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【連載第17回】大人による大人のための洋ゲー連載
■Game Dudeの「大人のための海外ゲームレポート」■
スゴ腕エージェントがPSPで大活躍
テロとの戦いはローガンに任せろ!
Syphon Filter: Logan's Shadow |
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昨年末、SCEJから赤いPSPが発売され、思わず衝動買いしてしまった。その結果、PSP熱が再燃し、年末年始は手持ちのPSPタイトルをはじめ、PSPにどっぷりはまってしまった。これを機会に本連載でもオススメ海外PSPタイトルを取り上げていきたい。海外のPSPでは目立たないが優れたタイトルが意外にあるのだ。
本連載初のPSPタイトル第1弾は「アメリカでは人気だったんですけど系」アクションゲームの代表格(と筆者が勝手に位置付けているが)「Syphon Filter: Logan's Shadow」をお送りする。日本でもPS用に第1作目のみ発売されていたが、海外産のアクションゲームに対する免疫が国内のゲームファンにまだ浸透していなかったのか、一部コアゲーマーのみが高い評価を残すにとどまったタイトルとなっている。
本フランチャイズは米国Sony Computer Entertainemt Worldwide Studios傘下のSony Bend Studioが初代「Syphon Filter」から一貫して開発に携わっており、米国では大きなファンサイトもあり、ゲームファンへの認知度も高い。
プラットフォームはPS→PS2→PSPという変遷を経て、今回ご紹介の「Syphon Filter: Logan's Shadow」はPSPプラットフォームの2作目にあたる。今回はアメリカの危機と戦うICPAのスゴ腕エージェント、ガブリエル・ローガンとなってシリアのテロリスト集団、アル・ジャミール一味と戦う本作、まさしく「テロとの戦い」を題材にしたホットなゲームと言えるだろう。
【お断り】 |
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当連載でご紹介したゲームは日本国内で流通しているハードウェアでは動作を保証するものではありません。編集部では海外版ハードウェア・ソフトウェアを輸入して紹介しています
この記事を読んで行なった行為によって、生じた損害はGAME Watch編集部および、メーカー、購入したショップもその責を負いません
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■ エージェント・ローガン、PSPで大活躍の巻
「Syphon Filter」第1作目が生まれたのは、初代プレイステーションの隆盛華やかな'99年2月で、サードパーソンアクションの秀作として、高い評価を得て第3作目までPSで発売されている。ちょうどニンテンドウ64の「ゴールデンアイ」のような3rdパーソンアクションゲームが人気のある時代だったので、ユーザーの食いつきは非常によかったのだ。
PS2プラットフォームに移行したのは2004年5月、オンライン対戦にも対応して好評を博している。ただPS2市場では「SOCOM U.S. NAVY SEALs」のような強力な競合タイトルもあり「Syphon Filter: The Omega Strain 」以降は同プラットフォームでの新作は登場していない。ただし後述のPSP版からの移植作は発売されている。
「Syphon Filter」が名実共に本格復活を遂げたのは、2006年3月に発売されたPSP版「Syphon Filter: Dark Mirror」からだ。北米のPSP市場は本体の販売状況は順調なものの、PSPと言えばPS2タイトルからの移植が多く、人気フランチャイズの完全新作となる同作のインパクトはなかなか大きかった。
ちなみに本作は米国での評価がよっぽど良かったのか、昨年末にPS2に移植されて廉価タイトルとして発売されている。PS2からPSPへ移植というタイトルは山ほどあるが、その逆というのはなかなか珍しい。いかに秀作だったかがおわかりになるだろうか。
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PSPで再ブレイクした前作「Dark Mirror」 |
システムは今作「Logans's Shadow」と大差ない |
■ 米海軍の艦船をテロリストが占拠! ローガン、今すぐ「1人で」出動だ!!
