をパーティーメンバーに与えられる。コルセアのロールは、パーティメンバーのジョブに対応するロールを使うこと、ラッキーナンバーや高い数値を引き当てることで効果が増減する。最大時にどれぐらいの効果を発揮するのか気になるところだ。「ダンサーロール」と「スカラーロール」はアルザビのお店で購入できる。
シーフには、任意のパーティーメンバーの敵対心を4分の1盗む「コラボレーター」がレベル65のアビリティとして追加された。こちらは対象の敵対心を半分盗む「アカンプリス」と使用時間を共有するアビリティだが、「アカンプリス」の使用間隔が5分間隔なのに対して「コラボレーター」は1分間隔で使用できる。「盗む」というシーフの代名詞とも言える動作をモチーフに、敵対心コントロールする役割としてまた一段の発展を遂げている。 侍には、レベル60のアビリティ「石火之機」が追加された。次に放つウェポンスキルの消費TPを100に抑えられるため、残ったTPで続けざまにウェポンスキルを放ち、ソロで連携を決める事が可能になった。また、「石火之機」での1人連携から続けざまに「明鏡止水」を使って、さらに多段の連携に発展させることもできるようだ。これと共に、技連携によるダメージがレジストされる確率が調整されているので、連携の威力も基本的に増している。アタッカーとしての戦闘力が向上し、アビリティを組み込んだ1人連携を組み立てるおもしろさも加わっている。
また、獣使いはジョブアビリティ「いたわる」の使用間隔が3分から1分30秒に。竜騎士は竜を呼び出した時点から取得した経験値の総量に応じて、飛竜のステータスがアップするように。からくり士はオートマトンに新WSが追加された。
● 構えなくてもバトルBGMが再生される! ちょっと便利なメリットも
実際にプレイしてみると、今までにないタイミングで突然音楽が切り替わった。パーティーメンバーの誰かがモンスターに敵対行動を取ったためだ。タイミングとしては誰かがモンスターに何らかの攻撃をした直後から自動的に変わる。この自動的に変わるところがポイントで、パーティーメンバーの誰かが戦闘状態になったかが曲の変化でわかる。
例えば、マップのないエリアで分散して行動しているとき、ナイズル島アサルト作戦の「ナイズル島踏査指令」などが主に当てはまるが、分散してから戦闘状態になった仲間の元へ合流するとき、一定範囲に入ると曲の変化でわかるという、ちょっとした利点になっていた。また、戦闘途中から逃げた場合にはバトルBGMが続くのだが、逃げ切れる(敵対心が消える)と元のBGMに変わる。そうしたメリットもあった。
他者からいくつかの回復魔法を受けた場合に一時的に硬直する時間があったのが改善された。これは、攻撃開始時や戦闘終了時にタイミングよくケアルなどの魔法を他者からかけられると、一定時間硬直してしまっていた。この連戦時などには煩わしい仕様が改善されるのはありがたい。
実際にプレイしてみたところ、以前に比べてHPを回復する魔法での硬直が確かに減っていると感じられた。ただ、HP以外の状態異常回復の魔法などでは、元の状態に近い硬直が感じられた時があった。まだ改善の余地は残っているという感触だろうか。とはいえ、まずは一歩快適になったことが大きい。今後にさらに期待をしたい。
従来はメンバーそれぞれの強化魔法スキルに依存していたため、スキルがない前衛ジョブでは1ダメージどまりが多かったのだが、この変更で15前後のダメージが安定して出るようになった。攻撃回数、間隔を重視した前衛ジョブが多めに構成されているパーティーなら、侮れないダメージを加えられることになる。
今回の調整で戦術魔道書のアビリティ自体が使い勝手が良くなったので、こうしたトリッキーな支援もどんどん使っていける。学者の楽しさが一層増した印象だ。