さて、PSPで再び返り咲くことに成功した「Syphon Filter」フランチャイズの最新作が、今回のお題「Syphon Filter: Logan's Shadow」となる。筆者はPSP版の前作「Dark Mirror」も購入してプレイしているが、PSPの持つゴージャスなスペックを如何なくプレーヤーに満喫させてくれるゲームとして本作はバッチリ好印象、最新作が出たということなら買わなきゃ! という訳で早速ネット通販に走ってみた。
ゲームの舞台設定は現代のアメリカ。主人公ガブリエル・ローガンはInternational Presidential Consulting Agency (IPCA) という政府機関に所属するスゴ腕エージェント。強靭な肉体と様々なガジェットを駆使し、世界に危機をもたらす犯罪集団をやっつけてきたスゴイやつ。お色気担当(?)の美人アシスタントが登場するのもお約束、某人気潜入アクションゲームや接着剤みたいな名前の英国諜報員と同じカテゴリーの世界観だ。
今回もIPCAの上司ロバート・コーデル (性格悪し) から指令が入る。インド洋を航行中のアメリカ海軍の艦艇がシリア人テロリスト、ハッサン・アル・ビター率いるテロリスト集団「アル・ジャミール」にシージャックされるという事件が発生。ローガンはヘリコプターで目的の海域に向かい船に潜入を試みる……というのが本作冒頭のお話で、要するに「テロとの戦い」をモチーフにしている。アメリカにおいては特に中東は旧ソ連に変わってすっかり悪役設定が馴染んでしまった感がある。
ちなみに本作のお話は前作「Dark Mirror」直後という設定になっており、登場人物の中には前作をプレイしていないと、よく背景が飲み込めないかもしれない。「Dark Mirror」はBest版が発売されており、PSPゲームのフルプライスタイトル(39.99ドル) より20ドル安い19.99ドルで購入できるので、洋ゲーファンなら2本まとめて購入してしまうのもアリだろう。
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本作の主人公ガブリエル・ローガン |
IPCAのロバート・コーデル。主人公に何か隠している? |
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シリア人テロリスト、ハッサンが今回の親玉だ |
ローガンの頼もしい補佐役、テレサ |
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米国海軍の輸送艦がテロリストの襲撃に! |
船の積荷に何かあるらしい。ローガンが現地に急行する |
■ 俺はローガン、PSPならアイツにも負けないんだぜ!
システムや操作性は前作「Dark Mirror」をほぼ踏襲しており、シングルプレイ部分に関しては細かいUI以外に目立った変更点は見受けられない。ゲームは全部で6つのミッションと各ミッションごとに4つのパートに分かれており、陸に海に様々な環境での作戦がプレーヤーを待っている。
PSPの限られた表現力の中で見事だと思う点は、登場する銃器の豊富さを挙げたい。実在する銃が拳銃・自動小銃・サブマシンガン・水中銃など多数登場し、状況に応じて様々な武器を使い分けることができる。また、電撃で痺れさせたり、着弾すると爆発する弾など様々なギミックの武器を使い分けることも特徴。
面白いのはゲーム中、海底で敵と交戦するシーンがあるが、水中銃以外の銃で射撃をすると、水の抵抗で弾の速度が落ちて敵にかわされたり威力が弱まったりする。そもそも火薬で弾を撃つ銃が水中で動作するのか? という謎もあるが、なかなか面白い設定だ。
主人公ローガンのアクションシーンも見逃せない。PSPでは表現力以外に操作性の面でもPS2などと比べると激しいアクションには向いていないのだが、壁に隠れて敵の攻撃をかわしたり、接近戦に持ち込んで敵を盾にしたり、周りの敵に気づかれないように音を立てずに仕留めたりと、多彩な戦闘方法がプレーヤーを飽きさせない。
更には赤外線・ナイトビジョン・EDSUの3種の機能を持つゴーグルも装備してあらゆる環境の戦闘に対応可能。武器も3種類まで携帯可能 (ライフル系2種・短銃1種) で、しかもキチンと背中と腰に装備している細かいシチュエーションとこだわりがゲーマー心をくすぐってくれる。某サム・フィッシャーさんと似たような職業でありつつ、ローガンの方が武器を1種類多く持てるあたり、筆者としてはローガンにナイスエージェント賞を与えてあげたいところ。
もっとも某サム・フィッシャーさんはステルス系のお仕事がメインなのに対して、ローガンは潜入といいつつ、“ブッ込み上等、悪いテロリストは片っ端からやっつけろ、死ぬまで許すな!”が仕事のスタイルなので、持てる武器は多いにこしたことはないか。
要所のシーンでは○X□△ボタンをタイミングにあわせて押すことでイベントが進行する場所がある。簡単に言うと「God of War」方式。よっぽどこのシステムのデザインに対する評価が高かったのか、「アンチャーテッド」など他のSCEタイトルでも採用されている。このおなじみのイベント進行方法が本作でも採用されている。
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ローガンは様々な武器の扱いに長けている |
ちょっとした仕掛けはボタンアクションで対応する |
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速やかな脅威排除のためヘッドショットを狙っていこう |
各種ゴーグルを使えば敵もこの通り一目瞭然 |
■ PSPでもここまでできる、ローガンのカッコイイアクションに釘付けだ!