サーバーへのデータ保存操作は少し特殊な手順になっていて、キャラクタ選択画面で行なう。まず保存は、PS2版なら「L1+L3」、Xbox 360版なら「LB+左スティックボタン」を押す。Windows版でもコントローラを使って同様の操作で保存確認画面を呼び出すことができた。キーボードでは「Shiftキー+Altキー+Ctrlキー+Bキー」となる。操作をすると保存確認画面が出るので、「保存する」を選べば瞬時にデータが保存される。 反対にサーバーからデータを呼び出す操作は、PS2版なら「R1+R3」、Xbox 360版なら「RB+右スティックボタン」を押す。キーボードでは「Shiftキー+Altキー+Ctrlキー+Rキー」となる。Windows版でのコントローラ操作は呼び出しと同じようにできる。また、クライアント側に保存しているマクロを一括削除するコマンドもある。PS2版なら「R2+L2+R3+L3」、Xbox 360版なら「RB+LB+右スティックボタン+左スティックボタン」。キーボードでは「Shiftキー+Altキー+Ctrlキー+Dキー」だ。例えばネットカフェでマクロを呼び出してプレイしたあとに消すとか、そういった場合に使うのだろう。
環境の移行をはじめ、どこからでも呼び出せる利便性、プレイしている環境が故障などで使えなくなってしまったなど緊急時に復旧させるためのバックアップとしても、とても便利で安心できる機能だ。忘れずに定期的にデータを保存させておこう。
続いて、現代の北グスタベルグに行ってみると、過去でもみかけたモヤモヤとした光を発見。何かをトレードすれば過去での記憶が呼び覚ませるらしい。これに過去にいたゴブリンが売っている、あるアイテムをトレードするとちょっと不思議で便利なことが起こる。このリコポディウムの不思議な仕掛けは他の場所にもあるようだ。
また、現代に以前からいるNPCにもちょっとした変化が起きているようだ。例えば、現代の南サンドリアにいる老兵士は水晶大戦時代の想い出を語るようになっていた。冒険者にとってまだ過去は謎が多いが、彼ら現代のNPCにとってはすでに全てが過ぎ去ったもの。当時にあった出来事が冒険者には新情報に感じられるという、ちょっと面白い方法だ。こうした箇所を探してみるのも面白いかもしれない。
● たくさん収納できる格安の家具「バウー」が登場!
まずはバウーで本国での収納力アップのメリットを感じてもらい、そこから、内装に凝りたくなっていっていろんな家具を設置したくなる人も出てくるだろう。またもうひとつの考え方としては、単体で収納力の高い家具があることで、その他の家具を置く余裕も増やせるところもある。
気になる効果については、一概に「女帝の指輪」より性能がいいとは言い切れない。というのも「皇帝の指輪」はチャージ数がわずか3回しかないだからだ。「女帝の指輪」は最大ボーナス量が1,000だが、7回使える。1週間でフルに使えるなら「女帝の指輪」のほうが総量は多いということになる。
棲み分けとしては、ほぼ毎日レベル上げなどで経験値を獲得する機会があるなら「女帝の指輪」が、まとまってプレイするのは週末だけという場合は「皇帝の指輪」がオススメということになる。
「アルタナの神兵」の発売開始以来、初の大規模バージョンアップということで、その内容を“カンパニエ編”と“ジョブ・システム編”と2回にわけてお伝えしてきた。カンパニエの変化、学者をはじめとするジョブの変化がやはり大きいが、「/dance」のモーション追加や、魔法スクロールへの魔法効果解説追加など、本稿で特別には取り上げていないものでも魅力的な内容が多数ある。 なお、昨年に行なわれた「FF XI アルタナ祭りin大阪」トークセッションや、「FF XI Fan Festival 2007」デベロッパーズパネル&プレゼンテーション(その2はこちら)で伝えられていた調整や実装の予定を見返してみると、今回であらかたのものは実装された。
残る大きなものでは、“ユーザーが作成可能な「プライベートダンジョン構想」”、専用のウェポンスキルが撃てるようになるという“ナイズル島武器の成長段階・手法の実装”、貴重なアイテムが当たるチャンスもあるという“宝くじ”、“アトルガンジョブのAF2”などがあるだろうか。それから召喚士ユーザーとしては気になって仕方がない“新召喚獣”の話題もあった。それらは果たしていつになるのか、首を長くして気長に待ちたいところだ。 (C)2002-2008 SQUARE ENIX CO.,LTD All Rights Reserved.
□スクウェア・エニックスのホームページ (2008年3月24日) [Reported by 山村智美 / Pomm]
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