ゲーム画面を見ると本作は「Sprinter Cell」のようなスニーキングアクションを期待してしまうかもしれないが、どっこい本作は純粋な3rdパーソンシューターだ。遮蔽物に隠れては撃ち、素早く敵に肉薄して必殺の一撃をかますのがゲームの醍醐味と言える。
一応サイレンサーを使ったり、後ろからソロソロ歩いて行くことで敵に気づかれずに倒すことも可能だが、基本的にワラワラと敵がわいて、主人公の目の前に立ちはだかる展開の連続なので、緊迫感を楽しむよりも、いかにカッコ良く、スマートな戦いを楽しむかが、このゲームのポイントだ。
敵のAIはちょっと頭がよくない。具体的に言うと動きが緩慢で、狙いやすい。これはPSPの操作が据え置き型のコントローラーと比べるとハードなアクションには向いていない故の配慮ではないかと思われる。この配慮は視点移動をアナログで素早く操作できない仕様上、無駄に難易度が高くなってしまうのでいたしかたない。
ミッションの進行は基本的にキャラクタ同士の会話で状況を確認するため、HUD (ヘッドアップディスプレイ) やレーダーなどに、どこそこへ行けといったわかり易い指示はなく、非英語圏のプレーヤーにはやや進行がつまづいてしまう所がある。
オプションで会話の字幕をON/OFFできるので、プレイ時には必ずONにして必要な情報は読み取れるようにしておきたい。SELECTボタンを押すことでミッション目標は表示されるが大目標しか提示されていないので、これはあまり役に立たなかった。
基本的にゲームオーバーは無く、主人公が倒されても直前のチェックポイントから復帰できる。体力ゲージは体力とアーマーのゲージがあり、敵の攻撃を受けるとまずアーマーから削られていく。アーマーはステージ中に点在するアイテムボックスから補充できる。
体力に関してはゲージが0にならない限り安全なところに逃げてしばらくほうっておけば自動的に回復する「アンチャーテッド」などと同じシステムが採用されている。危なくなったら敵と距離をとって様子を見るようにすると良いだろう。
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敵を素手で仕留めることも可能だ |
敵の体を盾にしてしのぐこともできる |
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水中での戦いも用意されている |
英語が苦手な人は字幕は必ずONにしておいた方が良い |
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アイテムボックスは見つけたらチェック! |
遮蔽物に隠れながら戦闘を行なうのが基本だ |
■ ローガンも夢中、最大8人でオンライン対戦もできる!
「Logan's Shadow」はシングルも充実しているが、マルチプレイも頑張っている。日本でも「みんなのゴルフ ポータブル 2」でインターネットを使ったオンラインマッチング機能が採用され、日夜対戦に励んでいる諸兄も多いと思うが、本作でもシリーズで初めて最大8人までのオンライン対戦をサポートしている。
オンライン対戦の方式はロビーにプレーヤーを集めて、任意のプレーヤーがホストとなってゲームを立ち上げ、そこに参加するP2P方式が採用されている。目下ほとんどのプレーヤーが米国のユーザーになるため、回線品質はあまり良くないのだが、稀にラグやフリーズが発生する程度で、無茶苦茶ストレスがたまる! という程ひどいわけではない。
本作には日本でもコアゲーマーに愛されたオンライン対戦対応のミリタリーシューティング「SOCOM U.S. NAVY SEALs」での経験が活きているのか、PS3タイトルでもなかなかお目にかかれない充実のロビー機能も用意されている。
気になる対戦のモードは全部で5つ用意されている。Deathmatch、Team Deathmatch、Rogue Agentの3モードは既存のシリーズからの引継ぎとなり、SabotageとRetrievalの2つが今回新しく追加された。
・Deathmatch
自分以外は全て敵! 制限時間と勝利までのKILL数はホスト側で設定する。マップを覚えてとにかく撃ちまくろう。
・Team Deathmatch
IPCAチームとアル・ジャミール (テロリスト) チームに分かれたデスマッチモード。筆者が見た感じだと一番遊ばれているゲームモード。
・Rogue Agent
Deathmatchモードに鬼ごっこの要素を取り入れたようなモードで、参加プレーヤーのうち1人が、他のプレーヤーとは姿と武器が異なるRogue Agentとなる。他のプレーヤーはRogue Agentを追い、自身は他のプレーヤーに倒されないように奮闘するルール。鬼役のRogue Agentを倒した本人が今度はRogue Agentになる。
・Sabotage
チームに分かれて自陣にある核爆弾を守りつつ敵陣の核爆弾の解除をする。チームワークが問われるルールで、敵方の爆弾を先に解除した方が勝利となる。
・Retrieval
FPSではおなじみのキャプチャー・ザ・フラグ (CTF) のルールと同じで、自陣にあるシンボルを守りつつ、敵陣のシンボルを奪取して自陣まで持ってくるとスコアが加算され、ホスト側が指定した規定のスコア数に達するか、制限時間内により多くのスコアを得ている側の勝利となる。
ロビーサーバーはU.S. Central、同East、Westの3つが用意されている。時間帯にもよるが1つのサーバーに集中している傾向が強い。ピーク時には必ず100人以上のプレーヤーがログインしているので、対戦相手に困ることは現時点ではまずないだろう。
プレーヤーは対戦を重ねることで経験値を得ることができ、一定の経験値に達するとランクアップすることができる。ランクは「R0 (Recruit 0)」から「T3 (Top Brass 3)」まで、全部で11段階用意されていて、ランクアップすることで初期装備武器のバリエーションや使えるスキン (コスチュームやキャラクタなど) が増える。
ロビーではテキスト入力チャットおよびヘッドセットを導入することでボイスチャットでのコミュニケーションも対応している。PSPでテキスト入力はパッと見、面倒くさそうに映るのだが、意外にもたくさんのプレーヤーがチャットを楽しんでいるのが印象的だ。
コミュニケーション関連の機能も充実しており、フレンド同士のメッセージ (この場合はショートメールに近い) 交換や、掲示板も用意され、ゲームサーバー内で親しくなったプレーヤーができれば、連絡手段に欠くことはないだろう。携帯ゲーム機としてはちょっと意外なほどの対戦機能の充実っぷりに驚かされた。
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オンラインロビーは現在3つ用意されている |
チャット専用のウインドウもある |
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掲示板などコミュニティ要素も充実 |
実弾以外のユニークな武器も駆使しよう |
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電撃でしびれさせられて動きが取れない |
5つのゲームモードを堪能しよう |
■ PSPでアクションゲームやってもいいじゃない? と思わせる出来栄え
携帯ゲーム機というと、ハードなアクションよりもRPGやシミュレーション、あるいは頭を鍛える系統の落ち着いたゲームを連想しやすいが「Syphon Filter: Logan's Shadow」をプレイしていると、PSPでアクションゲームも悪くないな、と思わせてくれる。
据え置き型のコンシューマゲーム機でゲームをやる場合「よし、やるぞ!」とちょっとした心の準備が必要だが、PSPなら電車の中でもベッドで寝転がりながらでも、場所を選ばずローガンvs悪のテロリスト軍団との戦いを思う存分満喫できてしまう。
そして今回驚いたのはPSPのオンライン対戦だ。特別目新しい機能でもないし、突出したこともやってない枯れた要素ではあるが、PSPとインターネット環境があれば世界中のプレーヤーとゲームを一緒に、そして手軽に楽しめるというPSPの明るい将来を見た。
ちなみに筆者は新型のPSP-2000でプレイしているが、オンライン対戦時に参加プレーヤーをマッチングする際に各プレーヤーのデータローディング状況がパーセンテージでわかるようになっていて、筆者が100%になり準備完了した頃、他の旧型を使っているプレーヤーは60%か80%の状態で、新型機のメモリキャッシュがかなり有効なのがよくわかる。
UMDの読み込みも気が遠くなるほど長い訳ではないが、こまめにローディング画面に出くわすゲームなので、大人のゲームファンであればここは旧型ではなく軽くて速い新型のPSP-2000でプレイに挑みたいところだ。
ガブリエル・ローガンの次回の活躍にも期待したい。
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「Rogans' Shadow」からマルチプレイ部分を抜き出して対戦に特化した「Combat Ops」の体験版も収録されている。残念ながら収録されているバージョンはアドホックモードにのみ対応し、オンラインには繋げることができない。自分でミッションをつくれるモードなどが追加収録されている |
Syphon Filter is a registered trademark of Sony Computer Entertainment Inc. "PSP" is a registered trademark of Sony Computer Entertainment Inc. "Playstation" and the "PS" logo are registered trademarks of Sony Computer Entertainment Inc. The Sony Computer Entertainment logo is a registered trademark of Sony Corporation. Wireless internet connection and Memory StickDuoTM may be required for certain functionality. Player responsible for Wi-Fi fees.
□「Syphon Filter: Logan's Shadow」公式ホームページ(英語)
http://www.us.playstation.com/LogansShadow/
(2008年1月17日)
[Reported by Game Dude]
当連載でご紹介したゲームは日本国内で流通しているハードウェアでは動作を保証するものではありません。編集部では海外版ハードウェア・ソフトウェアを輸入して紹介しています
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